ホームへ メールマガジン登録


■■■■■■■ 金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン ■■■■■■■

第7号 2004年11月1日
NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
ホームページ http://kinyunenkin.jp/
――――――――――――――――――――――――――――――――――
このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場から
退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している「NPO法
人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金ネットワー
ク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関する情報や意見交
換のスペースをご提供することを目的にしています。企画・編集には(株)格
付投資情報センターのご協力を頂いています。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
《目次》
●特集レポート
NPO金融年金ネットワーク主催「第5回テーマ別企業年金研究会」報告
「確定拠出年金を考える・第1回」
●連載解説
1. 年金トピックス 「日本の確定拠出年金市場の実像」
  第1回:資産規模1兆円に手ごたえ
2. マーケットトピックス 「踊り場的金融市場〜やや下方への調整を織り
  込みに」
●NPOアクティビティー
1. NPO金融年金ネットワークのイベント情報
第6回テーマ別企業年金研究会開催のお知らせ
「セイコーエプソン労組にみる投資教育を軸にした年金運営事例」
2. 「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」
  (2005年版・2004年年金改革対応)を発行
●NPOデータ
(株)格付投資情報センター提供 確定拠出年金ファンドデータ
――――――――――――――――――――――――――――――――――

■特集レポート
NPO金融年金ネットワーク主催「第5回テーマ別企業年金研究会」報告
「確定拠出年金を考える・第1回」
(講師) (株)格付投資情報センター 投資評価本部投信評価部長 斎藤 定氏
(レポート) NPO金融年金ネットワーク 植村昌機
 ◇◆◇
1. 確定拠出年金の概要を考えるポイント
・〈確定給付型制度との対比〉拠出された掛け金が個人ごとに区分。運用は
 個人の指図により行われる。掛け金と運用収益の合計で給付額が決まる。
・〈導入の背景〉として、中小企業における企業年金制度の低い普及度、転
 職時の年金資産通算制度の整備、従来の企業年金制度を維持していくこと
 に耐えられなくなってきた企業経営からのインパクトが挙げられる。
・〈企業型と個人型〉の2タイプあることが重要。企業型から脱退者の受け
 皿として個人型がある。企業型の場合、運用は個人が行なうが運営管理機
 関の選定および投資教育の義務は企業にある。
・〈既存制度からの移行〉に関して2004年10月より、厚生年金基金や適格退
 職年金等から確定拠出年金への制度移行に伴う原資の移換限度額の撤廃。
 この措置により制度導入のスピードがアップすると考えられる。
・〈運営管理機関の役割〉運営管理業務は本来は企業が行なうべき業務であ
 る。誰の立場に立って業務を行なうか、利益相反はないか。運営管理機関
 の選定は適切なプロセスを踏むことが極めて重要(米国の401Kプランには
 “運営管理機関”という独立した機能は存在しない)。わが国の運営管理
 機関の規約受託件数(認可ベース)は少数の企業による寡占化が進んでい
 る。上位10社で62.5%、20社で82.9%に達している(登録運営管理機関は
 693社・16年9月現在)。加入者が約100万人と増加している一方で運営管
 理機関の寡占化が進んでいることの影響に留意が必要。
・〈商品販売会社の役割〉投資信託の信託報酬(加入者が負担、商品により
 年間で資産残高の0.2%から2%程度)の約半分を販売会社の収入、残りが
 信託銀行と運用会社の収入となっている。確定拠出年金において販売会社
 は、加入者に対していかなるサービスを提供しているのか。(通常の投資
 信託の販売会社は運用報告書など運用状況の報告、顧客毎の口座管理等の
 業務を行っている)
 商品販売会社=運営管理機関ではサービス提供とその対価の支払の関係が
 不透明になり、加入者に不利益が生じないか。

