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■■■■■■■ 金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン ■■■■■■■

第5号 2004年9月1日
NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
ホームページアドレス http://kinyunenkin.jp/
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このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場から
退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している「NPO法
人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金ネットワー
ク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関する情報や意見交
換のスペースをご提供することを目的にしています。企画・編集には(株)
格付投資情報センターのご協力を頂いています。
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《目次》
●特集レポート
NPO金融年金ネットワーク主催「第3回テーマ別企業年金研究会」報告
「企業年金の受給権保護法制と労働組合の役割・第4回(最終回)」
●連載解説
1. 年金トピックス 「米国の401(k)最新事情」
第5回:401(k)ビジネスの要となるレコードキーピング
2. マーケットトピックス 「GDPショックと原油高」
●NPOアクティビティー
確定拠出年金法、政・省令についての〈法令解釈〉の改正内容
●NPOデータ
(株)格付投資情報センター提供 確定拠出年金ファンドデータ
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■特集レポート
NPO金融年金ネットワーク主催「第3回テーマ別企業年金研究会」報告
「企業年金の受給権保護法制と労働組合の役割・第4回(最終回)」
(講師)成蹊大学法科大学院教授/弁護士 森戸英幸先生
(レポート)NPO金融年金ネットワーク 植村昌機
 ◇◆◇
I 日本の現行法制の内容
1. 現役従業員に関する不利益変更(6月号をご覧ください)
2. 受給者についての不利益変更(7月号をご覧ください)
II アメリカ法との比較から(8月号をご覧ください。いずれも当NPOホーム
 ページの「メールマガジン登録」画面からダウンロードできます。
 http://kinyunenkin.jp/08mailmaga.htm)
III これからの課題
1. 退職金から企業年金へ、功労報償から老後保障へ
企業年金の性格をどうとらえるか? 日本では企業年金は退職金であり、賃
金の後払い、功労報償、老後の生活保障などさまざまな性格を引きずってい
る。
米国は功労報償的性格を排除したかのように思える。しかしマネージャーク
ラスの従業員のための制度については、一般社員とは区別し、バッド・ボー
イ条項(懲戒規定)等は適用除外している。ストックオプション制度におい
て、会社に迷惑をかけて退社した従業員には権利を与えない。解雇手当(競
業会社へ転職しないことを条件に退職金を割増す)の支給等、様々な機能を
年金制度に持たせている。
日本の企業年金・退職金も、様々な機能を担う便利な道具になっている。
立法論としては……もっと老後所得保障機能を重視すべきでは。
高齢化社会で公的年金が頭打ちになるので、老後の生活保障という点で、相
対的に企業年金の役割が大きくなってくる。
「任意性」とのバランス。企業年金制度は企業が労働条件や福利厚生制度を
任意に定められるところにメリットがある。労働条件を維持しつつ老後保障
性を強めていく上で、あまり規制をかけないほうが良いのでは。
2. 労働組合の役割
  労使合意の重要性
(1) 年金制度の変更・終了等の認可・承認を得るためには労働組合の同意が
  必要。
(2) 企業年金は退職金であり、重要な労働条件なので、労働条件の不利益変
  更に関する判例法理の適用がある。不利益変更が法的に有効かどうかは、
  変更に関して「合理性」がなければならない。「合理性」の判断基準に
  おいては「労働組合との交渉」の要件が、他の判断基準よりも明確であ
  り、実質的には重要である。(6月号参照)
3. 受給者vs現役従業員――労働組合はどちらの味方?
受給者と現役従業員では利益相反する。労組は受給者減額に賛成すべきか?
誰の利益を守るかは重要な課題である。
(参考図書)森戸英幸著「企業年金の法と政策」(有斐閣刊) をお勧めします。
 ◇◆◇


