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┃       金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン

┃                     第74号 2010年6月1日
┃   NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
┃             ホームページ http://kinyunenkin.jp/
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 このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場
 から退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している
 「NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金
 ネットワーク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関す
 る情報や意見交換のスペースをご提供することを目的にしています。企
 画・編集には(株)格付投資情報センターのご協力を頂いています。
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■■ 目次 ■■
●特集レポート
「企業年金コンサルティングの現場から」(57)
●NPOトピックス
1. マーケットトピックス「想定以上の金融市場調整」
2. 年金トピックス「確定拠出年金加入者利回り好転、プラス利回りが6割超
  に」―「年金情報」2010年3月末調査から―
●NPO連載講座
「豊かな将来設計のためのライフプランの立て方」(46)
●NPOアクティビティー
出版のお知らせ
◇最新版・2010年版発売!
「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」
◇最新版・第3版「働く人のためのライフプランニングと企業年金の活用ハ
ンドブック」
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┃ ■特集レポート
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 企業年金コンサルティングの現場から(57)
           (株)格付投資情報センター投資評価本部
           年金事業部担当部長 チーフアナリスト 坂井信夫
 ◇◆◇
 年金基金の運用においては、政策的な資産配分割合を定めているのが一般
的である。内外の株式や債券、オルタナティブ等の基本配分比率を決めてお
く。当該資産それぞれのベンチマークインデックスの騰落率をその基本構成
比率で加重することで、複合ベンチマークが求められる。それは、当該期間
におけるその基金の最低運用目標のようなものである。昨年度の場合、当然
ながら内外株式ウエートの基本配分比率が高い基金ほど、この複合ベンチマー
クの数値も高いものとなった。弊社顧客の単純平均値は14%台となっている。
 さて、実際の収益率がこの目標を上回ったか、すなわち超過収益を獲得し
ているかどうかというのは、基金の資産運用管理において重要な点である。
そしてこの超過収益の獲得は、ひとえにアクティブ運用の成否にかかってく
る。アクティブ運用というと、株や債券においてベンチマークインデックス
を上回る収益率をあげること、という認識が一般的であるが、もう一つある。
前述の通り、政策的な資産配分割合を決めている年金基金の場合、この基本
配分から実際の時価構成比を乖離させることで獲得できる収益がある。たと
えば国内株と国内債を50%ずつ保有という政策的配分に対し、意図的に国内
株を60%、国内債を40%にずらしたとする。そこで国内株が5%上昇し、国
内債が0.5%上昇したとすると、政策的配分で求めた複合ベンチマークは
2.75%である(5%×0.5+0.5%×0.5)。対して配分比を60対40にずらした
場合は、3.2%(5%×0.6+0.5%×0.4)となり、2.75%との差0.45%は超
過収益と考えられる。
 一昨年度の後半、年金基金が株式を売却する云々という記事が踊った時期
があったが、もしそのような投資行動をすれば、この資産構成の乖離が大き
くなり、しかもウエートを減らした株式が「下落」したのだから、ウエート
を減らして正解。つまりマイナスがそれだけ回避できたという意味でプラス
の数値が導かれる。だが、ウエートを減らした資産の相場が、もし次の局面
で「急反発」したらどうなるか。価格の上昇した資産を基準ほど保有してい
ないということは、当然ながら超過収益のマイナス要因である。振り返れば
明るい話の多い昨年度であるが、特にその前半において、このようなマイナ
スを被った基金はいくつかあるに違いない。
 しかしまあ、DBの世界においてはほとんどの基金が二桁前後からそれ以上
の収益を享受したのは事実であり、だからこそ気になるのはDCの世界である。
たとえば一昨年度の暴落に懲りて、大きく株から債券にシフトしたまま昨年
度を終えてしまった、という加入員の方は皆さんの周りにいらっしゃらない
だろうか?
