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┃       金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン

┃                     第130号 2015年2月2日
┃   NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
┃             ホームページ http://kinyunenkin.jp/
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 このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場
 から退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している
 「NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金
 ネットワーク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関す
 る情報や意見交換のスペースをご提供することを目的にしています。企
 画・編集には(株)格付投資情報センターのご協力を頂いています。
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■■ 目次 ■■
●特集レポート
 企業年金コンサルティングの現場から(113)
●NPOトピックス
 ★今からでも聞いてみよう投資の話(4)
  リスクとリターンについて(3)
 ★マーケットトピックス
  好調を維持する米国経済、ECBは量的緩和へ
 ★年金トピックス
  確定給付型企業年金の財政状況は大幅に改善
   ―2013年度財政・運営実態調査(企業年金連合会調査)より
●年金相談の現場から(39)
  年金分割の制度とその留意点について
●NPOアクティビティー
 出版のお知らせ
◇最新版・2015年版 平成27年1月30日発売!
「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2015年版
◇最新版好評発売中!! 平成26年5月30日発売! 残部僅少!
「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第3版)

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┃ ■特集レポート
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 企業年金コンサルティングの現場から(113)
           (株)格付投資情報センター投資評価本部
           年金事業部担当部長 チーフアナリスト 坂井信夫
 ◇◆◇
 厚労省の企業年金部会が1年数ヵ月に渡って、今後の企業年金制度のあり
方を議論してきた。先月の会合を終えて、これまで議論された内容をまとめ
た資料が公表されている。
 公的年金はマクロスライド調整により、今後も毎年わずかずつながら給付
額が抑制されていくことになる。公的年金の給付額がじわじわと抑制されて
いく以上、個人の自助努力もあるが、これからは企業年金の役割もその重要
度を増していくはずである。
 厚生労働省の資料によれば、平成25年3月末の厚生年金基金の加入者はお
よそ420万人とされる。これは厚生年金保険の被保険者約3,500万人に対して
2割に満たない数字だ。
 確定給付または確定拠出企業型の加入者を加えた「すべての企業年金加入
者」でみても、延べ人数は約1,700万人で、サラリーマンの半分に満たない。
 企業年金部会の議論に関する報道で、筆者としてややサプライズだったの
が、確定拠出年金個人型の適用を拡大しようというものである。実現すれば、
企業年金に加入していないサラリーマンや一部の国民年金第1号被保険者だ
けでなく、企業年金に加入しているサラリーマンや公務員、そして第3号被
保険者までが加入可能になる。全被保険者の合計6,700万人超のほとんどの
方たちに、何らかの公的年金「+α」部分を構築する機会が理屈上は与えら
れることになる。これを、企業年金の大衆化と言ったら言い過ぎだろうか。
 そんな状況を踏まえ、筆者も確定拠出年金個人型の資料を、いくつかの運
営管理機関から取り寄せてみた。今の仕事上、まず気になるのは運用商品の
顔ぶれであったが、個人型の場合、まず加入者が検討しなければならないの
はどの運営管理機関を選ぶか、である。そしてそこでいきなり悩ましいと感
じたのは、加入者が選択できる運用商品は、選んだ運営管理機関が用意した
ものに限定されてしまう点だ。運営管理機関を選ぶ=運用商品のパッケージ
を選ぶ、という仕組みなのだ。しかも当然といえば当然なのかもしれないが、
パッケージの中身も、運営管理機関○○銀行、投信の運用者(委託者)は○
○アセット、受託者○○信託銀行、という○○金融機関グループによる投信
ばかり、なんてケースもある。
 また、信託報酬率の高さも大いに気になった。単純比較してしまって恐縮
であるが、例えばDBの世界で名の通った運用会社が扱うアクティブ投信が、
DBに比べて2倍近い運用報酬率となっている。あるいは国内株式のパッシブ
投信の報酬率はおおよそ年率0.6%前後が相場だったりする(いずれも税込)。
 受益者である制度加入者は、超過収益の獲得を期待して、アクティブ投信
を購入する。そのニーズを否定はしないし、現実に超過収益率を享受してい
る方もいるだろう。しかし超過収益率は、あらかじめその獲得が保証されて
いるわけではないという点で、所詮「みずもの」と言わざるをえない。だが、
運用報酬は、超過収益獲得の成否に関わらず、確実に支払わなければならな
い「コスト」である。だから「安かろう、悪かろう」でもいけないが、0.01
%でも安いに越したことはない。
 運営管理機関各社による制度発足以来の諸努力について認識もせず、頂戴
した資料をほんの一瞥した段階であるが、DCの運用世界はまだまだ洗練され
る余地がありそうだ。企業年金の大衆化は、企業年金の資産運用業者の責任
が重くなることを意味するのだから。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■NPOトピックス
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★今からでも聞いてみよう投資の話(4) ――――――――――――――――
 リスクとリターンについて(3)

          NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 今回は少し複雑になりますが、複数資産(ポートフォリオ)のリスクとリ
ターンを考えていきましょう(当NPO発行『働く人のための確定拠出年金ハ
ンドブック』82〜90頁)。一般的にポートフォリオ構築の際は分散投資する
ことで、ポートフォリオ全体のリスクを減少させることができると言われて
おり、最適なポートフォリオ選択を考えることが大事な作業になります。2
つ以上の資産の組み合わせになるため、ここから先では共分散と相関係数と
いう新たな言葉が出てきます。

 共分散は2つの変数(資産)について、各々の期待値(平均値)からのば
らつき具合を同時に示した統計数値です。つまり、変数Aが増加、変数Bも増
加すれば共分散はプラスの値を示し、Aが増加、一方でBが減少すれば共分散
はマイナスになる。共分散がゼロの時は、2つの変数に関連性がないとされ
ます。相関係数は共分散と同様に、2つの変数の関連を示す値で、相関係数
がプラスの時は2つの変数は同じ傾向に、マイナスの時は逆の傾向になる。
ゼロは無相関、関連性がないと言うことになります。

 これらのことを式で表すと、以下のようになります。
 相関係数ρab=σab/(σa×σb)
 σab:共分散、σa、σb:標準偏差
 共分散σab=1/n((a1‐α)(b1‐β)+……+(an‐α)(bn‐β))
 「a1」「b1」の「1」は下付を表す  α:Aの期待値、β:Bの期待値

 具体的に見ていくと、A資産の5営業日の収益率を前回同様、-20.0%、
+12.5%、+11.1%、-10.0%、+22.2%、とし、B資産が+10.0%、-4.6%、
-9.5%、+5.3%、+5.0%、としましょう。平均値はAが+3.2%、Bが+1.2%、
標準偏差は各々15.6%、7.2%、となります。上述の計算式から共分散は
-64.9、相関係数は-0.58となり、分布図(略)をとっても負の相関(右下が
り)だというのがわかります。

 ここでポートフォリオの考え方を見ていきましょう。
 例えばA資産を全体の40%、B資産を同じく60%購入したポートフォリオを
考えると、このリターンは+2.0となり、リスク(標準偏差)は5.1%となり
ます。これを、A資産、B資産と比較すると、リターンはAとBの間、リスクは
A、Bのどちらと比較しても小さい、という結果になります。このようにリター
ンがAと比較して低下することはやや問題だと言うことになるかもしれませ
んが、リスクはAとBの資産を組み合わせることで低下させることができます。
また、別の言い方をすると、BよりはAとBの組み合わせのほうが、低リスク
でより高いリターンが得られる可能性が高いと言うことになります。資産特
性を理解し、納得のいくポートフォリオを構築することが大事になります。

 ちなみに計算式は以下のとおりとなります。
 ポートフォリオのリターンrp=Xara+Xbrb
 ポートフォリオのリスクσp^2=Xa^2σa^2+Xb^2σb^2+2XaXbρabσaσb
 Xa、Xbは投資比率
 ra、rbはリターン
 σa、σbは標準偏差
 ρabは相関係数、を各々示している。
 「^2」は2乗を表す。
 ◆◇◆

