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┃       金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン

┃                     第89号 2011年 9月1日
┃   NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
┃             ホームページ http://kinyunenkin.jp/
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 このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場
 から退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している
 「NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金
 ネットワーク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関す
 る情報や意見交換のスペースをご提供することを目的にしています。企
 画・編集には(株)格付投資情報センターのご協力を頂いています。
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■■ 目次 ■■
●特集レポート
「企業年金コンサルティングの現場から」(72)
●NPOトピックス
1. マーケットトピックス「現実の経済指標か先行きへのマインドか」
2. 年金トピックス「企業年金の積立不足ほぼ横ばい」
  ―東証一部上場企業の2010年度退職給付会計―
●NPOアクティビティー
1. セミナーのお知らせ
2. 出版のお知らせ
◇最新版・2011年版発売!
「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」
◇創刊!!
「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」
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┃ ■特集レポート
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 企業年金コンサルティングの現場から(72)
           (株)格付投資情報センター投資評価本部
           年金事業部担当部長 チーフアナリスト 坂井信夫
 ◇◆◇
 7月の半ばのことであるが、顧客である某総合基金の設立40周年パーティー
にお招きをいただいた。パーティーといっても、派手な来賓を呼ぶわけでも
なく、大きな会議室を利用しての立食形式のものである。その昔は、代議員
会というと1泊2日の温泉旅行だったと、羽振りの良かった当時を懐かしむ声
をよく耳にするが、それらと比べれば、時流をふまえたささやかな宴であっ
たと言える。
 たとえば厚生年金保険は20歳で加入、60歳で年金受給開始(この支給開始
年齢も間もなく繰り上がるが)が制度の原則である。逆にいえば理論上の満
額の受給者は、40年経過することで初めて発生する。年金制度は40歳にして
ある意味ようやく一人前になるのである。
 ただし、総合基金を取り巻く環境は、依然として厳しいものがある。まず
は基金の財政状態である。長引くデフレ、低過ぎる金利、世界株式相場の相
関の高まりなど、資産運用の環境は厳しい状況が続いている。本年度も目下
のところ、米国を含むソブリンリスクをネタに相場の著しい動揺が起こって
いる。また、経済政策へのセンスが先進国で最も低いのではと思わせる我が
国の政府・与野党のために、震災復興政策は相変わらず牛歩なみの進捗であ
り、これが日本株の低迷に少なからず影響を与えていよう。これらのために
利回りはマイナスで推移しているはずである。いずれにしても、充分な運用
利回りが確保できないことにより、年金財政の健全性の先行きには不透明感
が漂っている。
 一方で総合基金を構成する事業主の立場もなかなか厳しい。総合基金の加
入事業所と言えば、例外はもちろんあるが、基本的に中小企業だと思ってい
ただいて間違いではない。地域や業界などによってさらに状況は細分化され
ようが、海外との競争や円高等への対応として、大手の取引先から厳しいコ
ストカット要請を受けている、あるいは公共投資の大幅減などによる業績の
悪化などにより業績の厳しさから、人件費等の負担増へ二の足を踏む事業形
主は多い。それどころか事業継続が難しいということで加入事業所や加入員
自体の減少が著しい年金基金も存在する。つまりは、業界の厳しさゆえに年
