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■■■■■■■ 金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン ■■■■■■■

第20号 2005年12月1日
NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
ホームページ http://kinyunenkin.jp/
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このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場から
退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している「NPO法
人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金ネットワー
ク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関する情報や意見交
換のスペースをご提供することを目的にしています。企画・編集には(株)格
付投資情報センターのご協力を頂いています。
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《目次》
●特集レポート
「企業年金コンサルティングの現場から」(3)
●NPOトピックス
1. マーケットトピックス「予想外に健闘した今年の経済」
2. 年金トピックス「退職給付制度は現状維持、導入したい制度は確定拠出
  年金」
●NPOアクティビティー
1. 「第5回日経企業年金フォーラム」(主催:日本経済新聞社)に当NPOが
  参加
2. 出版のお知らせ
  最新版・2006年版発売!「労働組合のための退職金・企業年金制度移行
  対応ハンドブック」
●NPOデータ
(株)格付投資情報センター提供 確定拠出年金ファンドデータ
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■特集レポート
「企業年金コンサルティングの現場から」(3)
(株)格付投資情報センター投資評価本部
  年金事業部副部長 チーフアナリスト 坂井信夫
 ◇◆◇
 国内の株式相場が依然として堅調である。今年3月末に対して、10月末で
22%超の上昇となっている。先月このような環境下で運用結果を分析評価す
るモノサシとして複合ベンチマークというものを紹介したが、年金運用では
運用結果を評価する基本的なモノサシをもう一つ持っている。教科書的には
ユニバース比較というが、端的にいうと「世間の水準」と比較することであ
る。資産運用を行う場合、求める運用目標と覚悟するリスクの水準はトレー
ドオフの関係が前提であるから、運用目標が異なればリスクに対する姿勢も
異なるはずである。先ほどの世間とは「運用資金の性質や運用目標が似てい
る他の年金プラン」のことで、その集団と運用実績を比較して結果を評価分
析することがユニバース比較である。確定拠出年金導入企業で同僚同士が実
績比較するのもこの範疇といえよう。当社もR&I平均という表現で、全年金
ファンド顧客の全資産、あるいは資産別の実績を算定し、また集団内での個
々の実績のランキングなどを顧客の皆様にフィードバックしている。
 ところでこのR&I平均の上半期実績は8.95%であったが、昨今、この実績
が二極化傾向にある。
 ここ数年、大企業の厚生年金基金の大半が代行部分を国に返上して確定給
付企業年金(以下適格年金を含めて「企業年金」)となったが、その際に
「予定利率」や「運用目標」を引下げる例も少なくない。恐らく2000〜2002
年度の株式の暴落を踏まえ、「運用リスクをあまりとらない方針」を反映し
たものであろう。そしてそれが、相対的にリスクをとっている「総合型厚生
年金基金(以下「総合基金」)」と比べて、例えば株式への資金配分など、
投資行動の大きな違いとなっている。
 二つのグループ別の平均実績をみると、企業年金の全資産実績の単純平均
が8.05%、総合基金は10.80%で、2.75%の差が発生している。そしてその
主な要因が、まさに資産配分の違いなのである。好調な国内株式の9月末現
在の時価構成比は企業年金27.3%に対して総合基金37.6%である。結果とし
て企業年金7.58%、総合基金10.08%と2.5%もの複合ベンチマークの違いに
つながっている。
 仮に今年度末までこのまま株式の実績がプラスならば、まがりなりにも3
年連続の上昇となる。総合基金にとっては、株の負けで発生した積立不足を
株の運用で取り返す、という「悲願達成」が現実味を帯びてきそうだ。
 ◇◆◇