 ◆◇◆
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┃ ■NPOトピックス
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1. マーケットトピックス ――――――――――――――――――――――
 想定以上の金融市場調整
          NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 5月24日付日本経済新聞に、「時価総額630兆円減」と言う見出しが載った。
欧州諸国の財政問題から、「世界の株式時価総額が約1ヵ月で約14%減少し
た」というものである。時価総額とは、株価に発行済株式数を掛けたもので、
企業の市場価値を見る指標。世界における株式市場の時価総額は50兆ドルと
言われ、そのうち7兆ドルが株価の下落により目減りしたとの指摘である。
 2008年に米国を発信源として起こったサブプライムローン(住宅ローン)
問題、通称リーマンショック、以来の金融不安が再燃している。「GG問題」
とも言われているらしい、すなわちギリシャの財政赤字問題と米ゴールドマ
ンサックスの詐欺事件である。ギリシャ問題に関しては、ギリシャの国債償
還(いわゆる資金繰り)については支援が決まった。具体的には、EU(欧州
連合)やIMF(国際通貨基金)による、最大7500億円ユーロ(約89兆円)の
緊急支援、などにより、一度は金融市場も落ち着きを取り戻したかに見えた。
 ところが、通貨ユーロ、世界の株価、原油等の国際商品価格、などの下落
は続いている。これは、「ギリシャは本当に財政赤字削減が可能なのか」、
「他のユーロ周辺国も同様の事態に陥らないのか」が、解消されていないこ
とにある。
 最近、「ソブリンリスク」という言葉を目にすることが増えたと思います
が、ギリシャでの不安はスペイン、ポルトガルなどの南欧諸国にも波及する
のではとの懸念があるためだ。ちなみに、ソブリン(債)とは各国の政府又
は政府関係機関が発行し又は保証している債券(国債など)のことで、信用
度が高く、いわゆるデフォルト(債務不履行)の可能性が小さいと見られて
いる。現在は、その信用力が低下しており、ソブリン債保有による損失発生
が懸念視されている。
 日本に与える悪影響としては、現実に起こっている円高、株安、金融市場
収縮に加え、日本の財政も決して優等生とは言えないことによる同様の懸念、
などが想定されている。さらに実体経済では、世界経済悪化により日本の輸
出産業が痛手を受けるであろう。円高は世界的な金融不安が高まる中で、信
用度の高い「円」を志向するためであるが、輸出産業にとっては喜んではい
られない。また、財政再建問題については短期間で解決する問題ではないた
め、中長期的な視点にたち大きな枠組み(方向性)を国民全体で共有するこ
とが必要となるのでしょう。
 前月号では「金融市場の調整から、次の反転時期を待ちましょう」として
いましたが、現時点で金融関係者の見方は慎重であり、もうしばらく波乱が
続くと見ている。今後の1ヵ月でどう変化するかはわかりませんが、注目点
は、(1)世界経済が回復軌道に戻るのか、下振れるのか、(2)案外身近な問題
で日本の財政再建に向けた政府の取り組み姿勢が(参院選を前に)支持され
るかどうか、の2点です。日本国債の暴落を懸念する声があることも事実で
すから。
  〔なお、ここにお示ししました内容は、可能な限り信頼できる情報に基
   づき記述しておりますが、誤解を生じる記述、筆者の理解の変化等あ
   りましたら後日訂正させて頂く事があります。また、この内容に基づ
   き、証券等の投資で損失を蒙られても責任は負いかねます。〕
 ◆◇◆
2. 年金トピックス ―――――――――――――――――――――――――
 確定拠出年金加入者利回り好転、プラス利回りが6割超に」
 ―「年金情報」2010年3月末調査から―
    NPO金融年金ネットワーク DCアドバイザー・AFP・社会保険労務士
                              植村昌機
 ◇◆◇
 「年金情報」は運営管理機関3社(みずほコーポレート銀行、日本確定拠
出年金コンサルティング、野村年金サポート&サービス)の協力を得て、
2010年3月末時点の加入者約126万8000人分の比較可能な運用利回りを集計し
た。
 確定拠出年金に加入してからの利回りがプラスになっている加入者数は10
年3月時点で、79万8886人と、全体の63.0%を占めた。09年9月末に比べ12.8
%上昇した。
 運用利回りの分布を見ると、利回りが0〜1%の人が60万6776人で最多、全
体の47.9%を占めた。このうち、少なくとも44万人が定期預金や保険商品な
ど元本確保型商品のみで運用しているとみられる。残る約17万人が株式を組
み入れている投資信託などを組み合わせて運用している加入者で、結果的に
運用利回りが0〜1%に収まったとみられる。