2. 確定拠出年金導入の現状
・〈施行状況〉
 ‐企業型年金承認規約数 987件(平成16年8月末)
  企業型年金加入者数 約1,005,000名(平成16年7月末)
  導入企業数 2,881社(平成16年8月末)
 ‐個人型年金の加入者 計33,569名(平成16年9月末)
 ‐登録運営管理機関数 693社(平成16年9月末)
*実施法人単位の従業員数は99人以下が58%。運用商品数は平均13本(最少
 3、最大45)。掛け金は年額で平均155,790円。多制度からの資産移換では、
 適格年金からの移換が最も多い。他の企業年金制度を持っていない企業に
 最も導入が進んでいる。加入形態は「一定の資格」を持つ社員を加入員と
 する形態が多く、必ずしも全員加入とはしていない。(出所:厚生労働省
 平成16年5月末)
*今後、1〜2年で規模の大きな企業を中心にハイペースで導入が進む。適格
 年金制度の廃止期限(2012年度)前に、再びピークが来ると予想される。
 ◇◆◇
※次回は「確定拠出年金の導入・運営」「今後の方向性」等を掲載します。


■連載解説
1. 年金トピックス 「日本の確定拠出年金市場の実像」
  第1回:資産規模1兆円に手ごたえ
(株)格付投資情報センター 投資評価本部 投信評価部チーフアナリスト
                             岡田 篤
 ◇◆◇
 日本の確定拠出年金市場の拡大ペースが上がっている。企業型では厚生労
働省に認可された年金規約件数が2004年8月末時点で987件、加入者数も7月
末で100万を突破した。9月以降の認可状況はまだ明らかになってないが、規
約件数がすでに1000件を超えているのは確実な情勢だ。「掛け金の上限が低
い」「年金資産の途中引出しができない」など日本の確定拠出年金制度は使
い勝手の悪さが指摘されていたが、ここに来てようやく導入が本格化してき
た。規約件数、加入者数が相次いで大台(1000件、100万人)を突破したこ
とで今後は資産規模にも関心が集まりそうだ。

★2004年6月末で約7700億円に
 確定拠出年金の資産規模は2004年6月末で約7700億円に達した。この数字
は確定拠出年金を導入した企業と資産管理業務契約(確定拠出年金加入者の
口座や年金資産を管理する契約で運営管理機関と結ぶケースもある)を結ん
でいる信託銀行10社と日本生命保険の11社の実績を合計したものだ。この数
値を基に確定拠出年金の資産規模の推移を見ると2002年3月末で約180億円、
2003年3月末で約1500億円、2004年3月末で約5200億円と年金資産が急ピッチ
で積み上がっていることがわかる。
 確定拠出年金に年金資産が積み立てられるルートは2つある。1つは毎月の
掛け金で、これは加入者数と1人当たりの掛け金額で決まる。もう1つは厚生
年金基金や税制適格年金など他の退職給付制度で積み立てた資産を確定拠出
年金に移す「過去分移管」。いまのところ確定拠出年金の資産拡大を引っ張っ
ているのはこの過去分移管だ。
 毎月の掛け金が中心にならないのは掛け金上限の低さなどが障害になって
いるからだ。確定拠出年金の掛け金上限は同制度以外の退職給付制度を持た
ない企業で月3万6000円、厚年基金など他の退職給付制度を持つ企業で1万8000
円だ。企業はこの上限を前提に掛け金の体系を決めるため、実際の掛け金は
もっと少額だ。平均は月額で1万3000円程度、年間で15〜16万円となる計算。
この程度の金額では加入者が100万人いても市場全体の掛け金総額は年1500
〜1600億円に過ぎない。一方、過去分移管ならば厚年基金などで積み立てら
れた約77兆円(厚年基金、確定給付企業年金、適格年金の合計、2004年3月
末)の一部が移るだけでも一気に確定拠出年金の資産を伸ばすことができる。

