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┃       金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン

┃                    第138号 2015年10月1日
┃   NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
┃             ホームページ http://kinyunenkin.jp/
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 このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場
 から退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している
 「NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金
 ネットワーク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関す
 る情報や意見交換のスペースをご提供することを目的にしています。企
 画・編集には(株)格付投資情報センターのご協力を頂いています。
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■■ 目次 ■■
●特集レポート
 企業年金コンサルティングの現場から(121)
●NPOトピックス
 ★今からでも聞いてみよう投資の話(12)
  日本版スチュワードシップ・コードについて(2)
 ★マーケットトピックス
  米、利上げは先送り。世界経済の変調を警戒、日本は?
 ★年金トピックス
  確定拠出年金の運用商品、REITやバランス型投信が大幅増
   ――「年金情報」DC運用商品の追加・削除状況調査
●年金相談の現場から(47)
  新たな後納制度が10月から始まります
●NPOアクティビティー
出版のお知らせ
◇最新版・2015年版 平成27年1月30日発売!
 好評4月7日増刷出来!
「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2015年版
◇最新版好評発売中!! 平成26年5月30日発売! 残部僅少!
「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第3版)

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┃ ■特集レポート
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 企業年金コンサルティングの現場から(121)
                (株)武南企業年金事務所代表 坂井信夫
 ◇◆◇
 9月27日に閉幕した通常国会で、残念ながら通過しなかった一つの法案が
ある。それは、「確定拠出年金法等の一部を改正する法律案」というものだ。
審議経過としては、8月27日に衆院の厚生労働委員会を通過し、9月3日には
同本会議で可決され、参院に送られていた。
 ほんの少し前まで代表的な企業年金制度であった厚生年金基金が消滅に向
かいつつある中で、代替制度の選択肢をより多様化することに寄与しうる内
容といっていい法案なのだが、勤労者に影響を与えるポイントを大まかにま
とめると以下のようなものだろう。

 (1)従業員100人以下の事業主が企業型DCを導入する場合の諸手続き等の簡
略化。
 (2)一切の企業年金制度を持たない従業員が100人以下の事業所で、当該従
業員が個人型DCに加入して掛金を拠出する場合、事業主も掛金拠出できる。
 (3)DCの拠出掛金の上限は、「毎月いくらまで」ではなく「年間でいくら
まで」という規制とする。
 (4)個人型DCへの加入を、既にあるすべてのDB加入者、企業型DC加入者、
公務員共済等の加入者、そして第三号被保険者にまで可能となるように拡大。
 (5)DC制度からDB制度への資産移管が可能になる。

 (1)と(2)については、総合型厚生年金基金の加入事業所を強く意識したも
のといえよう。(3)については、例えばボーナス月だけ掛金額を増額すると
いうことが可能になる。(4)については、個人型DCの大衆化の到来といって
いいだろう。専業主婦(夫)も含めて、老後に備える努力を促すということ
でもある。(5)が実現すれば、例えば企業型DC加入者が企業型DC制度を持た
ない会社へ転職した場合などのポータビリティの改善に役立つ。
 現在の公的年金は、長寿高齢化と少子化の流れの中で、その給付額を徐々
に調整することで「破綻」を回避する措置が取られている。今後も給付額の
目減りを避けることは、残念ながら今のところ難しい状況だろう。公助で足
りない部分は共助と自助で賄うしか方法はない。私は、企業年金とは事業主
と従業員による「共助の制度」であると思っている。
 DC制度とDB制度はコインの表裏のようにそれぞれ長所と短所があるのだか
ら、そこをうまく組み合わせた制度をそれぞれの企業が、あるいは個人が検
討する。法案が成立すればそんなことが可能になることだろう。ちなみに貯
蓄的である個人型DCも、法案が通過すれば事業主の掛金拠出も認められるこ
とから、広義の企業年金としてここでは「共助」の範疇と認識しておきたい。
 ということで、この法案が次の国会に再度提出され速やかに審議可決され
ることを望む次第である。ちなみに施行日は平成29年1月1日になっていたと
記憶する。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■NPOトピックス
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★今からでも聞いてみよう投資の話(12)――――――――――――――――
 日本版スチュワードシップ・コードについて(2)

          NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 前回は制度の内容が主になったことから、今回は具体的な例を挙げること
にしましょう。スチュワードシップ・コード(以下SSコード)の原則5では、
「……議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、
……投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべき……」とあ
る。その際、評価基準の一つに最近注目されているのが自己資本利益率(以
下、ROE)というもので、「資本生産性」の一指標である。株主から調達し
た資金をもとに企業がどの程度利益を稼いだのか、もしくは効率よく稼いだ
のかという収益率指標である。ROEが高ければ株主へのリターンも大きくな
るはずなので、こうした投資先企業に対しては株式の保有意義が説明しうる
ことになり、議決権行使の賛否に際し、「否」を唱える理由が一つなくなる。
ところが、ROEの水準(注)が満足できないと機関投資家が判断すれば、経
営の中核を担う取締役の選任議案に異を唱えることもある。このようにSSコー
ドを機関投資家が受け入れ表明することで、上場企業の経営への関与がより
強くなると期待されている。ただし、これは株主と企業が共存していくため
の基本的な考えを共有することが重要であり、株主の一方的な要求を押し付
けるものではないと個人的には考えています。

 (注)ROEの水準はどの程度が望ましいかは、企業の事業内容によって一
概には言えず、また様々なROE論議もあります。「最低で5%程度、できれば
8%程度を確保したい」というのが多くの意見ではないでしょうか。ちなみ
に大和総研は、調査対象410社のうちROEが8%以上の企業数はその約半分、5
%未満は約20%だったとしている。また野村證券は東証一部企業の2014年度
平均が8%弱、15〜16年度には8%を超えてくると予想している。8%という
のが目安とも言えそうです。

 別の例として、SSコードと社会的責任投資との関係についての議論がある。
その背景にはSSコードの原則3に「機関投資家は……当該企業の状況を的確
に把握すべきである。」と記述されており、その指針3-3に「……投資先企
業のガバナンス、企業戦略、業績、資本構造、リスク(社会・環境問題に関
連するリスクを含む)、などへの対応など、 非財務面の事項を含む様々な
事項が想定されるが、……」としている。つまり、環境配慮(E)、社会貢
献(S)、企業統治(G)を主とする非財務情報も当該企業の状況という範囲
にあると言うことであろう。ただ、指針のそのあとには、「機関投資家の運
用方針は異なり、一元的に規定するものではなく、機関投資家の判断に委ね
る」とされている。この点に関しては先行している英国でも同様で2010年の
SSコード策定後、2012年の改定時には「最終的な資本提供者も繁栄できるよ
うな方法により、会社の長期的成功を促進することにある。実効的なスチュ
ワードシップは、会社、投資家、経済全体に恩恵を及ぼす。」とし、環境、
社会、企業統治、などの要因を考慮することは必須ではないとしており、日
本も同様と解釈できるものである。そうではあるが、機関投資家が社会的責
任投資により関心が高まる可能性は否定できず、社会的責任投資の普及が進
むとの見方もある。ご関心のある方は、当NPO法人作成の「退職金・企業年
金ハンドブック(2015年版)」の120頁「ワーカーズキャピタル責任投資ガ
イドライン」もご参照頂けると幸いです。
 ◆◇◆

★マーケットトピックス―――――――――――――――――――――――
 米、利上げは先送り。世界経済の変調を警戒、日本は?

