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■■■■■■■ 金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン ■■■■■■■

第14号 2005年6月1日
NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
ホームページ http://kinyunenkin.jp/
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このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場から
退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している「NPO法
人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金ネットワー
ク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関する情報や意見交
換のスペースをご提供することを目的にしています。企画・編集には(株)格
付投資情報センターのご協力を頂いています。
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《目次》
●特集レポート
NPO金融年金ネットワーク主催「第8回テーマ別企業年金研究会」報告
「退職金・企業年金改革における法的問題」(第1回)
――労働条件の不利益変更と「受給者減額」に関する裁判例を中心に
(講師)成蹊大学法科大学院教授・弁護士 森戸英幸氏
●NPOトピックス
1. マーケットトピックス 「景気連鎖し始めた商品市況」
2. 年金トピックス「「総合型」厚生年金基金の新たな枠組み」
  ―拡大する「総合型」年金制度のバリエーション―
●NPOアクティビティー
出版のお知らせ
 残部僅少!「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブッ
 ク 2005年版」
●NPOデータ
(株)格付投資情報センター提供 確定拠出年金ファンドデータ
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■特集レポート
NPO金融年金ネットワーク主催「第8回テーマ別企業年金研究会」報告
「退職金・企業年金改革における法的問題」(第1回)
――労働条件の不利益変更と「受給者減額」に関する裁判例を中心に
(講師)成蹊大学法科大学院教授・弁護士 森戸英幸氏
(レポート)NPO金融年金ネットワーク 植村昌機
 ◇◆◇
I.現役従業員についての不利益変更
1.判例法理の確認
 (1)就業規則による労働条件変更
  労働条件は労働契約の内容であり、労働条件の変更は契約内容の変更で
  ある。企業には「解雇不自由」(解雇権乱用法理・労基法18条の2)と
  引き換えに、一定の範囲(=合理性)で「労働契約内容変更権限」が与
  えられている。(判例:みちのく銀行 最1小平成12.9.7)
 〈最高裁の考え方〉
 ・就業規則による労働条件の変更はそれに「合理性」がある限度で許容さ
  れる
 ・合理性の有無は、不利益の程度、変更の必要性、代償措置その他関連す
  る他の労働条件の改善状況、労働組合等との交渉の経緯、他の労働組合
  又は他の従業員の対応、社会的相当性などを総合考慮して判断される
 ・退職金は重要な労働条件なので、変更に際しては高度の必要性が要求さ
  れる
 ・不利益が集中する労働者に対してはそれを緩和する経過措置が必要である
 (2)労働協約による労働条件変更
  労働協約=労働組合と使用者との「契約」であり、規範的効力を持つ
  (労組法16条)
  労働協約の不利益変更に労働者(組合員)は原則として拘束される。使
  用者が一方的に作成する就業規則ほど合理性等について内容審査されな
  い。(判例:朝日火災海上 最小平成9.3.27)
 (3)「訴えの利益」の確認。現役従業員の不利益変更を考える場合は重要。
  退職金・企業年金債権の確定時期は原則として退職時である。退職前に
  は未だ具体的な債権として存在するものではないからである。(判例:
  ハクスイテック 大阪高平成13.8.30)
  従って、訴訟は債権が確定している退職者に関するものが一般的である。
  しかし、現役従業員に関して訴訟が起こされた事例もある。将来、法的
  紛争が顕在化することが現在の時点においても確実であり、しかも、多
  数の者の権利義務に影響を与える紛争においては「訴訟の利益」を肯定
  できるとしている。退職間近くの中高年従業員の不利益変更については、
  労使共に慎重な対応が必要であろう。(判例:大阪府精神薄弱者コロニー
  事業団 大阪地堺支平成7.7.12)
 *以上は内部積立型制度のケース
2.外部積立型企業年金の場合
 (1)外部積立型制度の分類(タイプによって判例法理の適用関係が異なる)
 ・基金型と契約型 
  基金型は実施主体が別法人(厚生年金基金、確定給付企業年金基金型)
  契約型は実施主体が事業主(適格年金、確定給付企業年金規約型、確定
  拠出年金企業型)
 ・内枠方式と外枠方式
  内枠型は企業年金が退職金額の一部となっている場合、外枠型は退職金
  額と企業年金から支給される金額とが別体系となっている。
 (2)法令上の規制とその意義
  企業年金の給付減額は事業主の経営不振と労使合意がなければならない。
  また制度終了や解散については、基本的に「労使合意」が必要である。
  しかし、この給付減額の要件と手続きは行政に対して、年金規約の認可
  ・承認を得て、税制優遇を受けるためのものに過ぎず、個々の従業員を
  拘束するものではない。企業年金は実質的には「労働条件」であるから、
  労働条件変更に関する判例法理(=「合理性」ルール)の適用があるべ
  きである。 この点で労働組合がチェックするという役割があるのでは
  ないか。
 (3)年金制度タイプ別にみる、労働条件変更に関する判例法理との関係
 ・契約型制度
  事業主が事業主体なので「労働条件」性があり、年金規約は就業規則の
  一部でもあるので、判例法理があてはまる。
 ・基金型制度
  基金規約は労働契約ではないので、「労働条件」とはいえない。就業規
  則や労働協約でもない基金規約がなぜ個々の従業員を拘束するかについ
  ては、明確ではなく、議論を要するところである。(労組法16条に相当
  する規定もない)しかし、実質的には労働条件性があり、判例法理の趣
  旨は生かせるのではないか。
〈労働条件変更法理の適用関係〉
 ・契約型制度――内枠方式では直接的にあり 外枠方式では直接的にあり
 ・基金型制度――内枠方式では間接的にあり 外枠方式ではないが類推適
  用すべき
※次回は「年金受給者についての不利益変更――いわゆる受給者減額」
 ◇◆◇


