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■■■■■■■ 金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン ■■■■■■■

第16号 2005年8月1日
NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
ホームページ http://kinyunenkin.jp/
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このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場から
退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している「NPO法
人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金ネットワー
ク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関する情報や意見交
換のスペースをご提供することを目的にしています。企画・編集には(株)格
付投資情報センターのご協力を頂いています。
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《目次》
●特集レポート
NPO金融年金ネットワーク主催「第8回テーマ別企業年金研究会」報告
「退職金・企業年金改革における法的問題」(第3回)
――労働条件の不利益変更と「受給者減額」に関する裁判例を中心に
(講師)成蹊大学法科大学院教授・弁護士 森戸英幸氏
●NPOトピックス
1. マーケットトピックス 「動き始めるか通貨調整」
2. 年金トピックス「日本経団連が、中退共からの資産移換や確定拠出拡充
  等、規制緩和を要望」
●NPOアクティビティー
1. 「確定拠出年金制度の導入と運用実績への対応」セミナーのご提案
2. 出版のお知らせ
  増刷出来!!「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブッ
  ク 2005年版」
●NPOデータ
(株)格付投資情報センター提供 確定拠出年金ファンドデータ
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■特集レポート
NPO金融年金ネットワーク主催「第8回テーマ別企業年金研究会」報告
「退職金・企業年金改革における法的問題」(第3回)
――労働条件の不利益変更と「受給者減額」に関する裁判例を中心に
(講師)成蹊大学法科大学院教授・弁護士 森戸英幸氏
(レポート)NPO金融年金ネットワーク 植村昌機
 ◇◆◇
I. 現役従業員についての不利益変更
 (第14号をご覧ください)
 → http://kinyunenkin.jp/mailmaga/maga200506.htm
II. 年金受給者ついての不利益変更――いわゆる受給者減額
1.自社年金の場合
 ((1)(2)は第15号をご覧ください)
 → http://kinyunenkin.jp/mailmaga/maga200507.htm
(3)松下電器産業(福祉年金)事件・大津地判平成16.12.6
〈事案の概要〉
 被告会社の福祉年金は一定の資格を満たす退職者が退職金の一部を会社に
 年金原資として残し、会社が一定の給付利率で運用して、受給者に一定期
 間年金給付を行なう制度。この制度を会社は退職金・年金制度の抜本改革
 の一環として廃止し、厚生年金基金の第二加算をキャッシュバランスプラ
 ンとして導入した。福祉年金制度の廃止に併せ、受給者の給付利率を一律
 2%(従来は9.5〜7.5%)引き下げて年金計算をすることを決定。この結
 果、年金額が約20万円減額になるとして、原告受給者が改訂前の給付利率
 での年金支給を求めて提訴。年金規程23条1項には「経済変動、法制度な
 どに大きな変動があった場合は、規程の変更、廃止を行なう」という規定
 があった。被告会社が年金規程を受給者等に周知する体制をとっていたが、
 書面で交付しなかったということも争点であったが、予め規程の内容は受
 給者において、認識しうる状態にあったとして、年金規程に受給者は拘束
 されるとした。この点を争点に原告が控訴している。
〈判旨〉
 ・年金契約の性質――年金規程が福祉年金制度の規律として合理性を有し
  ている限り、原告らにおいて、年金規程の具体的内容を知っていたか否
  かにかかわらず、年金規程によらない旨の特段の合意をしない限り、年
  金規程に従うとの意志で年金契約を締結するのが相当であり、その契約
  内容は年金規程に拘束される。(大審院大正4.12.24第1民事部判決 保
  険約款の判決が根拠になっている)
 ・年金規程を了承した上で受給を申し込む旨記載された受給申込書や年金
  証書の交付、セミナーの開催や年金規程の社内備え置きなど、年金規程
  の内容は、原告を含む受給申込者において、予め認識しうる状態と認め
  られる。従って、原告は年金規程の存在を知り、これに従うとの意思を
  持って、年金受給申し込み手続きを行い、契約を締結したと認められ、
  その契約内容は、年金規程に拘束される。
 ・被告企業が年金契約の締結に先立ち、契約内容となるべき年金規程を書
  面として申込者に交付しなかったとしても、予め年金規程の内容を知り
  得る機会や手段が確保されていれば、年金規程の書面を現実に交付しな
  ければ、契約内容を年金規程によらしめることができないとはいえない。
 ・規程23条1項の解釈――加入者に極めて有利な長期的、継続的な給付と
  いう本件年金制度の性質やその支給にかかる被告企業の負担に鑑み、経
  済情勢等の変動によって、被告自身の業績等が、当初に予測よりも著し
  く悪化した場合は、この年金制度が破綻する恐れがあるため、各加入者
  の同意の有無にかかわりなく、合理的裁量の範囲内で、年金規程の内容
  を改定し、各加入者との間の年金契約の内容を一律に変更することを許
  容しているものと解される。
 ・規程23条1項の要件該当性――被告企業は、平成13年度に巨額の最終赤
  字を計上し株主への配当も減配を余儀なくされ、上場以来最も危機的な
  経営状態に陥った。年金受給者への年金額の推計結果を勘案すると、本
  件改定前の給付利率による年金支給を継続すれば、本件年金制度は破綻
  する恐れがあると推認される。従って、本件改定当時、23条1項にいう
  大きな経済変動があった場合と解することができる。
 ・本件改定の必要性及び相当性
  本件改定が適法、有効であると認められるためには、給付利率を一律2
  %引き下げるという改定が合理的であり、必要性及び相当性があるとい
  うことが必要である。
 a. 改定の必要性
 ・現役従業員にキャッシュバランスプランが導入され、年3.5%の給付利
  率で年金支給が開始されており、本件年金制度加入者と大きな格差が生
  じていた上、社会一般から容認しがたい程度の高い給付水準になってい
  た。現役従業員に対する年金制度とのバランスや被告の株式会社として
  の社会的立場に鑑み、給付利率を一律2%引き下げる必要があったと認
  められる。
 b. 改定の相当性
 ・改定後の給付利率は、年8%ないし5.5%であり、世間一般より相当高い
  水準となっている。また、加入者全体の95%がすでに改定に同意してい
  る。
 ・新年金額で原告らが受給する年金額は、718万円、570万円等で、原告の
  生活に深刻な影響を与えるものではない。
 ・加入者に対し改定の趣旨を記した書面の交付、説明会の実施等を行い、
  また、現行利率による年金(半年分)を支給する等の経過措置を設けて
  いる。
 ・被告企業は予め、給付利率の引き下げの趣旨やその内容等を説明し、意
  見を聴取するなど相当の手続きを経ているので、給付利率2%引き下げ
  る相当性があったと認められる。
〈本判決の意義〉
 ・年金規程に減額の根拠となる規程があるかどうかをみた上で、減額に必
  要性、相当性、合意性の存在をチェックする。労働法上の判例法理の判
  断基準と同じ枠組みとも考えられる。しかし、受給者は雇用関係がない
  ので、判断基準は厳格であるべきである。
 ・現役従業員と受給者とのバランスを考慮する。
 ・説明、協議などの手続き面での慎重な対応が必要である。
※次回は外部積立型の場合を掲載します。
 ◇◆◇


