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■■■■■■■ 金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン ■■■■■■■

第24号 2006年4月3日
NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
ホームページ http://kinyunenkin.jp/
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このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場から
退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している「NPO法
人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金ネットワー
ク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関する情報や意見交
換のスペースをご提供することを目的にしています。企画・編集には(株)格
付投資情報センターのご協力を頂いています。
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《目次》
●特集レポート
「企業年金コンサルティングの現場から」(7)
●NPOトピックス
1. マーケットトピックス「日銀政策変更は?」
2. 年金トピックス「動き始めた確定拠出年金の継続教育」
 ―継続教育をめぐる企業と運営管理機関の取り組み―
●NPOアクティビティー
1. 「確定拠出年金インストラクター育成セミナー」のおすすめ
2. 出版のお知らせ
  最新版・2006年版発売!「労働組合のための退職金・企業年金制度移行
  対応ハンドブック」
●NPOデータ
(株)格付投資情報センター提供 確定拠出年金ファンドデータ
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■特集レポート
「企業年金コンサルティングの現場から」(7)
(株)格付投資情報センター投資評価本部
  年金事業部副部長 チーフアナリスト 坂井信夫
 ◇◆◇
 新年度を迎えた。昨年度は2003年度に続いて国内株式の大きな上昇などを
うけて、高い運用収益を享受できた年度であったと思われる。果たして今年
度はどうなるだろう。
 厚生年金の一部を「代行」している厚生年金基金の会計期間は国と同じく
4月〜3月であり、3月が決算月だ。そして決算時にはその保有資産を「時価
評価」することになる。
 時価評価とは、たとえいつ、いくらで購入したものでも、3/31現在保有し
ている有価証券の価値を、3/31の市場価格とするということである。平たく
いえば前期末の価格に対する上昇(下落)分である収益(損失)を「前期末
価格」に上乗せして「資産」としてしまう作業である。結果として、新年度
の収益は、当然ながらゼロからの再スタートということになる。今年はどう
なるか、と書いたのはこれゆえである。
 ところで給付原資をあらかじめ積立てる年金制度の収支は、下記の算式が
原則である。
  給付額=掛金+運用収益(利率)
 厚生年金基金のような給付建て制度の場合は、まず給付額を決めた後に運
用利率を見積もり、掛金を決める。だからその想定利率を毎年稼ぐことこそ
が、年金制度の基本運用目標といっていいだろう。仮に、運用収益がこの利
率を下回れば、保有すべき水準の資産を持っていない状態に陥る。積立不足
というこの状態では、掛金を追加負担することが求められる。等式で、右辺
の運用収益が低迷し(↓)、それでも左辺の給付額を一定に維持(→)する
ためには、掛金をあげる(↑)しかないのは明らかである。2000〜02年度、
株式市場の暴落などから運用収益が低迷し、大きな積立不足が発生した。し
かしその後の3年間は、株式市場の回復とともに運用収益が好転、積立不足
も大幅に縮小という状況になりつつある。実に激しい6年間であったといえ
る。
 年金制度の都合だけをいえば、想定利率に対して運用実績が過度に上回っ
たり下回ったりするよりも、想定利率程度の収益率を毎年安定的に稼げる方
が実は好ましい。これが関係者の本音である。特に実績が大きく下回り、掛
金負担が増えることは絶対的に回避したいはずだ。ということは、振れの激
しい株式よりも債券や貸付主体の運用で安定的に想定収益が稼げることこそ
理想的な状況なのだろう。異常な低金利時代の終焉が近づいているようだ。
長期的には、それは年金運用にとって単なる悲観的な材料ではないのかもし
れない。
 ◇◆◇


