ホームへ メールマガジン登録


■■■■■■■ 金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン ■■■■■■■

第19号 2005年11月1日
NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
ホームページ http://kinyunenkin.jp/
――――――――――――――――――――――――――――――――――
このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場から
退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している「NPO法
人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金ネットワー
ク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関する情報や意見交
換のスペースをご提供することを目的にしています。企画・編集には(株)格
付投資情報センターのご協力を頂いています。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
《目次》
●特集レポート
「企業年金コンサルティングの現場から」(2)
●NPOトピックス
1. マーケットトピックス「ダイナミックな資金の流れ一服」
2. 年金トピックス「企業年金の給付減額訴訟、相次ぐ」
●NPOアクティビティー
1. 第9回テーマ別企業年金研究会開催のお知らせ
「確定拠出年金制度の運用実態に労働組合はどう対応すべきか」
2. 出版のお知らせ
  「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック 2005
   年版」
●NPOデータ
(株)格付投資情報センター提供 確定拠出年金ファンドデータ
――――――――――――――――――――――――――――――――――

■特集レポート
「企業年金コンサルティングの現場から」(2)
(株)格付投資情報センター投資評価本部
  年金事業部副部長 チーフアナリスト 坂井信夫
 ◇◆◇
 運用機関に対して中立的立場で年金基金などの運用委託者に行う最も基本
的な情報提供は、運用結果の分析・評価(いわゆる定量評価分析)というも
のである。今回はその中のベンチマーク比較というものをご紹介したい。
 衆院解散後に国内株式が大きく上昇したことをうけ、4―9月では20%超の
水準となっている。そのため信託銀行の運用実績は10%をはるかに超えてい
ると思われ、基金財政にとってはなかなかの追い風であるといえる。
 ところで、国内株式が20%上昇したという事実は、果たして年金運用にど
れほどの収益をもたらしうるかといえば、それは「複合ベンチマーク」と呼
ばれる数値で類推することができる。確定給付年金の資産運用は国内外の株
式と債券に分散投資するのが一般的で、各資産それぞれの成果は、市場の平
均収益率を示す指数の騰落率(世間では国内株式の「日経平均株価」などは
ポピュラーであろう。)を上回るかどうかが最も注目される点である。運用
機関も資産ごとの運用では指数の騰落率をベンチマークとし、これを上回る
ことを一つの目標としている。例えば、基金が資産の30%を国内株式に、70
%を国内債券に投資し、国内株式のベンチマークの上昇率が20%、国内債券
のベンチマークの上昇率が1%だったとすると、30%×20%=6%+70%×1
%=0.7%で合計値6.7%が複合ベンチマークということになる。そしてこの
数値が、この基金にとって期待できる収益率ということになる。つまり、複
合ベンチマークとは、資産ごとのベンチマークの騰落率を資産配分比率で加
重したものである。
 確定給付年金には予定利率という、制度運営に不可欠な運用目標があるの
だが、複合ベンチマークと予定利率を比較することで、今年の運用環境が恵
まれたものであるのか否かを判断することができる。
 また、実際の稼ぎが年5%、予定利率が年4%という年金プランがあったと
する。この年金プランにとって、5%という運用実績は及第点の結果と言え
るかもしれないが、もし年6%の「複合ベンチマーク」と比較すれば、5%とい
う稼ぎの印象はやや違ったものに感じられるのではないだろうか。
 以上の例から複合ベンチマークは運用評価のための客観的「モノサシ」だ
といえよう。モノサシとの相対比較で優劣を認識することは運用評価の基本
の一つであり、委託者が運用の巧拙を判断する第一歩なのである。
 ◇◆◇