■NPOトピックス
1. マーケットトピックス
「景気連鎖しはじめた商品市況」
NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 5月の金融市場は米国の長期金利が低下した点を除き、ほぼ前月と同水準
で落ち着きました(5月26日時点)。その中で日本の株式市場も1ヵ月で5%
前後の上下変動と小幅な動きに終始しました。ところが、国際商品市況下落
が波紋を呼び、今後の景気の先行きにやや暗雲漂う要因が浮かび上がってき
ました。なお、為替は1ドル106円から108円前後のやや円安へと動きました。
 今回の注目点は、前月に続き世界的に景気の先行き不安が払拭できなかっ
たことでしょう。このことが前月にも少し触れたリスクの少ない安全資産
(債券等)へ資金が回ったと言うことになりそうです。最近の金融市場では、
株式の配当利回り(約1.3%)が長期金利(約1.25%)を上回ってきたとか、
債券の中でも債権回収の可能性が低いとされるジャンク債、最近では米国自
動車企業GMやフォードと言った会社もそれに近い格付けへと引き下げられ、
長期国債との差が開き始めた、と言った点などが指摘されています。すなわ
ち、景気の先行き懸念台頭が、より安全資産への資金還流を促し、一方で国
際商品や株式などのリスク商品を敬遠しているということなのでしょう。
 5月に入り新たな問題として浮上してきたのが、中国人民元の切り上げ観
測、米中の貿易不均衡、などです。5月中旬米国政府は中国の繊維製品に対
し、緊急輸入制限(セーフガード)措置を発動しました。EUでも同様の措置
が取られる可能性が大きいようです。ただ、今回のセーフガードは前述した
点に起因するのかもしれません。すなわち、米国や中国景気の調整感からく
る両国間の貿易不均衡、です。
 このように当面米中を中心とした景況感の改善スピードが注目されるので
はと考えます。5月を終え3月決算期の株式上場企業は、決算の開示を終了し
ました。集計結果はいずれ新聞等で掲載されることになるでしょうが、多く
の企業で過去最高益を計上しました。特に2004年度は基礎素材を供給する繊
維、化学、鉄鋼、非鉄、石油等の業界は活況を呈しました。ところが、前述
したように供給製品の市況が、今後は弱含むことも視野に入れなければなら
ず、企業経営者の2005年度先行き見通しについては慎重なスタンスで臨んで
いるとの印象でした。
〔なお、ここにお示ししました内容は、可能な限り信頼できる情報に基づき
記述しておりますが、誤解を生じる記述、筆者の理解の変化等ありましたら
後日訂正させて頂く事があります。また、この内容に基づき、証券等の投資
で損失を蒙られても責任は負いかねます。〕
 ◇◆◇