                 NPO金融年金ネットワーク
                 DCアドバイザー・CFP   宮本一弘
 ◇◆◇
 2006年以来、約10年ぶりの利上げに踏み切るのか注目されていた米FOMC(公
開市場委員会)が9月16日・17日に開催されました。政策金利(FFレート)
の据え置き(実質ゼロ金利の維持)を決定しました。但し、好調な米国経済
を背景に、「年内利上げ実施」は堅持しています。
 イエレン議長は、声明後の記者会見で、中国経済の失速の懸念に端を発し
た新興国経済への不安の高まり、世界同時株安の余波や更なるドル高・原油
安による輸入物価、エネルギー価格の落ち込みが米国内でのインフレ率の低
迷に繋がっていることを勘案して、影響の見極めに「少し時間が必要」と据
え置きを決めた理由を説明しました。
 米国景気は依然好調を維持しています。9月2日発表の地区連銀報告では「大
部分の地区と分野で景気が引き続き拡大した」との総括判断を示し、個人消
費や企業活動が総じて堅調に推移したことが示されました。個人消費は、小
売り、自動車販売、観光などが好調です。製造業では一部に、中国経済の減
速の影響がみられています。絶好調の自動車販売では、8月の新車販売は季
節調整済の前年同月比で3.3%増加、年率換算値は1780万台で4ヵ月連続の大
台超えです。ガソリン安と低金利の追い風で、ピックアップトラックやSUV
など利幅の大きい大型車が好調で、日本メーカーではSUVに特化した富士重
工が好調を維持、小型車・低燃費車が主体のメーカーは概して苦戦を強いら
れている様です。
 雇用状況は、8月の雇用統計で、非農業部門の雇用者数が17万3000人増に
鈍化しました。ただ、6・7月分が遡って上方修正され、直近3ヵ月分は22万
1000人増、1〜8月の月平均も21万2000人増で、FRBが目安としている20万人/
月増を超えていて改善が続いています。失業率は、5.1%に低下、金融危機
前の状態に戻ったと言えます。平均時給は、前年同月比2.2%増加しました
が、金融危機以前の水準に戻っていません。
 成長率見通しは、1〜3月期が前期比(−)から0.3%増に、4〜6月期が3.9
%に上方修正され、2015年通年は2.1%に上方修正しましたが16年、17年は
下方修正しています。失業率は16年に4.8%に低下すると見込んでいますが、
FRBが目標としているインフレ率(現在、1.1%程度)が2.0%に戻る時期は
18年とみています。FF金利の見通しも17年末時点で3.75%から3.5%に引き下
げられました。
 イエレン議長は、9月24日の講演で、「海外での出来事が米金融政策の進
路に重大な影響を与えるほど米経済に衝撃を及ぼすとは予想していない」、
「2015年中のいずれかの時点での利上げが適切になる」との見解を改めて示
し、米FOMCメンバーの中で年内利上げを支持するメンバー(17人中13人)の
中には「私自身を含む」と明言して市場の利上げ先送り論を牽制しました。
利上げの理由として「金融引き締めが物価や実体経済に効いてくるまでには
大幅な時間差が生じる」、「事実上のゼロ金利政策を長く続け過ぎると、い
ざ利上げをする際に、物価を抑えるために比較的急激な利上げを迫られて、
却って、金融市場を混乱させるリスクが高まる」と述べています。IMFや世
銀、G20等からの強い牽制もあり、利上げ先送りの理由を「海外経済の不安
の高まり」としたことで、却って利上げ(金融政策)を難しくしたとの見方
もあります。中国は経済のリバランスの過程(輸出・不動産投資中心から内
需・個人消費拡大)にあり、一定の景気減速は織込み済みとはいえ、原油・
商品安がカナダを含む資源国に打撃になり、新興国全体の成長見通しへの懸
念が強まっています。新興諸国がインフレを抑え、資本流出を防ごうとすれ
ば、米国に先行した利上げ・引締めは避けられず、国内景気の悪化をもたら
します。成長軌道への回帰は簡単ではなく、FRBは、利上げは更に先送りせ
ざるを得なくなるのではとの見方も出ています。
 さて、日本。これまでのところ“アベノミクス”の最大の成果は、異次元
の金融緩和で円安トレンドを作り出し、株価を押し上げ、景気を活性化して
デフレからの脱出を期待させた事であろうといわれています。1$=70円台の
円高から120円台への円安転換は、日本経済の屋台骨の自動車等輸出企業の
収益を好転させ、円高時代に行った海外投資の収益が、円ベースの連結収益
向上に寄与、多くの企業が最高益を更新する状況になったことではないか。
久々にベースアップも行われ、所得向上→消費拡大の好循環も期待されまし
た。しかし、7月以降の中国経済の急減速やそれに伴う世界的な株価下落で
円安・株高の筋書きには陰りが出始めているといわれています。
 国内の現状を見ると、9月4日、厚労省発表の7月の毎月勤労統計(速報値)
の実質賃金は、前年同月比で0.3%上昇、27ヵ月ぶりに(+)に転換したも
のの、市場予想を大幅に下回りました。大企業に比べ中小企業で夏のボーナ
スが伸び悩んだ影響が大きいとされています。税や社会保険料を差し引く前
の総額ベースでも0.6%増で個人消費を押し上げる効果は限られるとされま
す。
 総務省の消費者物価上昇率(CPI)は、8月の全国数値、前年同月比「総合」
で、0.2%上昇、生鮮食品を除く「総合」(コア)では(−)0.1%、食品・
エネルギーを除く「総合」(コア・コア)では0.8%増と上昇基調は維持し
ているとしていますが、コア物価指数のマイナスは2年4ヵ月ぶりです。9月
の都区部の数値では、「総合」が(−)0.1%とマイナスに転じ、除く、生
鮮食品「総合」(コア)は(−)0.2%、値下がりを続けるエネルギーと生
鮮食品を除く「総合」(コア・コア)は0.6%上昇ですが目標とする2%から
は大きく乖離をしています。内閣府が公表している「景気ウォッチャー」調
査の8月データでも、小売り、飲食、サービス関連は前月比2.3ポイント下が
って49.3と50を割り込み、「先行き判断」は3.7ポイント下がって48.2と3ヵ
月連続で下落しています。物価については、政府の公表する数値が横這いな
いし下落に転じているのに対し、生活実感により近いとされる「東大日次物
価指数」(税抜)は春以降上昇基調にあり、9月20日の週の平均では1.6%上
昇になっています。加工食品や日用品で、輸入材料の値上がりを価格に転嫁
するコストプッシュ型のインフレが始まっているのではと懸念されます。
 9月の政府月例経済報告では、「一部に鈍い動きもみられるが……」と実
質的な下方修正の表現になっています。市場では、「追加緩和第3弾」によ
る、株価押し上げ・円安が期待されていますが、円安による物価上昇が、多
くの働く中間層、年金生活者等を含む低所得層にとって、本当に良い政策な
のか考えさせるところでしょう。
                        (平成27年9月27日記)
 ◆◇◆