■NPOトピックス
1. マーケットトピックス
「ダイナミックな資金の流れ一服」
NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 10月の金融市場は、過去数ヵ月とは異なり、やや弱い動きとなりました。
10月25日現在、世界の株式は前月末比2〜5%下落、とりわけ欧州株式の下落
が大きくなりました。長期金利は日米ともにほぼ横這いの各々1.5%、4.4%
前後での推移となり、為替は115円台/ドルと前月末比さらに円安が進行し
ました。
 『踊り場脱却』論議から日本金融市場への人気が続いていましたが、10月
に入ってやや一服感がでています。外国人投資家の間では投資意欲がやや衰
え、調整局面と見る向きがあれば、依然日本株式の保有比率が少ないと見な
されることなどもあって、強弱感は拮抗していると見られています。
 ところで今月は為替の現状について金融市場の考え方をお示ししたいと思
います。年初以降、日本の金利高、株高が進行するなかで、為替は円安へと
方向性の違いが見られています。その理由として、(1)内外金利差、(2)日本
の貿易黒字縮小、(3)日本からの海外証券投資の拡大、などが指摘されてい
ます。
 具体的には、(1)の内外金利差は海外債券投資の魅力を引き出し、(2)では
貿易黒字の縮小がドル売り(円への転換;ドル売り円買い)抑制に、(3)で
は投資信託を通じて、利配収入の高い海外の債券投資やインド、南アフリカ
などの新興市場向け株式投資に向かっています。これは、投資家のリスク許
容度が高まっていることにも支えられていると考えられます。円安・ドル高
の流れは、日本景気の回復が期待され始めた夏以降加速している点で、今後
の動向についてもより金融関係者の関心は高いものがあります。
 証券調査機関によると、日本が米国債券投資の一方で、米国から日本への
株式投資で高水準な資金流入があったとも推察されています。加えて、最近
は英国、カリブ海地域(ケイマン諸島、バハマ、バミューダ諸島、など)か
らの資金流出入も顕著に見られているようです。今後、米国からの資金流入
が細るとの指摘や日本から米国への資金流出の減速見通しからは、引き続き
円安方向に進む可能性が高そうです。こうした動きは、米国でも同様な現象
が出ており、英国からの資金流入急増が見られているようです。ちなみに、
カリブ海域諸島は米国以外の国の投資家を対象とするヘッジファンドの代表
的な所在地ですが、英国を含めて、最終投資家の特定は不可能とされていま
す。
〔なお、ここにお示ししました内容は、可能な限り信頼できる情報に基づき
記述しておりますが、誤解を生じる記述、筆者の理解の変化等ありましたら
後日訂正させて頂く事があります。また、この内容に基づき、証券等の投資
で損失を蒙られても責任は負いかねます。〕
 ◇◆◇

2. 年金トピックス
「企業年金の給付減額訴訟、相次ぐ」
    NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士・DCアドバイザー・AFP
                              植村昌機
 ◇◆◇
 年金給付の減額をめぐっては、松下電器産業、NTT、TBS、りそな銀行、早
稲田大学などで、受給者らが会社側を提訴しており、判決が出始めている。
〈松下電器産業のケース〉
 松下電器産業の福祉年金をめぐる訴訟の判決が2005年9月26日大阪地裁で
あった。給付利率7.5%〜10%を一律2%引き下げるという会社提案に対して、
受給者が減額前の年金額の支払を求めて、会社側を提訴していた。この判決
は「経済情勢から利率改定には強い必要性が認められる」などの理由で、原
告の請求を棄却している。ただちに、原告側は大阪高裁に控訴を表明、すで
に同様の理由によって大津地裁で敗れた原告が大阪高裁に控訴し、争う構え
を崩していない(大津地裁の判決は本誌16号で詳しく紹介)。経済情勢等の
「事情変更の原則」に基づく減額に関して、受給者側は、会社の経営状態は
良好であり、契約時と減額まで間に著しい事情の変更はないと反論していた。
〈NTTのケース〉
 松下電器産業の場合は税制優遇制度のない自社年金だが、法令で明確なルー
ルが定められている企業年金で給付減額の事前差し止めを求めた判決が出て
いる。2004年9月、約300人の受給者がNTTを訴えた事例である。適格年金か
ら確定給付企業年金への移行に伴い、給付水準の引き下げを計画したNTTや
NTT東日本など5社に対し、国への承認申請をしないよう東京地裁に訴えた。
東京地裁は9月8日、事前差し止めを認めず、原告側の請求の棄却、却下とい
う判決を言い渡した。NTTは2004年4月、従来の適格年金をグループ各社が加
入する規約型の確定給付企業年金に移行。市場金利に連動するキャッシュバ
ランスプランに給付設計を変更したが、この見直しに伴い加入者の給付水準
が低下し、受給者についても2005年度から給付水準を下げる計画を進めてい
た。判決は、減額申請の差し止めについては認めなかったものの「法令に違
反すると考えるのであれば、承認の取り消しを求める行政訴訟を提起すれば
足りる」としている。
〈りそな銀行のケース〉
 2005年6月には、りそな銀行とりそな厚生年金基金を相手取り、退職者11
人が規約変更前の年金支払を受ける権利を有する地位にあることの確認を求
める訴えを東京地裁に起こした。りそな側は2003年末に厚生年金基金の給付
減額を提案し、受給者の3分の2が同意したとして、2004年8月から年金額の
減額に踏み切った。厚生労働省の認可を不当として、同行退職者が行政不服
申し立てを行なったが、厚生労働相が棄却。2005年6月提訴に踏み切った。
原告側は「減額提案を同意した者だけ年金を引き下げるべきだ」としている。
このケースは、行政の認可後でも提訴の可能性があることを示している。
〈早稲田大学のケース〉
 2004年7月6日に早稲田大学の元教職員とその遺族129人が東京地裁に提訴。
教職員を対象とする独自の年金制度で、大学が給付減額を計画したことに対
し、受給者側が従来どおりの年金を受ける地位にあることの確認を求めた。
提訴後、大学は計画を一部見直し、減額を実施している。
〈TBSのケース〉
 2005年2月28日TBSが2005年3月末で年金減額を計画したとして、受給者12
人が従前額の支払を受ける権利を有する地位にあることの確認を求めた。日
本生命は総幹事として年金の支払いを約束していたとして、TBSと並び被告
となっている。
  ◇
 これらの訴訟や判決を通して、これまで立場が弱いとみられていた受給者
は提訴の有効性を認識しつつある。インターネットを通じて、受給者間の情
報交換も活発になっている。受給者の給付減額は訴訟リスクが高いという企
業・年金基金側の認識の高まりは、安易な給付減額に対する抑止力になるの
では……。判例においては、企業側の勝訴判決が出ているが、受給者減額の
可否判断の法的根拠が必ずしも固まっていない状況を考えると年金基金の代
議員会に受給者代表も加えて、定期的に意見交換をするなど、労使で不幸な
事態にならないよう、慎重な検討をする必要があるのではないだろうか。
 ◇◆◇


