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┃       金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン

┃                     第125号 2014年9月1日
┃   NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
┃             ホームページ http://kinyunenkin.jp/
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 このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場
 から退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している
 「NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金
 ネットワーク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関す
 る情報や意見交換のスペースをご提供することを目的にしています。企
 画・編集には(株)格付投資情報センターのご協力を頂いています。
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■■ 目次 ■■
●特集レポート
「企業年金コンサルティングの現場から」(108)
●NPOトピックス
 1. マーケットトピックス「確定拠出年金における資産運用の観点からの
   マーケットの見方(5)」
 2. 年金トピックス「多様化するハイブリッド型企業年金」
●連載:年金相談の現場から(34)
「年金額改定時のマクロ経済スライドについて」
●NPOアクティビティー
 出版のお知らせ
◇最新版・2014年版 平成26年2月28日発売!
「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2014年版
◇最新版好評発売中!! 平成26年5月30日発売!!
「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第3版)

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┃ ■特集レポート
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 企業年金コンサルティングの現場から(108)
           (株)格付投資情報センター投資評価本部
           年金事業部担当部長 チーフアナリスト 坂井信夫
 ◇◆◇
 過去に何回か触れてきていると思うが、厚生年金基金にとって、9月は決
算代議員会の季節である。基本的に事業執行は年度単位であるのだが、財政
の負債サイド、国の代行部分の債務計算が確定するのが、8月になってしま
う関係で、約半年遅れての「平成25年度決算」議決となるのが実情である。
 代議員会とは厚生年金基金における最高の意思決定機関といっていいが、
その性格は会社に例えると、理事会が役員会で代議員会は株主総会的な感じ
がする。しかし、今年の代議員会は、おそらくかなり重いテーマを検討議論
することになるだろう。
 行政当局は、厚生年金基金の制度廃止を見越し、基金財政の健全化促進を
テコ入れする。具体的には25年度決算の結果、最低責任準備金と数理債務の
合計値に対する純資産の割合が0.94倍に満たなければ、27年度よりその不足
分に掛金投入する等の対応を求めていくはずである。そしてこの0.94倍とい
うハードルは、26年度末0.96倍、27年度末0.98倍、28年度末以降は毎年1.00
倍と毎年引き上げられていく。厚生年金基金の存続基準である、5年後の1.0
倍というのもここからきている。この期に及んで代行給付を継続する場合、
なかなか厳しいムチが待っているのである(もちろん代行割れなどは論外)。
 では、この3月に0.94倍を未達であるが追加負担などとても難しいという
基金はどうするか。実はこの場合「アメ」が用意されている。向こう5年以
内に代行資産を返上するという方針を代議員会で決議すれば、とりあえず当
面の追加負担は猶予されるようである。
 いずれにしても厚生年金基金がとり得る選択肢は、以下の4つしかないの
が現実だ。

 (1)現状のまま代行給付を継続
 (2)代行返上して加算年金のみで継続(確定給付企業年金基金)
 (3)代行返上して加算資産は清算して一度解散し、間髪入れず後継制度を
   立ち上げる
 (4)解散(代行資産は返上、加算資産は分配)

 さて、とある団体が、ある地方ブロックの基金に実施したアンケート調査
によると、回答基金のうち上記(1)を基本方針としている基金は1割に満たな
い。おそらく前述の0.94倍以上を満たしている基金であろう。また、上記(2)
あるいは(3)を方針としている基金は回答数の約3割となっている。そして(4)
を選択した基金およびこれから検討という基金がともに約3分の1ずつという
内容である。
 方針は今一切変更できないというものではないが、代行返上方針が多数を
占めていくであろうことは容易に想像つくところだ。だが、忘れてはならな
いことがある。それは(1)〜(4)の特に(3)と(4)については受給者を「切り捨
てる」という事実である。仮に解散となれば、一日でも早くやめたいという
のが事業主の気持であるし、それも理解はできる。ただし受給者の理解を、
受給者への説明責任をなおざりにしたまま話が進んで行ってしまうことに本
当に問題はないのだろうか。代議員会の構成員に受給者代表はいないのであ
る。
 ◆◇◆