■NPOトピックス
1. マーケットトピックス
「予想外に健闘した今年の経済」
NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 11月の金融市場は、世界的に株式が活況で、日米欧で前月末比4〜9%の上
昇となりました。為替も119円台/ドルと前月末比4円程度引き続き円安が進
行、そのなかで金利は逆に若干の低下となりました(11/25現在)。
 2005年を振り返って見ると、特徴的な点がいくつかあります。まず、予想
外に強かった経済、株式は全般に堅調でしたが、なかでも日本株式は年間で
約30%の大幅な上昇となり、円安と言うよりはドル高進行、原油・金などの
国際商品価格の上昇、などです。
 経済については2004年ほど改善度という点では勢いはなかったものの、堅
調な経済が継続したとの印象でした。特に米国経済は住宅バブル崩壊、原油
など資源価格上昇に伴うインフレや経済の減速、と言った現象が見られなかっ
たことにやや意外感がありました。米金融当局のマクロコントロールが効い
たのでしょう。その一方で日本経済が立ち直り、銀行の不良債権問題終焉、
失業率低下やボーナス支給額の上昇と言った雇用環境改善、その結果として
悪者呼ばわりされていたデフレ経済からようやく抜け出そうとしています。
 さて、2006年の見通しについては次号にしますが、現時点でいくつかの点
から想定されることがあります。国際金融機関や民間調査機関が予想する日
本の2006年度経済成長率は1.3〜2.8%の範囲で、中央値はおおよそ1.8%、
国際通貨基金(IMF)は2%を予想するなど、2006年の日本経済も安定した動
きとなる模様です。牽引は民需で、個人消費、民間設備投資になると見られ
ています。日本銀行のゼロ金利政策が当面続くと予想される今後6ヵ月から1
年程度は、金融緩和状態が続くと見られ、「株高、円安」傾向が続く可能性
が高いと見る向きが多いとの印象です。
 その一方で、注視しなければならない点もあります。一つには、現在議論
されている日本の金利の先行き動向でしょう。次に、2005年の産業活動が活
発であった理由に、中国を主にアジア地域での強い経済成長、日本にとって
は輸出の伸びが挙げられます。この継続可能性にも注目しておく必要がある
でしょう。最近は少し中国経済の動きも持ち直し、強含んでいる傾向がある
ようですが、減速感は否めず、これまで強い需要に支えられた資源価格高の
恩恵を享受した資源・素材産業も、現在はそれらの需給が緩み、国際商品市
況が今後どちらかと言えば下落する可能性も否定できません。これまでのよ
うに外需に期待するというよりは、これまで待ち続けた日本の内需のより自
立的な成長に転換できるかどうかにかかっているような気がします。
〔なお、ここにお示ししました内容は、可能な限り信頼できる情報に基づき
記述しておりますが、誤解を生じる記述、筆者の理解の変化等ありましたら
後日訂正させて頂く事があります。また、この内容に基づき、証券等の投資
で損失を蒙られても責任は負いかねます。〕
 ◇◆◇

2. 年金トピックス
「退職給付制度は現状維持、導入したい制度は確定拠出年金」
 ―2005年日経企業年金実態調査から
    NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士・DCアドバイザー・AFP
                              植村昌機
 ◇◆◇
 上場・非上場3.977社、厚生年金基金771、確定給付企業年金(基金型)555
を対象に実施。

 (1)現在、採用している退職給付制度
 退職一時金(49.05%)、適格年金(37.62%)、基金型確定給付企業年金
(21.43%)、厚生年金基金(20.79%)、企業型確定拠出年金(16.67%)。
 厚生年金基金と適格年金が減少し、確定給付企業年金と確定拠出年金への
制度移行が進行している。退職一時金制度は微増。

 (2)今後、退職給付制度をどうするか
 企業年金と退職一時金の両方とも「現状維持する」(44.38%)、「企業
年金は維持する」(25.90%)、「退職一時金は維持する」(15.26%)。
 制度の縮小や廃止を考えているところは少なく、多くの退職給付制度では、
設計見直しの一方で、運用環境の好転や企業業績の回復といった環境変化を
受け、年金財政の再建にメドが立ち始め、企業年金の廃止や縮小の流れにブ
レーキがかかってきた。

 (3)新たに採用したい退職給付制度
 企業型確定拠出年金(64.86%)、規約型確定給付年金(38.51%)、基金
型確定給付年金(15.54%)、前払い制度(19.59%)。
 確定給付企業年金で、ある程度の年金額を約束する一方で、確定拠出年金
を導入するなど、退職給付制度の多様化を進め、多くの選択肢を提供して、
従業員のニーズに対応しようとしている。