■NPOトピックス
1. マーケットトピックス
「動き始めるか通貨調整」
NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 7月の金融市場は前月と比較して比較的落ち着いた動きでした。ただ、21
日夜に中国政府が人民元の切り上げを発表し、この影響により為替は波乱含
みとなりました。株式は日米共に前月末比1.0〜3.0%程度の上昇、債券も同
様で日米共に利回りが上昇しました。為替は111円/ドル前後へと直近の113
円から円高に向かいましたが、前月末の110円からはやや円安に向かいまし
た。
 今月大きな話題となったのが中国人民元の引き上げでした。短期的には中
国元高に連動する格好での円高・ドル安、中国経済の鈍化、中国に進出した
日本企業への波及、等への影響が予想されています。現在のところ、元切り
上げ幅が小さいことから、大きな混乱はないと見るのが一般的のようです。
ただ、今回の中国の決断は、中長期的な元高の流れのスタートラインに立っ
たとの見方もあり、日本企業がこれまで『生産拠点』としていた中国進出の
意味合いが薄れるとの指摘もあります。
 元切り上げ発表のタイミングは、中国が主導権を取りたいという意向が働
いたと見られています。すなわち、前日に示された中国4〜6月期GDPの前年
同期比9.5%増、消費者物価の安定、貿易黒字の拡大、等の指標が、米国か
らの政治的圧力を事前に回避したい意図があったのではと推測されています。
まだ米中間の思惑にはズレもあることから、追加切り上げはあるとの見方が
一般的です。今後の動向にも注目されます。
 さて、中国人民元の切り上げが現実化し、残された懸念材料は原油を代表
とした商品市況の高騰がもたらす原燃料コスト高継続、エネルギー消費効率
改善の遅れ、政策的には、中国の引き締め政策、米国経済の悪化、円安から
円高への反転、国内事情としては長期金利の上昇に加え、郵政民営化法案を
めぐる政局、等が日本の金融市場へのリスク要因として考えられています。
 これまで株高、円高、金利高と年初からお話して来ましたが、現時点では
株式、金利は年初比ほぼ横這い、為替は円安へ、と為替については方向感が
異なっています。今後内需主導型の日本景気浮揚持続、インカム重視の高利
回りファンドとは言え、個人資金がリスク資産への流れの変化、等無視でき
ない好事情も残されていると見ています。
〔なお、ここにお示ししました内容は、可能な限り信頼できる情報に基づき
記述しておりますが、誤解を生じる記述、筆者の理解の変化等ありましたら
後日訂正させて頂く事があります。また、この内容に基づき、証券等の投資
で損失を蒙られても責任は負いかねます。〕
 ◇◆◇

