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┃       金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン

┃                     第127号 2014年11月4日
┃   NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
┃             ホームページ http://kinyunenkin.jp/
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 このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場
 から退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している
 「NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金
 ネットワーク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関す
 る情報や意見交換のスペースをご提供することを目的にしています。企
 画・編集には(株)格付投資情報センターのご協力を頂いています。
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■■ 目次 ■■
●特集レポート
「企業年金コンサルティングの現場から」(110)
●NPOトピックス
 ★今からでも聞いてみよう投資の話(1)
  「ファイナンスとは」
 ★マーケットトピックス
  「株式市場は大荒れも米経済依然堅調、ユーロ・日本・新興国に暗雲漂
   う」
 ★年金トピックス
  「2013年度の企業年金資産の修正総合利回りは8.80%、3年連続のプラ
   ス運用――企業年金連合会・2013年度資産運用実態調査から」
●年金相談の現場から(36)
「厚生年金基金の見直しの制度改正について」
●NPOアクティビティー
 出版のお知らせ
◇最新版・2014年版 平成26年2月28日発売!
「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2014年版
◇最新版好評発売中!! 平成26年5月30日発売!!
「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第3版)

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■特集レポート
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 企業年金コンサルティングの現場から(110)
           (株)格付投資情報センター投資評価本部
           年金事業部担当部長 チーフアナリスト 坂井信夫
 ◇◆◇
 厚生年金基金制度の廃止ばかりが議論されていた頃、後継制度のあり方を
議題にしないことを疑問視したことがある。だが今年4月の改正厚年法施行
以降、社会保障審議会の企業年金部会において、このあたりのことは徐々に
議論され、煮詰まりつつあるようだ。
 その企業年金部会が公表している資料にはいくつか興味深いデータがある
のだが、その中の二つに今回は触れたいと思う。
 一つは「中小企業の企業年金実施割合」という数字だ。2008年と2013年の
企業規模別に退職給付の実施状況を調査している。「年金がある企業」、「一
時金のみの企業」、「退職給付がない企業」の三種類に分けているのだが、
従業員1,000人以上または、300人以上1,000人未満のグル―プでは、年金が
ある企業の割合がほぼ横ばいであるのに対して従業員300人未満あるいは100
人未満のグループでは年金がある企業の比率が4割程度減少し、退職給付が
ない企業の比率が5割程度増加している。5年間の間には、ご承知の通り2012
年3月の「適格年金制度の廃止」があった。受給権保護の視点が弱いという
ことから制度の廃止に至ったと記憶するが、結果として企業年金難民が増え
てしまったのは事実のようだ。ほとんどが中小企業で構成される総合型とい
っていい厚生年金基金制度を廃止すれば、同じようなことが起こるのでは、
ということは容易に想像がつく。
 企業年金部会でも、適格年金廃止の悪影響を意識しているわけなので、同
じ轍を踏まない対策を検討していただきたいものである。
 二つ目のデータは非正規労働者と企業年金というものである。2010年に厚
生労働省が行った「就業形態の多様化に関する総合実態調査」に基づくデー
タであるが、そこにある「正社員」と「正社員以外の労働者」の待遇の違い
には考えさせられるものがある。例えば「厚生年金」制度について、正社員
はほぼ100%適用されているのに対し、非正社員の比率は51%程度である。
健康保険や雇用保険も同様の数値が並んでいる。世にいう制度適用の有無に
よる格差は、こういう数字を目にすると確かに存在することがわかる。先の
財政検証において、公的年金財政に好影響を与えうるとされたパート労働者
への厚生年金適用拡大だが、現状でパートタイム労働者の厚生年金適用はお
よそ3人に1人という状況だ。これは今後どこまで拡大するだろうか。
 そういう中で企業年金の項についてみると、正社員の実施が30.7%に対し
て非正社員はわずか6%であった。正社員の実施状況割合もそれほど高くは
ないのだが、非正社員の数値も極めて低いものとなっている。
 マクロスライドの発動などにより、今後とも公的年金の給付額は徐々に減
額調整されていくだろう。この公的年金の減額調整が進むほど、それを補完
する意味で企業年金の役割は重要さをより増していくことを考えると、現状
の数値は少しさびしいものに思える。
 二つのデータを踏まえると、中小企業の社員や非正規労働者に、今まで以
上に拡大浸透していくような企業年金制度の確立が望まれよう。雇用形態の
多様化やキャリアアップのための転職が好意的になされる時代背景も踏まえ
た、痒いところに手が届く制度が誕生することを祈りたい。
 ◆◇◆