★マーケットトピックス―――――――――――――――――――――――
 好調を維持する米国経済、ECBは量的緩和へ
                 NPO金融年金ネットワーク
                 DCアドバイザー・CFP   宮本一弘
 ◇◆◇
 1月22日、ECB(欧州中央銀行)は、定例理事会で、ユーロ諸国の国債買入
れを中心にする量的緩和(QE)実施を決定しました。買入れは、月額600億
ユーロ。3月から開始し2016年9月末まで継続する。買入金額には既に実施し
ているプログラム(ABS債券の買入れ、銀行への低利融資)も含まれるが、
事前の予想を上回る規模で、総額1兆1千億ユーロを超える大規模な資金が市
場に供給されることになります。理事会では、ドイツ連銀総裁とECBの専務
理事1人(ドイツ選出:専務理事は5人)、それにオランダ、オーストリア、
エストニアの北欧勢が反対したとされます。ドラギ総裁は会見で「(採決は
行わず)採決をしなくても良いほど大多数が即時発動の必要性を支持した」
と反対を押し切ったことを認めています。
 国債の買入れは、各国中央銀行のECBへの出資割合に応じて行われます。
また、ECBが買入れた資産から損失が生じた場合の負担について、「ECBは20
%を負担し、残り80%は買入れる各国中銀が負担することになる」と述べて
います。購入の対象は「BBB−」格付までとし、ギリシャ等重債務国の債券
は、財政再建等一定の条件がクリアされるまでは購入対象としない、と説明
されました。
 単一の自国の国債を大量に購入する米・英・日の量的緩和に比べ、ECBの
場合は国債の買入れ手法が複雑になります。特に、通貨ユーロ圏では、量的
緩和に反対しているドイツ国債が買入枠の約25%を占めることになり、本当
にお金が必要な南欧の周縁国にどれだけ効果が及ぶのか疑問視する見方も出
ています。
 ECBの見通しでは2014年12月時点のユーロ圏の物価上昇率は0.7%でした。
原油価格の急激な値下がりもあり、前年同月比ではマイナス0.2%と下落に
転じました。ドラギ総裁も会見で、「物価の動きが予想よりも鈍かった」と
認め、物価下落が賃金を押し下げ、消費停滞からデフレに陥るリスクの回避
を最優先したようです。

 米国は、依然好調に推移しています。1月14日公表のFRB地区連銀報告(ベー
ジュブック)でも、総括判断で「14年11月半ばから12月下旬にかけ、米経済
の拡大は続いた」と「拡大基調」の判断を維持。米経済の7割を占める個人
消費について「大半の地区で拡大」と報告。その上、ガソリン価格の低下か
ら、自動車販売で利幅の大きい大型車を中心に伸びが続くなど、総じて、消
費心理は改善方向にあることが読めます。ただ、クリスマス以降売上げがや
や鈍った地域もありばらつきもあるようです。原油安は消費の押し上げ要因
になりますが、シェール等の産出地では「将来の原油関連の掘削活動や雇用、
資本投下は著しく低下を余儀なくされる」とか、「エネルギー産業の15年前
半の見通しは非常に不透明。前回報告時よりかなり弱い」等の報告が見られ、
「全体的にエネルギー関連商品やサービスへの需要が弱含み」になっている
としています。
 1月9日、米労働省から、12月の統計が発表されました。景気動向を敏感に
反映する「非農業部門の雇用者数」は25万2千人増と市場予想を上回りまし
た。雇用増の20万人超えは昨年2月以来11ヵ月連続で、1994年に記録して以
来の長さです。失業率も5.6%に低下して完全雇用の水準が見えてきたよう
に見えます。ただ、時間当たりの賃金の伸びが前月比で若干減少する傾向に
ある等、懸念要因も見られます。
 12月23日、商務省発表の7〜9月期のGDP統計(確報値)は、年率換算で前
期比5.0%増になり、速報値から1.1%の上方修正。2003年以来11年ぶりの高
い成長率になりました。
 1月20日、オバマ大統領は上下両院の「一般教書」演説で「我々はリセッ
ションから回復した」と宣言し、ごく少数の最富裕層以外の「努力する全て
の人々に所得拡大とチャンスを与える経済の実現に全力を尽くす」と、「格
差を是正する時期だ」と述べました。

 年明け後の1月20日、IMF(国際通貨基金)は、「世界経済見通しの改訂」
を発表しました。先進国で2015年:3.6%、16年:3.3%と大幅に上方修正さ
れているのは米国のみ。次いで英国が2.7%、2.4%とほぼ据え置き。ユーロ
圏は1.2%、1.4%と大幅な下方修正。独・仏・伊の主要3ヶ国の中では、流
石に独が1.3%、1.5%とユーロ圏平均を上回って底堅く推移する見通しです
が、他の2国はマイナスに沈みかねない水準です。日本については、0.6%、
0.8%と前回の見通しから更に下方修正しています。一方、新興国について
中国は、6.8%、6.3%。ブラジルが0.3%、1.5%。ロシアは-3.0%、-1.0%
と大幅な下方修正です。格付会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)
はロシアの信用格付けを「BB+」と「投機的」に、「見通し」も「ネガティ
ブ」に引き下げました。

