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■■■■■■■ 金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン ■■■■■■■

第2号 2004年6月5日
NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
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このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場から
退職給付制度に関するコンサルや投資教育を展開している「NPO法人 金融
・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金ネットワーク)」が企
画・編集・発行するものです。金融・年金に関する情報や意見交換のスペー
スをご提供することを目的にしています。企画・編集には(株)格付投資情
報センターのご協力を頂いています。
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《目次》
●特集レポート
NPO金融年金ネットワーク主催「第3回テーマ別企業年金研究会」報告
●連載解説
1. 年金トピックス 「米国の401(k)最新事情」第2回
2. マーケットトピックス 「日本のGDPが年率5.6%の成長」
●NPOアクティビティー
 NPO金融年金ネットワークの活動
●NPOデータ
(株)格付投資情報センター提供 確定拠出年金ファンドデータ
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■特集レポート
NPO金融年金ネットワーク主催「第3回テーマ別企業年金研究会」報告
「企業年金の受給権保護法制と労働組合の役割・第1回」
 講師 成蹊大学法科大学院教授/弁護士 森戸英幸先生
 6月2日(水)に日本労働組合総連合会(千代田区)で開催された研究会の
概要をお知らせします。
(レポート)NPO金融年金ネットワーク 植村昌機
 ◇◆◇
I 日本の現行法制の内容
1. 現役従業員に関する不利益変更
 企業年金制度の改変に伴う給付減額などの不利益変更に関しては2つの法
的な歯止めがある。(1)法令による規制、(2)判例法理による規制である。
(1)法令上の規制
●給付減額には事業主の経営不振と労使合意が必要である。法令上の規制の
 意味は行政の認可(基金型)および承認(契約型)を得る為の条件であり、掛
 け金損金参入等の税制優遇措置を受けるための要件にすぎない。認可・承
 認を得たからといって、個々の従業員が従わなければならないということ
 ではなく、それをもって給付減額ができるとは考えない。企業年金は少な
 くとも実質的には労働条件であり、条件変更に関する判例法理(「合理性」
 のルール)の適用がなくてはならない。
●制度終了・解散には基本的に「労使合意」で可能である。しかし、給付減
 額と同様に法令上の規制を充足するだけでなく、判例法理の適用があるべ
 きである。
(2)労働条件変更に関する判例法理
 不利益変更が法的に有効かどうかは、就業規則変更の「合理性」がなけれ
ばならない。「合理性」の判断基準は以下の通り。
  @従業員が被る不利益の程度 A事業主の変更必要性の内容・程度
  B代償措置としての他の従業員の改善状況 C労働組合との交渉の
  経緯、労働組合または他の従業員の対応 D同種事項に関する社会
  一般の状況
 実際上、重要なのはCである。変更の必要性がどの程度あるかを判断する
際にC以外は変動の要因が抽象的であり、判断が困難である。従って、労働
組合の役割は大変重要である。判例法理と企業年金はどう関係するのか。
(ア) 契約型制度(適格年金、規約型企業年金)―事業主が実施主体なので
   「労働条件性」があり、年金規約は就業規則の一部と考えられる。
(イ) 基金型(厚生年金基金、基金型企業年金)―基金規約は基金という別法
   人と従業員との関係なので労働条件とはいえない。基金規約がなぜ個
   々の従業員を拘束するかについては法律上明確ではない。しかし、従
   業員からみれば、制度がどうであれ、労働条件には変わりはなく、労
   働法上の法理は生かされるべきである。
(次回は「受給者についての不利益変更」)
(参考図書) 森戸英幸著「企業年金の法と政策」(有斐閣刊)をお勧めします。
 ◇◆◇