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┃ ■NPOトピックス
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★今からでも聞いてみよう投資の話(1) ――――――――――――――――
 ファイナンスとは

          NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 投資と言うと国や地方自治体の公共投資、企業の設備投資、個人では自己
啓発のための投資、などを思い浮かべますが、ここでは当然のことながら金
融における投資に絞り触れてみたいと思います。具体的には、株式や債券な
どの証券、原油や金などの商品、証券化された不動産、為替、などになりま
す。さらにIT技術を駆使したストラクチュアード・ファイナンス(仕組み債)
などもありますが、これは将来に譲りましょう。
 ところで、「貯蓄から投資へ」と言う言葉が最近よく聞かれます。この言
葉と言うかスローガンは2000年代前半に金融庁が唱え、証券業界が追随して
きたものです。つまり銀行などでの元本保証ではあるが利息が少ない預貯金
から、元本割れの可能性はあるものの、値上がり益や配当、利息が大きい株
式や債券、投資信託への投資配分を増やそうと言う考え方です。確定拠出年
金(DC)や今年から導入された少額投資非課税制度(NISA)の浸透に伴い、
少しずつ投資へ傾斜もしくは配分が増えてきており、投資の考え方をしっか
り身につける必要が改めて出てきていると感じます。当NPO法人では「働く
人のための確定拠出年金ハンドブック」を発行しており、その中で「投資教
育」に触れていますが、その内容とあまり重ならないように配慮しつつ、投
資についてお話をさせて頂こうと考えています。
 投資と言うと株式とか投資信託などでどうしたら資産を増やすことができ
るのかとなりがちです。投資との付き合いはこれから長くなるので、そこで
投資は投機ではない、ギャンブルではないと言うことから始め、投資の考え
方を理解することで資産をより増やすことを考えていきましょう。
 標題にある「ファイナンス」と言う言葉ですが、簡単に言うと「お金(資
金)のやりとり」と言えるようです。卑近な例としてはモノを購入したり、
サービスの提供を受けたりし、その対価としてお金を支払う。また、多くの
人が金融機関に口座を開いていますが、預金、クレジットカードの決済、公
共料金の自動引き落とし、などの金融サービスを受けている。企業でもほぼ
同様のことが行われている。つまり資金は余るところから、不足するところ
へ循環している、もしくはさせている。こうした資金の運用と調達のことを
ファイナンスと言い、ます。大学ではファイナンス理論と言う講座で学ぶ内
容のものですが、個人金融(パーソナル・ファイナンス)では、貯蓄、投資、
ローン、保険、年金、相続、など身近な話題でもあります。国や自治体では
財政学、企業では企業金融、などと言われます。
 経済活動における資金の流れは身体の血液によく例えられます。金融シス
テムの調子が悪くなると、資金の循環が停滞し経済活動は悪化する。ファイ
ナンスの重要性はそんなところにあり、これは個人においても同様で、資金
の活用のあり方が大切になってきます。国や自治体での財政学では、税の体
系や所得の再分配、一方で財政政策を考えるなど世界は広くなりますが、個
人も同様に如何に収入を確保し、そして適切な支出と運用、その成果として
健全な家計を目指すと言う根本は同じです。これから個人と企業(除く国)
においてファイナンスとはどういうものか見ていきたいと思います。
 ◆◇◆