金の掛け金の追加負担をあてにできないのである。前述の40周年基金とて例
外ではなく、掛け金の追加負担などはとても想定できない中で、日々資産運
用を行っている。
 総合基金にとってこのような四面楚歌ともいえる状況において、先月の本
メルマガにもあったように、厚労省は財政運営ルールの見直しをとなえはじ
めている。パブコメや経済環境等を踏まえて、実際どのようなスケジュール
でルールが見直されるのかはまだよくわからないが、一人前にならない基金
の将来に何の影響も与えないとは考えにくい。
 ちなみに、ルール見直しの動きを受けて大手信託各行は、自らが総幹事を
務める基金先の財政状況をまとめている。それらの資料によれば、試算は本
年3月末の決算見込みベースの数値ではあるが、継続基準<(純資産額+許容
繰越不足金)÷責任準備金>の平均はここ数年の運用不振にもかかわらず、
1.0倍をわずかながら上回っている一方で、例えば0.8倍を下回る基金がわず
かながら存在しているようだ。某基金常務理事はこれを「厳しい環境下での
二極化」と評しているのだが、果たして今年度が終わるとき、この「二極化」
はどのように変化しているのだろうか。
 ◆◇◆
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┃ ■NPOトピックス
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1. マーケットトピックス ――――――――――――――――――――――
 現実の経済指標か先行きへのマインドか
          NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 7月後半から8月にかけて、金融市場は荒れました。この間に円高が進み、
株式はほぼ全世界で急落、国際商品も金を除けば下落となった。為替は金融・
財政問題、株式や商品の動きは景気後退を懸念した典型的な動きでしょう。
参考のために為替では円以外に安定しているスイスフランも選好され、商品
では金が一人気を吐いた。いずれも安全な資産への逃避と言われています。
 今後を占う上での注目点は、繰り返しになりますが欧米諸国の財政問題と
世界景気の動向になります。いずれ日本もと言うことにはなるでしょが、欧
米での財政再建を進め、バランスシートの修復を図ることは景気が悪くなる
と言う心配がある。現在の米国は何が正しい経済政策なのかはコンセンサス
ができていない状態とも言われ、欧州や日本を含めた先進主要国の景気先行
きがより見えにくくなってきている。8月に入り米国と日本の国債の格付け
が1主要格付け会社で引き下げられた。これを無視すべきとの声はあるが、
経済・財政政策に一定の影響を与えるとの見方が一般的で、舵取りが難しく
なってきている。
 さて視点を変えて、こうした不況警戒論は企業サーベイ指数(企業経営者
による景気判断が主体の指数)に良く表れている。これは金融市場、特に株
式、との類似性もあると言われるため、たびたび引用される。一方で実体経
済を測定した統計は順調な足取りを辿っている。どちらが今後の方向を示す
のかが現在の議論となりつつある。この場では楽観的と言われるかもしれな
いが、世界景気の調整期を脱しつつある、もしくは回復を期待すると言う、
プラスの方向を支持したいと思います。
 最近、これまでもメディア等で取り上げられてきた「産業の空洞化」と言
う問題が再びクローズアップされている。その背景には円高の影響が大きい
が、他に高い法人税率、電力や労働など高い生産コスト、などいくつかの点
が掲げられている。政府は円高に対する緊急対策、海外企業のM&Aや資源・
エネルギーの確保・開発などへの利用を目的とした1000億ドルの基金創設、
を発表した。これについては賛否があり、新規ビジネス拡大のために活用さ
れれば有効との見方だが、政府が海外企業買収を支援することで国内生産の
海外移転が進む可能性があるとも指摘されている。
 以上から、金融市場は今後反対の方向(円高修正、株式の戻り、商品市況
の安定化)を模索していくのではないかと考えます。
  〔なお、ここにお示ししました内容は、可能な限り信頼できる情報に基
   づき記述しておりますが、誤解を生じる記述、筆者の理解の変化等あ
   りましたら後日訂正させて頂く事があります。また、この内容に基づ
   き、証券等の投資で損失を蒙られても責任は負いかねます。〕
 ◆◇◆
2. 年金トピックス ―――――――――――――――――――――――――
企業年金の積立不足ほぼ横ばい
 ―東証一部上場企業の2010年度退職給付会計―
   NPO金融年金ネットワーク DCアドバイザー AFP 社会保険労務士
                              植村昌機
 ◇◆◇
 「年金情報」は東証1部に上場する3月期決算の一般事業会社(8月1日時点