2. 年金トピックス
「日本経団連が、中退共からの資産移換や確定拠出拡充等、規制改革を要望」
    NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士・DCアドバイザー・AFP
                              植村昌機
 ◇◆◇
 日本経団連は、年末の予算編成や税制改正の論議に向けて、企業年金分野
での政府への規制改革要望書を作成、公表した。確定拠出年金においては、
拠出限度額の引き上げ、掛け金の本人拠出(マッチング拠出)の容認等、昨
年に引き続き明記、さらに下記のように新規の要望を追加した。今後の企業
年金に関する規制緩和の論点を提供することになりそうだ。
〈確定拠出年金制度に関する新規要望項目〉
(1)確定拠出年金における加入者資格喪失年齢の見直し
  現状では、企業型年金及び個人型年金の加入者は、全員60歳に到達した
  日に加入者資格を喪失する。公的年金支給開始年齢の引き上げや、高年
  齢雇用安定法の改正等に伴う60歳以降の就労機会拡大等の環境変化を踏
  まえ、加入者資格喪失年齢についても労使合意に基づく柔軟な設定を可
  能にすべきとしている。処遇面で60歳前との連続性を維持しつつ定年延
  長を行うような場合は、確定拠出年金の掛け金拠出のみが60歳時点で打
  ち切られることになり、バランスを失した対応とならざるを得ない。
  (根拠法令:確定拠出年金法第11条、第62条)
(2)中小企業退職金共済制度から確定拠出年金への移行の容認
  中小企業退職金共済制度の解約手当金を被共済者に返還せず、移換でき
  る対象に確定拠出年金も加えるべきである。確定拠出年金の導入状況を
  みても適格年金からの資産移換が2005年2月末で50%を超えており、中小
  企業退職金共済契約からの移換が可能になればさらに確定拠出年金の導
  入は促進される。(根拠法令:確定拠出年金法第54条、中退共法:第8条、
  第17条)
(3)確定拠出年金の掛け金拠出時期の弾力化
  事業主は、毎月の事業主掛け金を翌月末日までに拠出しなければならな
  いが、事情があって掛け金が納付できない場合は、給与所得で支払われ
  ることになり、課税されることから加入者の手取額が減少してしまう。
  特段の事情があった場合は、労使の合意があれば、次回に2ヶ月分を納付
  できるなど遡及して拠出できるよう弾力的な運用とすべきである。確定
  給付企業年金、厚生年金基金では遡って修正ができることになっている。
  (根拠法令:確定拠出年金法第21条)
(4)確定拠出年金における投資信託償還時の取り扱いの明記
  運営管理機関等が、提示運用方法から運用の方法を除外しようとすると
  きは、当該除外しようとする運用の方法を選択して運用の指図を行って
  いる加入者等の同意を得ることとされている。運用の方法として投資信
  託が提示されている場合に、当該投資信託が「投信法」に基づき償還さ
  れる場合、当該償還については運営管理機関等の意思に基づいたものと
  は認められないことから、運用の方法の除外には該当しないこと、また、
  当該投資信託に運用の指図を行っている加入者等の同意取得は不要であ
  ることを省令等で明記すべきである。(根拠法令:確定拠出年金法第26
  条)
 ◇◆◇