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┃ ■NPOトピックス
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1. マーケットトピックス ――――――――――――――――――――――
 「確定拠出年金における資産運用の観点からのマーケットの見方」(5)
  好調米国は利上げ前倒しも、日本は消費増税の決断が最大の難所に
                 NPO金融年金ネットワーク
                 DCアドバイザー・CFP   宮本一弘
 ◇◆◇
 米国経済が順調な回復軌道に乗って、強さを取り戻すなか、FRBは、米公
開市場委員会(FOMC)の定例の会合の都度、100億ドルずつ資産購入額の縮
小を決定していて、現状のペースが維持されるならば10月のFOMCで150億ド
ルの購入を最後に、債券の購入(QE3)を終了するとみられている。その後
の相場展開、利上げ(FF金利)の時期を巡って世界の金融市場は神経質な動
きになっている。
 昨年5月、バーナンキ前議長が米議会証言で量的緩和の早期縮小に言及し
た“ショック”は大変大きく、日経平均は1日で1,000円以上も急落し、新興
国からは投資資金が逃げ出し、市場は大揺れになった記憶がまだ生々しい。
米国では、長期金利が上昇し住宅市場回復の流れに“棹さす”ことにもつな
がった。
 今年3月、イエレン議長はFOMC後の記者会見で、記者の質問に答える形で、
“最初の利上げは、資産購入打ち切り後6ヵ月を経過したあたり”と発言し、
「2015年4〜6月期にも?」と、それまでの「2015年の終り頃」(2015年10〜
12月期)との市場コンセンサスにショックを与えた。イエレン議長も反響の
大きさをみて、その後、機会をとらえて利上げの時期は、各種経済指標の推
移をみて慎重に判断するとして、市場の鎮静化に努めたこともあり、現在は、
「2015年の半ばから秋」にかけての時期に、最初の利上げが始まるとのコン
センサスになっている。
 FRBが、景気の判断材料とする雇用統計のなかの「非農業部門新規雇用者
数」は、6ヵ月連続で、失業率を下げるのに必要とされる「前月比20万人増」
を記録。「失業率」(U3失業率:一般的な失業率。職探しを諦めた人は失業
者としてカウントしない)も6.2%。「GDP成長率」も年率換算4.2%(既報
値)と高い水準になるなどFRB関係者からも利上げが必要との意見が浮上、
7月のFOMCでも、利上げの具体策が突っ込んで検討されていることが明らか
になっている。
 一方、イエレン議長は、FRBの使命である「景気」(物価)と「雇用」の、
特に「雇用」について、以前から“労働の質”を重視して判断していると述
べている。具体的には

 「労働参加率」…63%で近年最低の水準
 「長期失業者の比率」(27週以上の失業者の失業者全体に占める比率)…
  33%で一時より低下したとはいえ、依然、失業者の1/3を占める高い水準
 「失業率」(U6失業率:足元で職探しをしていなくてもパートタイムなど
  一定の条件に該当すれば失業中と看做す広義の失業率)…12.1%
 「賃金上昇率」(実質ベース)…前年比弱含みの横ばい