★年金トピックス――――――――――――――――――――――――――
 確定拠出年金の運用商品、REITやバランス型投信が大幅増
  ――「年金情報」DC運用商品の追加・削除状況調査(2015年3月末)

        NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士
        DCアドバイザー・AFP            植村昌機
 ◇◆◇
 「年金情報」は、確定拠出年金(DC)の運営管理機関を対象に契約企業に
ついて2015年3月末現在の運用商品の追加・削除状況を調査した。7月に調査
し、39社から回答を得た。

 1. 運用商品の追加・削除
 制度発足から15年3月までの間に運用商品を1本でも追加した実績のある規
約は、前年比277件増えて2,269件となった。全規約の50.9%が商品追加をし
ている。追加された商品数は、延べ1,728本増え、前年比22.6%増の9,360本
まで拡大した。新規契約数が伸び悩む中、運用商品を追加する動きはなお高
水準で推移している。
 この1年間に追加された商品の内容をみると、バランス型投信(複数の資
産に投資するタイプ)が542本と前年比42.9%増と突出。このうちターゲッ
トイヤー型投信(目標にする年に合わせて積極的運用の割合を変えるタイプ)
の追加が71本と同39%増であった。
 バランス型投信は株式比率が異なる商品が複数同時に追加される傾向があ
り、内容も多様化している。従来は信託報酬の安いバランス型の追加が主だ
ったが、近年は株式や債券に加えて、新興国やREIT(不動産投信)などを組
み入れた多資産バランス型投信のほか、リスクを低く抑えるため運用会社の
判断で資産配分を調整するリスクコントロール型投信、さらにラップ型投信
(加入者の希望に沿った複数の投信を選び組み合わせて運用する)などの採
用も増えている。
 バランス型投信に次いでこの1年間で追加が多かったのが保険商品。追加
本数は292本と前年比29.5%増となった。保険商品は年金受給に対応してお
り、終身年金で受け取ることもできる。預け替えによる中途解約の際も解約
返戻金が元本を下回らない新商品などを提案しており、商品性も改良されて
いることが背景にある。
 株式や債券、バランス型を除くオルタナティブ投信では、REIT型投信がこ
の1年間で219本追加され、前年比49.2%増と大きく伸びた。
 一方で、商品削除の実績がある規約は、212件と昨年と変わらなかった。
削除の大半は投信の運用会社側の都合で投信の繰り上げ償還やターゲットイ
ヤー型投信で満期がきたなどの理由にとみられる。