■NPOアクティビティー
1.「確定拠出年金制度の導入と運用実績への対応」セミナーのご提案
 ◇◆◇
 確定拠出年金制度が2002年10月に導入されて3年が経過しようとしていま
す。制度には、5月末現在、1,453規約、4,619事業所、125万人が加入してい
ます。
 確定拠出年金は個人個人の運用成績によって、将来受け取る退職金・年金
の原資に差のつく制度で、導入企業に対して、法律は一定の「投資教育」を
する義務を課しています。しかし、何をどう教育すればよいのか、手に付か
ないケースも少なくないのが実情です。運用対象商品の選択から制度導入後
も含めた「投資教育」を労使で共通の場を設けて協力して、継続して運営し
ていく体制の構築が不可欠と思われます。
 制度の正しい運営に向けて、理解を深め、正しい知識の習得と考える機会
として、このセミナーの実施をご提案致します。
(1)標準プログラム
〈半日コース〉(3時間)
 確定拠出年金制度と運用の考え方……90分
 先行事例紹介(導入企業の労組1〜2例)……発表1社20分
 質疑・討論とまとめ……50分
〈2時間コース〉
 確定拠出年金制度と運用の考え方……90分(事例紹介を含む)
 質疑・応答……30分
(2)個別テーマプログラム(標準プログラムに加えて、下記の個別テーマに
よるセミナーの実施をお勧めします。)
 a. 正しい「投資」の理解(リスクとリターン、ポートフォリオ、分散投
  資、リスクの測定等)
 b. 「投資信託商品」の種類と商品特性――運用の仕組みとパフォーマン
  ス、投資信託の運用と評価
 c. 「市場メカニズム」と「金融商品」について――金利・株価・為替
  ・景気
 d. 確定拠出年金「運用計算書・報告書」の見方
 e. ライフプランの計画とフォローアップ
※このセミナーに関するお問い合わせはNPO金融年金ネットワーク事務局ま
 で。
 メールアドレス:   電話:03-5444-0539
 ◇◆◇

2. 出版のお知らせ 「ハンドブック」増刷出来!!
 ◇◆◇
「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」
日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク共
編 2005年版(2004年年金改革対応) 平成16年10月31日発行
A4判・88頁・2色刷り・頒価1部1,000円(荷造り・送料実費を頂きます)
内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 → http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm

 昨年10月31日に発刊した、連合と当NPO共編「労働組合のための退職金
・企業年金制度移行対応ハンドブック2005年版」は、産別や単組の皆様の反
響を呼んで、ご注文が相次ぎ、1月に増刷を致しました。しかし、在庫僅少
となったため、6月に再度、増刷致しました。
 この4月から確定拠出年金や中退共への資産移換限度額の撤廃等規制緩和
が実施されたことから、中堅・中小企業の年金制度移行が加速すると予想さ
れます。会社から制度移行提案がなされた時点で、労組役員の皆様が、公的
年金から会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。
そのためには、年金制度の基本知識と制度移行に際して従業員サイドからの
留意点を労組役員の方々が共通に認識することが第一歩です。そこで、本書
をテキストや副読本として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。ま
た、加盟単組からのご相談があった際に、本書を参考にして対応されている
産別も見受けられるようになりました。
 本書のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら下記までご連絡をお願い申し上げます。
 NPO金融年金ネットワーク事務局
 メールアドレス:   電話:03-5444-0539
 ◇◆◇


■NPOデータ
確定拠出年金ファンドデータ  提供:(株)格付投資情報センター
 → http://kinyunenkin.jp/data/dc_data_200506.pdf
(PDFファイル 3キロバイト)
確定拠出年金向け投資信託の運用成績上位10位(2005年6月末基準)のデー
タを上記のURLでご紹介しています。
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●次号(17号)は9月1日に送信予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止/バックナンバー閲覧】
 → http://kinyunenkin.jp/08mailmaga.htm
【内容に関するご意見・ご感想】
本メールの送信アドレスは送信専用ですので、直接ご返信になることはでき
ません。ご意見・ご感想等は、下記アドレスまでお願い致します。
 → 
※禁・無断転載 このメールマガジンの著作権は上記発行者に帰属します。


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