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┃       金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン

┃                     第132号 2015年4月1日
┃   NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
┃             ホームページ http://kinyunenkin.jp/
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 このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場
 から退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している
 「NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金
 ネットワーク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関す
 る情報や意見交換のスペースをご提供することを目的にしています。企
 画・編集には(株)格付投資情報センターのご協力を頂いています。
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■■ 目次 ■■
●特集レポート
 企業年金コンサルティングの現場から(115)
●NPOトピックス
 ★今からでも聞いてみよう投資の話(6)
  ポートフォリオの考え方
 ★マーケットトピックス
  米利上げ9月以降か、金利・成長率見通しは引下げ。
  日本は業績好調、2万円目前へ
 ★年金トピックス
  確定給付企業年金は組織横断型なガバナンス体制、
  厚生年金基金は基金役員に権限集中
   ――2014年日経企業年金実態調査・ガバナンス調査から
●年金相談の現場から(41)
  平成27年4月より年金額が0.9%引き上げられます
●NPOアクティビティー
 出版のお知らせ
◇最新版・2015年版 平成27年1月30日発売!
「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2015年版
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「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第3版)

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┃ ■特集レポート
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 企業年金コンサルティングの現場から(115)
                  NPO金融年金ネットワーク 坂井信夫
 ◇◆◇
 いきなり私事で恐縮なのだが、2015年2月末をもって格付投資情報センター
を依願退職した。自分の考えなりにもう少し「フリー」で動いてみたいと思
ったためである。厚生年金基金の資産運用管理を助言するという仕事を20年
以上やってきたのだが、「希少価値」だけはあるキャリアだと自負している。
 そのビジネスの環境は今、厚生年金基金制度の縮小、廃止という形で大き
く変化している。厚生年金保険法から「厚生年金基金」の項が削除されるな
ど、行政当局からの「暗黙の」指導も大きな要因となって、いまや基金は解
散準備ラッシュといっていい。早いところは昨年の2月には解散方針の決議
をしているはずだが、昨年の9月、そして今年の2月と、代議員会シーズンを
迎えるごとにその「決議」の件数は増加していることだろう。方針の決議か
ら先は、「加入記録の整備」や3分の2の加入員・事業主が同意獲得を経て、
代議員会で正式な解散を議決し、申請し、厚労省からの認可を得ることで正
式な「解散」となる。その段階で基金から受給者へ給付される報酬比例年金
は国からの支給に転じ、基金からの上乗せ年金は停止する。一切の掛け金拠
出も停止することになり、基金は完全に機能停止した状態になる。記録整備
には時間がかかるが、足元の解散議決状況からおそらく来年の後半から再来
年にかけて、総合型基金は解散認可ラッシュとなるだろう。
 そこで今の段階で意識しておきたいのは、後継制度をめぐる動きである。
加入員や受給者にとって、厚生年金基金の後継制度として本来理想的なのは
「代行返上」であろう。代行債務にみあう資産を国に返上し、加算年金は従
来通り継続するというもので、これは厳密には「解散」とは違う。大手企業
による企業年金基金のほとんどがこのパターンである。ただし、今般の「総
合型」でこの道を選択する基金は、受給者数が少ないほんのわずかな基金に
限られるだろう。代行返上は全事業所の事業主が全会一致で支持するのが条
件であるのだが、それがなかなか難しい状況なのだ。なぜなら総合型に加入
している、単体でも企業年金制度を設立運営が可能な大手企業の腰が重いた
めである。そのため後継制度は、そこに移行しようとする事業所だけで構成
されることにならざるを得ない。よって、現実的な後継制度の設立過程は、
一度解散して資産を分配するが、ほぼ同時期に後継制度を立ち上げ、これに
参加する事業所の加入員の分配資産については新制度に移管する、というも
のが多くなると思われる。
 その場合カギとなるのは、発足が可能なだけの加入員が集まることと、発
足後の新規加入員の編入であり、そのためにも魅力のある制度を作ることが
かかせない。魅力ある制度とは、既存制度の加算年金部分と比較して、

