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┃       金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン

┃                     第98号 2012年 6月1日
┃   NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
┃             ホームページ http://kinyunenkin.jp/
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 このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場
 から退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している
 「NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金
 ネットワーク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関す
 る情報や意見交換のスペースをご提供することを目的にしています。企
 画・編集には(株)格付投資情報センターのご協力を頂いています。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■ 目次 ■■
●特集レポート
「企業年金コンサルティングの現場から」(81)
●NPOトピックス
1. マーケットトピックス「円高、株安、長期で見れば……」
2. 年金トピックス「厚生年金基金(総合型)の“行き詰まり”をどう打開す
  べきか」
●連載:年金相談の現場から(7)
「年金制度の現状の課題について」
●NPOアクティビティー
1. 「第18回テーマ別企業年金研究会」開催のお知らせ
2. 出版のお知らせ
◇最新版発売!! 平成24年1月31日発売!
「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2012年版
◇最新版発売!! 平成24年5月31日発売!
「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第2版)
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■特集レポート
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 企業年金コンサルティングの現場から(81)
           (株)格付投資情報センター投資評価本部
           年金事業部担当部長 チーフアナリスト 坂井信夫
 ◇◆◇
 「昨今の運用難により、年金財政は大きく積み立て不足を抱えるにいたっ
た。そこで
 (1)現在の給付水準の維持が困難になったので、基金を解散することに同
   意いただきたい。
 (2)現在の給付水準の維持が困難になったので、給付額を50%カットする
   ことに同意いただきたい。
 さて、今のあなたが年金受給者であったなら、上記の(1)と(2)のどちらを
選択されるだろうか。(問い自体アバウトな表現である。例えば解散する場
合には、何らかの一時金清算が想定されるが、それも積立水準次第なので、
究極の選択肢としては敢えて触れていない。)
 私自身は(2)を選択する。おそらく相当の方が(2)を選択されるものと勝手
ながら想像する。
 AIJ事件の事実解明や責任問題が、いつの間にか代行部分の積立不足、社
保庁天下り問題にすり替わり、最後は制度の廃止まで活字に躍って間もなく
1ヵ月半が過ぎようとしている。今年の5月は例年以上になぜか多忙に感じた
が、それは背景に制度の行方を懸念する雰囲気が蔓延している中で、妙に気
疲れのするミーティングが連続したことも一因ではないかと思っている。
 実際、いくつかの総合基金で、その積み立て状況はまだ健全であるにもか
かわらず、「今のうちにやめてはどうか?」という類の意見が代議員等の口
をつく場面に出くわした。大体その理由は以下の3点に集約される。
 I  日本は少子化が進行するから。
 II 本業の先行きも不透明なのにこれ以上人件費コストをかけられないか
   ら。
 III 将来もし、代行割れとなったために解散となり、その穴埋めの追加負
   担に耐えられなくて会社が倒産あるいは連鎖倒産してはたまらないか
   ら。
 いずれも連日の報道による効果、といえるだろう。報道側に悪意はないの
だろうが、結果として冒頭の究極の選択の(1)を基金が「今のうちに」意思
決定するように仕向けていることになる。今後もし「今のうち解散」が続出
するようなら、それは言ってみれば、厚生年金基金制度への取り付き騒ぎが
起こったということであると、私は認識するつもりでいる。もちろん全ての
厚生年金基金が健全財政にあるなどとは残念ながら思っていないし、そのソ
フトランディングを検討する必要性も否定はしない。しかし、全ての基金が、
