ホームへ メールマガジン登録


金融年金インフォメーション 第 28 号
■■■■■■■ 金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン ■■■■■■■

第28号 2006年8月1日
NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
ホームページ http://kinyunenkin.jp/
――――――――――――――――――――――――――――――――――
このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場から
退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している「NPO法
人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金ネットワー
ク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関する情報や意見交
換のスペースをご提供することを目的にしています。企画・編集には(株)格
付投資情報センターのご協力を頂いています。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
《目次》
●特集レポート
「企業年金コンサルティングの現場から」(11)
●NPOトピックス
1. マーケットトピックス「大方出尽くした材料、舵取りの正念場に」
2. 年金トピックス「本格始動する企業年金通算制度の受け入れ体制は整備
  できたか」
●NPOアクティビティー
1. NPO金融年金ネットワークが最近、企画・運営した
  「確定拠出年金インストラクター育成セミナー」の活動事例
  ――日立製作所労働組合
2. 出版のお知らせ
  最新版・2006年版発売!「労働組合のための退職金・企業年金制度移行
  対応ハンドブック」
●NPOデータ
(株)格付投資情報センター提供 確定拠出年金ファンドデータ
――――――――――――――――――――――――――――――――――

■特集レポート
「企業年金コンサルティングの現場から」(11)
(株)格付投資情報センター投資評価本部
  年金事業部副部長 チーフアナリスト 坂井信夫
 ◇◆◇
 先日、当社主催の企業年金のセミナーに講師としてお招きした厚労省の行
政担当官によると、昨年末時点における確定拠出年金加入者の資産配分平均
は、預貯金50%、生保一般勘定30%、残りが投資信託等、という状況だそう
だ。あくまで概算的な平均値だとしても、この比率には考えさせられてしま
う。
 仮に投資信託部分が昨年度の年金信託バランス運用リターン並みの26%、
一般勘定が特別配当を含めて2.4%くらいとしても配分比率で加重すればトー
タルリターンは報酬等控除前で、6%前後というところだろう。
 以前、この欄で「昨今の株価回復により、DC(確定拠出年金)制度加入者
間の利回り格差が発生する可能性」について触れたが、DCを採用しているあ
る企業年金担当者を訪ねた際に、「いやいや、社内の加入員同士、隣りの人
物の運用がどのような状況かさえも互いに意識していないかもしれないです
よ」とのことだった。
 DC制度とは運用のリスクを従業員個人が負うものであるが、運用メニュー
を用意する企業側にも何らかの責任、役割があるはずだ。また、以前書いた
が運用結果に対する良い悪い、の判断は相対的な比較で行うものである。
 これらのことから言いたいことは、DC採用企業は従業員一人一人に自分の
置かれた資産状況をしっかり(決して煽ったりすることではなく)認識させ
るための情報提供を絶えず行うべきなのではということである。もちろん全
ての加入員に関心をもたせるということは決して容易なことではないとも思
うが。
 P&Iという雑誌によれば、どうやらアメリカでも似たような悩みはあるよ
うで、「問題意識の高くない加入者が過度の損失を発生させないため」の運
用商品などが考えられているようだ。特に、「運用方法をほとんど変更しな
い加入者でも退職後に十分な資金を手にいれられるよう助けることはスポン
サーの責任だ」と考える企業が増えていることが、この商品開発の原点とい
うのは気に入った。
 DC制度といえども一般に基準となる「想定利回り」があり、それをもって
掛金額が決定される。DC導入前と同じ水準の退職金をもらおうとするならば、
DC制度下での運用成績が想定利回りを追随していなければならない。いま20
代のDC加入員が、退職金問題を自分のこととして捉えるような年齢になる30
年後になって、その残高を確認して愕然としてしまう。そんな取り返しのつ
かない悲劇が起こらないことを祈りたい。
  ◇◆◇


