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┃       金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン

┃                    第141号 2016年1月4日
┃   NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
┃             ホームページ http://kinyunenkin.jp/
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 このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場
 から退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している
 「NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金
 ネットワーク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関す
 る情報や意見交換のスペースをご提供することを目的にしています。企
 画・編集には(株)格付投資情報センターのご協力を頂いています。
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■■ 目次 ■■
●特集レポート
 企業年金コンサルティングの現場から(124)
●NPOトピックス
 ★今からでも聞いてみよう投資の話(15)
  コーポレートガバナンス・コードについて(1)
 ★マーケットトピックス
  2016年 市場のリスク要因を考える
 ★年金トピックス
  確定拠出年金へのシフトは退職所得にどう影響するか
   ――米国の確定拠出型年金プランでの検証にみる
●年金相談の現場から(50)
  障害年金請求における初診日証明の新たな取扱い
●NPOアクティビティー
出版のお知らせ
◇最新版・2015年版 平成27年1月30日発売!
 好評4月7日増刷出来!
「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2015年版
◇最新版好評発売中!! 平成26年5月30日発売! 残部僅少!
「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第3版)

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┃ ■特集レポート
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 企業年金コンサルティングの現場から(124)

                (株)武南企業年金事務所代表 坂井信夫
 ◇◆◇
 新年あけましておめでとうございます。
 今年もこのメルマガへの投稿で一年が始まることをとても光栄に感じてい
ます。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

 昨年の12月GPIFの発表によると、
 本年度第2四半期(7月〜9月)の運用成績がマイナス値で、具体的には約7
兆9千億円の損失が発生したそうである。確かに夏場以降、日経平均をはじ
めとする日本株式の指標はなかなかパッとしない。2015年3月末の日経平均
株価は19,200円台で、今年度も夏場にかけて2万円台で推移していた。しか
し8月下旬から中国の景気減速懸念などのために下振れする局面が目立つよ
うになった。実際7月〜9月の3ヵ月間の主要資産のインデックス騰落率は、
国内株式が−12.78%、国内債券0.62%、外国株式が−11.01%、外国債券が
−0.91%となっている。
 その結果として、4月〜9月の6ヵ月間の累積でも、国内株式は−7.69%、
国内債券は0.49%、外国株式−8.98%、外国債券が
 −0.16%にまで落ち込んだ。国内債券以外のインデックスがいずれもマイ
ナスの収益率である。よって、GPIFの全資産実績も第1四半期は1.92%のプ
ラスであったが、第2四半期のそれが−5.79%であったため、上半期の累積
収益率も−3.94%で推移している。第二次安倍政権が誕生してからの約3年
間では、最も苦労している時期といえるのではないだろうか。
 ただし、期間をさらにひと月伸ばし、4月〜10月の期間率をみると、国内
株式インデックスは累積で1.93%のプラスに転じる。外債もプラスとなり、
外株はマイナスであるがその数値は−1.23%に縮小する。これらの状況から
おそらく4月〜10月末の期間率なら、GPIFの全資産運用実績は0%近辺で若干
のプラス値であろう。このように収益率のブレが大きいのがいまのGPIFの運
用である。
 もともとは厚生年金基金等と比べて低リスクの運用を志向していたGPIFで
あるが、2014年秋に、その基本方針を大きく転換させた。政策アセットミッ
クスにおける内外株式の基本配分をそれぞれ25%に高め、しかもその許容か
い離幅を踏まえると、資金の6割以上を株式に振り向けることすら可能な運
用基本方針を策定した。
 以来徐々に、実際の株式ウエートを高めているわけであるが、足元だけみ
ると、まさに内外株式が一進一退のタイミングでそのウエートを引き上げた
ような形になっているわけだが、おそらくGPIFの運用成績は、内外株式の動
向によって決まる部分が収益全体の8割以上になっていると推測する。
 しかし忘れてはいけない事実もある。GPIFの資料によれば、平成26年度の
運用収益額が約15兆3千億円である。同じく25年度が約10兆2千億円、24年度
が約11兆2千億円の運用収益を獲得している。
 GPIFの積立金は、公的年金の三大財源の一つである。その運用収益が大き
くなるほど、将来の所得代替率の落ち込みを抑制する効果が期待できる。一
方で成果が裏目に出れば、資産の毀損が進み、所得代替率の落ち込む要因に
寄与するかもしれない。この表裏、なかなか難しいかじ取りではないだろう
か。
 白河法皇は「賀茂川・双六の賽・山法師」を自分の思い通りにゆかぬもの
と嘆いたという。今年の株式相場はさていかに。
 ◆◇◆