 利回りが2%を超える人は13万6108人おり、09年9月末に比べ倍以上に増え
た。利回りが10%以上の人も3万2000人いた。
 3社全体の平均利回りをみると、マイナス0.35%〜0.60%で3社中2社の平
均利回りがプラスだった。運営管理機関ごとに大きな差はでなかった。
 一方、利回りがマイナスとなっている「元本割れ」の状態にある加入者数
は46万8741人と全体の37.0%だった。09年9月末と比べ10万2462人減少した。
マイナス利回りの内訳は、運用利回りがゼロ未満でマイナス1%までにいる
加入者が最多で15万6726人。加入者全体に占める割合は12.4%だった。利回
りのマイナス幅が10%を超える加入者も半減した。
 世界的な金融危機を受け加入者の運用成績が暗転した状況は、10年3月末
で大きく改善したといえる。しかし、制度の想定利回りが2%を超える現状
で、利回り実績が2%を超える加入者は全体の11%しかいない。定期預金な
ど元本確保商品のみで運用している加入者は依然4割いて、その人達は利回
りが1%未満に留まっている。このように、当初に想定した退職金目標額を
下回り給付減額となる加入者が約9割という状況下では、老後に必要な資産
が積みあがらない懸念がある。
 想定利回りを超えるためには、資産の一部について株式を組み入れた投資
信託などリスク商品で運用することが必要だが、価格下落のリスクを抱える
ことになる。頻繁な資産配分の見直しをする必要は無いが、給付が近付くに
従い徐々にリスクを減らす運用の見直しが必要であるということを投資教育
の場で徹底すべきであろう。
 ◆◇◆
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┃ ■NPO連載講座
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 NPO連載講座
「豊かな将来設計のためのライフプランの立て方」(46)
    NPO金融年金ネットワーク ファイナンシャルプランナー 明田一美
 ◇◆◇
 生命保険文化センターによると、2009年での生命保険世帯加入率は90.3%
に達しており、ライフステージにおいて、欠かす事のできない金融商品です。
ところが、保険の内容を充分に理解せず、契約されている方も見受けられ、
保険金不払い問題が発覚した2005年以降、保険に関する相談件数は急増して
います。
            *   *   *
 今回は、「リスクに備える〜保険法(2)」について、ご案内します。
 4月1日から施行された保険法の狙いのひとつは、保険の不払いなど、社会
問題化した保険に関するトラブルから、いかに消費者を保護するかという点
にあります。消費者視点の入った保険法について、詳しくみていきたいと思
います。
 1. 片面的強行規定の導入
 法律の条文は、法的拘束力の強さによって、任意規定、強行規定、片面的
強行規定に分けられ契約に法律とは異なる定めをしても有効なのが任意規定、
無効になるのが強行規定です。片面的強行規定とは、当事者の一方(保険法
の場合は契約者)に対しては条文より有利な定めをしてもいいが、その逆は
無効となります。保険法では、告知義務や保険給付の履行期などが片面的強
行規定となりました。これらについては契約者に有利な条項を定める事は可
能ですが、保険会社が約款などで条文より契約者に不利な条項を設ける事は
できなくなりました。また、任意規定の部分についても、一定の合理性がな
ければ、消費者契約法10条項に反するため、保険法よりも消費者不利の約款
は難しくなったと思われます。
 2. 共済、第3分野にも適用
 共済は加入しやすいという利点の反面、保険法ほどの行為規制は設けられ
ていません。
 しかし、共済についても保険と同等の契約内容をもつものは、保険法の適
用対象となりました。また、商法制定当時は存在していなかった、いわゆる
第3分野の保険についても規定が設けられました。
 3. 保険給付の履行期が明確に
 保険金の支払時期も、保険法施行に伴って明確化されました。
 今まで生保は5日以内、損保は30日以内の支払いが前提でしたが、調査が
必要と判断した場合は、延ばすことができ、期日が決まっていませんでした。
しかし、今回の保険法によって履行期が決まるように(保険会社により違う)
なりました。ある保険会社は、何ら問題がない場合は5日、調査が必要な場
合は45日、捜査機関への照会などが必要な場合は180日としています。また、
法務省は、どれにあてはまるかかの合理的根拠の説明責任は保険会社にある
としています。これにより、説明もされないまま期間が延ばされることは、
なくなるでしょう。
 4. 超過保険の超過保険料は返還を求められる
 火災保険は建物の時価を保険金額として掛けますが、時価は経過年数とと
もに下がります。このように契約や更新の時点で保険金額が時価を上回るの
が超過保険です。保険法では、契約締結時に契約者が超過保険を知らず、そ