受給者を抱えている以上、決して単純に役割を終えた制度という表現で思考
停止して欲しくはない。バランスに配慮した報道を願わないではいられない。
 さて、厚生年金基金制度を悲観的にとらえる、前述の3つの理由を検証す
ると、例えば最初の2つなどは、問題の所在は年金制度ではなく、政治によ
る少子化対策や経済対策の無策にあるといえるだろう。デフレと低金利が長
期にわたる現状は年金制度にとっても最悪の環境だが、国民の生活にとって
も、決してよいことではない。はっきり言って強い経済あってこその手厚い
社会保障である。年金運用の規制を検討するのも結構だが、文字通りの政治
決断が必要なのは、少子化対策と経済政策としての規制緩和ではないだろう
か。社会保障制度の先行きに漂う閉塞感、結局その根本的な処方箋は、急が
ば回れ、でしかないように思う。
 ◆◇◆
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■NPOトピックス
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1. マーケットトピックス ――――――――――――――――――――――
 円高、株安、長期で見れば……
          NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 為替、株式の両市場で変化がありました。為替は逆戻りし米ドルでは再び
80円を下回る円高となり、ユーロに至っては現金通貨と認められた2002年以
降ではリーマンショック時の110円程度も下回り、5/25現在99円となりまし
た。一方、日本の株式市場は昨年11月の日経平均8,200円水準に向けて、3月
高値の10,250円から急落という勢いでした。ちなみにリーマンショック後の
日経平均の安値は7,200円程度ですが、さすがにそこまで下落することはな
いでしょう。いくつかの要因があろうとは思いますが、ギリシャ政治・経済
の先行きが今回の総選挙結果で混沌としてきたことが大きい。「ギリシャ、
ユーロからの離脱」と言うシナリオを想定した動きが既に市場は考えている
ようです。加えて、金融面ではギリシャから同様の不安がポルトガルやスペ
イン、イタリアへ波及しないのか、経済面では欧州経済の減速が中国の貿易
に影響が出始めており、周辺アジア諸国に影響が出ないのか、などギリシャ
だけに留まらない可能性を秘めていると見られています。
 正直言ってここまで大きな市場変化が短期間で起こるとは想像していませ
んでした。不安定な金融市場が故にブレが増幅されたように感じます。ただ、
長期的には為替は円安方向、株式は再上昇を引き続き期待します。日本の株
式が底入れしたとはまだ言えなさそうですが、長い目で見れば底近辺だと思
います。
 ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を確認しておきましょう。12年
の世界経済は米国に牽引される構図になります。当然欧州は「世界恐慌シナ
リオ」の発信源となる心配がありますから、注視が必要です。アジアなど新
興国は米国経済に支えられるでしょう。一方、日本は国内要因が少し勝り、
公共投資の本格化、個人消費が予想外に堅調、などによって経済の安定が図
られる見通しです。今後の課題には、弱い外需、消費税・財政問題など大き
なテーマを抱えてはいますが、身近な問題では電力不足(節電)対応がどう
いう社会的・経済的に影響を与えるのか迷走しそうです。震災、新興国の金
融引き締めによる外需低下に苦しんだ日本は、消費がこれまで経済を支えて
きた。消費の牽引力が今後も続くのか、消費者態度指数などの指標を見てい
ると徐々に落ちていくのではと指摘する人も出始めている。真に日本経済の
立て直しに迫られる時期が早晩訪れるのではないかと期待します。
 最後に今後の注目点を整理しますと、前回と同様ですが欧州問題、日米欧
や中国の金融政策、などに注目しましょう。
  〔なお、ここにお示ししました内容は、可能な限り信頼できる情報に基
   づき記述しておりますが、誤解を生じる記述、筆者の理解の変化等あ
   りましたら後日訂正させて頂く事があります。また、この内容に基づ
   き、証券等の投資で損失を蒙られても責任は負いかねます。〕
 ◆◇◆
2. 年金トピックス ―――――――――――――――――――――――――
 厚生年金基金(総合型)の“行き詰まり”をどう打開すべきか
 NPO金融年金ネットワーク 1級FP技能士 CFP
                              宮本一弘
 ◇◆◇
 AIJ事件により、年金資産の運用に被害を被った多くが、総合型厚生年金
基金に集中したことから、総合型基金の“行き詰まり”をどう打開すべきか、
厚労省は有識者会議(座長・山口横浜国大教授)を設け、在り方について集
中した検討が行われている。
 従来から、厚生年金基金(総合型)については、運用環境が改善すると、
事業主は、「代行返上→解散」または「脱退」の誘惑に陥る矛盾が指摘され
ている。
 運用環境が改善して基金の積立不足が減少する。本来であれば、基金の運