2. 年金トピックス 「「総合型」厚生年金基金の新たな枠組み」
 ―拡大する「総合型」年金制度のバリエーション―
    NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士・DCアドバイザー・AFP
                              植村昌機
 ◇◆◇
 同じ業種や地域の企業群が共同運営する「総合型」厚生年金基金は、「単
独・連合型」の厚生年金基金が代行返上等の制度再編を進行させている中、
財政難や意思決定の困難さから、再編が遅れている。最近、この「総合型」
のスキームを、新しい年金制度に応用して、「総合型」基金に導入する動き
が活発になってきている。加入企業は、制度の廃止が決まっている適格年金
の新たな受け皿としても注目している。
 本来、新年金制度の「総合型」は、金融機関が提供する1商品として、確
定拠出年金に導入され、ここ数年、発展してきた。しかし、金融機関主導の
スキームではなく、厚生年金基金などのプランスポンサーが運営する制度で、
対象は確定拠出年金だけに限られないのが、新たな「総合型」の枠組みだ。
 この「総合型」導入の目的は、コストの削減にある。企業や加入者が多数
参加する総合型は、スケールメリットを生かしてコストを削減できる。事務
作業も事務局に集約することによって、加入企業の負担は軽減される。さら
に、資産運用の面でも、資産規模が大きくなるため、金融機関に支払うコス
トも割安になる。確定拠出年金においては、運用商品を加入者のニーズにあっ
た商品を選びやすく、また信託報酬の低いファンドの提供を求めることもで
きる。(一般的に、金融機関の総合型プランは、商品の選択自由度が低く、
かつ信託報酬の水準が高い)一方で、費用や事務作業の合理的な負担方法な
どの壁もあるので、新たなノウハウの蓄積も必要である。
 公表されている事例を3パターン紹介する。
 (1)愛知県鉄工連合会厚生年金基金(厚生年金基金+確定給付企業年金+
確定拠出年金)
 既存の厚生年金基金とは別に、確定給付企業年金と確定拠出年金の二つの
制度を別個に立ち上げる。加入企業は制度の選択肢が増えるし、各制度加入
の割合や掛け金の設定が自由に出来ることになる。確定拠出年金の代表事業
主は企業年金基金が務め、投資教育や事務を行なう。確定給付企業年金の年
金資産は企業ごとの数理債務比で割り当て、個別に管理するので、倒産する
企業があっても、他企業に悪影響が及ばない。厚生年金基金の事務局が運営
管理機関の協力を得て、スタッフが制度設計の無料コンサルを実施している。
(2)日生協厚生年金基金(確定給付企業年金・キャッシュバランスプラン+
確定拠出年金)
 厚生年金基金を代行返上して、キャッシュバランスプランと確定拠出年金
を導入。60歳から受け取る年金は、5年、10年、20年の3コースの有期年金。
再評価率は10年国債の5年平均利回りで、1〜4.5%の間で毎年度変動する。
適格年金の受け皿となる制度を増やすため確定拠出年金を別途、導入する。
(3)島根県建設業協会厚生年金基金(確定拠出年金)
 厚生年金基金を加入事業所に追加負担なしで解散できる財政状態になった
ので、解散を決定。解散をしたものの、制度存続を望む事業所の声を受け、
受け皿となる制度として、確定拠出年金を選んだ。すでに200社を超える企
業が参加を決めている。厚生年金基金を残して、適格年金の受け皿として別
途、確定拠出年金を導入する事例もある(岡山県機械金属厚生年金基金)。
 ◇◆◇


■NPOアクティビティー
出版のお知らせ 「ハンドブック」残部僅少!!
 ◇◆◇
「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」
日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク共
編 2005年版(2004年年金改革対応) 平成16年10月31日発行
A4判・88頁・2色刷り・頒価1部1,000円(荷造り・送料実費を頂きます)
内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 → http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm

 昨年10月31日に発刊した、連合と当NPO共編「労働組合のための退職金
・企業年金制度移行対応ハンドブック2005年版」は、産別や単組の皆様の反
響を呼んで、ご注文が相次ぎ、1月に増刷を致しましたが、現在在庫が僅少
になっています。お早めにご注文ください。
 この4月から確定拠出年金や中退共への資産移換限度額の撤廃等規制緩和
が実施されたことから、中堅・中小企業の年金制度移行が加速すると予想さ
れます。会社から制度移行提案がなされた時点で、労組役員の皆様が、公的
年金から会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。
そのためには、年金制度の基本知識と制度移行に際して従業員サイドからの
留意点を労組役員の方々が共通に認識することが第一歩です。そこで、本書
をテキストや副読本として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。ま
た、加盟単組からのご相談があった際に、本書を参考にして対応されている
産別も見受けられるようになりました。
 本書のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら下記までご連絡をお願い申し上げます。
 NPO金融年金ネットワーク事務局
 メールアドレス:   電話:03-5444-0539
 ◇◆◇


■NPOデータ
確定拠出年金ファンドデータ  提供:(株)格付投資情報センター
 → http://kinyunenkin.jp/data/dc_data_200504.pdf
(PDFファイル 3キロバイト)
確定拠出年金向け投資信託の運用成績上位10位(2005年4月末基準)のデー
タを上記のURLでご紹介しています。
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●次号(15号)は7月1日に送信予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止/バックナンバー閲覧】
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【内容に関するご意見・ご感想】
本メールの送信アドレスは送信専用ですので、直接ご返信になることはでき
ません。 ご意見・ご感想等は、下記アドレスまでお願い致します。
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