などを総合的に組み合わせて判断していることを公表している。これは、
2008年の金融危機をきっかけに多くの労働者が職探しを諦めたことにより従
来の指標だけでは実態がつかみ難くなったことが原因とされる。
 イエレン議長は直近の議会証言で、「景気回復はまだ完了していない。失
業者も多過ぎる。高度の金融緩和が適切」と早期利上げを牽制する姿勢を示
している。また、フィッシャー副議長も、8/11の講演で「生産性の伸びの鈍
化や、労働参加率の低下が正常に戻ったかなお不明」と、早期利上げに距離
を置く発言をしている。こうした中、毎夏恒例の、カンザスシティー連銀が、
ワイオミング州のジャクソンホール(地名・米国でも代表的な保養地の一つ)
で世界の中銀関係者を招いて開催する年次経済シンポジウムが8/21〜23の3
日間行われた。
 8/22、講演したイエレン議長は、「米経済は、大恐慌以降で最も大きく、
かつ長期にわたる雇用喪失からの回復過程で、相当な進展を遂げて来た」と
指摘、FRBの非伝統的金融政策の効果を強調したうえで、失業率が予想以上
に速いペースで低下したとしつつも失業率のみを指標として米労働市場の健
全性を判断することは不十分であり、「依然、多大なスラック(緩み)が存
在する」と強調。「進行している労働市場の構造変化や、深刻な景気後退が、
労働市場の機能に永続的な変化を及ぼした可能性によって、完全雇用に近付
いているかの見極めは困難になった」、「こうした環境下では適切な政策を
策定するための単純なやり方はない。既定の政策路線にコミットせず、入手
される指標や情報に基付き政策を決定する実用主義的な政策アプローチが必
要」と主張した。一方で、「FRBが労働市場に存在する緩みの度合いを見誤
った恐れもあり、その場合には早期に利上げに進む可能性がある」ことを認
めつつも、「景気回復が腰折れするリスクや、求職を諦めていた人たちが労
働市場に戻ってくることでインフレ圧力が緩和される可能性がある」とも指
摘、FRBが直面しているジレンマも認めた。利上げの時期について「労働市
場の状況が一段と急速に改善すれば、現在想定されているよりも早い時期に
実施され、景気が期待を裏切る動向となれば後ずれすることになる」、「FR
Bは、慎重に利上げ開始時期を見極めてゆく必要がある」と述べた。
 米国の利上げを巡って金融市場が神経質になるのは、一般に、「利上げ」
は、株式市場にとって“売り”要因とされているためである。しかし、日経
ヴェリタス誌8/17号によると、1980年代以降、過去4回のFRBの利上げ局面の
うち3回は、その後株式市場(MSCIワールド指数)は上昇していると報じて
いる。景気が順調に拡大していて、過熱=バブル化を抑える目的で着実な金
融政策(引き締め)を行っていると受け止められているためとされる。それ
でも、利上げをする場合、実際にFF金利が市場で上がって行くためには、現
在、市場に供給されている潤沢な資金量が、経済の実態が必要とする資金の
量へ絞られていないと効果は発揮できない。
 潤沢に供給された流動性が牽引する市場は、一旦、終了に向かうことは間
違いない。所謂“潮目が変わる”ことになる。

 さて、日本。8/26、政府が発表した8月の「月例経済報告」では、景気の
基調判断を「緩やかな回復基調が続いており、消費税率引き上げに伴う駈込
み需要の反動も和らぎつつある」として7月の判断を据え置いた。4月の増税
以来、政府・当局者は「増税前の駈込み需要は想定以上、増税後の落ち込み
は想定内、回復のピッチは速い」との説明を繰り返してきた。多くのマスコ
ミ報道もそれと軌を一にしてきた。
 4〜6月期の経済統計が出揃ったが、「実質GDP成長率」は前期比年率6.8%
減の落ち込みになった。前回97年の3%から5%への増税時の4〜6月期は3.5
%減だったので、今回は大幅な落ち込みといえる。1〜3月期に6.1%増の駈
込み需要があり、その反動による減少が大きく出たことはあろう。しかし、
問題はその内容である。「個人消費」が前期比5.0%減と大きい。今回の増
税の影響を強く受けているのは「家計部門」といえる。5月の消費支出は前
年比8.0減と、東日本大震災時(11年3月)の8.4%減に次ぐ大きさ。6月には
3.0%減と回復傾向にあるが緩慢である。物価上昇を考慮した「実質賃金」
は、6月も前年比3.2%減と低水準である。一部上場大企業を中心に賃上げ・
賞与増はあったが中堅・中小企業への波及は限定的で、増税による物価上昇
に食われているのが実態と思われる。消費増税に加え、ガソリン価格の上昇、
値上げが予定される電気料金、猛暑・大雨による生鮮食品の値上がりなど等、
家計部門への打撃は大きい。
 4〜6月期GDP統計で注目されるのは、「円安」の定着にもかかわらず、「輸
出」が0.4%減に終わったことであろう。円安にもかかわらず輸出が伸びな
い理由として、日本経済の「構造的な要因」と「景気循環的な要因」がある
とされる。前者は、度々の円高の経験に鑑みて、企業は、日本からの「製品
輸出」から、「消費地生産・消費地販売」(所謂、現地生産)に切り替えた
ことが大きいといわれている。この流れは今後も継続するとみられているこ
と。後者は、日本からの輸出先(地域別)で50%以上を占めているアジア市
場が、中国の景気減速の影響でアジア全域で景気が鈍化していて、日本から
の輸出不振に繋がっていると見られていること等である。これらはいずれも、
急に回復するとは考えにくい。
 4〜6月期の減少が大きかっただけに、7〜9月期は落ち込んだ分が戻り、プ
ラスにはなるであろうが「消費増税のマイナス効果が峠を越えたという判断
は間違っている」(本田内閣官房参与。8/27:産経朝刊)と同じ様な見方は
少なくない。4月増税の悪影響が払拭されていない状況で「増税は国際公約」
とはいえ、連続増税を行い、ようやく動き出したかに見える「デフレ脱却」
「潜在成長率アップ」の根本の政策に水を差すことにならない様、慎重な政
策決定が望まれる。
 ◆◇◆