★マーケットトピックス―――――――――――――――――――――――
 株式市場は大荒れも米経済依然堅調、ユーロ・日本・新興国に暗雲漂う

                 NPO金融年金ネットワーク
                 DCアドバイザー・CFP   宮本一弘
 ◇◆◇
 10月15日、NY市場で米ダウ平均株価が急落、値下がり幅は一時460ドルに
及び15855ドルで引けた。17日には、16380ドルへ急反発して市場は一旦落ち
着きました。
 NY市場は、リーマン・ショック後の2009年3月の最安値から5年、その間大
きな調整を経ることなく上昇を続けて来ていて、何時下がってもおかしくな
いと市場には警戒感があったとされていました。
 9月までは、堅調に回復を続ける米国経済が世界の成長を牽引するとのコ
ンセンサスで、ドル高、NY株高で推移してきましたが、10月に入ってこの流
れが変調をきたすことになったわけです。
 きっかけになったのは、FRBが10月8日に公表した9月のFOMC(米連邦公開
市場委員会)議事要旨です。「海外の経済成長が予想より弱かった場合、米
国の経済成長のペースが予想以上に減速する可能性がある」として、「欧州、
中国、日本等の景気鈍化が米国にも影響を及ぼす」との指摘があり、複数の
メンバーから「更なるドル高は米国の輸出部門に有害な影響を及ぼす」と、
一層のドル高を警戒する発言が出ていたことに市場関係者は驚いたと報じら
れています。更に、翌9日、FRBのフィッシャー副議長の「為替レートはFRB
の決定に影響を及ぼす」との発言が伝えられ、ドル高が進めばFRBは、利上
げに慎重になると市場が受け止めたとされています。
 「イスラム国」の台頭に伴う中東情勢の泥沼化、米国内で2例目の感染者
が出た「エボラショック」などもありました。
 しかし、10月3日発表の9月米雇用統計(速報)は非農業部門の雇用者数は
前月比24万8千人増加。失業率も5.9%に低下するなど、予想を上回る好調な
内容でした。一方、堅調を維持していた米小売売上高は9月が前月比0.3%の
減少になりました。減少に転じたのは今年1月以来、8ヵ月振りの現象です。
 10月15日、米FRBは10月「地区連銀報告」(ベージュブック)を公表しま
した。総括判断で、「米経済は(9月の)前回報告時と似たペースで穏やか
に成長を遂げた」としています。米経済の約7割を占める「個人消費」は、
「大半の地区で僅か、または穏やかな足取りで伸びた」と指摘、消費の牽引
役である自動車の販売は、地区によるばらつきはあるものの「総じて前向き
の動きが見られる」としています。更に、「複数の地区では小売業者が年内
いっぱいは割と楽観的に見ている」と説明、11月下旬から本格化する年末商
戦の売り上げに関し、シカゴ、ダラス両地区は「昨年より増える」と期待感
を示しています。ただ、大消費地であるニューヨークやボストンは「弱含ん
だ」、「まだら模様」と表現する等、足元は慎重な見方も出ているようです。
製造業は大部分の地区で9月報告より活動が拡大、見通しは上向き基調をた
どっていると報告されています。「シカゴは鉄鋼需要や航空・宇宙が堅調で、
フィラデルフィアやクリーブランドではエネルギー関連の需要が増えた。サ
ンフランシスコは半導体、が前年に比べ世界的に売り上げが増えた」と報告
されています。
 米国経済は、依然、堅調に推移していることが読み取れます。FOMCは、10
月28日・29日の会合で「債券購入プログラム」の終了を決定する予定です。
利上げの時期について、「声明文」にどのような表現がされるかが注目され
ています。

 ユーロ圏では、牽引役のドイツ経済が、ロシアを重要な貿易相手国として
いる関係から、ウクライナ問題の長期化、深刻化の影響で、実体経済にネガ
ティブな影響が顕在化し始めています。9月の製造業PMI(購買担当者景況指
数)は49.9と2013年6月以来の50割れになりました。4〜6月期の実質GDP成長
率が前期比マイナス0.2%に沈んだ後も鈍化を示す統計の発表が続いていて、
9月のZEW(欧州経済研究センター)景況感期待指数も9ヵ月連続して下落し
ています。ユーロ圏2位のフランスも製造業PMIは48.8と50割れが定着してい
ます。9月のユーロ圏のCPI(消費者物価指数・前年比)は、0.3%の上昇と
“デフレ寸前”の状態です。ECB(欧州中銀)は、「カバード債」や「ABS」
(資産担保証券)の買い入れを始めましたが、米国や日本のような、EU各国
の国債を大規模に購入する“量的緩和”に踏み切るには、ドイツの反対等も
あって簡単にはいかない状況で、ユーロ圏の停滞は長期化しそうに見えます。