■連載解説
1. 年金トピックス
「米国の401(k)最新事情」
 第5回:401(k)ビジネスの要となるレコードキーピング
 (株)格付投資情報センター 投信評価本部 投信評価部長 斎藤 定
 ◇◆◇
 米国には401(k)のレコードキーパー(以下、RK)が200から300もある。
401(k) 運営の中核を担うのがこれらRKである。そもそも401(k)は加入者個
人レベルのアカウントなので、残高などの基本データの正確な管理が重要で
あるというのは当然のことではあるが、実は、RKが運営の中核を担う大きな
理由は他にもいくつかある。
 まず、ミューチュアルファンドの運用会社との関係を見てみよう。レコー
ドキーピング単独での業務を受託するRKと、運用商品の提供を含めたフルサー
ビスでないと業務を受託しないRKとがある。後者の場合、レコードキーピン
グ業務自体で401(k)導入企業から得られるフィーはゼロだが、どの投資オプ
ションをプランに提供するかについて実質的にコントロールできるためミュー
チュアルファンドの運用会社などに対して強い力をもつことになる。また現
実に、ミューチュアルファンドの運用会社はRKに12-1bと呼ばれる販売手数
料を払うのが通例のようだ。
 もう一つの視点は401(k)プラン導入企業や加入者との関わりについてであ
る、RKは多くの異なるプランの加入者個々人の情報をフルに保有しているた
めさまざまな切り口の分析をすることができる。米国では401(k)導入企業が
サービス提供業者を変更するのは日常的なことで、毎年RKを変更している例
も少なくないようだ。企業が業者を変える理由の最も代表的なものは、従業
員の401(k)プランへの加入率を、例えば10%程度引き上げたいということで
ある。業者が加入率引き上げの具体的な提案をする際、多くの企業・加入者
のデータ分析ができれば優位に立つことができる。
 最後に、米国と日本のRKを対照すると次のような点で興味深い。
  (1)日本ではJIS&T、NRKという2つの他、数社のRKがあるのみだが、米国
   では数百社が存在。
  (2)日本では制度運営費用のほとんどはRKに支払われるが、米国ではRKの
   フィーは無料が標準。
  (3)日本ではほぼ全てが日々ベースの管理だが、米国では四半期毎の管理
   しかできないRKが実際に一定規模のビジネスを継続できている。
 裏方としてデータの記録という定型的な仕事だけやっているようなイメー
ジを抱かれがちなレコードキーパーだが、その保有する加入者レベルのデー
タの使い方次第では(当然ながら、個人情報保護を厳守したうえで)、日本
においても想像以上に大きな役割が果たせるのではないだろうか。
 ◇◆◇

2. マーケットトピックス
「GDPショックと原油高」
 NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 8月の話題は、内閣府発表の4〜6月期のGDP速報値が予想を下回る数値であっ
たことと、かねてより懸念されていた原油高騰に変化が見られたのではない
かと、即断はできませんが、少し様相が変わる現象がでてきた点でしょう。
前者については「GDPショック」と金融関係者の間では言っているようです。
 4〜6月期の実質GDP速報値は前期比年率で+1.7%と発表され、市場コンセ
ンサスの同+4.0%前後を大きく下回ったことになりました。ただ、こうし
た数値を受けても、日本経済の先行きに楽観視する見方は比較的多いようで、
今回の「GDPショック」は一過性と見ているようです。このため年度見通し
を修正する動きはでてきておりません。その根拠に、4〜6月期思ったほど良
くなかった項目が設備投資であり、それが同+0.0%と伸びていなかったこ
とにあります。設備投資の先行指標と言われます「機械受注統計(内閣府発
表)」や「日銀短観(企業短期経済観測調査)」の設備投資計画の最近の動
向や将来予測を見る限り設備投資の停滞感は考えにくいためです。
 次に原油価格の動向ですが、昨今の原油価格の高騰については以下の2点
から考えてみたいと思います。1つは直接的なマイナス影響、もう1つは価格
の先行きでしょう。つまり経済成長を妨げるリスク要因として原油価格高騰
が挙げられているからです。なお、原油価格高騰の背景には、地政学的リス
ク、中国・インドの需要急増、ロシア石油会社問題、などが絡んでいました。
 原油価格上昇は原油輸入依存度ほぼ100%の日本の経済成長にはマイナス
に作用します。ただ、調査機関では原油価格がよく耳にされるWTI(米国産
標準油種で取引所に上場されている)で45〜50ドル/1バレルとなっても、
実質GDPで0.1〜0.2%程度の押し下げと試算、影響は軽微としています。ち
なみに米・独ではもっと高い数値となるようです。別の側面から見ますと、
日本は1970年代の第1次オイルショック以降、省エネ・省力化など生産合理
化を進め、諸外国に対し優位性を確立したと言えます。身近な例としてはハ
イブリッド自動車などが一例とも考えられます。
 ところで、物価への影響も大きくはないであろうというのが一般的です。
当然ガソリン・灯軽油などの石油製品の値上がりは企業・家計への負担増と
なるでしょうが、全体としてはサービス関係の価格が依然上昇しづらいと見
ていることが理由になっているようです。
 最後に、それでは原油価格がどうなるかという点ですが、8月20日にWTIで
49ドル/1バレルまで上昇しました。その後、43ドル程度に急落しておりま
す。理由は砲撃されたイラク油田の再開などが言われていますが、投機的な
動きが一時的に鎮静化したとも言えそうです。今後の原油価格を占うのは難
しく避けますが、当面の動きとしては現状よりもう少し下の範囲、中長期的
に見れば原油需要旺盛なことから、かつてのような10〜20ドルといった範囲
は考えにくいと言われています。
〔なお、ここにお示ししました内容は、可能な限り信頼できる情報に基づき
記述しておりますが、誤解を生じる記述、筆者の理解の変化等ありましたら
後日訂正させて頂く事があります。また、この内容に基づき、証券等の投資
で損失を蒙られても責任は負いかねます。〕
 ◇◆◇