 さて、日本です。現状は消費増税のネガティブな状況が継続しています。
百貨店・スーパー・コンビニの売上高は、昨年4月以降9ヵ月連続で前年比マ
イナス。12月の全国百貨店売上げも、東京・大阪はプラスになりましたが、
全国ベースでは-1.7%と依然マイナスです。全世帯の消費支出(前年比)も
昨年4月以降マイナスが続いています。昨年は、企業経営者の景況感が好転
して設備投資計画は上方修正されましたが、国内景気の低迷から最終的には、
見送られたケースが多かったとされています。
 しかし、今後は好転に向かうことが想定されます。消費増税の1年半先送
り、異次元緩和の継続による低金利環境に加え、4月からは法人税率の引下
げが予定されています。企業の内部留保は依然として潤沢です。為替の円安
方向は暫く継続するとみて、一部、生産の国内回帰も見られるようになりま
した。原油価格の大幅な値下がりは、原油消費国の日本には大きなプラス効
果になることは先月号でも紹介しました。12月の貿易統計によると、輸出金
額(季節調整済)は、前月比2.0%増と7ヵ月連続のプラス、輸出数量も大分
遅れて増加に転じたように見えます。日本からの輸出の最大の仕向先のアジ
ア諸国(含、中国)の生産活動が、米経済の拡大に牽引されて増加をたどれ
ば日本からの輸出も拡大が期待できます。消費増税の先送りを具体的に言及
した本田内閣官房参与は、シンガポールの講演で、実質GDPは上期中にプラ
スに転換する可能性が高い、期待実質金利は既にマイナスになっている。企
業の膨大な内部留保も使われ始め、投資や賃金上昇に向かうと見込まれる、
との見通しを示したと報じられています。
 緩和的な金融環境と、GPIF・日銀の日本株買いと、暫くは強気の相場が続
きそうです。
                        (平成27年1月24日記)
 ◆◇◆

★年金トピックス――――――――――――――――――――――――――
 確定給付型企業年金の財政状況は大幅に改善
  ―2013年度財政・運営実態調査(企業年金連合会調査)より

        NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士
        DCアドバイザー・AFP            植村昌機
 ◇◆◇
 調査対象は、厚生年金基金516、確定給付企業年金810(以上、企業年金連
合会会員)、会員外の確定給付企業年金2,131。回答は厚生年金基金505、確
定給付企業年金1,593、回答率61。解散・代行返上計画に基づく財政検証を
実施した基金は調査対象から除外。

 1. 厚生年金基金の財政状況
 (1)継続基準の検証
 (制度を継続できる資産が確保されているか)
 「積立不足の解消の対象になる基金」は、12年度、13年度と2年連続で積
立金の運用利回りが好調で10%以上になったこと等の影響で13年度は5.6%
(前年は16.9%)と減少した。

 (2)非継続基準の検証
 (解散した場合に受給権を保全できる資産が確保されているか)
 「積立不足の解消の対象になる基金」の割合は、34.4%(前年63.7%)と
大幅に改善された。08年度には85.0%と最低を記録した。「積立不足の解消
の対象になる基金」の割合を形態別にみると、単独・連合型で26.7%、総合
型で36.5%であった。また、「対象となる基金」のうち「掛金の引き上げが
必要」と回答した基金は25%あった。

 (3)積立水準
 継続基準の財政検証の判定指標(純資産額/責任準備金)の比率では、基
準値1.0未満の基金の割合は30.3%(前年61.3%)と大幅に減少した。財政
計算の留保ができる許容繰越不足金を加味した計算では、1.0未満の基金は
5.6%とさらに減少する。また、非継続基準の財政検証の判定指標(純資産額/
最低責任準備金(代行部分の債務))の比率が1.05以上となっている基金は、
86.3%(前年64.0%)と20%以上増加した。また(純資産額/最低積立基準額
(代行部分と加算部分の債務))の比率が0.94以上になっている基金は46.8
%であった。

 (4)予定利率
 掛金率の算定等に用いられる予定利率は、基本部分が平均4.91%であり、
「5.5%」に設定している基金は71.9%と大部分を占めている。単独型では
39.1%、総合型で74.0%と形態で差がみられる。加算部分は、平均4.38%で
あり、「5.5%」に設定している基金は46.9%で、単独型で12.5%、総合型
で49.9%となっている。