営は正常化してくるわけであるが、その機会をとらえて
 ・代行返上をして解散する
 ・基金から脱退する
という選択へ走る事業主が少なくないからである(この点については、本メ
ルマガの5月号で、坂井氏がその実態を紹介していて興味深い)
 基金の解散・脱退が前提にしている状況は
 (1) 基金の積立不足が拡大し、加入企業が穴埋めのための掛金の追加拠出
  に耐えられず、自社に相当する不足額を一括拠出して基金から脱退する
 (2) 基金そのものが、存続が不可能と判断して解散する
というものである。
・解散に際しては、「解散の要件」が定められている。
 所定の解散の手続、厚生労働大臣の認可を経て「解散」に至る。
・解散に当たっては、「代行給付」を行うのに必要な「最低責任準備金」は、
 原則として「一括拠出」をして充足の必要がある。
 「特例解散」では、最低責任準備金の算定方式を選択出来る仕組みが導入
 されている。“代行割れ”部分の穴埋めは5年、更に10年、15年償却の特例
 も用意されている。
・「最低責任準備金」は、「企業年金連合会」へ移管して、厚生年金の報酬
 比例部分として受給する。
・残余財産があれば、最低積立基準額を規約で定める分配基準で分配して終
 了する。
 この時点で、「上乗せ部分相当額」の取り扱いが労使の検討事項になる。
 解散に至るケースでは、最低責任準備金の水準をクリアしていても、最低
積立基準額を割っているケースが多く、解散→制度終了になって「給付減額」
になるからである。
 解散・脱退の場合には、上乗せ部分は、新規に確定給付企業年金(DB)等
企業年金を新たに設立して、存続を図る努力が労使に求められる。
 上乗せ部分の新制度移行に当たっては、終身年金の廃止、予定利率引き下
げなど「不利益変更」のリスクがあるので慎重な検討が求められる。
 「脱退」の場合も、基本的には「代行返上→解散」のケースと同様な問題
がある。
 従来から、「脱退」の誘惑に駆られる企業は、運用環境の改善によって、
 ・基金の積立不足の状況が改善し、「一括拠出」の負担分が少なくなった。
 ・自社の業績改善によって、利益が拡大するので、「負担金」の処理に引
  当て、以後の積立不足の発生リスクを回避する
というのが動機になると指摘されている。
 「従業員の老後生活資金形成」という、視点は完全に欠落している。
 (総合型)基金は時代の役割を終えたのか?
 今回、集中的に狙われて被害を受けた年金基金が、厚生年金基金(総合型)
に集中した事から、(総合型)厚年基金の存続の意義について議論がある。
 民主党の提言でも、「基金は制度疲労を起こしており、歴史的な役割は終
った。一定の経過期間の後に、制度を廃止する事が政治的な課題だ」(大久
保議員:4/25付読売)という方向が提起されている。
 果たして、そう言い切って良いか?
 同業の中小企業などが集まって作る(総合型)厚年基金は、それぞれの企
業が単独では実施が難しい企業年金制度、特に「終身年金」(年金は、長生
きリスクの保障であるから「終身」が原則)を運営して、中小企業に勤める
従業員へ老後生活保障の柱としての「終身年金」を支給するという役割と、
社会的意義を有しているが、その役割も意義も決して失われたわけではない。
 (総合型)基金の関係者(事業主、基金関係者、加入者=従業員)は、「基
金を存続させる」という方向で知恵を出し合い、政治・行政も存続を支援す
る方向での指導を期待したい。以下、筆者の私見であるが、議論の参考に供
したい
 1. 制度存続議論の中心になる「積立不足」の処理策について
 (1) 現在、「代行割れ」に陥っている基金に対しては、ある時点で財政再
  計算を行い、積立不足額を確定して、厚労省による「再建基金」(仮称)
  等の「指定」を行い、「民事再生」の考え方を取り入れて財政再建を行
  わせる。
   平成バブル崩壊後の処理策として、事業を生かしながら企業を再生さ
  せる方法として「民事再生法」のスキームが追加されて、多く活用され
  ている。総合型基金の再生にもこの考え方を取り入れてはどうか。
 (2) 「再建基金」への指定の段階で、過去の拠出・運用により生じた積立
  不足は、一旦、「基金」内に「別枠」(第二勘定)を設けそちらへ移す
  (債務の新旧分離)。
 (3) 多くの総合型基金は、個々の企業の経営基盤が弱いことから掛金の追
  加拠出(特別掛金拠出)を嫌い、積立不足の解消を、「運用益」に期待
  する傾向がある。
   厚労省の調査(2010年度)でも、掛金算定のベースになる基本部分の
  予定利率は、平均こそ5.3%と若干低下したが、中央値は5.5%であり、
  5.5%に据え置いている基金が大多数であることが読み取れる(年金情
  報:2012・4/16号)。近年の市場環境下では5.5%の運用益達成は難しい。
  勢い“無理な運用”へ走り、損に損を重ねる「損失の拡大」に繋がりか
  ねない。
 (4) 「新勘定」の今後の運用目標になる予定利率は、厚生年金本体の実績
  を用いる。所謂、“ころがし方式”のルールを活用し、以後の運用損失
  の発生を防止する(出血を止める)。過去の積立不足分を取り返そうと
