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■■■■■■■ 金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン ■■■■■■■

第15号 2005年7月1日
NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
ホームページ http://kinyunenkin.jp/
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このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場から
退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している「NPO法
人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金ネットワー
ク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関する情報や意見交
換のスペースをご提供することを目的にしています。企画・編集には(株)格
付投資情報センターのご協力を頂いています。
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《目次》
●特集レポート
NPO金融年金ネットワーク主催「第8回テーマ別企業年金研究会」報告
「退職金・企業年金改革における法的問題」(第2回)
――労働条件の不利益変更と「受給者減額」に関する裁判例を中心に
(講師)成蹊大学法科大学院教授・弁護士 森戸英幸氏
●NPOトピックス
1. マーケットトピックス 「依然不透明な経済情勢」
2. 年金トピックス「INGプリンシパル・ペンションズが運営管理業務から撤
  退」
●NPOアクティビティー
出版のお知らせ
 増刷出来!!「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブッ
 ク 2005年版」
●NPOデータ
(株)格付投資情報センター提供 確定拠出年金ファンドデータ
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■特集レポート
NPO金融年金ネットワーク主催「第8回テーマ別企業年金研究会」報告
「退職金・企業年金改革における法的問題」(第2回)
――労働条件の不利益変更と「受給者減額」に関する裁判例を中心に
(講師)成蹊大学法科大学院教授・弁護士 森戸英幸氏
(レポート)NPO金融年金ネットワーク 植村昌機
 ◇◆◇
I. 現役従業員についての不利益変更
 (第1回分は前号をご覧ください)
 → http://kinyunenkin.jp/mailmaga/maga200506.htm
II. 年金受給者ついての不利益変更――いわゆる受給者減額
1.自社年金の場合
 規約・契約に減額の根拠があるかどうか。規約・解約の解釈にかかってい
 る。
(1)判例:幸福銀行(年金減額事件)・大阪地判平成10.4.13
〈事案の概要〉
 被告銀行の自社年金では、規定額以上の上積み支給(規定額の3倍)をし
 ていたが、支給額を規定通りまで減額したため、これを不服とした受給者
 が提訴。受給者に通知される「年金通知書」には「経済情勢等の著しい変
 動や銀行の都合により改定する」と明記あり。
〈判旨〉
 ・訂正変更条項の意義――受給者は訂正変更条項を認識した上で年金の受
  給を開始している。上積み支給部分は退職金規程上支払義務がなく恩恵
  給付的性格が強く、訂正変更条項は有効と言える。
 ・減額の有効要件――被告銀行は2年連続して損失を計上するなど経営不
  振に陥り、また年金受給者の増加により、支払額が急増し経営を圧迫。
  こうした事情から「本減額措置には、一定の合理性及び必要性が認めら
  れ、また、大多数の受給者が減額に異議を述べていないことから、当減
  額措置が権利の乱用にあたらないとしている。
〈本件の特殊性〉規定の3倍の金額を支給していた
〈労働条件変更法理との関係〉合理性、必要性、同意性が認められる

(2)幸福銀行(年金打切り)事件・大阪地判平成12.12.20
〈事案の概要〉
 金融再生法の適用を受けることになった被告銀行が自社年金を完全に打
 ち切ることを決定したため、受給者から提訴。
〈判旨〉
 ・年金制度の解約権――退職金規程に規定されている改訂権は、あくまで
  規程の改訂権であり、その適用を受ける在職者に対する関係で退職年金
  規程を改訂する権限である。退職者が支給要件を満たしたことによって
  取得した年金受給権を個別に解約する権利を留保するものではない。
 ・事情変更の原則――原告の退職年金請求権は、すでに支給要件を満たし
  た確定的に発生した金銭債権であり、被告銀行の裁量によって、支給の
  有無や支給額を左右することはできない。これに事情変更の原則を適用
  できる場合があるとしても、少なくとも通常の金銭債権に対するのと同
  様の保護が与えられるべきである。また、経済情勢の変動があったとし
  ても、被告銀行が支給原資を社内留保するなど対策を講じてこなかった
  という経営判断の過誤によるほかなく、バブル崩壊があったとしても、
  それらが事情変更の原則による事情の変更に該当するとはいえない。
〈本件の特殊性〉金融再生法の適用企業の事例
〈(1)の判決との比較〉同じ企業内の制度事例ながら、(1)の判例では企業に
 年金制度を変更する権利は認めるが、(2)の判例では認めていない。すな
 わち、改訂権は認めるが、打切り権までは認められない。
〈事情変更の原則〉契約締結時の当事者が予見しえない事情変更/当事者の
 責めに帰すべからざる事由に基づく/契約どおりの履行を強制することが
 信義則に反する/企業には新しい事情の下で契約内容変更についての再交
 渉をする義務がある。
※次回は松下電器産業(福祉年金事件)の判例をご紹介します。
 ◇◆◇