■NPOトピックス
1. マーケットトピックス
「日銀政策変更は?」
NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 2006年に入って過去数ヵ月間の日本の金融市場は、一部の撹乱要因で大き
く変動することはあっても、一定のレンジ内の動きで終始した。例えば為替
では114〜119円/ドル、株式では日経平均株価が15,500〜16,500円、TOPIXで
は1,570〜1,700程度、など。一方で、海外は米国や欧州に加え、最近注目を
集めているインドや中国の株価上昇が目立ち、そういう意味では日本株式が
他の国との比較で劣後したと言わざるを得ません。もう一つ、ニュージーラ
ンドドルや豪ドルなど資源国通貨の一部が弱含んでいます。これは両国の金
利引き上げから引き下げへの経済変化が予想されているためで、他主要国と
の金利差縮小による高金利通貨の魅力が失われつつあるとの判断が働いてい
るようです。
 2006年注目点の一つであった日本銀行(以下、日銀)の日銀当座預金残高
削減(量的緩和の解除)方針が3月9日に発表された。今後はゼロ金利解除の
時期が焦点ですが、6ヵ月先の秋以降ではないかと見られています。ところ
で、今回の日銀発表を金融市場は冷静に受け止めました。これは過去5年間
の量的緩和そのものが効果のない政策であったとの見方の裏返しとも言え、
一般の見方に反して日本株式は上昇し、債券や為替への反応は小さかった。
金融市場関係者にとって大きなイベントとの認識はあったが、経済実態への
影響がほとんどない、まだ続く金融緩和状態、という見方が底流にあったた
めでしょう。
 ただ注目したい点は、一部の意見で量的緩和の継続下で資金需要が回復し
たら、インフレを招きかねず、その事前の予防と見る向きもある。実際、日
銀は物価安定のもとでの「持続的な経済成長」を今後のチェック項目として
おり、「バブル」回避と過大解釈はできなくはない。今回の量的緩和解除時
期の見方については、やや性急との判断からその後の金利引き上げ時期にも
よるが、2007年度の経済成長率を下方修正する動きが一部エコノミストで見
受けられ、日本経済の先行きについて強弱感は分かれつつある。
 これまでの点からは、株式や債券市場は中立との見方が大勢だが、為替動
向については現状レベルからの円安派と円高派に分かれ始めている。理由は、
金利の方向性、すなわち日本の金利上昇に対し、他の主要国の金利上げ止ま
り感、からは円高、一方でまだ日本の金利は低すぎ、金利格差は依然魅力的
な大きさにあるとして円安、と言う意見。金利先行きについては、国土交通
省が3月23日に公示地価を発表しましたが、全国ではまだ下落しているもの
の、東京、京都、大阪、愛知(上昇率の順)の商業地で上昇が見られた。消
費者物価指数も1月は前年比+0.5%となるなど、こうした指標が次第に注目
されそうです。
 ◇◆◇

2. 年金トピックス
「動き始めた確定拠出年金の継続教育」
 ―継続教育をめぐる企業と運営管理機関の取り組み―
    NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士・DCアドバイザー・AFP
                              植村昌機
 ◇◆◇
 確定拠出年金の導入企業には、法令上、導入時の加入者教育が義務付けら
れている。しかし、導入時教育だけでなく、2005年半ばからの株式相場の急
上昇により、資産運用や制度に関する理解度によって、加入者間で運用実績
の格差が拡大していることから、導入後の継続教育の必要性がクローズアッ
プされている。運用の実態は、加入者の大半が元本確保型の運用商品で運用
しており、企業は「このままでは、想定した収益を下回る加入者が続出する」
という危機感も持ち始めている。
 加入者の大半が元本確保型で運用しているのは、制度導入時に株式相場が
低迷していたといった外部環境だけが理由ではなく、分散投資の重要性が理
解されていない面もある。
 継続教育を実施している企業は、制度導入企業の3割程度にとどまってい
るという(NPO確定拠出年金教育協会調べ)。ある企業では制度導入2年経過
後も、約6割の加入者が予定利回りを下回っている。他方、元本を30%上回っ
ている加入者が約2%いて、加入者間の格差が広がっている。このような状況
から、本格的に継続教育への取り組み始めている企業や運営管理機関が出て
きている。
 自動車関連企業B社は、全社員を対象に勤務時間内にセミナー形式での集
合研修を実施。実施を決めた理由は「資産残高通知の読み方が分からない」、
「社内イントラや郵送などの情報提供では、十分な知識を伝えきれない」だ
という。研修のポイントは(1)運用成績の読み方など運用状況の確認方法(2)
「分散投資とは何か」といった投資・運用の基礎(3)配分変更やスイッチン
グの具体的な手順の3点に絞っている。加入者からは「自分の運用成績を確
認して、なぜ分散投資が必要か初めて分かった」といった声があるという。
 ガラスメーカーH社は、希望者だけ参加させる集合研修を実施している。
加入者向けに目的別の研修メニューを用意し、自由に選択できるようにして
いる。(1)ベーシックコース(制度の基本を学ぶ)(2)チャレンジコース(運
用ゲームで運用を学ぶ)(3)ステップコース(情報収集の仕方を学ぶ)(4)ジャ
ンプコース(上級の運用ゲームで学ぶ)(5)制度・運用の基礎コースの各コー
スを選択できる。この研修時に約1割の加入者が資産の配分を変更したとい
う。
 大手運営管理機関によると、集合研修を実施している企業は全体の1〜3割
程度。企業側の費用の面もあり、労働組合の強い要望がない限りなかなか実
施に移せないようだ。
 運営管理機関によると、加入者への教育効果が最も高いのが集合教育だが、
今後ウェブサイトによる情報提供に移る可能性もあるという。しかし、現状
では、加入者向けウェブの利用はまだ進んでいない。大手運営管理機関によ
ると「導入企業の全加入者の約1割がアクセスしているに過ぎない」という。
社内ネットワークを利用したeラーニングの活用を始めたIT企業やテレビ電
話を使って、外部のFPなどの専門家と投資相談ができる体制をつくる企業な
ど新たな試みもなされている。
 厚生労働省のガイドラインが追い風になり、運営管理機関も本格的に継続
教育に取り組み始めようとしている。加入者の投資知識や経験レベル別の継
続教育カリキュラムの提供や加入者だけでなく、企業の年金担当者向けの教
育機会を提供する運管もある。また、ウェブ利用を高めるために、接続方法
を各事業所を回って実際みせたところ、アクセスが倍増したという例もある。
パソコンを持っていない加入者向けに携帯電話でも接続できるなどの工夫も
みられるようになった。想定利回りに対応した年率利回り表示をウェブ上で
表示するサービスを開始した運管もあり、アクセス数は5〜6倍になっている
という。
 日本では、株式投資などが一般の個人に根付いていないこともあり、加入
者教育の必要性は高い。継続教育を実施する企業の中には、加入者から提訴
される可能性を考慮している場合もある。加入者教育の機会が少ない結果、
退職金が大きく減額するようであれば、将来の火種になる可能性は少なくな
いのでは……。
 厚生労働省も継続教育の重要性には、十分認識しているようだが、現在の
ところ、法令などを定める考えはないようだ。ただ、「確定拠出年金の導入
企業が厚生労働省に提出する業務報告書に、継続教育の状況を書いてもらう
ことを検討する」としており、実態の把握と同時に注意を喚起する方針で、
実施していない場合には、説明を求める考えだ。
 ◇◆◇


