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金融年金インフォメーション 第 26 号
■■■■■■■ 金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン ■■■■■■■

第26号 2006年6月1日
NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
ホームページ http://kinyunenkin.jp/
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このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場から
退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している「NPO法
人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金ネットワー
ク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関する情報や意見交
換のスペースをご提供することを目的にしています。企画・編集には(株)格
付投資情報センターのご協力を頂いています。
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《目次》
●特集レポート
「企業年金コンサルティングの現場から」(9)
●NPOトピックス
1. マーケットトピックス「マネーフローに変化?」
2. 年金トピックス「改正時期を迎える確定拠出年金の課題」
●NPOアクティビティー
1. 「確定拠出年金インストラクター育成セミナー」のおすすめ
2. 出版のお知らせ
  最新版・2006年版発売!「労働組合のための退職金・企業年金制度移行
  対応ハンドブック」
●NPOデータ
(株)格付投資情報センター提供 確定拠出年金ファンドデータ
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■特集レポート
「企業年金コンサルティングの現場から」(9)
(株)格付投資情報センター投資評価本部
  年金事業部副部長 チーフアナリスト 坂井信夫
 ◇◆◇
 中小企業の企業年金制度として比較的ポピュラーなものに税制適格退職年
金制度(適年)がある。企業単体で退職年金制度を作ろうとする場合、厚生
年金基金なら加入員500人規模であることが要件の一つであるが、適年は例
えば生保の扱いにすれば15名程度で発足が可能なものである。制度導入する
と企業は、従業員の退職金原資を、所得税非課税で時間をかけて少しずつ社
外に積立てることができ、企業の拠出金も全額損金参入できる。従業員にとっ
ては社外積立によって、仮に会社が倒産しても積立金の範囲内で退職金未払
いのリスクが回避できる。これらはよくいわれる導入メリットである。また、
実際には信託銀行や生命保険会社が運営上必要な役割のほとんどを担ってく
れるなど、「運営が楽」なこともあって、中小企業も含め幅広く普及してき
たのが実情だろう。
 さて、実際に退職金を「年金化」する加入員がどの程度いるかはさておき、
原資の積立は運用益を織り込んだものであるはずだ。厚生年金基金の世界の
運用難が言われたが、適年でも予定利率が5.5%前後であるならば、同様の
苦戦は強いられていよう。いわゆる積立不足の実情がどうなっているのか、
詳細が把握できないのでとても気になる点である。適年制度は平成24年3月
末で廃止されるが、悲惨な話が後日表に出ないことを祈りたい。
 制度廃止となれば、適年制度導入企業には、対応策の検討が求められる。
退職金制度を辞める以外となるとどのような選択肢があるのだろうか。コン
サル会社や生保会社の資料などを見ると、確定拠出年金と中退共あたりが中
小企業の主な受け皿候補のようだ。
 総合型厚生年金基金の運用の好調さを何度か書いてきたが、その財政状態
が健全性を取り戻しているのなら検討するメリットもあろう。中小企業の適
年制度は運用で(1)企業内に資産管理を専門とする担当がいない、(2)運用機
関をどうこうするほどの資金規模ではない、(3)運用機関に払う報酬も相対
的に割高になる、などの問題がある。総合型基金の場合なら、(1)基金事務
局が運用機関を監視する(2)資産は他事業所とまとめて大規模になるため運
用機関の取捨選択が可能(3)よって運用報酬も割安になりえる、と効率的な
運営が「実現可能」である。特に既に総合型基金に加入している事業所で、
加入基金に適年受け入れの用意があるならば、有力な選択肢の一つではない
かと私などは思うがいかがだろうか?
 ◇◆◇