 そうした中、10月7日にIMF(国際通貨基金)は、「世界経済見通」を発表、
世界の経済見通しを引き下げました。2014年の世界全体の実質GDP増加率を3.
3%と、7月時点の予測から0.1%引き下げました。
 米国は2.2%と0.5%の引き上げですが、ユーロ圏は0.8%と0.3%引き下げ
ました。EU中核国のドイツが1.4%と0.5%、フランスが0.4%と0.4%、イタ
リアがマイナス0.2%と0.5%とそれぞれ引き下げられました。新興国・途上
国は4.4%で0.1%の引き下げです。
 2015年は、世界全体が3.8%と0.2%の引き下げを予想していますが、米国
は3.1%で変わらず。ユーロ圏は1.3%と0.2%の下方修正、ドイツは1.5%と
0.2%、フランスが1.0%と0.5%、イタリアが0.8%と0.3%それぞれ下方修
正されました。新興国・途上国は5.0%で0.2%の下方修正になりました。
 7月見通しと比べて上方修正になっているのは、主要国では米国のみ。
 日本は、2014年は0.9%で0.7%の、2015年は0.8%で0.2%の下方修正にな
っています。
 報告書では、「世界経済を取り巻く環境は、前回予想時よりもやや悪化し
ている」と指摘、「米国と英国は、いち早く金融危機から脱却しつつある」
と評価したが、ユーロ圏について「さらに需要が縮小すればデフレに陥る危
険性がある」と「柔軟な財政出動や積極的な金融緩和の必要性」を訴えてい
ます。
 日本については、「消費増税後の消費の回復の遅れ」を指摘、「但し、円
安で輸出も緩やかに拡大傾向をたどり、年後半は足取りも強まる」としてい
ます。
 IMFのラガルド専務理事は、10月2日のワシントン市内での講演で、「現在
の世界経済の特徴として、国ごとに展望がはっきりと分かれている」と指摘、
経済成長の促進策として、「空港やインターネットを含むインフラ整備が最
も重要であり、世界のインフラ改善のため今後15年間で総額約6兆ドルの投
資が必要」、「多くの国で輸送やエネルギー供給上の障害が発展を妨げてお
り、経済成長と雇用のためにも投資が欠かせない」と語っています。

 さて日本。政府・当局の期待に反して、4月増税後の落ち込みからの回復
は極めて鈍いようです。8月の鉱工業生産指数(前年比)では、生産がマイ
ナス2.9%、出荷がマイナス3.5%、在庫が4.7%増と、最悪のパターンにな
っています。在庫指数は4ヵ月連続の増加です。総務省の家計調査報告では、
8月の消費支出は前年比マイナス4.7%と沈んだまま、厚労省が発表した同月
の実質賃金もマイナス2.6%で、7月のマイナス1.7%から拡大しています。
「賃上げ→消費拡大」という好循環が形成されているとは言い難いところで
す。庶民が、財布のひもを締めるのは当然といえましょう。
 更に、景気判断のプロ・内閣府が、景気の基調判断を「足踏み」から、4
ヵ月ぶりに「下方への局面変化」と下方修正しました。
 アベノミクスの最大の使命は、「デフレからの脱却」と人口減少が避けら
れない中での「潜在成長率のアップ」でしょう。内閣府によると、リーマン・
ショック前の2001年〜2007年の潜在成長率は0.9%。先のIMF見通しの2011年
〜2020年の潜在成長率の見通しも0.8%です。長期の潜在成長率並みの低成
長が予測されていることになります。2013年度は2.7%の成長でした。昨年、
日経平均が6割の上昇を見せたのは実体経済の浮揚という大きな裏付けがあ
ったことがあげられます。その成果を反映して、今年の春闘では、久々に2
%を超えるベースアップに繋がりました。
 9月に発足した第2次安倍改造内閣の厚労相人事で、“政権は、株価を重視
する”というメッセージが海外にも伝わり、それも9月の16374円の年初来高
値の更新に繋がったといわれていますが、今回の波乱相場の最中、日経(10
月18日:朝刊)に「GPIFの国内株の組入れ比率が25%になる」(大方の市場
予想は20%程度)との観測記事が踊り、株価は大幅に回復。翌日には所管大
臣が「報道については全く知らない」と述べ、反落するなど、“国民の年金
資産”を使って“相場操縦”とも受け取られかねない動きは如何なものかと
言わざるを得ません。年金資産は「安全かつ効率的運用」という法の原点に
戻って、「年金運用はどうあるべきか」の真摯な議論を望みたいものです。
                           (10月26日記)
 ◆◇◆