 2. 運用商品の追加・削除予定
 今後、商品の追加を予定している規約は197件で、前年比12.1%減となっ
た。追加予定の商品数は前年比18本減り、延べ723本で、前年比2.4%減と2
年連続で減少した。追加予定商品の内訳は、バランス型投信が205本と前年
比20.6%増でトップとなり、そのうちターゲットイヤー型は27本であった。
このほか、その他投信が76本と前年比111.1%増と急増している。そのほと
んどがリスクコントロール型投信である。また、昨年までは、目立たなかっ
た国内株式投信が49本と、前年比22.5%増となった。昨年まで、追加予定の
上位を占めていたREIT型や新興国債券型投信は大幅に減少している。
 元本確保型商品の追加予定は預貯金が42本で前年比12.5%減、保険商品は
68本で3%増であった。
 運用商品の除外予定は、2件であった。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■年金相談の現場から(47)
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 被用者年金制度の一元化について(パート2)
   NPO金融年金ネットワーク 1級FP技能士・社会保険労務士 小野隆璽
 ◇◆◇
 国民年金の保険料を適切に納付している被保険者との均衡に配慮しつつ、
将来低年金者、無年金者となることを防止するため、「年金事業運営改善法」
が、平成26年6月4日に成立し、平成26年6月11日に公布されています。
 この法律の中には5つの改正事項があり、それぞれ施行日が異なっていま
す。
 ところで、この中のひとつである「保険料納付機会の拡大」が、平成27年
10月1日に施行されました。この改正は、これまでの過去10年分まで遡って
納めることができる後納制度に代わり、過去5年分まで遡って納めることが
できる後納制度です。そこで今回は、この制度の概要を、以下に説明させて
いただきます。

 1. 実施期間:
 ・平成27年10月1日〜平成30年9月30日(3年間の時限措置)

 2. 対象期間:
 ・保険料の徴収権が時効(2年)により消滅した以下の未納期間及び未加入
  期間が対象となります。
   (1)強制加入期間のうち、未納期間及び未加入期間
   (2)任意加入期間のうち、未納期間
      ⇒任意加入の申出をしていない期間は対象外です。
   (3)特例任意加入期間のうち、未納期間
      ⇒受給資格を得られる300月を超えた期間は対象外です。
   (4)一部免除期間のうち、未納期間
 ・なお、後納制度の対象とならない期間は以下の期間です。
   (1)保険料免除期間
      ⇒追納期間の対象とされるため(追納は可能)
   (2)2年以内の未納期間
      ⇒通常の保険料納付義務期間のため(通常の納付が可能)
   (3)海外居住期間
      ⇒合算対象期間(カラ期間)の対象とされるため
   (4)老齢基礎年金の満額である480月を超える期間

 3. 保険料額:
 ・平成22年10月分〜平成28年7月分の保険料のうち、上記対象期間にかか
  るもので、当時の保険料額に加算額(これまでの後納制度の加算額より
  高い額とされる)を加算した保険料額となります。

 4. 納付期限:
 ・平成30年9月末まで
   *ただし、後納対象月が平成25年8月以前の場合は後納対象月から起
    算して5年後の月末となります。すなわち、過去5年分までしか後納
    できません。

 5. 対象者:
 ・過去に未納期間がある人
   なお、後納制度の適用にならない人は以下のとおりです。
   (1)65歳以上で老齢基礎年金の受給要件を満たしている人
      ⇒年金額を増額させるために、後納保険料を納付することはで
       きません。
   (2)老齢基礎年金を受給している人(繰上げ受給者を含む)