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┃ ■NPOトピックス
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★今からでも聞いてみよう投資の話(15)――――――――――――――――
 コーポレートガバナンス・コードについて(1)

          NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 コーポレートガバナンス・コード(以下CGコード)は、政府の成長戦略で
ある「日本再興戦略」を踏まえたものである。金融庁と東京証券取引所が共
同事務局となり有識者会議を開催し、「コーポレートガバナンス・コード原
案〜会社の持続的成長と中長期的な企業価値向上のために〜」を公表した(平
成27年3月5日)。一言でいうと「攻めのガバナンス」の実現を目指すとされ
ており、今年の6月から本CGコードの適用が始まった。早い企業では6月1日
にみずほフィナンシャルグループなど数社がCGコードに対する意見を表明し
ている。3月決算会社で6月に株主総会を開催する企業は年内をめどにガバナ
ンス報告書を提出することが決められている。
 ここで「攻めのガバナンス」とは、最近よく言われる「稼ぐ力」を高め、
その果実を国民が幅広く享受するということを意味しているようである。そ
のために金融庁は「経営者のマインドを変革し、グローバル競争に打ち勝つ
攻めの経営判断を後押しする仕組みを強化していくことが重要」との考え方
から、「内部留保を貯め込むのではなく、新規の設備投資や、大胆な事業再
編、M&Aなどに積極的に活用していくことが期待される」としている。この
ことはCGコードの大きな特徴となっている。
 日本のCGコードの原則は「OECDコーポレートガバナンス原則(以下、OECD
原則)」を踏まえている。すなわち「株主の権利」、「株主の平等な取り扱
い」、「株主以外のステークホルダーの役割」、「開示と透明性」、「取締
役会の責任」、といった項目について基本的な考え方を参考にするものであ
る。これらに加えて、日本では「株主との対話」が独立した形で設けられた。
「株主との対話」は、既にご承知の通りスチュワードシップ・コードにも示
されており、「車の両輪」であると言う日本独自の考え方が改めて確認され
るものである。
 繰り返しになりますが、コーポレートガバナンスは「企業の持続的な成長
と中長期的な企業価値の向上」が目的である。しかし、政府は「わが国の成
長戦略の一環として策定」したために、「経済全体の発展にも寄与する」と
いう期待感は強い。それは、前述したように企業が持続的に成長することで
得られた果実を、広く国民に分配することで、わが国の成長が持続するとい
う循環を期待するものである。
 一方で、こうしたCGコードを実行したからと言ってすぐに「稼ぐ力」が高
まるとは言えない。今後具体的にどう実行していけば良いのかを探ることに
したいと思います。
 最初でもあるため、以下にCGコード基本原則の項目を示しておきます。

 1. 株主の権利・平等性の確保(株主総会での権利行使、資本政策の説明、
   政策保有株式や買収防衛策の必要性・合理性の説明)、など)
 2. 株主以外のステークホルダーとの適切な協働
 3. 適切な情報開示と透明性の確保
 4. 取締役会等の責務(受託者責任、監督と執行、独立社外取締役の役割
   や基準・資質、など)
 5. 株主との対話(経営計画の策定、など)
 (参考資料:「コーポレートガバナンス・コード原案」コーポレートガバ
  ナンス・コードの策定に関する有識者会議より)
 ◆◇◆