■NPOトピックス
1. マーケットトピックス
「大方出尽くした材料、舵取りの正念場に」
NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 7月の金融市場は金利がやや低下、株式は続落となり、為替は6月に続きド
ル高(円安)となる115円/ドルから116円台となった(7/25現在)。6月と比
較してファンダメンタルズに大きな変化はなかったとは見ているが、米国景
気の減速感や地政学的リスクがネガティブに働き、どちらかと言えばやや強
い日本の景況感が下支えしているという構図が続いている。したがって、株
価の小幅ながらも下落の基調を除けば、5月に多少の混乱はあったが、為替
や金利の水準はあるレンジ内の動きとも捉えている。いろいろな点で強弱感
が拮抗する局面となり、今後は金融当局者の舵取りに一層注目が集まりそう
である。
 日本では7月3日に日銀短観6月調査が発表され、大企業の業況判断は若干
の改善を見て、設備投資意欲はほぼ全業種で高まった。現在の日本の景気回
復はこうした民間の設備投資が牽引しているが、その主役であることが示さ
れた。さらに総務省が発表した5月の全国消費者物価指数は前年比+0.6%と
なり、1月以降同プラスが続いている。
 こうした状況を踏まえ、14日に日銀は短期金利を0%から0.25%へ引き上
げることを決めた。福井総裁の村上ファンド問題で「庶民にゼロ金利を強い
ては……」との一部マスコミ報道が、ゼロ金利解除に反対の政府側も沈黙、
時期を早めたのではとの意地悪な見方もでている。いずれにしても、今後の
金利引き上げ(金融引き締め)ペースが焦点になる。現時点では年内にも0.25
%、来年前半0.25%、それぞれ引き上げ、合計で0.75%水準になるとの見方
が大勢だ。
 今後の注目点は、(1)舵取りが難しい米国金融政策とその後の米国景気、
(2)その余波として為替調整が与える国内景気、(3)金利上昇が引き起こす個
人消費効果、など、金融当局者の難しい判断に注目されます。
 米国はインフレ抑制の一方で、住宅バブル崩壊による景気減速懸念、これ
に貿易赤字問題が加わる。単純に考えれば、インフレ抑制はドル高、金利高
を必要とするのに対し、景気は金利引き下げ、貿易赤字縮小にはドル安と反
対の政策をとらなければならない矛盾が生じている。当然、日本は米国景気
に影響を受けることになろうが、為替円高、米金利上げ止まりもしくは低下
は、国内金利引き上げの抑制効果もある。日本の景況感が今のところ悪くは
ないが、さすがにピーク感もしくは循環的に一時的な下降局面へ、との見方
も次第に出始めた。
〔なお、ここにお示ししました内容は、可能な限り信頼できる情報に基づき
記述しておりますが、誤解を生じる記述、筆者の理解の変化等ありましたら
後日訂正させて頂く事があります。また、この内容に基づき、証券等の投資
で損失を蒙られても責任は負いかねます。〕
 ◇◆◇

2. 年金トピックス
「本格始動する企業年金通算制度の受け入れ体制は整備できたか」
    NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士・DCアドバイザー・AFP
                              植村昌機
 ◇◆◇
 転職先に年金原資を移すことで、将来の年金受給につなげる企業年金の通
算制度(ポータビリティー)がこの10月から始動する。厚生年金基金や確定
給付企業年金を持つ企業は、9月末までに加入者の年金をどのように通算す
るか対応方針を固め、年金規約を整備する必要がある。
 具体的には、他の企業年金への「移管」については、各企業年金と企業年
金連合会などあらゆる移管先を想定し、積立金などの移管が出来ることを規
約に規定する。一方、他の企業年金からの「受管」については、どの制度の
積立金を受け入れるかなどを各企業や基金の個別判断で規定する。問題は
「引継ぎの範囲」をどう定めるかである。
 例えば、厚生年金基金は基本部分と加算部分でそれぞれ別個に引き継ぐか
どうかを定めることができる。このうち、基本部分を引き継ぐ場合でも、企
業年金連合会が管理する部分だけか、他の基金分も引き継ぐのか決める。さ
らに、企業年金連合会の管理分を引き継ぐ場合は、連合会が管理する他基金
分と解散基金分のすべてを引き継ぐのか、再加入(元の基金に戻る)の元加
入者分だけ引き継ぐのか、さまざまなパターンがある。
 引き継ぐ範囲を決める場合に、母体企業の事情や給付設計などで決まる事
が多い。他制度からの引継ぎに対応しやすいのがキャッシュバランスプラン
だ。特有の個人仮想残高があるためで、加入者の持ち分が管理しやすく、規
約整備を終えた企業はこのパターンが多い。従来型の給付設計では、個人の
持ち分を確定できる様な管理をしていないからだ。このため、総合型厚生年
金基金のように、早々に対応を断念するところもある。
 他制度から引き継ぐ場合でも、無条件で引き継ぐケースと、グループ企業
などに限定するケースがある。まだ引継ぎの方針を明確にしていない企業年
金は多く、6月現在で規約変更の認可申請をしているのは2割程度に過ぎない
ようだ。
 他の制度からの受け入れを一切しない方針を固めたところは総合型の基金
に目立つ。事務管理の複雑化を理由にあげるところが多い。確定給付企業年
金なども二の足を踏んでいるところが多い。加入者管理が複雑化するなど、
負担を増やしてまで、導入するメリットがあるかどうかである。加入者にとっ
て利便性のある制度だが、受け入れ体制を整備する企業年金が増えなければ
その意義は大幅に減る。結局は、厚生年金基金と確定給付企業年金からの資
産をほぼ無条件に受け入れる企業年金連合会しか受け皿はないことになる。
 しかし、企業年金連合会の予定利率はわずか0.5%。運用実績が予定利率
を上回れば5年ごとに年金額を引き上げることにはなっている。また、移管
時に資産額の1割程度の事務費が徴収されるなど、加入者にとって負担もあ
る。この点は、見直しの方針のようだが、時間がかかりそうである。
 この通算制度が普及するまで時間がかかるとの見方が多いが、転職の実績
から、制度への対応が必要な業種や企業グループが出てくれば広がる可能性
がある。加入者にとって、利便性のある制度であるし、企業にとっても、優
秀な人材を採用する条件ともなるので、早急に体制の整備を進めてもらいた
いものだ。
 ◇◆◇