2. 年金トピックス ―――――――――――――――――――――――――
 多様化するハイブリッド型企業年金
        NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士
        DCアドバイザー・AFP            植村昌機
 ◇◆◇
 国内には、すでにハイブリッド年金制度として、2004年4月から「キャッ
シュ・バランス・プラン」(以下CB)が導入され、上場企業を中心に普及し
ている。従来のCB に加えて、2014年4月の法改正により、「運用指標型確定
給付制度(BR制度)」の導入が決まった。
 従来のCBでは個人別に仮想的な勘定を管理し、多くの場合、指標利率とし
て国債利回りの実績を個人勘定に付利している。金利が上がれば給付額が増
え、金利が下がれば給付額が減る構造になっている。
 金利が上がれば給付が増えるが、退職給付債務を計算する割引率が上がる
ので債務は少なくなり、逆に金利が下がると給付が下がるが退職給付債務が
上がり、退職給付債務の安定化につながる。この点でCBは金利リスクを防御
できても、運用リスクには無防備といえる。指標利率は、制度資産とは無関
係に設定されていて、資産の運用は個人勘定とは別に企業が一括して行って
おり、資産運用における利差損益は指標利率ではなく、予定利率と運用実績
との差で認識されるからである。
 そこで、運用リスクも吸収できる新たなCBとして、「運用指標型確定給付
制度(BR制度)」の導入が決まった。CBの誕生以来12年振りに実現したハイ
ブリッド年金制度である。
 この制度は、個人勘定に付利する指標利率は国債などではなく、基本ポー
トフォリオの実績利回りとなる。マイナス運用時には、そのままマイナスリ
ターンを給付額に反映できる。運用利回りがマイナスの局面では、年金財政
上の数理債務や会計上の退職給付債務が減る。資産側の運用の変動の影響を
債務側で吸収することができる。
 BR制度では、従来の確定給付型と比べて企業側に財政運営の上で好都合だ
が、注意点もある。積立期間中には付利利率がマイナスとなることはできる
が、最終的には個人への給付は、企業が元本保証する必要がある。元本割れ
の場合は、不足分を企業が補填するルールだ。また、通常のCBは、指標利率
と割引率は同じ国債を参考に決めるため相関性がありそのため退職給付債務
の変動が抑制されるが、BRの場合は、積み上げ段階では運用実績を使い、割
引段階で国債利率中心の割引率を使うためレートの格差からBRの債務は相対
的に割高感がある。
 加入者サイドからも注意すべき点がある。従来のCBでも給付額の変動はあ
るが、金利なので限定的であるが、BRでは、運用環境がそのまま給付に直結
する。運用環境が良い局面で退職する加入者と悪い局面で退職する人では給
付水準に大きな格差が生じる。企業がBR制度を運営するにあたって、加入者
への説明だけでなく、基本ポートフォリオを策定するにあたって、加入者が
関与できる体制づくりが重要となる。
 ◆◇◆