れについて重大な過失がない場合は、払い過ぎた保険料の返還を求めること
ができると規定しました。
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┃ ■NPOアクティビティー
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出版のお知らせ―――――――――――――――――――――――――――
 ◇◆◇
《最新版・2010年版 発売!!》
「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」
日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク共
編2010年版 平成21年11月30日発行
A4判・112頁・2色刷り・頒価1部1,000円(荷造り・送料実費を頂きます)
 退職給付制度の再編は、今後、企業規模を問わず残る17,000社に波及して、
しかも制度の廃止が決まっている適格年金からの移行が本格的に進行すると
予想されます。また、確定拠出年金を先行して導入した企業においては、加
入者に対する投資教育が十分に行われない等の新たな問題も発生しています。
 本書は、2004年11月に2005年版を創刊以来、本年版で6冊目になります。
本年版は、旧版のデータ等を最新のものに改訂し、わが国の退職給付制度に
大きな影響を及ぼす「国際会計基準の動向」など加筆しました。
 会社から制度再編提案がなされた時点で、労組役員の皆様が、公的年金か
ら会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。そのた
めには、年金制度の基本知識と制度移行に際して従業員サイドからの留意点
を労組役員の方々が共通に認識することが第一歩です。そこで、本書をテキ
ストや副読本として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。また、加
盟単組からのご相談があった際に、本書を参考にして対応されている産別も
見受けられるようになりました。
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《最新版・第3版》
「働く人のためのライフプランニングと企業年金の活用ハンドブック」
―企業年金制度の適切な運営と豊かなセカンドライフ設計―
NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク:編
日本労働組合総連合会:協力
平成20年11月30日発行
A4判・138頁・頒価1部1,500円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 勤労者が将来の人生設計を考える上で、社会保障制度や企業の退職給付制
度を理解し、さらに資産を有効に活用するための運用の知識を持つことが大
切です。本書は働く人たちのライフプランを実現するための総合的かつ基本
的な知識をまとめたものですが、企業又は労働組合内にライフプランや年金
制度のリーダーとなり、従業員の日常的な疑問に答えられ、また健全な制度
運営のために改善提案のできる人材の育成のためのテキストともなるよう、
念頭において記述しています。
 本書は、平成18年11月に創刊し、本書は改訂第3版として発行するもので
す。
〈主な内容〉ライフプランと企業年金、公的年金その他の公的給付/確定拠
出年金制度の運用の視点と課題/企業年金通算制度の仕組みと課題/確定拠
出年金の運用の考え方/金融商品運用のポイント/投資信託の仕組みと特長
 書籍のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら、下記までご連絡をお願い申し上げます。
 内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 →http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm
 お問い合わせ、お申し込みは
 NPO金融年金ネットワーク事務局(
 または電話(03-5444-0539)、FAX(03-5444-0303)まで。
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●次号(75号)は年7月1日に送信の予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止/バックナンバー閲覧】
 → http://kinyunenkin.jp/08mailmaga.htm
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ません。ご意見・ご感想等は、下記アドレスまでお願い致します。
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