 (1)低金利下で無理をしなくてもよい予定利率
 (2)事業主掛金負担の軽減
 (3)加入員の給付が例えば一時金ベースで既存制度より増加

などは織り込みたいところだ。さすがに終身支給の継続は難しいか?
 筆者はこの新しい総合型確定給付年金制度と、単独の制度設立が難しい中
小企業の橋渡し役となることを業の一つとするつもりである。確定拠出年金
制度はこの先まだまだ普及するだろうが、確定給付年金制度が死んでもいけ
ないと思っているからだ。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■NPOトピックス
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★今からでも聞いてみよう投資の話(6) ――――――――――――――――
 ポートフォリオの考え方

          NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 前々回で2資産のリスク・リターンを見ました。今回はより現実的にどう
考えればよいかを見ていきたいと思います。まず、投資対象資産として国内
の債券と株式、外国の債券と株式、そして待機(短期)資金を考えます。待
機資金を除く4資産を伝統的4資産と言い、基本ポートフォリオを構成する主
要な資産になります。現在は様々な課題が提起されており、その課題を克服
するために試行錯誤しながら基本ポートフォリオの修正がなされてきていま
す。
 年金運用を企業ではなく個人としてどう捉えるかを今回のテーマとし、企
業の年金運用については次回以降考えていくことにします。専門的になるこ
とを避け、前述の4資産を基本とした運用方針を考えていきます。なお、以
降に示した数値は、期間や対象とするデータの違いで数値が異なることがあ
るため、大まかな傾向値として考えて頂くか、参考値として捉えて頂ければ
幸いです。
 一般的に国内債券のリターンは低く1〜2%、リスクも低くて2〜6%、国内
株式は順に5〜6%、18〜22%と高い、外国債券は2〜3%、10〜12%、外国株
式は5〜6%、20〜22%程度と言う数値になります。これらに対して相互の相
関係数は国内債券が他の3資産との相関が低いか負の関係になっている。そ
して、国内株式と外国株式、外国債券と外国株式の各々相互の関係が高くな
っています。
 比較的安定的な運用を考えるのであれば国内外の債券を中心とし、その中
でも国内債券の配分を高くすれば高いリターンは望めないものの、大きな損
失を被る可能性も小さくなります。もう少しリターンを得たいと考えるので
あれば、債券と株式を組み合わせ、両資産の中間的なリターンを期待し、リ
スク最小の組み合わせを考えれば良いでしょう。例えば国内株式と外国債券
の組み合わせなど。最後に高いリターンを求めるのであれば、国内外の株式
が中心になりますが、損益変動が激しくなることは覚悟しておかなければな
りません。
 これら4資産以外の資産もあります。それらをまとめてオルタナティブ(代
替)資産と言います。具体的には、不動産投信(リート)、インフラなどの
プロジェクト投資、商品、ヘッジファンド、など。これら以外にも年金運用
の利回り向上に向け、新しい投資先が考えられていますが、ここまでくると
専門家に任せることにしましょう。ちなみに、国内のリートは他の資産との
相関が低く、外国のリートは新興国の株式や債券と相関が高い傾向がみられ
ています。そういう点では国内のリートはリスク低減へ一役買うかもしれま
せん。新興国の債券や株式は本来外国債券や外国株式に含まれますが、おそ
らくBRICsと言われ始めた2000年代前半から資産の一つとして存在感が高ま
ってきたのではないかと思います。非常に変動が大きく、難しい資産ですが、
高い収益率が期待されています。ちなみに、新興国の株式は国内や先進国の
株式との相関は高くなっている。
 最後に個人の資産運用の場合、金融商品の理解に不安を感じる場合には、
基本は元本保証型の預金商品にし、許容される範囲で前述の4資産が配分さ
れたバランス型商品を月々累積的に購入するという考え方も選択肢の一つだ
と考えます。
 ◆◇◆