★10月の規制緩和で資産増加に弾みがつくか
 確定拠出年金は2004年10月に規制緩和が実施された。これにより掛け金の
上限が3万6000円と1万8000円から4万6000円と2万3000円に引き上げられた。
同時に過去分の移管制限も廃止された。従来は確定拠出年金が導入された時
点での加入者の勤続年数などに応じて他の制度から確定拠出年金に持ち込め
る年金資産の金額に制限があったが、今回の規制緩和でこれもなくなった。
この規制緩和策はこれから確定拠出年金を導入する企業だけでなく、トヨタ
自動車や日立製作所などすでに導入した企業にも適用されるので大きな効果
が期待できる。
 導入済みの企業の中で新たな資金を手当てする必要のある掛け金の引き上
げに踏み切るところは少数派だが、過去分移管の制限撤廃への関心は強い。
運営管理機関には2012年3月末に制度自体が廃止される適格年金を持ってい
る企業からの問い合わせが相次いでおり、「2004年度末にかけて確定拠出年
金の資産は1兆円を超える。来年度はさらに増えるだろう」(大手の運営管
理機関)と予想する声が多い。
 ◇◆◇
(次回は加入者が選ぶ運用商品の傾向について取り上げる予定)

2. マーケットトピックス
「踊り場的金融市場〜やや下方への調整を織り込みに」
 NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 今後数ヵ月はこれまで不透明だった様々な要因に対し、ある一定の解答が
もたらされる時期ではないかと考えられます。特に、世界経済、為替、国際
商品市況、等々の先行きについて。そしてこれらに金融市場は少なからず影
響を受けることになるでしょう。日本経済は欧米やアジアの景気に左右され
ることにはなるのでしょうが、より自立した動きに期待をかけるのは楽観的
でしょうか。
 当面の注目点として米大統領選(11月2日の投票)、年末商戦、中国の引
き続きマクロコントロールの成果、などがあります。加えて3月決算会社の9
月中間期の決算発表が11月下旬まで続くことも見逃せません。新聞紙上等で
既に一部観測報道がなされてはいますが、企業経営者のガイダンス(事業環
境や収益見通しの方向性やその変化の度合いなどの事前予測)にも注目が集
まることになるでしょう。各企業経営者の将来予測を集約することで、当面
の日本経済の姿が浮かび上がってくることもあります。
 それでは金融関係者は上述の各イベントに対し、どのように見ているかと
いう点については以下のとおりです。
(1) 米大統領選挙:事前の世論調査では共和党ブッシュ氏、民主党ケリー氏
  の各支持率はほぼ拮抗、予断を許さない状況でした。税制の考え方の違
  いの他に自由貿易主義、為替は市場依存のブッシュ氏に対し、保護貿易
  主義、日本や中国の為替介入(自国通貨売り、日本は4月以降の介入な
  し)を非難するケリー氏とは外交・金融政策面での相違もあります。為
  替にだけ言及しますと、ケリー氏勝利は一時的にドル安(円高)に向か
  うのではないかと見られています。ただ、最近ドル安に動いている背景
  には、米国は石油価格の上昇に対し脆弱な体質であることも一要因との
  指摘もあります。
(2) 中国経済:金融市場では中国の経済指標に一喜一憂しているというのが
  現実です。7〜9月期のGDPは前期比年率+9.1%(4〜6月期は+9.6%)と
  緩やかな減速となりましたが、これは想定された固定資産投資の抑制に
  よるもので、個人消費は依然高い伸びが続いています。インフレ率は比
  較的安定していることから、10月に発表されたこれら指標は中国経済の
  安定成長に向けた動きを示したと見るのが一般的です。
(3) 企業業績:全産業で総じて順調な見通しとなっていますが、消費セクター
  はやや苦戦を強いられている模様です。特に8〜9月は台風上陸や天候不
  順などもあって小売り販売の落ち込み、外食の不振が長期化しています。
〔なお、ここにお示ししました内容は、可能な限り信頼できる情報に基づき
記述しておりますが、誤解を生じる記述、筆者の理解の変化等ありましたら
後日訂正させて頂く事があります。また、この内容に基づき、証券等の投資
で損失を蒙られても責任は負いかねます。〕
 ◇◆◇