上場)で退職給付債務を持つ1,158社の2010年度退職給付会計の状況をまと
めた。全社の積立不足は(米国会計基準29社の未償却債務を除く)2009年度
比1.1%増と、ほぼ横ばいだった。
 2010年度は日経平均が12%下落したものの、国内債券や外国株式などの運
用がプラスで、年金資産全体では運用利回りのマイナスは小幅にとどまった
ため、積立不足の変動幅は例年より小さかった。
 2010年度末は、退職給付債務のうち63%を年金資産で、28%を退職給付引
当金で手当てし、積立不足の比率は9%で、この内訳は2009年度とほとんど
変わらなかった。
 1. 退職給付債務と年金資産
 全社の退職給付債務は2009年度末比0.04%減の58兆8736億円と横ばいだっ
た。2003年度以降退職給付債務は減る傾向にある。これは代行返上や確定拠
出年金の導入や給付減額など制度再編が大手企業で進んだためである。2010
年度は債務の残高はほとんど変わらず制度再編が一巡した結果と思われる。
 退職給付債務は割引率の変動に影響を受けるが、2010年度はほとんど影響
はなかった。2010年度の割引率の単純平均は2009年度と同じ2.2%だった。
また、割引率を2009年度から変えなかった企業が全体の85%を占めた。
 一方、年金資産は0.3%減の37兆3754億円と、退職給付債務と同様にほぼ
横ばいだった。確定給付企業年金などの2010年度の平均的な運用利回りはマ
イナス0.65%(格付投資情報センター推計)で、年金資産の変動率とほぼ一
致した。
 退職給付引当金は0.1%減の18兆6959億円だった。
 2. 積立不足
 積立不足は、退職給付債務のうち、年金資産や退職給付引当金などで手当
てしない簿外債務をいう。2010年度末全社の積立不足額は1.1%増の5兆3228
億円だった。積立不足の具体的な構成要素は3種類あり、その大半を未認識
数理債務(運用利差損)が占める。2010年度末の未認識数理債務は1.5%増
の5兆6653億円(利差損累計)だった。なお、期待運用収益率の単純平均は2.
5%だった。
 積立不足の「即時認識」を仮に2010年度末に適用していたならば、企業の
自己資本額に及ぼすマイナスの影響度(自己資本の毀損度合い)はどの程度
だったか。法人税の実行税率を40%と仮定した上で、税効果後の影響度合い
である「積立不足×(100-40%)÷自己資本」を集計したところ、1,129社
(米国会計基準を除く)の加重平均値は2009年度末と同じ1.6%と軽微だっ
た。
 3. 退職給付費用
 全社ベースで2009年度比15.7%減の3兆5976億円だった。2010年度に退職
給付費用が減少したのは、2009年度の株価反騰で年金運用が好調だったこと
から多額の利差益(数理差異)が発生、その償却が2010年度から始まったた
めだ。
 「退職給付費用÷営業費用」は、0.76%で、2009年度の0.96%から低下し
た。
 ◆◇◆
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┃ ■NPOアクティビティー
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1. セミナーのお知らせ――――――――――――――――――――――――
 NPO法人 DC協会(確定拠出年金教育・普及協会)主催のセミナー「年金・
退職金総合アドバイザー」資格取得講座(全6回コース)に、当NPOが講師を
派遣しています。東京で、昨秋、今春に開催し好評のセミナーで、今回は大
阪での開催です。
 労働組合内に、年金・退職金制度に関するリーダーを育成するのに最適な
講座ですので、ご参加をお勧めします。
 ◇◆◇
 第1回:企業年金の現状と課題 9月27日(水)18:00〜20:30
 第2回:新企業年金の概要 10月5日(水)18:00〜20:30
 第3回:退職給付会計と年金財政を理解する10月12日(水)18:00〜20:30
 第4回:確定拠出年金制度の制度設計 10月19日(水)18:00〜20:30
 第5回:確定拠出年金制度における投資教育のあり方10月26日(水)18:00〜20:30
 第6回:企業年金制度の再編 11月2日(水)18:00〜20:30
 会場はいずれも、大阪コロナホテル会議室
 *詳しくは、下記にお問い合わせ下さい。
 NPO法人 DC協会
 〒101-0051 東京都千代田区神田神保町3-17-3 都ビル6階
 TEL:03-3222-6113 FAX:03-3222-6008
 E-mail:master@nenkinnet.co.jp
 URL:http://www.nenkinnet.co.jp/dc
2. 出版のお知らせ――――――――――――――――――――――――――
 ◇◆◇
《最新版・2011年版》発売!!