★マーケットトピックス―――――――――――――――――――――――
 米利上げ9月以降か、金利・成長率見通しは引下げ。
 日本は業績好調、2万円目前へ
                 NPO金融年金ネットワーク
                 DCアドバイザー・CFP   宮本一弘
 ◇◆◇
 3月6日、米労働省が発表した2月の雇用統計では、景気の先行きを敏感に
反映するとされる「非農業部門雇用者数」が、前月比で29万5千人増加、市
場予想を大幅に上回りました。失業率も0.2%低下して5.5%になり、FRBが
5.2〜5.5%としている「自然失業率」(完全雇用)の領域に到達しました。
雇用者数の増加が20万人を超えたのは12ヵ月連続で1994年以来の最長を記録。
2014年12月から15年2月までの3ヵ月間の平均は、28万8千人増加で、前年の
同期間の平均増加数が15万人程度であることと比較すると昨年秋以降高いペー
スで雇用の改善が進んでいることが判明しました。この状況で、一旦利上げ
は9月以降とみていた市場関係者も、6月への前倒しもあり得るのではとの見
方が強まり、3月17日・18日のFOMCに注目が集まりました。
 そうした中で開催された同会合では、事前予測通り、声明から「利上げに
“忍耐強くなれる”」との一文を削除して、最速で6月FOMCでの利上げの可
能性を示す一方で、「米経済成長がいくぶん“緩やか”になり、輸出の伸び
が弱まった」とドル高による輸出の減少圧力や原油安による「インフレ率も
低水準に止まる」との懸念を示しています。雇用は、「力強い回復」とした
ものの、会合後のイエレン議長の記者会見では、「U6失業率」(離職者、賃
金は得ているがパート・アルバイトなど意に沿わない働き方にある人も失業
者と見る失業率)は0.3%改善したとはいえ依然11%と2ケタの高い水準にあ
ること、「労働参加率」が62.8%と依然低下傾向にあること、低インフレ脱
却と、消費と投資を刺激するカギになる「賃金上昇率」が微増に止まる等雇
用には依然として“緩み”(スラック)があることを指摘した上で、「海外
の経済状況は注意深く見ている。米国の金融政策が世界経済に影響を及ぼす
ことは認識しているし、米経済に跳ね返ってくることも理解している」「忍
耐を失ったわけではない」と声明の内容を説明しています。
 今回、FOMCは中期経済見通しを改定していて、2015年のGDP成長率を2.3〜
2.7%と昨年12月から大きく引き下げ、変動の大きいエネルギーを除くコア・
インフレ率も1.3〜1.4%まで水準を切り下げました。同時に発表されたFOMC
メンバーによる金利の先行き見通し(中心値)のドット・チャートでは、
2015年末が0.625%、16年末が1.875%と昨年12月予想(1.125%と2.5%)か
ら大幅に引き下げられました。
 ロイターの調査によると、米プライマリーディーラー(米国債一次入札業
者)16社の内12社は、利上げは9月以降という見方をしていると報じていま
す。
 EUでは、3月8日から毎月600億ユーロの資産買入れがスタートしました。
QEには一貫して反対していたドイツも、ユーロの協調を優先して、割り当て
金額を購入したと発表しています。ECBの最大出資国のドイツは7年国債まで
がマイナス金利になっていて、このまま満期まで持ち続ければドイツ中銀に
マイナスが発生することになります。ECBのQEが市場で機能するかどうか疑
問とされる理由の一つです。
 さて日本。
 日経平均は、2月17日に2007年2月の高値を上抜け、2月24日にはドル換算
の価格も156.2ドルと長期的な壁とされていた水準を上に抜けて、中長期的
な上昇トレンドに入ったとされています。しかし、経済のファンダメンタル
ズは、高値を更新するような状況にはないというのが実感ではないでしょう
か。
 3月9日、内閣府は、昨年10〜12月期のGDP成長率(改定値)を発表しまし
た。それによると前期比年率1.5%増にとどまりました。2月16日発表の2.2
%増から下方修正、前の2期が大きなマイナスでしたからプラス転換は当然
ですが、市場予想の3.86%は大幅に下回りました。輸出は持ち直してきてい
ますが、内需の回復力は鈍いといえます。
 2015年の春闘は、3月18日、回答集中日を迎えました。賃金改善といえる
ベースアップは過去最高水準の回答が相次ぎました。トヨタは、基準内賃金
を3.2%(11,300円)引き上げると回答。内、ベア分は4,000円と過去最高額
になりました。日産自はベア5,000円の満額回答。電機でも日立、東芝、三
菱電、パナソニックなど大手6社のベアが3,000円と過去最高になっています。
造船・重機でも三菱重工が労組要求に対しほぼ満額回答になるなど、各社と
も「実力以上に応えた」というコメントが漏れてくるケースも聞こえる程で、
3月期の決算が過去最高になるなか、従業員に報いようという姿勢と言えま
しょう。株式市場は、経営者が賃金水準を高めながらも収益を拡大できる自
信の表れとして、例えばトヨタは、17日に上場来高値を更新した後も20日ま
で連続して上昇。三菱電も3月期の年間配当を前期比で10円増やして27円に
すると発表、翌日は2%高と大きく上昇しています。
 人件費増を生産性上昇で吸収してゆく「労使一体」の取り組みが、企業の
増収増益の継続に繋がると言われているようです。
 東京市場は、3月に入って上げ足を強め、日経平均株価は20日に19,560.22
円を付けて、2000年4月以来15年ぶりの高値更新になりました。今回の株高
の要因は、