★年金トピックス――――――――――――――――――――――――――
 2013年度の企業年金資産の修正総合利回りは8.80%、3年連続のプラス運用
  ――企業年金連合会・2013年度資産運用実態調査から

        NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士
        DCアドバイザー・AFP            植村昌機
 ◇◆◇
 企業年金連合会が厚生年金基金523、確定給付企業年金806の1,329件を対
象に調査した結果、修正総合利回り(給付や掛金などのキャッシュフローを
考慮した投資収益率)8.80%と3年連続のプラス運用になった。米国経済の
回復、アベノミクスへの期待感から内外株式が大幅に上昇、円安による外貨
建て資産の円ベースでの収益効果からプラス運用となった。以下に概要を述
べる。

 1. 運用成果
 各資産の時間加重収益率(キャッシュフローを排除した投資収益率)で、
国内債券が0.69%、国内株式が17.60%、外国債券が11.76%、外国株式が
28.38%となった。企業年金の形態別利回りは厚生年金基金が10.43%、確定
給付企業年金は7.75%となった。
 また、ベンチマーク(評価基準となる市場指数)に対する超過収益率は、
国内債券は0.11%、国内株式は▲0.96%、外国債券は▲3.53%、外国株式は
▲4.06%であった。

 2. 資産構成割合
 確定給付企業年金は、ポートフォリオの低リスク化を進めた結果、厚生年
金基金と比べて国内株式や外国株式などリスク資産の割合が低く、国内債券
や外国債券、一般勘定の割合が高くなっている。前年度と比較すると企業年
金全体では、国内債券、国内株式、ヘッジファンド、短期資金の割合が減少
し、外貨建て資産が増えている。

 3. 政策アセットミックス
 政策アセットミックス(基本的な資産配分)では、厚生年金基金が内外株
式の比率が大きい。一方で確定給付企業年金では一般勘定(利回り保証のあ
る生保商品)の比率が突出して拡大している。一層の低リスク化の傾向とな
っている。
 リバランス(基本的な資産配分を維持する投資行動)を実施状況は「許容
する乖離幅をこえなかったので行わなかった」が31.8%、「許容範囲を超え
たので」24.7%となり、各基金で、一定のルールに基づいて政策アセットミ
ックスの管理が行われている。

 4. 資産運用の見直し
 基金の約47%が運用方針等の見直しを行った。両制度とも「政策アセット
ミックス」が多く、次いで「運用機関の構成」となった。厚生年金基金では
「代行ヘッジ型商品」(厚生年金本体利回りに追随した運用商品)の採用・
解約等見直しの比率が高かった。

 5. 運用会社数
 受託機関を増やすメリットは、スタイル分散が挙げられる一方、相殺取引
や運用報酬、管理の複雑化等によるコスト高のデメリットもある。平均する
と6.5社であった。資産規模が大きいほど会社数は多くなる。

 6. 運用報酬
 平均0.3%であるが、一般に資産規模が大きいほど報酬は低減する。また、
アクティブ運用よりパッシブ運用の方が報酬は低い。運用機関の絞り込みに
より1社当たりの委託額を大きくし、またパッシブ運用の比率を高めること
は基金全体として報酬を下げる効果がある。