■NPOアクティビティー
1. 「確定拠出年金インストラクター育成セミナー」のおすすめ
 確定拠出年金制度は加入者個人個人の運用結果によって、将来受け取る退
職金・年金の原資に差がつく制度です。法令上は、導入した企業に対し、加
入者に一定の「投資教育」を行う義務を課しています。しかし、何をどう教
育すればよいか、手に付かないケースも少なくないようです。運用商品の選
択から、制度導入後も含めた「投資教育」を、労使で共通の場を設け、協力
して、継続して運営していく体制の構築が不可欠です。労組側も、制度運営
上の問題点、課題、解決法等を加入者の立場、目線でとりまとめ、会社と協
力して、運営管理機関等に対し、改善を求めていける担当者(インストラク
ター)を育成することが求められています。また、制度が成熟していく過程
では、加入者が自己責任で行う運用に対し、個々人のニーズ・要望を汲み取っ
て、社内外の専門家等の協力、助言を得る仕組みの構築も必要で、これらの
中心として活動することは、今後の労組の役割として期待されるところです。
 インストラクター育成の対象者は労組本部・支部において、確定拠出年金
制度の運営を所管する労組役員又は職員です。制度の正しい運用に向けて理
解を深め、金融・経済に関する正しい知識の習得および考える機会として、
ご提案いたします。
  基本コース……3日コース 2日コース
  テーマ別専門研修コース……2時間
 講座内容等詳細は、下記ホームページでご覧下さい。
 → http://kinyunenkin.jp/04service02c.htm

2. 出版のお知らせ
 ◇◆◇
《最新版・2006年版発売!!》
「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」
 日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 共編
 2006年版 平成17年11月30日発行A4判・102頁・2色刷り・頒価1部1,000円
 (荷造り・送料実費を頂きます)
 内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 → http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm

 退職給付制度の再編は、一部の大企業で進められているに過ぎず、今後は、
企業規模を問わず残る5万社に波及して、しかも制度の廃止が決まっている
適格年金からの移行が本格的に進行すると予想されます。また、確定拠出年
金を先行して導入した企業においては、加入者に対する投資教育が十分に行
われない等の新たな問題も発生しています。
本書は、ご好評を頂き、増刷を重ねた2005年版のデータ等を最新のものに改
訂し、「高齢者雇用制度と年金」、「企業年金のポータビリティー(通算制
度)」、「投資教育の考え方」等、今日的なテーマを取り上げ大幅加筆した
ものです。
 会社から制度再編提案がなされた時点で、労組役員の皆様が、公的年金か
ら会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。そのた
めには、年金制度の基本知識と制度移行に際して従業員サイドからの留意点
を労組役員の方々が共通に認識することが第一歩です。そこで、本書をテキ
ストや副読本として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。また、加
盟単組からのご相談があった際に、本書を参考にして対応されている産別も
見受けられるようになりました。
 本書のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら、下記までご連絡をお願い申し上げます。
 NPO金融年金ネットワーク事務局
 メールアドレス:   電話:03-5444-0539
 ◇◆◇


■NPOデータ
確定拠出年金ファンドデータ  提供:(株)格付投資情報センター
 → http://kinyunenkin.jp/data/dc_data_200602.pdf
(PDFファイル 3キロバイト)
確定拠出年金向け投資信託の運用成績上位10位(2006年 2月末基準)のデー
タを上記のURLでご紹介しています。
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●次号(25号)は5月1日に送信予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止/バックナンバー閲覧】
 → http://kinyunenkin.jp/08mailmaga.htm
【内容に関するご意見・ご感想】
本メールの送信アドレスは送信専用ですので、直接ご返信になることはでき
ません。ご意見・ご感想等は、下記アドレスまでお願い致します。
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