■NPOトピックス
1. マーケットトピックス
「依然不透明な経済情勢」
NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 6月の金融市場は前月と比較して日本の株式は5%前後上昇したものの、長
期金利が日米共にほぼ横ばい、米国株式も横ばいかやや下落となりました
(6/24現在)。ところが、前月下落した商品市況は原油や銅・ニッケルなど
のベースメタルが上昇し、代表的なCRB指数(原油、金、非鉄、穀物等一次
産品17品目の合成指数)は310ポイントを超え、過去最高だった第2次石油危
機当時1980年11月の337ポイントに近い水準となりました。為替は109円/ド
ル前後となり、前月の107円からは円安に向かいました。
 世界的に景気の先行き不安が払拭できないとこれまでの見方をお示しして
きましたが、一部には金余り現象が様々な商品(例えば原油)を投資対象とし
ているのも現実のようです。この背景には世界経済を牽引するBRICsと称す
る成長国の需要が伸びていることがありますが、一方で現在の市況水準は行
き過ぎとの見方もあります。このため最近では、中国を主にアジア経済の減
速とオイルショックの可能性を示唆、警鐘するエコノミストも出始めました。
 ところで、今月は上場企業の2004年度決算状況と2005〜2006年度の見通し
について触れることにします。2004年度の経常利益は全産業で前年度比20〜
25%の増益となりました(幅は集計対象範囲の違いによる)。この中で製造
業は21〜24%、非製造業(金融除く)は25〜26%、各々増益と大きな差はあ
りませんが、製造業をさらに分解すると素材で70%前後、加工で10%前後の
増益と鉄鋼、非鉄、化学、繊維等の素材企業が大きく収益を拡大しました。
他に商社、運輸も貢献が大きかったと言えます。2005〜2006年度については
10%前後の増益が続くと見込まれています。2005年度は引き続き素材企業が、
2006年度は自動車や電機・精密の各企業が牽引していくと言う見方です。と
ころで注目される上場企業が得た利潤の配分ですが、利潤の約40%を配当や
自社株買いと言った株主還元に充てました。金額にして配当が3兆円弱、自
社株買いが2兆円前後となった模様で、配当は前年度比25%程度増加しまし
た。
 最後に6月末は大半の企業で株主総会が開催されましたが、今回の話題の
一つは買収防衛策の是非でした。東証一部上場企業でも100社超の情報開示
がありましたが、新株予約権の発行、定款変更による株式発行枠拡大、取締
役の定数削減等が太宗を占めました。ただ、一部企業では株式発行枠拡大に
ついては、企業買収を逆に困難にする不当な定款変更として、否決された企
業も散見され、今後は株主の存在意義が過去にも増して高まることになりそ
うです。
〔なお、ここにお示ししました内容は、可能な限り信頼できる情報に基づき
記述しておりますが、誤解を生じる記述、筆者の理解の変化等ありましたら
後日訂正させて頂く事があります。また、この内容に基づき、証券等の投資
で損失を蒙られても責任は負いかねます。〕
 ◇◆◇