 7. オルタナティブ投資(債券や株式の代替商品)の実施状況
 オルタナティブ投資の実施している基金は61.9%となり、厚生年金基金で
解約が進み、前年より減少している。ヘッジファンドが約6割を占めている。
オルタナティブ投資は、高リターンやリスク分散などのメリットがあるが、
リスク特性が分かりにくいというデメリットもある。また、運用機関の能力
によってパフォーマンスが大きく左右されることから、運用者の運用体制、
手法の精査が求められる。

 8. 運用コンサルティング会社の利用状況
 平均契約率は25.5%だった。資産規模が500億円以上では5割を超える基金
が利用しているが、100億円未満では14%程度であった。
 ◆◇◆

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┃ ■年金相談の現場から(36)
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 厚生年金基金の見直しの制度改正について
   NPO金融年金ネットワーク 1級FP技能士・社会保険労務士 小野隆璽
 ◇◆◇
 「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一
部を改正する法律」が平成25年6月19日に成立、平成25年6月26日に交付され
ました。
 この法律改正の中に、「厚生年金基金の見直し」に関する法律も含まれて
おり、平成26年4月1日に施行されました。
 改正内容については、旧民主党政権が目指していた厚生年金基金全廃では
なく、「特例解散」で解散を促し、一定の「存続基準」を満たせば存続可能
とされています。
 また上乗せ資産を他制度に移行できる「上乗せ部分の受給権を保全するた
めの措置」が盛り込まれるなどしています。
 すでに施行されており、各基金においては、どう対応するのか検討がなさ
れていると思います。
 この関係上、年金の相談においても、最近、基金に関する相談が増えてき
ています。すでに基金から年金を受給されている人達にとっては、自分の加
入していた基金はどうなるのか? 年金額はいくらぐらい減ることになるの
か? 等々心配されておられます。
 そこで今回は、この厚生年金基金の見直しの制度改正について、以下に概
要を説明させていただきます。

 1. 制度改正の概要
 (1)施行日(平成26年4月1日)以後は、厚生年金基金の新設は認めない。
 (2)「代行割れ」基金については、施行日から5年間の時限措置として現行
の特例解散制度を見直し、分割納付における事業所間の連帯債務を外すなど、
基金の解散時に国に納付する最低責任準備金の納付期限・納付方法の特例が
設けられる。
 (3)施行日(平成26年4月1日)から5年後以降は、代行資産保全の観点から
設定した一定の積立水準を満たさない厚生年金基金は「代行割れ予備軍」と
して、厚生労働大臣は第三者委員会の意見を聴いて、解散命令を発動できる。
(この場合は特例解散制度の適用はない)
 (4)上乗せ給付の受給権保全を支援するため、厚生年金基金から他の企業
年金等への積立金の移行について特例が設けられる。
 (5)毎年度の決算において、<1>純資産≧最低責任準備金×1.5、<2>純資産
≧非継続基準のどちらかを満たす場合は「健全基金」として存続が可能。

 2. その他改正事項
 (1)特例解散制度の見直し
  <1>分割納付期間の見直し
 現行の分割納付期間は原則5年以内(やむを得ない場合は10年〜15年以内)
であるが、運営努力等を条件に最長15年を30年に延長される。
  <2>分割納付方法の見直し
 解散時に各事業所の債務を確定し、現行の連帯債務は解消される。

 (2)解散認可基準の緩和
  <1>解散理由要件の撤廃
 母体企業の経営悪化等が撤廃され、原則自主解散を基本とされる。
  <2>代議員会における法定議決要件の緩和
 代議員会の定数の3/4以上の同意⇒2/3以上の同意
  <3>解散認可申請に際しての事前手続き要件の緩和
 全加入者の3/4以上の同意⇒2/3以上の同意
 全事業主の3/4以上の同意⇒2/3以上の同意

 (3)上乗せ部分の受給権を保全するための措置
 (基金から他制度への移行支援)
  <1>確定給付企業年金への移行
 厚生年金基金解散後、厚生年金基金の上乗せ部分の年金資産を、事業所単
位で既存の確定給付企業年金に移行できる仕組みが創設される。これにより
権利義務の移転を伴わず、残余財産を既存の確定給付企業年金に移行できる。