 6. その他
  (1)納付された日に納付に係る月の納付がされたものとみなされます。
   すなわち、後納保険料を納付した場合は、納付が行われた日から効力
   が発生することになります。
    ⇒後納保険料を納付したことで65歳以後に受給資格期間を満たした
     場合は、納付した日に老齢基礎年金の受給権が発生し、その翌月
     から年金が支給されます。
  (2)古い期間の保険料から順次納付しなければなりません。
    ⇒古い順番から納付しなかった場合、納付した保険料は仮充当また
     は還付されます。
  (3)付加保険料は納付できません。

 以上が、過去5年分まで遡って納めることができる後納制度の概要です。
 平成29年4月より、受給資格期間の25年が10年に短縮される制度改正も予
定されていますので、もし未納期間等があり受給資格期間を満たしていない
人は、この制度を利用して後納保険料を納付されることをお勧めします。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■NPOアクティビティー
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
出版のお知らせ―――――――――――――――――――――――――――
 ◇◆◇
 《最新版・2015年版》 平成27年1月30日発売!! 好評 4月7日増刷出来!!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2015年版
 日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
  共編
 A4判・138頁・頒価1部1,000円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 確定拠出年金法と確定給付企業年金法の公布から10年以上が経過し、この
間、退職給付会計の導入、運用難による年金資産の積立不足、厚生年金基金
の代行返上、税制適格退職年金の廃止等を契機に、退職給付制度の再編が進
行してきました。
 厚生年金基金や税制適格退職年金から確定給付企業年金に移行後に、国際
会計基準(IFRS)や財政運営基準の厳格化の動向をにらみ、キャッシュバラ
ンス・プランや確定拠出年金に切り換える動きも出てきています。確定拠出
年金も個人資産の目標金額未達成、投資教育の内容・頻度、運用商品開発の
不足等、課題が発生しています。さらに、厚生年金基金改革法が2014年4月
に施行され、解散や移行先制度の検討等、企業年金の再編は第二のステップ
に入りつつあります。
 本書は、2004年11月に2005年版を創刊以来、本年版で11冊目になります。
本年版は、旧版のデータ等を最新のものに改訂すると共に、確定給付企業年
金に関する記述を拡大・加筆、IFRSの概要、厚生年金基金改革と労働組合の
対応、年金ガバナンス体制の見直し・強化等、大幅に加筆しました。
 会社から制度再編提案がなされた時点で、労組員の皆様が、公的年金から
会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。そのため
には、年金制度の基本知識と制度再編に際して従業員サイドからの留意点を
組織内で共通認識することが第一歩です。そこで、本書をテキストや副読本
として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。また、加盟単組からの
ご相談があった際に、本書を参考にして対応されている産別も見受けられる
ようになりました。

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 《最新版発売中!!》平成26年5月30日発売!!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第3版)
 日本労働組合総連合会
 NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク:共編
 平成24年5月31日発行
 A4判・122頁・頒価1部1,500円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 本ハンドブックは、施行13年目を迎えた確定拠出年金制度が法律制定の趣
旨にそって、「公的年金と相まってサラリーマンの老後生活保障の柱」の一
翼を担える制度に仕上がっていくように、との期待をこめて、主として加入
者、労働組合の立場から課題と対応の「考え方」を示したものです。私たち
の活動の中から、これまでに経験した事例や課題・問題点を踏まえて整理を
行いました。
 第I部は、確定拠出年金制度の概要と基礎知識を法律に沿って解説、第II
部は、制度のポイントである「運用」と「教育」についての考え方と提言、
第III部は制度の課題と展望について述べています。
 本書は、旧版のデータを最新のものに改めにとともに、マッチング拠出等
が認められた法改正に対応し第3版として発行するものです。
 すでに、退職給付制度の一部または全部を確定拠出年金に移行した労組の
皆様には、制度の運営改善に、これから移行が想定される皆様には、制度設
計・運営のご参考になれば幸いです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 書籍のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら、下記までご連絡をお願い申し上げます。
 内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 →http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm
 お問い合わせ、お申し込みは
 NPO金融年金ネットワーク事務局(
 または電話(03-5444-0539)、FAX(03-5444-0303)まで。

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●次号(第139号)は11月2日に送信の予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止/バックナンバー閲覧】
 → http://kinyunenkin.jp/08mailmaga.htm
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