  する“運用益狙い”の無理な運用を避ける仕組み・指導がまず必要であ
  る。
 (5) 基金の「年金会計」は、給付に必要な毎年の支払額ベースで、必要な
  キャッシュ・フローを確保出来ることを基本に予算を策定する指導が必
  要である。
 (6) 別枠の第二勘定へ移した“負の遺産”は、20年〜30年程度の長期償却
  とする。具体的な処理方法は、1 企業の「特別掛金」拠出による穴埋め、
  2 運用環境が好転した場合に生じる予定利率を上回る収益。3 上乗せ部
  分の予定利率変更による給付削減、等労使の痛み分けの努力も必要。
 (7) 厚生年金本体の実績ベースの数値を予定利率として、必要以上にリス
  クを取った運用を回避すれば基金の運営は健全化出来るのではないか。
  現行制度を有効に活用することでも道は開けると思われる。
 最近になって、2004年の「ころがし方式恒久化」以降、代行部分の必要利
回りは、厚生年金本体の実績利回り(過去10年平均1.6%)となっており、
資産運用で無理な運営をしなくても良い制度に既になっている。免除保険料
率が調整されることから、基金の代行部分も「積立て方式」から「賦課方式」
に実質的に変更になっている等、2000年代に入ってからの一連の「財政中立
化措置」について、年金関係者の理解不足、厚労省の啓蒙不足等を指摘する
関係者の意見が見られる。
 これら一連の「財政中立化」施策は、いずれも将来に向けての制度の変更
であり、既に生じた積立不足を補てんする施策ではない。
 年金制度では、運用の失敗により生じた損失の穴埋めは、飽くまで、事業
主の責任であり、事業主が特別掛金で補填するのが制度の決め事であろう。
 現在問題になっていることは、過去の運用により生じた損失を、事業主補
てんを回避し、運用で取り返そうとする行動が生んだ結果なのだ。
 プラン・スポンサーである事業主に遠慮して、関係者の勉強不足にすり替
えることになり、本質をあいまいにする危険はないか?
 2. 年金制度は、長期的なスパンで管理すべきもの
 年金制度の資金運用は、50年・60年の長いスパンで見る必要があり、会計
制度も長期的に基金制度を安定させる制度にしなければならない。
 短期的に、運用損益をBS、PLに表示をして、積立不足を顕在化させる方法
が、年金制度の維持・発展の趣意には沿うのかは疑問とされる。
 株式を上場し、国際的に事業活動を展開する企業は、時価会計、即時認識
といった国際的に通用する会計基準による会計報告が必要である。
 しかし、事業の主体が国内で、株式も上場していない、株主も限定されて
いる、財務諸表も主に税制対応で必要、といった多くの中小企業においては、
国内ルールの年金会計があっても良いのではないか。
 そうすれば、年金資産運用も短期的変動で一喜一憂する“トレーディング
運用”ではなく、マクロ経済の動きなどを取り込んだ長いスパンでの年金資
産の成長を目指せる資産運用の仕組(分散投資によるリスク回避・低減)を
考え、実行出来るのではないか。
 ◆◇◆
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┃ ●連載● 年金相談の現場から(7)
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 年金制度の現状の課題について
   NPO金融年金ネットワーク 1級FP技能士・社会保険労務士 小野隆璽
 ◇◆◇
 これまで、年金制度に対するいろいろな要望・意見が厚生労働省や日本年
金機構に寄せられています。そして現在、税と社会保障の一体改革と合わせ
て、これらの声に対して改善しようという案が、提出されています。そこで、
その中で私も早急に改善してほしいと思っている課題について、今回は紹介
したいと思います。
 1つ目が、「受給資格期間の短縮」についてです。
 これは、無年金者となっている人に対して、納付した保険料に応じた年金
を受給できるようにし、また、将来の無年金者の発生を抑制していく観点か
ら、受給資格期間を、現在の25年から10年に短縮するというものです。
 実は、「受給資格期間の短縮」については、自公政権時代から何度となく
提案されてきた案です。
 実務では、25年を満たせない無年金者(昭和16年4月1日生まれ以前の人)
の相談において、脱退手当金を受給するかどうかという相談に至ることがあ
ります。この脱退手当金を受給してしまうと、これ以降制度が変わっても年
金化できなくなります。このため、相談時点での「受給資格期間の短縮」の
実現可能性をお話ししたなかで、脱退手当金を受給するか、あるいは、もう
少し「受給資格期間の短縮」の実現を待たれるかをアドバイスしてきました。
 そのようなアドバイスをしながら、すでに数年経過しています。そして、
ときどきそのような相談者が私を尋ねてこられ、「小野さん、受給資格期間
を短縮する法律はまだできないの? 待っている間に死んでしまうわ!」と
冗談交じりに話されて帰られることがあります。
 このように、無年金者にとっては、「受給資格期間の短縮」の制度実現を
待ち望んでおられるわけです。
 2つ目が、「繰下げ支給の弾力化」です。