■NPOトピックス
1. マーケットトピックス
「マネーフローに変化?」
NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 5月の金融市場は金利の動向を除いて大きな変化があった。4月末と比較し
て、為替はドル安(円高)に向かい114円/ドルから112円に、株式は多少の
ばらつきはあるが、5〜6%の下落となった。ただ、株式市場の中でも新興国
や日本でも新興企業が上場しているマザーズ、等はより下落幅が大きく、リ
スクの高い金融商品からの資金逃避が一時的にもあったようだ。このことは
原油や銅などの地金といった国際商品市場にも影響し、乱高下を依然繰り返
している。
 背景にはいくつかの要素が絡み合っている。引き金となったのは、予想を
超える急速な国際商品価格の上昇から醸成されてきたインフレ警戒がより現
実化、世界的に金融引き締め(金利引き上げ)に向かうと見る向きが強まっ
たこと。米国の4月雇用統計がやや弱いとの見方から、景気の減速観測が出
たこと、などではないでしょうか。
 もう一つ、4月下旬にワシントンで開催されたG7(7カ国財務大臣・中央銀
行総裁会議)で取り上げられた貿易不均衡問題が、為替動向に影響を与えた
と言われる。過去は日本の貿易黒字拡大が話題になったが、今回の貿易黒字
国は中国、ロシアのほか原油や一次産品輸出国、為替調整が行われるべき通
貨は中国人民元を中心とした新興国通貨となる。円はアジア通貨高につられ
て円高進行しているようだ。ただ、別の理由でアラブなどの産油国や中国な
どはドル保有リスクからのドル離れ、円買いの動きがあったとも言われてい
る。いずれにしても、当面ドル安(円高)方向と見るのが自然体のようです。
 ところで、円高進行は間近と言われる日銀の金利引き上げ時期に微妙な影
を落としそうである。つまり大幅な円高は金利引き上げにブレーキをかけか
ねない。円高をある程度容認する覚悟が日本に求められているだけに、日銀
の金融調節も難しくなりそうだ。
 平成18年の年初には今年後半には金融市場にも変化があると見ていたが、
若干前倒しで調整局面に入ったと見られる。これには、インフレ懸念をより
深刻化させた原油などの一次産品の値上がりが歴史的にも高いうえ、急ピッ
チであったことに、過去にも貿易不均衡のリバランスが必要であるというこ
とは何年も言われてきたが、今回は新興国との調整が求められており、その
難しさがある。新興国は主要輸出品である一次産品価格の上昇、世界的な金
融緩和下で経済実態の好転、この結果外貨準備高の拡大、従来の対外資金調
達から一部で資金供給へと転換、など様変わりしている。ここで大きく舵を
切り変えることは新興国への影響も大きく、各国調和が必要な時期となりつ
つある。
〔なお、ここにお示ししました内容は、可能な限り信頼できる情報に基づき
記述しておりますが、誤解を生じる記述、筆者の理解の変化等ありましたら
後日訂正させて頂く事があります。また、この内容に基づき、証券等の投資
で損失を蒙られても責任は負いかねます。〕
 ◇◆◇

2. 年金トピックス
「改正時期を迎える確定拠出年金の課題」
    NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士・DCアドバイザー・AFP
                              植村昌機
 ◇◆◇
 確定拠出年金法は、施行(平成13年10月1日)後、今年の10月で満5年にな
る。
 同法規則第4条では「政府は、この法律の施行後5年を経過した場合におい
て、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律
の規定に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」
とある。現状において関係者の間でいくつかの制度上の課題が指摘されてい
るので、法の規定に検討が加えられる可能性があると思われる。しかし、上
記条文では、公的年金や厚生年金基金のような企業年金のように、5年ごと
に制度の見直しや財政計算を行わなければならないという趣旨ではないので、
必ずしも改正が行われると考えることはできないのではないか。厚生労働省
も、制度上の課題は認識して、検討しているが、それが法改正に繋がるかど
うかは明確ではない。
 確定拠出年金制度の現状における課題と法改正の可能性について考えてみ
た。先行導入企業があげる課題としては、60歳まで中途払い出しが出来ない、
従業員拠出ができない、投資教育が負担、掛け金の非課税限度額が少ない等
が主要な課題のようだ。その他の問題として運用商品の除外不可、3号被保
険者が継続加入できない等個人型の利用拡大、雇用延長に対応していない、
中小企業の事情が考慮されていない等の声もある。
 (1)60歳までの退職時に払い出しができない
 経済的困窮時に、払い出しができないということが現実的に問題となって
いる。現状の対策としては、確定給付型の年金制度や前払い制度との併用で
対応している。しかし、100%確定拠出年金導入している企業では、前払い
制度のデメリットを考えると現状の対応では不十分ではないか。米国401Kの
ようにペナルティー課税を条件に、または、困窮時に限定して払い出し可能
とすることもできるのではないか。また、現行では引き出し可能金額50万円
以下を緩和するという現実的な方法もある。
 (2)従業員の上乗せ拠出ができない(いわゆるマッチング拠出)
 従業員が任意で拠出し、自分で運用することに対して、これは「貯蓄」に
なるので税の優遇は出来ないというところがポイントのようだ。また、企業
にとっては、損金算入する企業拠出金とそうではない従業員拠出金と別に管
理する必要からコストアップに繋がるという問題もある。
 (3)投資教育の負担
 昨今の投資環境から、加入者の間で年金資産額の格差が顕著になっている。
継続的かつ効果的な教育がますます必要となっているが、企業にとってコス
ト負担が大きく、導入が必ずしもうまくいっていない。教育内容も決め手が
ない。中小企業と大企業と同じ教育の規制が必要なのか。企業が一括運用す
る選択肢はないのか。
 (4)拠出限度額の引き上げ
 平成17年10月に拠出限度額が引き上げられたが、まだ不十分という声があ
る。確定給付型の年金を持っていると拠出限度額が半分になってしまう。一
方で、導入規約1,889件(平成18年4月末)のうち、限度額一杯に設定してい
る規約は467件で25%に過ぎない。厚生労働省は、この実態を見極めながら
検討するという姿勢だ。
 (5)その他の問題
 運用成果の上がらない運用商品の除外については、その商品を運用してい
る加入者全員の同意が必要であり、実質的には除外できない状況になってい
る。このため企業合併などで、商品が40種類を超える事例もある。労使合意
で除外出来る等、改正して欲しいポイントである。個人型加入者が61,000人
(平成18年2月末)と低迷しており、厚生労働省も利用拡大策については検
討しているようだ。現実的には、転職先に確定拠出年金がなく、他の企業年
金を導入している場合は、個人型に加入できない。また、3号被保険者が加
入できない等、課題解決と共に個人型の利用拡大は大きなテーマといえる。
高齢者雇用延長制度の導入で、60歳以上は掛け金拠出ができない現行制度は
マッチしていないのではないか。大企業と中小企業と同じ規制が必要なのか
といった課題も持ち上がっている。
 ◇◆◇