★マーケットトピックス―――――――――――――――――――――――
 2016年 市場のリスク要因を考える

                 NPO金融年金ネットワーク
                 DCアドバイザー・CFP   宮本一弘
 ◇◆◇
 2015年を通じ、世界の金融市場で最大の関心事になっていた米FRBによる
「利上げ」は、12月15・16日に開催されたFOMC(公開市場委員会)後の声明
で「フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標のレンジを0.25〜0.5%に引
き上げた」と発表、利上げに踏み切りました。同時に発表された経済予測の
基になる2016年末の適切なFF金利(当局者17人の中央値)は1.375%で、来
年は1年を通して0.25%の利上げが4回実施されると想定されていることが判
明しました。
 2008年9月のリーマン・ブラザース破綻後の金融危機最中の12月に事実上
のゼロ金利政策を打ち出し、その後、3度にわたる量的緩和(QE)で、米経
済の“デフレ”化、“二番底”への陥落を防いできた政策が8年ぶりに転機
を迎えることになりました。利上げそのものは2006年6月以来、実に9年半ぶ
りになります。
 イエレン議長は、会合後の記者会見で「景気回復はまだ完全ではないもの
の、大きな成長を遂げたことは明らかだ」、「金融政策のスタンスは引き続
き緩和的であり、それにより労働市場の一層の改善とインフレ率の2%への
回復を支えていく」、「FOMCのこの日の決定は、米経済への我々の自信を反
映していることを米国民は認識すべきだ」と述べています。
 今回の利上げは、すでに市場には織り込まれていたことや、発表にネガテ
ィブなサプライズがなかったことから市場には安心感が広がり、株式市場は
値上がりで反応し、金利も為替も落ち着いた推移になっています。
 さて、2016年。今年の世界経済はどうなるでしょうか。「利上げ」は市場
に新たな不透明要因をもたらすと考えるべきでしょう。IMFの2016年の成長
率見通し(15年10月)によると、今年は世界全体では3.6%。米国が2.8%、
ユーロ圏1.6%、日本は1.0%で先進国全体では2.2%。途上国はインド7.5%、
中国は減速が続き6.3%、全体では4.5%の成長が見込まれています。ただ、
日本は昨年が0.6%、今年1.0%、来年0.4%と低い見通しなのが気になりま
す。17年4月の消費増税の影響を見込んでいるわけですが、「デフレ脱却」
と「増税」、と相反する政策の舵取りは難しくなり、場合によっては、増税
見送りもあり得るのではないかと言われます。
 世界経済のリスク要因の第1は、ドル高に伴う米国企業の業績の減速リス
クです。米国は雇用の改善が鮮明になり、自動車販売や住宅建設、更に小売
り、サービス等の国内消費が好調ですが、ローン金利の上昇の影響やドル高
による海外利益の減少が予想されます。更に、エネルギー関連での投資減速、
雇用の縮小などネガティブな要素が併存しています。米国の景気回復はリー
マンショック後の09年6月の「景気の谷」から既に6年半を過ぎ、今後は上昇
よりも後退局面に入る可能性の方が大きいともいわれます。そうなると利上
げのペースは遅くなり、場合によっては利上げ中止も考えられ、その場合に
は、ドルが売られ、円高に向かうケースもあり得ましょう。第2は、原油や
商品価格の値下がりによる新興国経済への影響です。新興国経済はインドな
ど一部の国を除くと資源の輸出収入に国家財政の多くを依存しています。一
昨年の夏から始まったOPECの増産は、原油価格を100ドル/バレルから40ド
ルをはるかに下回る水準まで下げ、現在も20ドル台への値下がりを予想する
向きもあります。3月には長年の禁輸措置が解かれるイラン産原油が市場に
入ってきます。当分価格の回復は難しいとの見方が多く、エネルギー企業が
発行している高利回り債(ハイイールド債)のデフォルトやエネルギーファ
ンドの損失拡大などから金融市場が混乱する危険性が指摘されています。勿
論、国家財政均衡化の必要から一転して、OPECが協調して減産に転じる可能
性も否定しきれませんが…。
 第3は、中国経済の減速の影響です。リーマン危機後に4兆元に及ぶ金融緩
和を行い不動産投資が成長を牽引してきましたが2013年頃から、不動産バブ
ルの崩壊が始まり、2015年夏には株式バブルが弾けました。中国経済の減速
は、資源を中国に輸出することで経済を回してきた新興諸国の景気減速に繋
がっていますが、問題は、人民元切り下げの動きでしょう。昨年8月の突然
の切り下げは、世界の金融市場に大きな衝撃を与え、米FRBの9月の利上げ見
送りに繋がりました。昨年11月のIMFで中国の人民元がSDRバスケットの構成
通貨として正式に承認され、今年の11月からドル、ユーロに次ぐ3番目の構
成比が与えられた通貨になります。従来の様な、閉鎖的な通貨政策は難しく
なります。
 中国は、経済が減速しているといってもまだ高い成長率を維持しており、
国家財政にも、外貨準備にも十分な余裕があります。直ぐに“中国崩壊”と
いった見方に惑わされることはありませんが、人民元の変動が世界の金融市
場のリスク要因として浮上したといえます。
                       (平成27年12月28日記)
 ◆◇◆