■NPOアクティビティー
1. NPO金融年金ネットワークが最近、企画・運営した
  「確定拠出年金インストラクター育成セミナー」の活動事例
  ――日立製作所労働組合
 ◇◆◇
 今回は、日立製作所労働組合の「確定拠出年金アドバイザー」育成教育を
ご紹介します。
 日立製作所労組は事業所ごとに労組支部が結成されている。各支部が当該
事業所の労政担当部署と協力し、制度の円滑な運営を企画・推進する指導者
を養成する必要があるとのコンセンサスから、労働部長を主な対象に、本部
が毎年実施するという継続的な研修を開始した。第1回は2日コースの集合研
修で、主な内容は以下の通り。
 (1)運用報告書をどう読みこなし、理解するか。執行委員の中から2人の計
算書を匿名で使用する。これをもとに、運用の経過・考え方、今後のポイン
トを客観的に解説。開始以来の運用成績は、A氏が年平均利回り17.63%、B
氏27.69%で教材としての迫力は十分だ。
 (2)金融商品の価格変動の仕組みと運用についても触れる。投資信託の商
品特性、運用とその評価方法、投資理論の基礎なども含まれる。
 (3)さらに、制度全体を理解し、課題を考える。公的年金と日立製作所の
退職給付制度、ライフプランと企業年金の関係などである。
 以上の3点を軸に、制度・運用の原理原則と実践的知識の両面を広範囲に
カバーする。支部が会社と協力して組合員に対する継続教育、個別相談など
に取り組むレベルを志向している。
   *
 インストラクター育成の対象者は労組本部・支部において、確定拠出年金
制度の運営を所管する労組役員又は職員です。制度の正しい運用に向けて理
解を深め、金融・経済に関する正しいの習得および考える機会として、ご提
案いたします。
※※ 確定拠出年金インストラクター育成セミナー ※※
  基本コース……3日コース 2日コース
  テーマ別専門研修コース……2時間
 講座内容等詳細は、下記ホームページでご覧下さい。
 → http://kinyunenkin.jp/04service02.htm

2. 出版のお知らせ
 ◇◆◇
《最新版・2006年版発売!!》
「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」
 日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 共編
 2006年版 平成17年11月30日発行A4判・102頁・2色刷り・頒価1部1,000円
 (荷造り・送料実費を頂きます)
 内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 → http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm

 退職給付制度の再編は、一部の大企業で進められているに過ぎず、今後は、
企業規模を問わず残る5万社に波及して、しかも制度の廃止が決まっている
適格年金からの移行が本格的に進行すると予想されます。また、確定拠出年
金を先行して導入した企業においては、加入者に対する投資教育が十分に行
われない等の新たな問題も発生しています。
本書は、ご好評を頂き、増刷を重ねた2005年版のデータ等を最新のものに改
訂し、「高齢者雇用制度と年金」、「企業年金のポータビリティー(通算制
度)」、「投資教育の考え方」等、今日的なテーマを取り上げ大幅加筆した
ものです。
 会社から制度再編提案がなされた時点で、労組役員の皆様が、公的年金か
ら会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。そのた
めには、年金制度の基本知識と制度移行に際して従業員サイドからの留意点
を労組役員の方々が共通に認識することが第一歩です。そこで、本書をテキ
ストや副読本として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。また、加
盟単組からのご相談があった際に、本書を参考にして対応されている産別も
見受けられるようになりました。
 本書のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら、下記までご連絡をお願い申し上げます。
 NPO金融年金ネットワーク事務局
 メールアドレス:   電話:03-5444-0539
 ◇◆◇


■NPOデータ
確定拠出年金ファンドデータ  提供:(株)格付投資情報センター
 → http://kinyunenkin.jp/data/dc_data_200606.pdf
(PDFファイル 3キロバイト)
確定拠出年金向け投資信託の運用成績上位10位(2006年 6月末基準)のデー
タを上記のURLでご紹介しています。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

●次号(29号)は9月1日に送信予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止/バックナンバー閲覧】
 → http://kinyunenkin.jp/08mailmaga.htm
【内容に関するご意見・ご感想】
本メールの送信アドレスは送信専用ですので、直接ご返信になることはでき
ません。ご意見・ご感想等は、下記アドレスまでお願い致します。
 → 
※禁・無断転載 このメールマガジンの著作権は上記発行者に帰属します。


ホームへ メールマガジン登録