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┃ ●連載● 年金相談の現場から(34)
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 年金額改定時のマクロ経済スライドについて
   NPO金融年金ネットワーク 1級FP技能士・社会保険労務士 小野隆璽
 ◇◆◇
 最近、年金額の改定について、新聞やテレビで「マクロ経済スライド」と
いう表現がよく使われています。そこで、今回はこの「マクロ経済スライド」
について、少し専門的になりますが解説させていただきます。

 「マクロ経済スライド」という仕組みは、平成16年の年金制度改正におい
て、導入されており、その基本的な考え方は以下のとおりです。

 年金制度の将来にわたる財政の均衡をみる場合、給付と負担の関係は、想
定した人口構造や賃金をはじめとする経済状況などの社会経済情勢に変動が
生じた場合、その変動に応じて変化します。
 このような社会経済情勢の変動に対して、これまでは5年ごとの財政再計
算の際に、人口推計や将来の経済の見通し等の変化を踏まえて、給付内容や
将来の保険料水準も見通してきましたが、その結果として、若い世代にとっ
ては将来の給付水準も保険料水準も見通しにくいものとなり、年金制度に対
する不安につながっているとの意見が強まっています。
 そこで、5年に1度の財政再計算時ごとに、まず給付水準を設定し、そこか
ら将来必要な負担(保険料)水準を設定するという、従来の給付と負担の見
直し方法を改め、まず、保険料の引上げを極力抑制しつつ、将来の負担(保
険料)の上限を設定して固定し、その保険料上限による収入の範囲内で給付
水準を調整するというように、新しい給付と負担の見直しの方法(保険料水
準固定方式)が導入されることになりました。
 そして、保険料水準固定方式では、最終的な保険料水準を法律で定めたう
えで、その保険料水準の範囲内で給付を行うことを基本とし、少子化等の社
会経済情勢の変動に応じて給付水準を自動的に調整する仕組みとして、「マ
クロ経済スライド」という仕組みが導入されました。

 この「マクロ経済スライド」という仕組みは、社会全体の年金制度を支え
る力の変化と、平均余命の伸びに伴う給付費の増加というマクロで見た給付
と負担の変動に応じて給付水準を調整するという考え方で成り立っています。
 すなわち、今後、少子化の影響により、年金制度を支える現役世代の人数
が減少していきます。この支え手である被保険者数の減少分を、毎年度の年
金額の改定率(スライド率)から減じることにより、給付水準を調整し、年
金制度を支える力の変動に応じた給付水準の調整を行うことになります。
 また、平均余命の伸びにより、年金の給付に要する費用もそれに応じて増
大が見込まれることから、平均余命の伸び率分を毎年度の年金額の改定率か
ら減じることで、給付水準の調整を行うこととされています。
 給付水準の具体的な調整方法は、公的年金全体の被保険者数の減少率に平
均余命の伸びを勘案した一定率を加えた率(スライド調整率)の分だけ年金
改定率(スライド率)を減じることとなります。
 また、スライド調整においては、2つの要素である労働力人口(被保険者
数)の変動率と平均余命の伸びがあり、以下の推計がなされています。

 (1)保険料を負担する現役世代の支える力の減少を反映した調整
   =>2004年から2025年間の平均では、▲0.6%程度の調整
 (2)平均的な年金受給期間(平均余命)の伸びによる給付費総額の増大を
  勘案した調整
   =>▲0.3%程度の調整

 すなわち、スライド調整率は、(1)(2)により、平成37年度までは平均
▲0.9%程度と予測されています。

 このような仕組みが、「マクロ経済スライド」であり、平成27年4月から、
年金額が本来水準になるとともに、「マクロ経済スライド」が発動されるこ
とになります。
 そして、具体的な年金額改定は、毎年度、物価や賃金の増減率に、さらに
スライド調整率(▲0.9%程度)が加味されたなかで行われます。
 なお、物価や賃金の伸びが小さい場合などにおいて、スライド調整を行う
と年金額がマイナスとなってしまうケースなどにおいては、実際の調整幅は、
年金額がマイナスとならないような仕組みも導入されています。
 非常に難しい仕組みですが、平成27年度から、この考え方による年金額の
改定がなされる予定です。
 ◆◇◆