★年金トピックス――――――――――――――――――――――――――
 確定拠出年金へのシフトは退職所得にどう影響するか
  ――米国の確定拠出型年金プランでの検証にみる

        NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士
        DCアドバイザー・AFP            植村昌機
 ◇◆◇
 我が国においては、厳しい運用環境から確定給付型企業年金から確定拠出
型企業年金へのシフトが図られているが、こうした転換が受給者の退職後の
所得にどう影響しているのか。確定拠出年金導入後10数年しか経過していな
いこともあり定かではないが、このような状況が退職後の所得の減少を促す
結果になっているのであれば、その影響を分析し、政策的な対応が必要にな
る。そこで、米国での年金プランのシフトによる影響を巡る議論を紹介する。
 米国の中・大規模企業の従業員の企業年金の加入率はここ30年の間に大き
く変化している。1985年における確定給付型年金への加入率は80%であり、
確定拠出型年金は41%であったが、2015年ではそれぞれ25%、56%と逆転し
ている。事業主が提供する企業年金に加入している者の割合も減少しており、
併せて確定給付型から確定拠出型へのシフトが行われている。
 退職後の所得について、前期ベビーブーマー〈1948-1954年生まれ〉、後
期ベビーブーマー〈1955-1964年生まれ〉ジェネレーションX〈1965-1974年
生まれ〉の三世代ごとに集計した場合、ジェネレーションXの世代が十分な
所得が得られない可能性は44.5%であり、後期ベビーブーマー世代の43.7%
より高くなっている(米国企業福祉研究所の報告)また、退職後の標準的な
生活を維持できなくなるリスクは後期ベビーブーマー世代が48%に対してジ
ェネレーションXが56%と高くなっている(ボストンカレッジの報告)。こ
うした傾向は、2004年より2007年行った調査がより高くなってきており、ま
た、最も低所得階層にリスクが高くなっており世代間や所得間の格差がある
ことが分かる。
 また、実際に確定拠出年金へのシフトが退職資産にどのような影響を与え
たかについて、25歳から29歳までの世代が401(K)プランに加入した場合と確
定給付型プランに加入した場合の65歳時の所得代替率の相違を検証している
(米国企業福祉研究所の報告)。
 ●所得が低い層ほど401(K)プランに加入することにより代替率が下がる
 ●受給資格が得られる期間が長いほど401(K)プランの方が代替率が高くな
る(その相違に与えるインパクトが所得より大きい)
 加入期間を長くとることにより確定給付型プランより401(K)プランの方が
退職後の所得が高くなると推計されている。
 このようなシミュレーションから、「401(K)プランにシフトすることによ
って退職のための資産が減少している」といえるほどの根拠はみられない。
退職後の所得にリスクを抱えている低所得者が多くいることは事実であり、
確定拠出年金への拠出額を増加させていくことは、有用な方法ではあるが、
確定拠出年金へのシフトがもたらす問題というより、自動加入や加入期間の
増加など低所得者対策の一環としての必要性の方が強く、そうした視点で確
定拠出年金制度を見ていく必要がある。
 欧米では、私的年金の自動加入という仕組みが導入されている。米国での
2006年年金保護法による401(K)プランへの自動拠出の適法化、英国での2008
年法改正による自動加入制度の導入がある。厚生労働省企業年金部会でも将
来的に検討していくという議論がある。
           (企業年金誌2015年12月号「海外年金事情」より)
 ◆◇◆