■NPOアクティビティー
1. 「確定拠出年金インストラクター育成セミナー」のおすすめ
 確定拠出年金制度は加入者個人個人の運用結果によって、将来受け取る退
職金・年金の原資に差がつく制度です。法令上は、導入した企業に対し、加
入者に一定の「投資教育」を行う義務を課しています。しかし、何をどう教
育すればよいか、手に付かないケースも少なくないようです。運用商品の選
択から、制度導入後も含めた「投資教育」を、労使で共通の場を設け、協力
して、継続して運営していく体制の構築が不可欠です。労組側も、制度運営
上の問題点、課題、解決法等を加入者の立場、目線でとりまとめ、会社と協
力して、運営管理機関等に対し、改善を求めていける担当者(インストラク
ター)を育成することが求められています。また、制度が成熟していく過程
では、加入者が自己責任で行う運用に対し、個々人のニーズ・要望を汲み取っ
て、社内外の専門家等の協力、助言を得る仕組みの構築も必要で、これらの
中心として活動することは、今後の労組の役割として期待されるところです。
 インストラクター育成の対象者は労組本部・支部において、確定拠出年金
制度の運営を所管する労組役員又は職員です。制度の正しい運用に向けて理
解を深め、金融・経済に関する正しい知識の習得および考える機会として、
ご提案いたします。
  基本コース……3日コース 2日コース
  テーマ別専門研修コース……2時間
 講座内容等詳細は、下記ホームページでご覧下さい。
 → http://kinyunenkin.jp/04service02c.htm

2. 出版のお知らせ
 ◇◆◇
《最新版・2006年版発売!!》
「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」
 日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 共編
 2006年版 平成17年11月30日発行A4判・102頁・2色刷り・頒価1部1,000円
 (荷造り・送料実費を頂きます)
 内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 → http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm

 退職給付制度の再編は、一部の大企業で進められているに過ぎず、今後は、
企業規模を問わず残る5万社に波及して、しかも制度の廃止が決まっている
適格年金からの移行が本格的に進行すると予想されます。また、確定拠出年
金を先行して導入した企業においては、加入者に対する投資教育が十分に行
われない等の新たな問題も発生しています。
本書は、ご好評を頂き、増刷を重ねた2005年版のデータ等を最新のものに改
訂し、「高齢者雇用制度と年金」、「企業年金のポータビリティー(通算制
度)」、「投資教育の考え方」等、今日的なテーマを取り上げ大幅加筆した
ものです。
 会社から制度再編提案がなされた時点で、労組役員の皆様が、公的年金か
ら会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。そのた
めには、年金制度の基本知識と制度移行に際して従業員サイドからの留意点
を労組役員の方々が共通に認識することが第一歩です。そこで、本書をテキ
ストや副読本として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。また、加
盟単組からのご相談があった際に、本書を参考にして対応されている産別も
見受けられるようになりました。
 本書のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら、下記までご連絡をお願い申し上げます。
 NPO金融年金ネットワーク事務局
 メールアドレス:   電話:03-5444-0539
 ◇◆◇


■NPOデータ
確定拠出年金ファンドデータ  提供:(株)格付投資情報センター
 → http://kinyunenkin.jp/data/dc_data_200604.pdf
(PDFファイル 3キロバイト)
確定拠出年金向け投資信託の運用成績上位10位(2006年 4月末基準)のデー
タを上記のURLでご紹介しています。
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●次号(27号)は7月3日に送信予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止/バックナンバー閲覧】
 → http://kinyunenkin.jp/08mailmaga.htm
【内容に関するご意見・ご感想】
本メールの送信アドレスは送信専用ですので、直接ご返信になることはでき
ません。ご意見・ご感想等は、下記アドレスまでお願い致します。
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