■NPOアクティビティー
確定拠出年金法、政・省令についての〈法令解釈〉の改正内容
(平成16年10月1日適用・厚生労働省資料より)
 ◇◆◇
(1)企業型年金規約の承認基準等に関する事項
 加入者の範囲、事業主掛け金の算定方法、事務費負担、資産の移換に関す
る事項について触れていますが、従業員にとっては、非課税拠出限度額が
「他に企業年金がある場合18,000円から23,000円に、ない場合は36,000円か
ら46,000円」に増額改正されたこと、資産の確定拠出年金への移換について
「移換される額が、移換限度額を超えないこと」という事項が削除されたの
が大きなポイントです。これで多額の資産が移換可能になります。
(2)資産の運用に関する情報提供(いわゆる投資教育)に関する事項。これ
が重要です。
 [1]基本的な考え方
 法22条の規定に基づき、資産の運用に関する情報提供に係る業務を行う事
業主等は、極めて重い責務を負っており、制度への加入時だけでなく、加入
後においても、個々の加入者の知識水準やニーズ等も踏まえつつ、加入者が
十分理解できるよう、必要かつ適切な情報提供を行わなければならないとし
ています。
 [2]法22条の規定に基づき、加入者に情報提供すべき具体的な内容
 イ. 事業主等は、少なくとも下記の事項を、加入時、加入後に個々の加入
者の必要に応じ提供。
  a. 確定拠出年金制度等の具体的な内容
  b. 金融商品の仕組みと特徴
  c. 資産運用の基礎知識
 ロ. 運用プランモデルを示す場合は、元本確保型の運用方法によるプランを
必ず含むこと。
 [3]加入者等への具体的な提供方法等
 イ.資産の運用に関する情報提供の業務を行う事業主等は、次の方法で情
報提供すること
  a. 各加入者の資産運用に関する知識、経験等に応じて、最適と考えら
 れる方法で行う。
  b. 事業主等は、加入者が内容を理解できるよう情報提供を行う責務が
 あり、加入者からその内容について、質問や照会等が寄せられた場合は、
 速やかに対応すること。
 ロ. 事業主は、加入者への資料等の配布、就業時間中における説明会の実
施、会場の用意等できる限り協力することが望ましい。
(3)運用の方法に係る金融商品の情報提供に関する事項
 [1]運用の方法に係る金融商品について情報提供すべき具体的な内容
 金融商品ごとに元本確保型の運用方法であるか否かを示した上で、詳細内
容を示すこと。
 [2]加入者等に情報提供すべき過去10年間の実績の内容
 少なくとも3ヶ月ごとの運用方法に係る金融商品の利益又は損失の実績を
提供すること。

 上記の〈法令解釈〉に沿って、企業に適切な投資教育の実施を求めていく
ことが大事です。
 労働組合が率先して、独自の投資教育に取り組んでいる先駆的な例もあり、
当NPOが教育プランのご提案をさせて頂き、すでに一部実施しています。


■NPOデータ
確定拠出年金ファンドデータ  提供:(株)格付投資情報センター
 → http://kinyunenkin.jp/data/dc_data_200407.pdf
(PDFファイル 36キロバイト)
確定拠出年金向け投資信託の運用実績(2004年7月末基準)のデータを上記
のURLでご紹介しています。
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●次号(6号)は10月1日に送信予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行: NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止/バックナンバー閲覧】
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