 2. 確定給付企業年金(DB)の財政状況
 (1) 継続基準の検証
 (制度を継続できる資産が確保されているか)
 継続基準の積立不足の解消の「対象となるDB」は、0.2%(前年1.5%)で
あった。

 (2) 非継続基準の検証
 (解散した場合に受給権を保全できる資産が確保されているか)
 積立不足の解消の「対象となるDB」は、8.9%(前年14.0%)で調査開始
以来(2004年度)最低となった。最終的に「掛金引き上げが必要」となるDB
は、7.4%であった。

 (3)積立水準
 継続基準の財政検証の判定指標(純資産額/責任準備金)の比率では、基
準値1.0未満の割合は5.8%、非継続基準の財政検証の判定指標(純資産額/
最低積立基準額)の比率が、0.94未満は21.0%となっている。財政計算の留
保ができる許容繰越不足金を加味した計算では、1.0未満の基金は0.2%とさ
らに減少している。

 (4)予定利率
 掛金等の計算に用いられる予定利率の平均は2.60%で、「2.5%以上〜3.0
%未満」が35.9%と最も多い。次いで、「2.0%以上〜2.5%未満」が23.3%、
「3.0%以上〜3.5%未満」が20.1%であった。
 ◆◇◆

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┃ ■年金相談の現場から(39)
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 年金分割の制度とその留意点について
   NPO金融年金ネットワーク 1級FP技能士・社会保険労務士 小野隆璽
 ◇◆◇
 離婚時の年金分割制度(合意分割)が平成19年4月から、離婚時の第3号被
保険者期間についての年金分割制度(3号分割)が平成20年4月から実施され
るようになり、すでに周知されています。
 しかしながら、年金分割ができるということは分かっておられますが、肝
心なところが理解されていないケースもよく見受けられます。
 そこで、今回は年金分割の制度とその留意点について、説明させていただ
きます。

 1. 年金分割制度の考え方と概要
 一方のみが働いて被用者年金の被保険者となり、他方が家事に従事してい
た夫婦が離婚した場合、これまでの制度では、生活の基本的な部分に対応す
る基礎年金は夫婦それぞれに対して支給されますが、被用者年金は被保険者
本人の過去の就労期間や賃金をもとに計算されます。そのため、被用者年金
の被保険者でない他方については、離婚後の所得水準が低く十分な所得保障
が行われない状況になっており、現役時代の男女の雇用格差・給与格差など
から離婚後の夫婦双方の年金受給額に大きな開きがあるとの指摘がされてい
ました。
 その問題点を改善するために、離婚時の年金分割の制度ができ、離婚する
場合において婚姻期間中の被用者年金の保険料納付記録の総額を当事者間で
分割できるようになったわけです。
 ただし、年金額を分割するという制度ではなく、年金額を計算する基にな
る保険料納付記録を分割するという仕組みであり、将来、あるいは現在受給
している年金の金額を、相手から分割してもらい、それを受け取るというこ
とではありません。
 また、分割請求の期限は、離婚した日の翌日から起算して2年を経過した
日に至った場合は、請求することができません。ただし、按分割合について
当事者間で話し合いがまとまらず、当事者間の一方が家庭裁判所に対して申
立をし、審理が長期化し離婚した日の翌日から起算して2年を経過した場合
は、審判又は判決が確定した日の翌日から起算して1ヵ月以内であれば分割
請求することができます。
 そして、年金分割制度には、以下の合意分割と3号分割の2つの分割方法が
あります。

 2. 合意分割について
 当事者の合意や裁判手続きにより年金分割の割合を定め、当事者の一方か
ら請求することにより年金を分割する制度(「合意分割」という)です。
 分割は、婚姻期間(婚姻日から離婚日まで)の当事者それぞれの被用者年
金の保険料納付記録を合算し、その合算した記録を分割割合(2分の1が上限)
に応じて、分割する方(主に夫)から分割を受ける方(主に妻)に年金記録
を分割します。

 3. 3号分割について
 3号分割の対象期間は、分割を受ける方(主に妻)が国民年金第3号被保険
者であった期間のうち、平成20年4月1日以後の期間であり、分割を受ける方
(主に妻)からの分割請求することにより、その期間の保険料納付記録を2
分の1分割します。

 4. 合意分割と3号分割の相違点
 合意分割は、当事者の合意又は裁判手続きにより按分割合を定める必要が
ありますが、3号分割は、夫婦の合意や裁判所による決定などは必要なく、
請求があれば当然に2分の1に分割されます。