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┃ ■年金相談の現場から(50)
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 障害年金請求における初診日証明の新たな取扱い

   NPO金融年金ネットワーク 1級FP技能士・社会保険労務士 小野隆璽
 ◇◆◇
 これまで、20歳前に初診日がある場合のみ、医師による初診日の証明が取
れなくても、受診状況についての第三者証明があれば、初診日が認められる
取扱いとされていましたが、平成27年10月から、障害年金の裁定請求等にお
ける添付書類のうち、障害の原因となった疾病又は負傷の初診日を明らかに
することができる書類がない場合の添付書類が定められ、以下のとおり認め
ることができる取扱いとされました。

 1. 新たな取扱いにする考え方
 障害年金は、初診日において納付要件を満たしている必要があり、初診日
がいつであったかの判断を適正に行う必要があります。
 一方、傷病の発生・受診から相当の期間を経て重症化する疾病により請求
する事例が増え、初診日を特定できず障害年金を受けられない事案も生じ大
きな課題となっていました。
 このため、初診日証明の考え方を改めて整理し、初診日を確認できないと
いう理由で障害年金が不支給となる事案が少なくなるよう、初診日証明の取
扱いが見直されることになりました。

 2. 初診日証明に関する新たな取扱い
 (1)20歳以降に初診日がある場合の第三者証明の取扱い
 初診日を具体的に特定するような内容である場合において、第三者証明を
初診日を合理的に推定するための参考資料とし、請求者申立ての初診日につ
いて参考となる他の資料が合わせて提出された場合には、初診日を認めるこ
とができる取扱いとされます。
 *これまでは、20歳前に初診日がある障害年金の請求と異なり、第三者証
  明単独では初診日は認められない取扱いでした。

 (2)一定期間継続して年金に加入し、納付要件も継続的に満たしている
場合の初診日証明の取扱い
 初診日が特定できない場合であっても、参考資料により初診日が一定の期
間内にあると確認できた場合に、当該期間のどの時点でみても、国民年金又
は厚生年金に加入し、かつ、納付要件を満たしている場合は、一定の条件の
下で、当該期間中で請求者が申し立てた初診日を認めることができる取扱い
とされます。

 (3)請求者の申立てに基づき医療機関が過去に作成した資料の取扱い
 5年以上前に医療機関が作成した資料に請求者申立ての初診日が記載され
ている場合には、初診日を認めることができる取扱いとされます。
 また、5年以上前ではないが相当程度前である場合については、請求者申
立ての初診日について参考となる他の資料が合わせて提出された場合には、
初診日を認めることができる取扱いとされます。

 (4)診察券等の取扱い
 これまで請求傷病での受診である可能性が高いと判断できる診療科(精神
科など)の場合は、初診日及び受診した診療科が分かる診察券や入院記録等
で初診日を認めることができる取扱いとされています。
 今後、診察券や入院記録等で初診日及び受診した診療科が確認できた場合
には、請求傷病での受診かどうかが不明の場合でも、請求者申立ての初診日
について参考となる他の資料が合わせて提出された場合には、初診日を認め
ることができる取扱いとされます。

 (5)検診日の取扱い
 これまでも健康診断を受けた日(検診日)を初診日とするかどうかについ
ては、事案ごとの状況で個別に判断されていました。
 今後、検診日は、治療目的で医療機関を受診した日でないことから、原則
として初診日としないこととされます。
 ただし、初めて治療目的で医療機関を受診した日を医証で証明することが
できない場合や、医学的見地からただちに治療が必要と認められる検診結果
である場合については、請求者から検診日を初診日とするよう申立てがあれ
ば、検診日を初診日として、検診日を証明する資料とされます。

 (6)その他
 上記に限らず、初診日の確認に当たっては、初診時の医証がない場合であ
っても、2番目以降の受診医療機関の医証などの提出された様々な資料や、
傷病の性質に関する医学的判断等を総合的に勘案して、請求者申立てによる
初診日が正しいと合理的に判断できる場合は、請求者申立ての初診日を認め
ることができる取扱いとされます。
 なお、医学的判断や他の資料との整合性等から資料の内容に疑義が生じる
ような場合には、資料が形式的に整っている場合であっても、請求者申立て
の初診日を認めないこととされます。