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┃ ■NPOアクティビティー
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
出版のお知らせ―――――――――――――――――――――――――――
 ◇◆◇
 《最新版・2014年版》平成26年2月28日発売!!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2014年版
 日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
  共編
 A4判・136頁・頒価1部1,000円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 確定拠出年金法と確定給付企業年金法の公布から10年以上が経過し、この
間、退職給付会計の導入、運用難による年金資産の積立不足、厚生年金基金
の代行返上、税制適格退職年金の廃止等を契機に、退職給付制度の再編が進
行してきました。
 厚生年金基金や税制適格退職年金から確定給付企業年金に移行後に、国際
会計基準(IFRS)や財政運営基準の厳格化の動向をにらみ、キャッシュバラ
ンス・プランや確定拠出年金に切り換える動きも出てきています。確定拠出
年金も個人資産の運用難による目標金額の未達成、投資教育の内容・頻度、
運用商品開発の不足等、課題が発生しています。さらに、厚生年金基金改革
法が2014年4月に施行され、解散や移行先制度の検討等、企業年金の再編は
第2のステップに入りつつあります。
 本書は、2004年11月に2005年版を創刊以来、本年版で10冊目になります。
本年版は、旧版のデータ等を最新のものに改訂すると共に、確定給付企業年
金に関する記述を拡大・加筆、IFRSの概要、厚生年金基金改革と労働組合の
対応、年金ガバナンス体制の見直し・強化等、大幅に加筆しました。
 会社から制度再編提案がなされた時点で、労組員の皆様が、公的年金から
会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。そのため
には、年金制度の基本知識と制度再編に際して従業員サイドからの留意点を
組織内で共通認識することが第一歩です。そこで、本書をテキストや副読本
として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。また、加盟単組からの
ご相談があった際に、本書を参考にして対応されている産別も見受けられる
ようになりました。

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 《最新版発売中!!》平成26年5月30日発売!!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第3版)
 日本労働組合総連合会
 NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク:共編
 平成24年5月31日発行
 A4判・122頁・頒価1部1,500円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 本ハンドブックは、施行13年目を迎えた確定拠出年金制度が法律制定の趣
旨にそって、「公的年金と相まってサラリーマンの老後生活保障の柱」の一
翼を担える制度に仕上がっていくように、との期待をこめて、主として加入
者、労働組合の立場から課題と対応の「考え方」を示したものです。私たち
の活動の中から、これまでに経験した事例や課題・問題点を踏まえて整理を
行いました。
 第I部は、確定拠出年金制度の概要と基礎知識を法律に沿って解説、第II
部は、制度のポイントである「運用」と「教育」についての考え方と提言、
第III部は制度の課題と展望について述べています。
 本書は、旧版のデータを最新のものに改めにとともに、マッチング拠出等
が認められた法改正に対応し第3版として発行するものです。
 すでに、退職給付制度の一部または全部を確定拠出年金に移行した労組の
皆様には、制度の運営改善に、これから移行が想定される皆様には、制度設
計・運営のご参考になれば幸いです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 書籍のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら、下記までご連絡をお願い申し上げます。
 内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 →http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm
 お問い合わせ、お申し込みは
 NPO金融年金ネットワーク事務局(
 または電話(03-5444-0539)、FAX(03-5444-0303)まで。

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●次号(第126号)は10月1日に送信の予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止/バックナンバー閲覧】
 → http://kinyunenkin.jp/08mailmaga.htm
【内容に関するご意見・ご感想】
本メールの送信アドレスは送信専用ですので、直接ご返信になることはでき
ません。ご意見・ご感想等は、下記アドレスまでお願い致します。
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