 繰下げ制度は、65歳から支給される老齢基礎年金・老齢厚生年金を66歳以
降の希望する時点から繰下げて受給でき、66歳以降70歳までの間の希望する
時点まで年金を貰わずして、請求した以降増額して終身受給するというもの
です。そして繰下げ請求すると、請求した翌月から増額された年金が支給さ
れます。その増額率は、繰下げ1月につき0.7%が増額されます。1年繰下げ
ると8.4%増額、5年繰下げると42%増額されます。
 ところで、この繰下げしていた人が70歳時点で請求せず、70歳を超えて請
求した場合、どのようになるのでしょうか?
 この場合、繰下げ請求した翌月から増額された年金が支給されるが、増額
率は70歳請求と同じ42%のままです。すなわち、支給されるのは、請求した
翌月からにもかかわらず、70歳から請求月までの増額はなく、70歳時点と同
じ42%しか増額されません。
 例えば、72歳で繰下げ請求した場合、70歳から72歳の2年間の年金は支給
されないにもかかわらず、増額は42%しかされません。
 年金制度は請求主義のため、請求しなければこのような結果になってしま
います。
 年金相談現場においては、このような制度を知らずに、70歳を超えてから
繰下げ請求しにこられた人はほとんど不満を漏らされます。ひどい人になる
と1時間以上もわめきたてられて帰られます。年金制度の問題と、人そのも
のの問題が表面化したような現場となることがあります。
 そこで、現状このような問題に対して、70歳を過ぎてから請求があった場
合でも、70歳の時点からの遡及支給をしようという案がこの「繰下げ支給の
弾力化」です。
 以上が、私がぜひ早急に改善してもらいたいと考えている課題です。
 皆さんはいかがお考えなされるでしょうか。
 ◆◇◆
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┃ ■NPOアクティビティー
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1. 「第18回テーマ別企業年金研究会」開催のお知らせ ―――――――――
 「労働組合は確定拠出年金の課題にどう対応すべきか」
  ―施行10年の評価と法改正―
 確定拠出年金は、年金額を会社が保証する従来の確定給付型年金制度とは
異なり、個人の運用次第で年金額が変わる制度。2001年10月に導入されて10
年を経過し、現在16.087社、加入者420万人(2011年12月末現在)に普及し
ています。しかし、昨今の金融市場の激変で、2011年9月末現在加入者の平
均運用利回りは、マイナス1.89%と悪化、58%の人が元本割れと低水準に留
まっています(「日経年金情報」2011年9月調査)。さらに、平均利回り2%
を超えている人は0.3%であり、制度設計上の想定利回り平均2.16%(企業
年金連合会、2010年9月調査)を達成し、退職時目標額を確保できた人は、
ほぼ皆無というのが現実です。
 一方、運用リスクを企業が負う確定給付型年金制度も、運用環境の悪化か
ら多大な積立不足を抱え、後発債務の発生しない確定拠出年金に移行する企
業が続出しています。さらに、国際会計基準の動向からも、退職給付会計の
対象外となる確定拠出年金への移行を求める企業の動きが加速すると予想さ
れます。
 この研究会では、このような確定拠出年金の厳しい運用状況に鑑み、特に
「資産運用」と「投資教育」に重点を置き、導入時の労使交渉のポイントや
導入後のチェック機能の強化をはじめとする諸課題を提示し、どう対応すべ
きかを考えます。
 また、2011年8月の年金確保支援法の成立に伴い確定拠出年金法の改正が
あり、マッチング(加入者)拠出等が認められることになりましたので、そ
の意義と留意点を解説します。
 組合員の老後生活を支える大事な企業年金制度をどう守っていったらよい
か、皆様と共に考えたいと思います。関係者のご参加をお待ちしています。
                記
 1. テーマ:「労働組合は確定拠出年金の課題にどう対応すべきか」
       ―施行10年の評価と法改正―
 2. 日 時:平成24年7月5日(木)14:00〜16:00(受付開始13:30)
 3. 会 場:日本労働組合総連合会 3階AB会議室
      (千代田区神田駿河台3-2-11 総評会館)
 4. 参加人数:30〜40名程度(構成組織(含む単組)、地方連合会の政策担
       当者ほか)
 5. 参加費:資料代1名様2,000円
 6. 内 容:「労働組合は確定拠出年金の課題にどう対応すべきか」
       講師:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
       副代表理事 宮本一弘
 7. 主 催:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
   後 援:日本労働組合総連合会
 8. お申込み先:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(植村、
       宮本)