 (1)ECBの量的緩和に象徴されるグローバルな過剰流動性(金融相場)
 (2)原油安、円安に伴う景気・企業業績改善の織り込み
 (3)相場の下値では公的マネー(GPIF、共済年金、日銀のETF買い)が買い
   支え、上値は外国人が買い上がる好循環

と言われています。しかし、各種指標面では相当割高のゾーンにあることも
事実です。上値を買い上がっている外国人は、いずれも短期のトレーディン
グで勝負をするヘッジ・ファンドなどと言われています。現在は、米国の利
上げが後ずれするのではとの思惑からも、金融相場が続いていますが、一方
で、利上げの後ずれは米ドルの独歩高の動きにブレーキがかかる(円高に振
れる)要因でもあります。米国の利上げが現実味を帯びた時には、新興国か
らのマネーの引き上げによる混乱など不測の事態が生じる危険があるといわ
れ、大きな価格変動のリスクを想定しておく必要があるとのコメントも少な
くないようです。
                        (平成27年3月25日記)
 ◆◇◆

★年金トピックス――――――――――――――――――――――――――
  確定給付企業年金は組織横断型なガバナンス体制、
  厚生年金基金は基金役員に権限集中
   ――2014年日経企業年金実態調査・ガバナンス調査から

        NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士
        DCアドバイザー・AFP            植村昌機
 ◇◆◇
 この調査は、確定給付型の年金基金に、年金制度の見直しや運用基本方針
などの重要テーマについて、実質的な決定権限の主体がどこにあるのか聞い
ている。
 調査項目は、(1)制度関係(制度の全面的な見直し、一部見直し、掛金引
き上げ)、(2)運用関係(資産運用の基本方針の策定、運用委託先の選定、
運用担当者の人事権)、(3)予算案の3つに分けた。そして、各項目にそれぞ
れ「基金事務局」、「基金役員」、「母体企業の経理・財務部門」、「母体
企業の人事・労務・管理部門」、「その他」のいずれかが実質的な意思決定
権をもっているのかを聞いている。

 (1)制度関係(制度の全面的な見直し、一部見直し、掛金引き上げ)
 確定給付企業年金(以下DB)基金型では、「母体企業の人事・労務・管理
部門」72.8%と最も多かった。基金型は、母体企業とは別法人で代議員会や
理事会で意思決定する仕組みだが、実態は母体企業が関与している。基金役
員と母体企業の役員を兼務しているケースも多い。一方、厚生年金基金では、
基金役員が最多で81.3%で特に総合型は88.7%だった。現実的には基金の常
務理事など、基金事務局を統括する役員が作成する原案を理事会や代議員会
が追認する形が多いようだ。
 給付減額や予定利率の見直しなど制度の一部の見直しの場合も同様の傾向
がみられた。しかし、掛金の引き上げでは、DB基金型では人事部門35.4%、
財務部門25.4%であった。厚生年金基金では、基金役員が80.5%と役員が引
き上げの可否を決めている。

 (2)運用関係(資産運用の基本方針の策定、運用委託先の選定、運用担当
者の人事権)
 資産運用の基本方針の策定では、基金型DBでは基金事務局33.9%、基金役
員33.0%とほぼ拮抗している。厚生年金基金は62.5%が基金役員であった。
運用委託先の選定では、DB基金型で基金役員32.2%であるが、基金事務局や
母体企業が積極的に関与していることがうかがえる。厚生年金基金は、基金
役員が69.1%と最多。総合型は73.8%に達して、母体企業側はゼロであった。
運用関係者の人事権については、DB基金型で母体企業の人事部門54.4%、厚
生年金基金で基金役員が74%と最多であった。