 5. 留意点
 (1)被用者年金の保険料納付記録の分割であり、国民年金(老齢基礎年金)
は分割されません。
 ⇒分割する方(主に夫)の受給していた年金額の2分の1が分割されるわけ
ではありません。

 (2)分割を受けた当事者の一方は、自分の受給資格要件に応じて増えた保
険料納付記録に応じた被用者年金を受給することができるわけで、自分が老
齢年金の支給開始年齢に達するまでは受給できません。
 ⇒分割する方(主に夫)がすでに年金を受給していたとしても、分割を受
ける方(主に妻)が支給開始年齢に達していなければ、それまでは受給でき
ません。

 (3)現に老齢年金を受けている場合は、年金分割の請求をした月の翌月か
ら年金額が改定されます。
 ⇒離婚したとしても、請求が遅れれば、その期間は受給することはできま
せん。

 (4)年金分割は、将来に向かってのみ効力を有するため、過去に遡って、
受給権が発生したり、年金額が改定されることはありません。
 ⇒(3)と同様、請求が遅れた場合、離婚したときまで遡って受給できるわ
けではありません。

 (5)老齢基礎年金に振替加算が加算されている人が、分割により被用者期
間が240ヵ月(20年)を超える場合は、振替加算は不該当となります。
 ⇒分割された被用者年金分は増えますが、振替加算分は減額となります。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■NPOアクティビティー
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
出版のお知らせ―――――――――――――――――――――――――――
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 《最新版・2015年版》 平成27年1月30日発売!!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2015年版
 日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
  共編
 A4判・138頁・頒価1部1,000円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 確定拠出年金法と確定給付企業年金法の公布から10年以上が経過し、この
間、退職給付会計の導入、運用難による年金資産の積立不足、厚生年金基金
の代行返上、税制適格退職年金の廃止等を契機に、退職給付制度の再編が進
行してきました。
 厚生年金基金や税制適格退職年金から確定給付企業年金に移行後に、国際
会計基準(IFRS)や財政運営基準の厳格化の動向をにらみ、キャッシュバラ
ンス・プランや確定拠出年金に切り換える動きも出てきています。確定拠出
年金も個人資産の目標金額未達成、投資教育の内容・頻度、運用商品開発の
不足等、課題が発生しています。さらに、厚生年金基金改革法が2014年4月
に施行され、解散や移行先制度の検討等、企業年金の再編は第二のステップ
に入りつつあります。
 本書は、2004年11月に2005年版を創刊以来、本年版で11冊目になります。
本年版は、旧版のデータ等を最新のものに改訂すると共に、確定給付企業年
金に関する記述を拡大・加筆、IFRSの概要、厚生年金基金改革と労働組合の
対応、年金ガバナンス体制の見直し・強化等、大幅に加筆しました。
 会社から制度再編提案がなされた時点で、労組員の皆様が、公的年金から
会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。そのため
には、年金制度の基本知識と制度再編に際して従業員サイドからの留意点を
組織内で共通認識することが第一歩です。そこで、本書をテキストや副読本
として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。また、加盟単組からの
ご相談があった際に、本書を参考にして対応されている産別も見受けられる
ようになりました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 《最新版発売中!!》平成26年5月30日発売!!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第3版)
 日本労働組合総連合会
 NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク:共編
 平成24年5月31日発行
 A4判・122頁・頒価1部1,500円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 本ハンドブックは、施行13年目を迎えた確定拠出年金制度が法律制定の趣
旨にそって、「公的年金と相まってサラリーマンの老後生活保障の柱」の一
翼を担える制度に仕上がっていくように、との期待をこめて、主として加入
者、労働組合の立場から課題と対応の「考え方」を示したものです。私たち
の活動の中から、これまでに経験した事例や課題・問題点を踏まえて整理を
行いました。
 第I部は、確定拠出年金制度の概要と基礎知識を法律に沿って解説、第II
部は、制度のポイントである「運用」と「教育」についての考え方と提言、
第III部は制度の課題と展望について述べています。
 本書は、旧版のデータを最新のものに改めにとともに、マッチング拠出等
が認められた法改正に対応し第3版として発行するものです。
 すでに、退職給付制度の一部または全部を確定拠出年金に移行した労組の
皆様には、制度の運営改善に、これから移行が想定される皆様には、制度設
計・運営のご参考になれば幸いです。
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要望等ございましたら、下記までご連絡をお願い申し上げます。
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●次号(第131号)は3月2日に送信の予定です。
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