■NPOアクティビティー
1. 第9回テーマ別企業年金研究会開催のお知らせ
「確定拠出年金制度の運用実態に労働組合はどう対応すべきか」
 ◇◆◇
 確定拠出年金制度が2002年10月に導入されて3年が経過し、2005年7月現在、
1,500規約、4,800事業所、150万人が加入しています。確定拠出年金制度は
個人個人の運用成績によって、将来受け取る退職金・年金の原資に差が付く
制度。法令上は、導入企業に対して一定の「投資教育」を実施する義務を課
していますが、何をどう教育すればよいか、手に付かないケースも少なくな
い。運用対象商品の選択から制度導入後も含めた「投資教育」を労使で共通
の場を設けて協力して、継続して運営していく体制の構築が不可欠と思われ
ます。制度の正しい運営に向けて、理解を深め、正しい知識の習得と考える
機会として企画しました。
 産別・単組の政策ご担当者のご参加をお待ちしています。
                記
1. テーマ: 「確定拠出年金制度の運用実態に労組はどう対応すべきか」
2. 日時: 平成17年11月10日(月)午後3時〜5時
3. 会場: 日本労働組合総連合会 3階A会議室(千代田区神田駿河台3-2-11
  総評会館)
4. 参加人数: 30名様程度。産別・単組の政策ご担当者
5. 参加費: 資料代1名様2,000円
6. 内容:
 (1)講演「確定拠出年金制度の運用実態に労組はどう対応すべきか」約1時
 間30分
   講師: NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
   理事 塩谷恵市
 (2)質疑応答・意見交換 約30分
   司会: NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
   代表 宮本一弘
7. 主催: NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
  後援: 日本労働組合総連合会
8. お申込み先: NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
  電話03-5444-0539  FAX:03-5444-0303
  E-mail:   URL:http://kinyunenkin.jp/
  担当: 植村昌機
 ◇◆◇

2. 出版のお知らせ
 ◇◆◇
「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」
日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク共
編 2005年版(2004年年金改革対応) 平成16年10月31日発行
A4判・88頁・2色刷り・頒価1部1,000円(荷造り・送料実費を頂きます)
内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 → http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm

 昨年10月31日に発刊した、連合と当NPO共編「労働組合のための退職金
・企業年金制度移行対応ハンドブック2005年版」は、産別や単組の皆様の反
響を呼んで、ご注文が相次ぎ、1月に増刷を致しました。在庫僅少となった
ため、6月に再度、増刷致しました。
 この4月から確定拠出年金や中退共への資産移換限度額の撤廃等規制緩和
が実施されたことから、中堅・中小企業の年金制度移行が加速すると予想さ
れます。会社から制度移行提案がなされた時点で、労組役員の皆様が、公的
年金から会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。
そのためには、年金制度の基本知識と制度移行に際して従業員サイドからの
留意点を労組役員の方々が共通に認識することが第一歩です。そこで、本書
をテキストや副読本として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。ま
た、加盟単組からのご相談があった際に、本書を参考にして対応されている
産別も見受けられるようになりました。
 本書のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら下記までご連絡をお願い申し上げます。
 NPO金融年金ネットワーク事務局
 メールアドレス:   電話:03-5444-0539
 ◇◆◇


■NPOデータ
確定拠出年金ファンドデータ  提供:(株)格付投資情報センター
 → http://kinyunenkin.jp/data/dc_data_200509.pdf
(PDFファイル 3キロバイト)
確定拠出年金向け投資信託の運用成績上位10位(2005年9月末基準)のデー
タを上記のURLでご紹介しています。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

●次号(20号)は12月1日に送信予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止/バックナンバー閲覧】
 → http://kinyunenkin.jp/08mailmaga.htm
【内容に関するご意見・ご感想】
本メールの送信アドレスは送信専用ですので、直接ご返信になることはでき
ません。ご意見・ご感想等は、下記アドレスまでお願い致します。
 → 
※禁・無断転載 このメールマガジンの著作権は上記発行者に帰属します。


ホームへ メールマガジン登録