■NPOアクティビティー
1. NPO金融年金ネットワークのイベント情報
第6回テーマ別企業年金研究会開催のお知らせ
「セイコーエプソン労組にみる投資教育を軸にした年金運営事例」
 ◇◆◇
 企業年金制度の新たな選択肢として注目されている確定拠出年金(日本版
401K)は、導入3年で加入者が100万人を突破し、今後さらに、急ピッチでの
普及が予想されます。
 労使交渉のテーマが多様化する中で、企業年金、特に確定拠出年金が労使
交渉のメーンテーマの一つに浮上しつつあります。
 確定拠出年金は、勤労者にとって年金受給権が法律上保護される一方、自
身が資産運用しなければならない等、従来にない全く新しい制度だけに、労
働組合にとって、加入者に提供される投資教育の内容は重大な関心事になり
ます。
 この4月に確定拠出年金を導入したセイコーエプソン社では投資教育を軸
に労使一体で年金運営を実施して効果をあげている先端的な事例です。
 今回の研究会は、セイコーエプソン労組の清水書記長をお迎えして、年金
運営を軸に新しい労使関係を模索している同社の事例をご紹介して頂きます。
 すでに確定拠出年金を導入している企業、また、検討している企業の労組
ご担当者のご参加を歓迎致します。また、産別、単組の政策ご担当者のご参
加もお待ちしています。
                 記
1. タイトル: セイコーエプソン労組にみる投資教育を軸にした年金運営事例
2. 日時:平成16年11月26日(金) 午後3時〜5時
3. 会場:日本労働組合総連合会 8階三役会議室(千代田区神田駿河台3-2-11)
4. 予定人数:30人程度、産別・単組の政策ご担当者
5. 参加費:資料代1名様2,000円
6. 構成:
(1) 「セイコーエプソン労組にみる投資教育を軸にした年金運営事例」
  セイコーエプソン労働組合・書記長 清水 学氏
(2) 「意見交換」
  司会:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク・代表理事
  宮本一弘
7. 主催:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
  後援:日本労働組合総連合会
8. お申込み先: NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
  電話03-5444-0539  FAX:03-5444-0303
  E-mail:   URL:http://kinyunenkin.jp/
  担当: 植村昌機
 ◇◆◇

2.「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」を発行
 ◇◆◇
    日本労働組合総連合会・NPO法人 金融・年金問題教育普及ネット
     ワーク共編
    2005年版(2004年年金改革対応) A4判・88ページ・2色刷り
    頒価1部1,000円
 産別や単組で活動している方々に、是非知っておいて頂きたい事項を網羅
的に解説。研修会、勉強会のテキストとして、必要な情報を得るための“企
業年金小事典”としてもご活用下さい。お問い合わせ、お申し込みはNPO事
務局( または電話03-5444-0539)までお願い致します。
 ◇◆◇
※当NPOは現在、大手流通企業労組と協力して、投資教育に関して労組が主
体的に取り組むプログラムを実施しています。労組サイドから投資教育の内
容や水準をどう構築するかについては、当NPOにご相談ください。


■NPOデータ
確定拠出年金ファンドデータ  提供:(株)格付投資情報センター
 → http://kinyunenkin.jp/data/dc_data_200409.pdf
(PDFファイル 31キロバイト)
確定拠出年金向け投資信託の運用実績(2004年9月末基準)のデータを上記
のURLでご紹介しています。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

●次号(8号)は12月1日に送信予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止/バックナンバー閲覧】
 → http://kinyunenkin.jp/08mailmaga.htm
【内容に関するご意見・ご感想】
 本メールの送信アドレスは送信専用ですので、直接ご返信になることはで
きません。 ご意見・ご感想等は、下記アドレスまでお願い致します。
 → 
※禁・無断転載 このメールマガジンの著作権は上記発行者に帰属します。


ホームへ メールマガジン登録