■連載解説
1.年金トピックス
「米国の401(k)最新事情」第2回:運用商品
 (株)格付投資情報センター 投信評価本部 投信評価部長 斎藤 定
 ◇◆◇
 今回は、401(k)の運用商品(投資オプション)をテーマにする。
 米国では、最近、投資オプションに対する関心が高まっている。一つのきっ
かけは不正会計の末破綻したエンロンの401(k)プランにおいて、多くの従業
員が自社株(エンロンの株)を組み入れていて大きな損失を蒙ったこと。も
う一つは、長い間上昇を続けてきた米国株式市場が2000年以降下落に転じた
ことである。
 401(k)では自社株が運用商品のオプションとして提供されるのは、必ずし
も珍しいことではない。ただ、企業からのマッチングの比率を高めるなどし
て従業員が自社株を選択するインセンティブを与えているケースでは、一般
に加入者が自社株を組入れる比率は高くなる。
 一方、自社株の問題はさておいても、401(k)の加入者が選択した投資オプ
ションを改めて眺めてみると、投資対象は米国株式に集中していた。投資対
象を分散してリスクを低くすることの重要性は、これまでも長い間加入者に
対する投資教育の中で繰り返し伝えられてきたが、結果的には加入者のほと
んどはこの重要性を理解していなかった、少なくとも、投資オプションを選
択の行動に反映していなかった、ということが明らかになったのである。
 米国において、401(k)の投資オプションのラインアップのカテゴリー分け
として通常用いられるのは次のようなものである。
 Tier I 分散済み(pre-diversified); ライフサイクル型、ターゲットイ
   ヤー型などの国内・海外の株式・債券が組み入れられたバランス型の
   運用商品
 Tier II 部品(building block); 米国成長株、米国バリュー株など、投
   資対象に特化した商品を揃える
 Tier III ミューチュアルファンド(mutual fund window);数多くのミュ
   ーチュアルファンドの中から、加入者が選択できる
 加入者の多くが投資対象の分散ができていないという強い反省からTier I
のバランス型ファンドが改めて注目されているのが一つの流れである。
 もう一つの動きは投資アドバイスに対するニーズが高まっていることだ。
教育の実施によって加入者の投資に対する知識を高めることの重要性が低下
したわけではないが、一方、投資教育のやり方を改善したとしても、それだ
けではフォローしきれない加入者が多く存在することもはっきりしてきた。
 これらの加入者に対しては、結局、投資教育の範疇から一歩踏み出して、
加入者個人レベルまでカスタマイズした具体的な投資アドバイスが必要なこ
とが、企業やサービス提供業者の間でも認識されてきた。ただ、人が個々の
加入者に対してアドバイスを行うことは高いコストがかかるため現実的でな
い。現在、実際に提供されている投資アドバイスをパッケージされた運用商
品(マネージト・アカウントと呼ばれる)で用いられているのは、コンピュー
タによる自動化されたアドバイスだ。
 ◇◆◇

2.マーケットトピックス
「日本のGDPが年率5.6%の成長」
 NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 前回、日本の経済成長が日本株式の上昇をもたらした一因であるとお話し
しましたが、5月18日に内閣府から発表された2004年1〜3月期の実質GDP
(以下成長率)は前期(10〜12月期)比1.4%の増加、年率では5.6%の増加
となりました。これは各調査機関のエコノミストの予想を上回る強い数値と
なり、この結果、2003年度の成長率は前年度との比較で3.2%の増加とIT
景気と言われた2000年度の3.0%を上回りました。今後、エコノミストは2004
〜2005年度の成長率見通しを改定することになりますが、今後の日本経済の
先行きを占う意味では興味深いものとなりそうです。
 ところで日本だけが順調な回復を示したと言うことでもありません。日本
の成長率3.2%のうち約3割が輸出の増加によるものですから、米国やアジア
の成長も日本に貢献したことになります。米国の2003年は尻上がりに良くな
り、その結果3.1%の成長となりました。続く2004年1〜3月期には年率4.2%
の成長とさらに高まり、国際機関の2004年の成長率見通しも4.4〜4.7%の高
い伸びが予想されています。
 日本を除くアジアでは2003年は7.1%の成長、2004〜2005年にかけても7%
前後が予想されています。その中で中国は9%前後のさらに高い成長予想は
見逃せません。中国のGDPは約150兆円、これは日本の約500兆円の3割で
すが、成長率が高いため日本と同程度の影響力があることになります。
 ところで最近こうした景気の一部の過熱した動きに対し、ブレーキをかけ
ようとする動きがではじめています。既に具体的にでているのは中国ですが、
企業の設備投資認可審査の強化、投資必要資金の貸し出し抑制、などが行わ
れています。一説には電力や水が不足している影響があるとも言われていま
すが、やはり不動産や建設関連がバブルではないかと言う声もまったく無視
はできないでしょう。今後の中国政府の舵取りは、注目しておいていいと思
います。
 米国でも昨今の経済指標が景気の強さを示していることから、周辺の金融
関係者からは金利を引き上げて経済成長のスピードをコントロールするので
はないかとの観測がでています。当事者であるグリーンスパン米連邦準備制
度理事会議長も2001年以降続いた景気回復のための金融緩和政策が転換点を
迎えているとの認識はあるようです。今後はこうした政策の変化の推移と金
融市場の反応を見ていきたいと思います。
〔なお、ここにお示ししました内容は、可能な限り信頼できる情報に基づき
記述しておりますが、誤解を生じる記述、筆者の理解の変化等ありましたら
後日訂正させて頂く事があります。また、この内容に基づき、証券等の投資
で損失を蒙られても責任は負いかねます。〕
 ◇◆◇