 以上のように、これまでは、初診日を証明できる書類がない場合、20歳前
傷病を除き、ほとんど認められることはありませんでしたが、平成27年10月
以降、初診日を証明できる書類がない場合でも、参考となる他の資料等を添
付することにより、認められる可能性がでてきました。
 また、過去に初診日証明ができず請求を断念した人や請求したが却下され
た人は、これにより再度請求することもできます
 ◆◇◆

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┃ ■NPOアクティビティー
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
出版のお知らせ―――――――――――――――――――――――――――
 ◇◆◇
 《最新版・2015年版》 平成27年1月30日発売!! 好評 4月7日増刷出来!!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2015年版
 日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
  共編
 A4判・138頁・頒価1部1,000円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 確定拠出年金法と確定給付企業年金法の公布から10年以上が経過し、この
間、退職給付会計の導入、運用難による年金資産の積立不足、厚生年金基金
の代行返上、税制適格退職年金の廃止等を契機に、退職給付制度の再編が進
行してきました。
 厚生年金基金や税制適格退職年金から確定給付企業年金に移行後に、国際
会計基準(IFRS)や財政運営基準の厳格化の動向をにらみ、キャッシュバラ
ンス・プランや確定拠出年金に切り換える動きも出てきています。確定拠出
年金も個人資産の目標金額未達成、投資教育の内容・頻度、運用商品開発の
不足等、課題が発生しています。さらに、厚生年金基金改革法が2014年4月
に施行され、解散や移行先制度の検討等、企業年金の再編は第二のステップ
に入りつつあります。
 本書は、2004年11月に2005年版を創刊以来、本年版で11冊目になります。
本年版は、旧版のデータ等を最新のものに改訂すると共に、確定給付企業年
金に関する記述を拡大・加筆、IFRSの概要、厚生年金基金改革と労働組合の
対応、年金ガバナンス体制の見直し・強化等、大幅に加筆しました。
 会社から制度再編提案がなされた時点で、労組員の皆様が、公的年金から
会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。そのため
には、年金制度の基本知識と制度再編に際して従業員サイドからの留意点を
組織内で共通認識することが第一歩です。そこで、本書をテキストや副読本
として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。また、加盟単組からの
ご相談があった際に、本書を参考にして対応されている産別も見受けられる
ようになりました。

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 《最新版発売中!!》平成26年5月30日発売!!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第3版)
 日本労働組合総連合会
 NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク:共編
 平成24年5月31日発行
 A4判・122頁・頒価1部1,500円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 本ハンドブックは、施行13年目を迎えた確定拠出年金制度が法律制定の趣
旨にそって、「公的年金と相まってサラリーマンの老後生活保障の柱」の一
翼を担える制度に仕上がっていくように、との期待をこめて、主として加入
者、労働組合の立場から課題と対応の「考え方」を示したものです。私たち
の活動の中から、これまでに経験した事例や課題・問題点を踏まえて整理を
行いました。
 第I部は、確定拠出年金制度の概要と基礎知識を法律に沿って解説、第II
部は、制度のポイントである「運用」と「教育」についての考え方と提言、
第III部は制度の課題と展望について述べています。
 本書は、旧版のデータを最新のものに改めにとともに、マッチング拠出等
が認められた法改正に対応し第3版として発行するものです。
 すでに、退職給付制度の一部または全部を確定拠出年金に移行した労組の
皆様には、制度の運営改善に、これから移行が想定される皆様には、制度設
計・運営のご参考になれば幸いです。
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 書籍のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら、下記までご連絡をお願い申し上げます。
 内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 →http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm
 お問い合わせ、お申し込みは
 NPO金融年金ネットワーク事務局(
 または電話(03-5444-0539)、FAX(03-5444-0303)まで。

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●次号(第142号)は2月1日に送信の予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止/バックナンバー閲覧】
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【内容に関するご意見・ご感想】
本メールの送信アドレスは送信専用ですので、直接ご返信になることはでき
ません。ご意見・ご感想等は、下記アドレスまでお願い致します。
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