2. 年金トピックス
「INGプリンシパル・ペンションズが運営管理業務から撤退」
 ―生き残り競争のツケを払わせられるのは、加入者と企業―
    NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士・DCアドバイザー・AFP
                              植村昌機
 ◇◆◇
 確定拠出年金の運営管理業務受託に関して、大手金融機関5社が加入者ベー
スで8割(100人)を占め、寡占状態となっている。一方、中小の金融機関は
苦戦を強いられ、撤退するところが出てきた。運営管理業務は最低でも数万
人規模の加入者がいないと採算が合わないとされ、INGプリンシパル・ペン
ションズや新光証券などが撤退を表明、生き残り競争が激しさを増している。
厚生労働省に運営管理機関として登録している企業は700社あるが、このう
ち実際に業務を受託しているのは100社に満たない。
 INGプリンシパル・ペンションズは撤退を表明し、5月の株主総会で解散の
方針を決議した。設立後5年での撤退となり、既存の顧客については、希望
に応じて日本生命が引き継ぐことになっている。同社グループは米国を軸に
世界各国で確定拠出年金業務を展開する大手受託機関だが、日本では中小企
業向けの低コストを売り物にしたサービスを展開していた。記録管理業務を
含めた包括サービスを提供する「バンドル型」の運営管理機関で、受託件数
は70件を超えていた。承認された規約数では業界では上位だったが、中小企
業向けのために、加入者が少なく行き詰ったようだ。中小企業には今後、適
格年金の受け皿として、確定拠出年金の導入が増加すると予想されるだけに、
見切りが早すぎる感がある。
 撤退の正式決定は5月下旬だが、この半年ぐらい前から撤退案が浮上して
いたと聞く。しかし、この3月に当NPOに、静岡県の企業の労組から「会社か
らINGプリンシパルを運営管理機関にしたいという提案があるがどうだろう
か」という相談を受けた。「外資は撤退リスクがある。年金制度は超長期に
わたる制度であるから外資企業を選択するには慎重にしたほうがよい」と回
答したが、結局、労組の主張は受け入れられず、会社に押し切られて導入し
た結果、5月に入って撤退ということになった。直前まで営業していたのに、
突然の撤退とはひどい話である。既存契約分は顧客の意向を聞いて日本生命
に移管することになっている。日本生命は100人未満の企業向け総合型規約
への移管を進めるようである。
 今回の件で、運営管理機関の存立基盤は危ういことが明確になった。生き
残るのは上位4〜5社で、中堅以下のところは厳しい局面が続きそうだ。こう
した生き残り戦争のツケを払うのは企業と加入者だ。採用した運営管理機関
が撤退した場合に、導入した会社は契約先を選び直さなくてはならず、加入
者は運用商品の現金化を迫られる。商品によっては中途解約で、元本割れす
るものもある。企業が運営管理機関を選ぶ際は、コストやサービス内容だけ
でなく、確定拠出ビジネスに対する決意や覚悟までも見極めて、労使協議を
つくして、慎重に行う必要がある。また、導入後も業務運営に対する評価を
きびしく行うことも、制度の健全な運営に不可欠である。
 ◇◆◇


■NPOアクティビティー
出版のお知らせ 「ハンドブック」増刷出来!!
 ◇◆◇
「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」
日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク共
編 2005年版(2004年年金改革対応) 平成16年10月31日発行
A4判・88頁・2色刷り・頒価1部1,000円(荷造り・送料実費を頂きます)
内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 → http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm

 昨年10月31日に発刊した、連合と当NPO共編「労働組合のための退職金
・企業年金制度移行対応ハンドブック2005年版」は、産別や単組の皆様の反
響を呼んで、ご注文が相次ぎ、1月に増刷を致しました。しかし、在庫僅少
となったため、6月に再度、増刷致しました。
 この4月から確定拠出年金や中退共への資産移換限度額の撤廃等規制緩和
が実施されたことから、中堅・中小企業の年金制度移行が加速すると予想さ
れます。会社から制度移行提案がなされた時点で、労組役員の皆様が、公的
年金から会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。
そのためには、年金制度の基本知識と制度移行に際して従業員サイドからの
留意点を労組役員の方々が共通に認識することが第一歩です。そこで、本書
をテキストや副読本として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。ま
た、加盟単組からのご相談があった際に、本書を参考にして対応されている
産別も見受けられるようになりました。
 本書のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら下記までご連絡をお願い申し上げます。
 NPO金融年金ネットワーク事務局
 メールアドレス:   電話:03-5444-0539
 ◇◆◇


■NPOデータ
確定拠出年金ファンドデータ  提供:(株)格付投資情報センター
 → http://kinyunenkin.jp/data/dc_data_200505.pdf
(PDFファイル 3キロバイト)
確定拠出年金向け投資信託の運用成績上位10位(2005年5月末基準)のデー
タを上記のURLでご紹介しています。
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●次号(16号)は8月1日に送信予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止/バックナンバー閲覧】
 → http://kinyunenkin.jp/08mailmaga.htm
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