■NPOアクティビティー
NPO金融年金ネットワークの活動から
 全信労連「賃金研修セミナー」への協力 ほか
 ◇◆◇
〔1〕全信労連(全国信用金庫信用組合労働組合全国会議)「賃金研修セミ
ナー」における企業年金問題への取り組みに当NPOが協力させて頂きました。
 このセミナーは、5月15日(土)午後、16日(日)午前の2日間にわたり、
北海道から沖縄まで24単組の役員約80名が参加して行われました。
 全体の構成は事前に、参加単組に「退職金制度アンケート」を行い、現状
把握をした上で、全信労連と当NPOの間で、テーマ・内容等の企画打ち合わ
せを綿密に行い、下記のような日程で、実施することとなりました。
 初日は3部構成のセミナー形式とし、第1部は「これからの企業年金」と題
し、各年金制度の内容・特徴、年金改革に対する企業の対応、年金会計や財
政など制度全般にわたる基本的な知識の習得をテーマにしました。第2部は
「厚生年金基金からの制度変更を考える」、第3部は「税制適格年金からの
制度変更を考える」と題して、従来型の代表的な2つの年金制度から新たな
年金制度への移行が進行している現在、制度変更に際して、どのような問題
が発生し、労組としてどう対応すべきかをポイントに、やや実践的な内容に
しました。3部全体を受講することで、企業年金制度改革の全体像を把握で
きる構成となっています。
 2日目は、分科会として、各単組の年金制度説明、懸案事項、質疑応答な
ど意見交換会を行いました。
 初日のセミナーで年金制度の基本的な知識を得た上で、2日目は各単組の
実際例を中心とした意見交換を重ねたことで、参加者の年金制度に対する理
解は相当深まったようです。年金制度の研修会として、大変有効な例として
ご紹介いたしました。
 当NPOは初日のセミナーを担当させて頂きましたが、今後は、各単組の研
修会や会社提案に対するご相談等も引き続き、対応させて頂く予定になって
います。
〔2〕当NPOホームページを開設しました。アドレスはhttp://kinyunenkin.jp/
です。
 ご感想等を頂ければ幸いです。なお、皆様方の組織のホームページにリン
クを貼らせて頂けないでしょうか。お許し頂けるならば下記メールアドレス
まで、ご連絡をお願いいたします。年金制度に関するご質問やご相談にメー
ルで回答するサービスをご利用できます。
〔3〕このメールマガジン「NPO金融年金インフォメーション」へのご意見・
ご感想を頂ければ幸いです。また、ご投稿も歓迎いたします。下記のメール
アドレスに送信して下さい。
 ◇◆◇


■NPOデータ
確定拠出年金ファンドデータ  提供:(株)格付投資情報センター
 → http://kinyunenkin.jp/data/dc_data_200404.pdf
(PDFファイル 31キロバイト)
確定拠出年金向け投資信託の運用実績(2004年4月末基準)のデータを上記
のURLでご紹介しています。
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●次号(3号)は7月1日に送信予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行: NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止】
 → http://kinyunenkin.jp/08mailmaga.htm
【内容に関するご意見・ご感想】
 本メールの送信アドレスは送信専用ですので、直接ご返信になることはで
きません。 ご意見・ご感想等は、下記アドレスまでお願い致します。
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