 (3) 運用担当者の人事権
 DB基金型が母体企業の人事部門54.4%、厚生年金基金で基金事務局50.7%、
単独型のみ基金役員61.5%が最多であった。

 DB基金型では、制度面は母体企業、運用関係は基金側が担当して組織横断
的にガバナンス体制が構築されている。さらに母体企業と基金とのコミュニ
ケーションを強化する仕組みが求められる。厚生年金基金は基金側、とくに
基金役員に権限が集中しており、ガバナンスに課題がある。企業や加入者の
意向が反映されるガバナンス体制が求められる。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■年金相談の現場から(41)
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 平成27年4月より年金額が0.9%引き上げられます
   NPO金融年金ネットワーク 1級FP技能士・社会保険労務士 小野隆璽
 ◇◆◇
 平成27年度の年金額は、特例水準の段階的な解消やマクロ経済スライドに
よる調整と合わせて、基本的には0.9%の引上げとなります。
 ところで、年金額改定のルールは、非常に複雑です。今回は、厚生労働省
のプレスリリースの紹介とその解説をさせていただきます。

 1. 年金額改定のルール(厚生労働省のプレスリリース)
 年金額は現役世代の賃金水準に連動する仕組みとなっています。年金額の
改定ルールは、法律上規定されており、年金を受給し始める際の年金額(新
規裁定年金)は名目手取り賃金変動率によって改定し、受給中の年金額(既
裁定年金)は購買力を維持する観点から物価変動率によって改定することに
なっています。ただし、給付と負担の長期的な均衡を保つなどの観点から、
賃金水準の変動よりも物価水準の変動が大きい場合には、既裁定年金も名目
手取り賃金変動率で改定される旨が法律に規定されています。
 平成27年度の年金額は、平成27年度の年金額改定に用いる名目手取り賃金
変動率(2.3%)よりも物価変動率(2.7%)が高くなるため、新規裁定年金・
既裁定年金ともに名目手取り賃金変動率(2.3%)によって改定されます。
さらに平成27年度は、名目手取り賃金変動率にスライド調整率(▲0.9%)
が乗じられることになり、平成26年度の本来水準の年金額からの改定率は
1.4%となります。
 また、特例水準の段階的な解消(▲0.5%)があるため、平成26年度の特
例水準の年金額からの改定率は、基本的には0.9%となります。
 なお、平成12年改正により厚生年金は、新規裁定者の年金は賃金上昇率に
よる改定、既裁定者の年金は物価上昇率による改定とされたため、賃金上昇
率の反映状況が生年度によって異なることになりました。その結果、平成26
年度の特例水準との比較では、
 ・昭和11年度以前生まれの方は、0.9%(特例水準▲0.5%解消)
 ・昭和12年度生まれの方は、1.3%(特例水準▲0.1%解消)
 ・昭和13年度以後生まれの方は、1.4%(26年度に特例水準が解消済)
 の引上げとなります。
 *厚生年金の被保険者期間が直近の期間のみの方など、すべての方が上記
改定率に当てはまるものではありません。
 *基礎年金については、生年度による違いは生じていません。

 2. 年金額改定のルールによる平成27年度の年金額について
 年金額改定のルールは以上のとおりであり、平成27年度の年金額は、基本
的には0.9%の引上げとなるということですが、もう少し細かくみてみると、
生年度等によって年金額の引上げ率は異なります。
 すなわち、基礎年金は、生年度による違いはなく0.9%の引上げが行われ
ますが、老齢厚生年金については、生年度により0.9%、1.3%、1.4%の引
上げや、直近の被保険者期間しか有しない場合は、0.9%に満たない引上げ
になる可能性もあります。
 非常に難しい年金額の改定ルールですが、平成27年度は、平成11年度以来
16年ぶりの年金額の引上げが行われます。

 なお、平成27年4月分の年金から引上げられますが、4月分の年金の支払い
は6月15日振込みとなりますので、年金額が増額されたことが実感できるの
は2ヵ月後となります。