 (4)キャッシュバランスプランの導入状況
 「導入する」(21.64%)と「導入に向け検討中」(3.38%)と4分の1が
導入に前向きである。一方で、「導入しない」(50.32%)は半数に達した。
導入に前向きだったのが、基金型確定給付企業年金で基金型の43.28%を占
めた。
 キャッシュバランスを導入したところに今後の運営計画について、「資産
運用の見直し」(41.18%)、「利息クレジットの見直し」(28.19%)、
「想定利率の見直し」(23.04%)とあり、運用環境の変化が影響している
と思われる。
 キャッシュバランスの問題点については、「個別勘定などの管理が面倒」
(33.49%)、「金利が上昇すると給付費が増える」(30.56%)、「退職給
付債務が思ったほど減少しない」(13.37%)など、従来制度にはない仕組
みに負担を感じている。キャッシュバランスから他の制度に移行したいとす
る(3.19%)回答は、注目すべきものだ。
  ◇
 運用環境の好転と代行返上など制度移行の動きが一服し、給付減額や制度
の廃止といった“年金リストラ”に歯止めがかかり、今後は、財政基盤の強
化や制度の選択肢の拡大、高齢化社会の雇用環境に対応できる柔軟な制度設
計などの改革へ向かっていくのではないだろうか。まだ残る適格年金の早期
の問題解決も求められるところだ。
 ◇◆◇


■NPOアクティビティー
1. 「第5回日経企業年金フォーラム」(主催:日本経済新聞社)に当NPOが
  参加
 ◇◆◇
 12月1日に大手町日経ホールで開催される「広がる確定拠出年金制度と新
たな局面を迎える年金資産形成」をテーマにしたフォーラムに、当NPO宮本
代表が参加します。
 当日のプログラムは、
 ・基調講演:「日本の年金のゆくえ」衆議院議員 津島雄二氏
 ・講演:「確定拠出年金等をめぐる課題」厚生労働省年金局課長
   神田裕二氏
 ・ケーススタディー:「確定拠出年金の将来展望と課題―サンデンのケー
   ス」
 ・パネルディスカッションI:「広がる確定拠出年金制度〜その可能性と
   課題を探る」
 ・パネルディスカッションII:「新たな局面を迎える年金資産形成〜確定
   拠出年金における運用を考える」
 「パネルディスカッションI」に宮本代表が出席。加入者・受給者の立場
から討論に加わります。制度導入に関しては、企業年金は労働条件であるか
ら、確定給付型企業年金の可能性を追求し、確定拠出年金の導入は一部に留
める。また、投資教育に関しては、特に継続教育に重点をおいて、加入者の
ニーズに応えるメニューで実施する。この論点をベースに討論に参加します。
なお、フォーラムの要旨は近日中に、日本経済新聞に掲載されますので、ご
覧下さい。
 ◇◆◇

2. 出版のお知らせ
 ◇◆◇
《最新版・2006年版発売!!》
「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」
 日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 共編
 2006年版 平成17年11月30日発行A4判・102頁・2色刷り・頒価1部1,000円
 (荷造り・送料実費を頂きます)
 内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 → http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm

 退職給付制度の再編は、一部の大企業で進められているに過ぎず、今後は、
企業規模を問わず残る5万社に波及して、しかも制度の廃止が決まっている
適格年金からの移行が本格的に進行すると予想されます。また、確定拠出年
金を先行して導入した企業においては、加入者に対する投資教育が十分に行
われない等の新たな問題も発生しています。
 本書は、ご好評を頂き、増刷を重ねた2005年版のデータ等を最新のものに
改訂し、「高齢者雇用制度と年金」、「企業年金のポータビリティー(通算
制度)」、「投資教育の考え方」等、今日的なテーマを取り上げ大幅加筆し
たものです。
 会社から制度再編提案がなされた時点で、労組役員の皆様が、公的年金か
ら会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。そのた
めには、年金制度の基本知識と制度移行に際して従業員サイドからの留意点
を労組役員の方々が共通に認識することが第一歩です。そこで、本書をテキ
ストや副読本として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。また、加
盟単組からのご相談があった際に、本書を参考にして対応されている産別も
見受けられるようになりました。
 本書のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら、下記までご連絡をお願い申し上げます。
 NPO金融年金ネットワーク事務局
 メールアドレス:   電話:03-5444-0539
 ◇◆◇


■NPOデータ
確定拠出年金ファンドデータ  提供:(株)格付投資情報センター
 → http://kinyunenkin.jp/data/dc_data_200510.pdf
(PDFファイル 3キロバイト)
確定拠出年金向け投資信託の運用成績上位10位(2005年10月末基準)のデー
タを上記のURLでご紹介しています。
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●次号(21号)は2006年1月4日に送信予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止/バックナンバー閲覧】
 → http://kinyunenkin.jp/08mailmaga.htm
【内容に関するご意見・ご感想】
本メールの送信アドレスは送信専用ですので、直接ご返信になることはでき
ません。ご意見・ご感想等は、下記アドレスまでお願い致します。
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