「労働組合のための退職金・企業年金制度移行対応ハンドブック」
日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク共
編 2011年版 平成23年3月31日発行
A4判・118頁・2色刷り・頒価1部1.000円(荷造り・送料実費を頂きます)
  ◆
 2011年は確定拠出年金法と確定給付企業年金法の公布から10年、2012年に
は企業年金が生誕50年を迎え、企業年金の歴史では節目に差し掛かっていま
す。この間、退職給付会計の導入、運用難による年金資産の積立不足、税制
適格退職年金の廃止等を契機に、退職給付制度の再編が進行してきました。
今後も、景気低迷、円高・株安の環境下で企業年金の運営は一層厳しい局面
を迎えています。
 厚生年金基金や税制適格年金から確定給付企業年金に移行して何年もたっ
ていないのに、国際会計基準(IFRS)の動向をにらみ、確定拠出年金に切り
換える動きも出てきています。税制適格退職年金の移行も最終段階に入り、
企業年金の再編は次のステージに入りつつあります。
 本書は、2004年11月に2005年版を創刊以来、本年版で7冊目になります。
本年版は、旧版のデータ等を最新のものに改訂、加筆しました。
 会社から制度再編提案がなされた時点で、労組員の皆様が、公的年金から
会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。そのため
には、年金制度の基本知識と制度移行に際して従業員サイドからの留意点を
組織内で共通認識することが第一歩です。そこで、本書をテキストや副読本
として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。また、加盟単組からの
ご相談があった際に、本書を参考にして対応されている産別も見受けられる
ようになりました。
 □◆□◆□
《創刊!!》
「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」
日本労働組合総連合会
NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク:共編
平成22年11月30日発行
A4判・122頁・頒価1部1,500円(荷造り・送料実費を頂きます)
  ◆
 本ハンドブックは、施行10年目を迎えた確定拠出年金制度が法律制定の趣
旨にそって、「公的年金と相まってサラリーマンの老後生活保障の柱」の一
翼を担える制度に仕上がっていくように、との期待をこめて、主として加入
者、労働組合の立場から課題と対応の「考え方」を示したものです。私たち
の活動の中から、これまでに経験した事例や課題・問題点を踏まえて整理を
行いました。
 第I部は、確定拠出年金制度の概要と基礎知識を法律に沿って解説、第II
部は、制度のポイントである「運用」と「教育」についての考え方と提言、
第III部は制度の課題と展望について述べています。すでに、退職給付制度
の一部または全部を確定拠出年金に移行した労組の皆様には、制度の運営改
善に、これから移行が想定される皆様には、制度設計・運営のご参考になれ
ば幸いです。
 ◆◇◆
 書籍のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら、下記までご連絡をお願い申し上げます。
 内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 →http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm
 お問い合わせ、お申し込みは
 NPO金融年金ネットワーク事務局(
 または電話(03-5444-0539)、FAX(03-5444-0303)まで。
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●次号(90号)は10月3日に送信の予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止/バックナンバー閲覧】
 → http://kinyunenkin.jp/08mailmaga.htm
【内容に関するご意見・ご感想】
本メールの送信アドレスは送信専用ですので、直接ご返信になることはでき
ません。ご意見・ご感想等は、下記アドレスまでお願い致します。
 → 
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