 3. 平成27年4月からの主な年金額
 (1)老齢基礎年金(満額の場合) : 780,100円(月額:65,008円)

 (2)遺族基礎年金 : 780,100円(月額:65,008円)
 ○子が1人いる妻に支給される場合:
 780,100円+224,500円(子の加算)=1,004,600円(月額:83,717円)
 ○子供に支給される場合 :
 年金額の合計金額を子供の数で割り、その割った金額がそれぞれの子供
 に支給されます。
 子1人の場合:780,100円(月額:65,008円)
 子2人の場合:780,100円+224,500円=1,004,600円÷2=502,300円
 (月額:41,858円)がそれぞれに支給されます。

 (3)障害基礎年金(1級) : 975,100円(月額:81,258円)
 ○子が1人いる場合 :
 975,100円+224,500円(子の加算)=1,199,600円(月額:99,967円)

 (4)障害基礎年金(2級) : 780,100円(月額:65,008円)
 ○子が1人いる場合 :
 780,100円+224,500円(子の加算)=1,004,600円(月額:83,717円)
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┃ ■NPOアクティビティー
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
出版のお知らせ―――――――――――――――――――――――――――
 ◇◆◇
 《最新版・2015年版》 平成27年1月30日発売!!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2015年版
 日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
  共編
 A4判・138頁・頒価1部1,000円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 確定拠出年金法と確定給付企業年金法の公布から10年以上が経過し、この
間、退職給付会計の導入、運用難による年金資産の積立不足、厚生年金基金
の代行返上、税制適格退職年金の廃止等を契機に、退職給付制度の再編が進
行してきました。
 厚生年金基金や税制適格退職年金から確定給付企業年金に移行後に、国際
会計基準(IFRS)や財政運営基準の厳格化の動向をにらみ、キャッシュバラ
ンス・プランや確定拠出年金に切り換える動きも出てきています。確定拠出
年金も個人資産の目標金額未達成、投資教育の内容・頻度、運用商品開発の
不足等、課題が発生しています。さらに、厚生年金基金改革法が2014年4月
に施行され、解散や移行先制度の検討等、企業年金の再編は第二のステップ
に入りつつあります。
 本書は、2004年11月に2005年版を創刊以来、本年版で11冊目になります。
本年版は、旧版のデータ等を最新のものに改訂すると共に、確定給付企業年
金に関する記述を拡大・加筆、IFRSの概要、厚生年金基金改革と労働組合の
対応、年金ガバナンス体制の見直し・強化等、大幅に加筆しました。
 会社から制度再編提案がなされた時点で、労組員の皆様が、公的年金から
会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。そのため
には、年金制度の基本知識と制度再編に際して従業員サイドからの留意点を
組織内で共通認識することが第一歩です。そこで、本書をテキストや副読本
として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。また、加盟単組からの
ご相談があった際に、本書を参考にして対応されている産別も見受けられる
ようになりました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 《最新版発売中!!》平成26年5月30日発売!!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第3版)
 日本労働組合総連合会
 NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク:共編
 平成24年5月31日発行
 A4判・122頁・頒価1部1,500円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 本ハンドブックは、施行13年目を迎えた確定拠出年金制度が法律制定の趣
旨にそって、「公的年金と相まってサラリーマンの老後生活保障の柱」の一
翼を担える制度に仕上がっていくように、との期待をこめて、主として加入
者、労働組合の立場から課題と対応の「考え方」を示したものです。私たち
の活動の中から、これまでに経験した事例や課題・問題点を踏まえて整理を
行いました。
 第I部は、確定拠出年金制度の概要と基礎知識を法律に沿って解説、第II
部は、制度のポイントである「運用」と「教育」についての考え方と提言、
第III部は制度の課題と展望について述べています。
 本書は、旧版のデータを最新のものに改めにとともに、マッチング拠出等
が認められた法改正に対応し第3版として発行するものです。
 すでに、退職給付制度の一部または全部を確定拠出年金に移行した労組の
皆様には、制度の運営改善に、これから移行が想定される皆様には、制度設
計・運営のご参考になれば幸いです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 書籍のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら、下記までご連絡をお願い申し上げます。
 内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 →http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm
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 NPO金融年金ネットワーク事務局(
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●次号(第133号)は5月1日に送信の予定です。
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