 電話03-5444-0539、FAX:03-5444-0303
 E-mail:  URL:http://kinyunenkin.jp/
 ◆◇◆
2. 出版のお知らせ ―――――――――――――――――――――――――
 ◇◆◇
 《最新版・2012年版》 平成24年1月31日発売!!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」
 日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
共編
 2012年版 平成24年1月31日発行
 A4判・122頁・2色刷り・頒価1部1,000円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 2012年は確定拠出年金法と確定給付企業年金法の公布から10年、企業年金
が生誕50年を迎え、企業年金の歴史では節目に差し掛かっています。この間、
退職給付会計の導入、運用難による年金資産の積立不足、税制適格退職年金
の廃止等を契機に、退職給付制度の再編が進行してきました。今後も、景気
低迷、円高・株安の環境下で企業年金の運営は一層厳しい局面を迎えていま
す。
 厚生年金基金や税制適格退職年金から確定給付企業年金に移行後に、国際
会計基準(IFRS)や財政運営基準の厳格化の動向をにらみ、キャシュバラン
ス・プランや確定拠出年金に切り換える動きも出できています。確定拠出年
金も個人資産の運用難による目標金額の未達成、投資教育の内容・頻度、運
用商品開発の不足等、課題が発生しています。厚生年金基金についても、AI
J事件を契機に構造的な課題が表面化しています。
 本書は、2004年11月に2005年版を創刊以来、本年版で8冊目になります。
本年版は、旧版のデータ等を最新のものに改訂すると共に、確定給付企業年
金に関する記述を拡大・加筆しました。
 会社から制度再編提案がなされた時点で、労組員の皆様が、公的年金から
会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。そのため
には、年金制度の基本知識と制度再編に際して従業員サイドからの留意点を
組織内で共通認識することが第一歩です。そこで、本書をテキストや副読本
として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。また、加盟単組からの
ご相談があった際に、本書を参考にして対応されている産別も見受けられる
ようになりました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 《最新版発売!!》
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第2版)
 日本労働組合総連合会
 NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク:共編
 平成24年5月31日発行
 A4判・122頁・頒価1部1,500円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 本ハンドブックは、施行10年目を迎えた確定拠出年金制度が法律制定の趣
旨にそって、「公的年金と相まってサラリーマンの老後生活保障の柱」の一
翼を担える制度に仕上がっていくように、との期待をこめて、主として加入
者、労働組合の立場から課題と対応の「考え方」を示したものです。私たち
の活動の中から、これまでに経験した事例や課題・問題点を踏まえて整理を
行いました。
 第I部は、確定拠出年金制度の概要と基礎知識を法律に沿って解説、第II
部は、制度のポイントである「運用」と「教育」についての考え方と提言、
第III部は制度の課題と展望について述べています。
 本書は、旧版のデータを最新のものに改めにとともに、マッチング拠出等
が認められた法改正に対応し第2版として発行するものです。。
 すでに、退職給付制度の一部または全部を確定拠出年金に移行した労組の
皆様には、制度の運営改善に、これから移行が想定される皆様には、制度設
計・運営のご参考になれば幸いです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 書籍のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら、下記までご連絡をお願い申し上げます。
 内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 →http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm
 お問い合わせ、お申し込みは
 NPO金融年金ネットワーク事務局(
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●次号(99号)は7月2日に送信の予定です。
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