 <2>確定拠出年金への移行
 厚生年金基金を脱退した事業所の従業員について、厚生年金基金の上乗せ
部分の年金資産を、既存の確定拠出年金に資産移換ができるほか、最低積立
基準額に対する不足額の穴埋めに対する緩和や事業所単位の移行が可能とな
る。

 <3>中小企業退職金共済への移行
 厚生年金基金の上乗せ部分の年金資産を、新たに残余財産として中小企業
退職金共済に持ち込むことが可能となる。
 ◆◇◆

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┃ ■NPOアクティビティー
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出版のお知らせ―――――――――――――――――――――――――――
 ◇◆◇
 《最新版・2014年版》平成26年2月28日発売!!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2014年版
 日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
  共編
 A4判・136頁・頒価1部1,000円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 確定拠出年金法と確定給付企業年金法の公布から10年以上が経過し、この
間、退職給付会計の導入、運用難による年金資産の積立不足、厚生年金基金
の代行返上、税制適格退職年金の廃止等を契機に、退職給付制度の再編が進
行してきました。
 厚生年金基金や税制適格退職年金から確定給付企業年金に移行後に、国際
会計基準(IFRS)や財政運営基準の厳格化の動向をにらみ、キャッシュバラ
ンス・プランや確定拠出年金に切り換える動きも出てきています。確定拠出
年金も個人資産の運用難による目標金額の未達成、投資教育の内容・頻度、
運用商品開発の不足等、課題が発生しています。さらに、厚生年金基金改革
法が2014年4月に施行され、解散や移行先制度の検討等、企業年金の再編は
第2のステップに入りつつあります。
 本書は、2004年11月に2005年版を創刊以来、本年版で10冊目になります。
本年版は、旧版のデータ等を最新のものに改訂すると共に、確定給付企業年
金に関する記述を拡大・加筆、IFRSの概要、厚生年金基金改革と労働組合の
対応、年金ガバナンス体制の見直し・強化等、大幅に加筆しました。
 会社から制度再編提案がなされた時点で、労組員の皆様が、公的年金から
会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。そのため
には、年金制度の基本知識と制度再編に際して従業員サイドからの留意点を
組織内で共通認識することが第一歩です。そこで、本書をテキストや副読本
として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。また、加盟単組からの
ご相談があった際に、本書を参考にして対応されている産別も見受けられる
ようになりました。

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 《最新版発売中!!》平成26年5月30日発売!!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第3版)
 日本労働組合総連合会
 NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク:共編
 平成24年5月31日発行
 A4判・122頁・頒価1部1,500円(荷造り・送料実費を頂きます)
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 本ハンドブックは、施行13年目を迎えた確定拠出年金制度が法律制定の趣
旨にそって、「公的年金と相まってサラリーマンの老後生活保障の柱」の一
翼を担える制度に仕上がっていくように、との期待をこめて、主として加入
者、労働組合の立場から課題と対応の「考え方」を示したものです。私たち
の活動の中から、これまでに経験した事例や課題・問題点を踏まえて整理を
行いました。
 第I部は、確定拠出年金制度の概要と基礎知識を法律に沿って解説、第II
部は、制度のポイントである「運用」と「教育」についての考え方と提言、
第III部は制度の課題と展望について述べています。
 本書は、旧版のデータを最新のものに改めにとともに、マッチング拠出等
が認められた法改正に対応し第3版として発行するものです。
 すでに、退職給付制度の一部または全部を確定拠出年金に移行した労組の
皆様には、制度の運営改善に、これから移行が想定される皆様には、制度設
計・運営のご参考になれば幸いです。
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要望等ございましたら、下記までご連絡をお願い申し上げます。
 内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 →http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm
 お問い合わせ、お申し込みは
 NPO金融年金ネットワーク事務局(
 または電話(03-5444-0539)、FAX(03-5444-0303)まで。

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●次号(第128号)は12月1日に送信の予定です。
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