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┃       金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン

┃                    第143号 2016年3月1日
┃   NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
┃             ホームページ http://kinyunenkin.jp/
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 このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場
 から退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している
 「NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金
 ネットワーク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関す
 る情報や意見交換のスペースをご提供することを目的にしています。企
 画・編集には(株)格付投資情報センターのご協力を頂いています。
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■■ 目次 ■■
●特集レポート
 企業年金コンサルティングの現場から(126)
●NPOトピックス
 ★今からでも聞いてみよう投資の話(17)
  コーポレートガバナンス・コードについて(3)
 ★マーケットトピックス
  日銀 マイナス金利を導入――その効果と問題点を考える
 ★年金トピックス
  政策アセットミックス、外貨建て資産の配分高まる、DBは国内株式比率
  を引き下げ」
   ――2015年日経企業年金実態調査より
●年金相談の現場から(52)
  平成28年4月からの年金額は据え置かれました
●NPOアクティビティー
出版のお知らせ
◇最新版・2015年版 平成27年1月30日発売!
 好評4月7日増刷出来!
「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2015年版
◇最新版好評発売中!! 平成26年5月30日発売! 残部僅少!
「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第3版)

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┃ ■特集レポート
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 企業年金コンサルティングの現場から(126)

                (株)武南企業年金事務所代表 坂井信夫
 ◇◆◇
 今年も早や2か月が過ぎた。この間の試みとして、筆者の地元で数回、「公
的年金」の今後の行方と私的年金の充実について解説をする、小規模のセミ
ナーを開催した。お客様を想定した内容は二つのパターンを用意した。一つ
は、サラリーマンであるが「企業年金制度」を持たない会社にお勤めの方や
フリーランスの方。もう一つは専業主婦(夫)である。どちらのパターンで
も共通して触れているのは以下の通り。

 (1)少子高齢化の進む中、年金の保険料は上限が設けられているので、現
役世代の負担が際限なく増加する、ということはないこと

 (2)ただし、「入り」の状況を念頭に、マクロ経済スライド調整で「出」
を抑えるために、年金額の所得代替率は先細っていくということ。

 (3)給付の金額は現役世代の賃金上昇率や出生率、あるいは受給者世代の
平均余命の動向などの要素で変化すること。

 (4)その中で、企業年金制度の存在意義は益々大きくなっていくだろうと
いうこと。

 といった流れの話をしている。そして、
 勤労者向けには、

 (5)しかし、中小企業の中で企業年金制度を持たない企業の数が、足元で
は増加傾向にあること。

 (6)国民年金しか加入していないフリーランスの方も含め、自分で積み立
てる確定拠出年金個人型という制度があること、

 などを話している。
 専業主婦(夫)向けの場合は、

 (5)公的年金は基礎年金しかもらえない現状だが、早晩確定拠出年金個人型
の制度に、加入することができるようになる予定であること。

 (6)現状の確定拠出年金個人型のしくみ

 という展開で話をすすめている。
 筆者は27歳の時から厚生年金基金の方たちを相手に仕事をすることになっ
たのだが、必要ゆえに年金制度のことを自分なりに勉強した。しかし、一般
に20代や30代の若い世代が65歳の自分のことを「切実な問題」として考える
だろうかと言えば、それはないと思うし、それで当然であろう。勉強に仕事、
結婚や子育てなど、老いる前にやるべきことが盛りだくさんなのだから。新
卒採用の面接で「御社は企業年金制度が充実しているので」。もし志望動機
の一つにこんな言葉を述べる若手がいたら、私が面接官でも気持ちが「引い
てしまう」だろう。当時の自分ももちろん「私にはまだまだ遠い世界だけど
仕事だから」というスタンスだった。しかし、これまでたくさんの諸先輩方
の話を伺い、自分も50代前半の年となって納得する所であるが、一般に50代
の後半になると、急速に年金のことが自分の問題として浮上してくるようだ。
ゆえに老後の前にいろいろなことが待ち構えている若い世代でも、長生きす
ることを前提にすれば、老後の準備は早く始めるに越したことがないのもま
た事実であろう。「例えば確定拠出年金制度を通じて、1年に数日だけ、自分
の将来に思いをはせる、というくらいがちょうど良いスタートなのではない
だろうか」。
 セミナーの最後はこんな内容で締めている。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■NPOトピックス
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★今からでも聞いてみよう投資の話(17)――――――――――――――――
 コーポレートガバナンス・コードについて(3)

          NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 今回はコーポレートガバナンス・コード(以下CGコード)に対する企業の
取り組み姿勢を見ていきます。野村證券が2016年1月15日に発行した「日本
株投資戦略(1月号)」の中で、「5.コーポレートガバナンス:CGコード対
応の開示状況」と言うレポートを掲載している。同レポートでは、「昨年の
12月30日現在、6月株主総会実施企業では1,865社、6月以外の企業では45社、
合計1,910社が開示を行った。」としており、その中で、「すべての原則を
『コンプライ(実施)』している会社は218社、全体の11.4%で開示企業数
が増えるとともに原則を実施しない理由を説明する『エクスプレイン(説明)』
を行う企業が多くなった。」としている。また、エクスプレインが多い原則
は、「取締役会の実効性分析・評価」、「議決権電子行使関連、招集通知の
英訳」、「独立社外取締役2名以上の選任」、などであった。ただ、これま
でのエクスプレインの記述では、「原則そのものを受け入れないというより
は、原則を受け入れる対応を準備しているという事例が多い。」とも指摘し
ている。
 一方で、CGコードの読み手側である機関投資家は、「関心がまだ低く、双
方が理解する努力の必要性を感じる。」と問題提起を行っている。双方が理
解を深めるコミュニケーションの材料として、CGコード報告書を活用する余
地がありそうだ。
 これから先は一企業の報告書を具体的に見ていきます。参考事例はメガバ
ンクと言われる金融グループです。同社は昨年6月1日に「コーポレートガバ
ナンスに関する報告書」を東京証券取引所へ提出している。その中で、「『コー
ポレートガバナンス・コード』の趣旨・精神を踏まえつつ、各原則 への対
応を検討した結果、全ての原則について実施(コンプライ)することと致し
ました。」と報告している。その後同社は東京証券取引所が示した書式に沿
って同社の考え方が細かく示された報告書を11月中旬に更新している。
 同報告書では、初めにコーポレートガバナンスに関する基本的な考え方や
企業の基本情報が示されている。続いてCGコードへの考え方としてすべての
原則に対し「コンプライ」かそうでないかを述べ、その後は個々の原則に対
する基本的な考え方・指針が示されている。前述のエクスプレインが多かっ
た「取締役会の実効性分析・評価」については、取締役の自己評価をもとに、
社外取締役会議で分析・評価を行うとしている。「議決権電子行使関連、招
集通知の英訳」については、電磁的方法による議決権の行使は実施済みであ
り、招集通知の英文掲載も既に行っている。「独立社外取締役2名以上の選
任」については、定款上の取締役の員数15名以内に対し、6名以上を社外取
締役とすることとし、現在は全取締役13名に対し、6名が社外取締役となっ
ている。また、社外取締役の独立性も担保されている、などと記載されてい
る。
 次回はエクスプレインの内容をもう少し見ていくことにします。今回の参
考事例は規模が大きい金融会社であること、同社においては過去において不
祥事がなかったわけでもない、などコーポレートガバナンスについてはしっ
かり検討がなされた経緯がある。このため、比較的優等生の内容になってい
る。しかし、上場企業の中には中規模経営や同族系の企業があり、歴史や属
性も異なるため、CGコードの考え方も多様である。
 ◆◇◆

★マーケットトピックス―――――――――――――――――――――――
 日銀 マイナス金利を導入――その効果と問題点を考える

                 NPO金融年金ネットワーク
                 DCアドバイザー・CFP   宮本一弘
 ◇◆◇
 中国の景気減速と資金流出不安、原油安による新興国経済の悪化と低格付
社債市場の混乱、米利上げ継続と景気後退不安の台頭、欧州金融機関の信用
不安等を原因に、世界の金融市場は年初来、激しく変動を続けています。
 1月29日、日銀は、市場の意表を突いて「マイナス金利」の導入に踏み切
りました。「金融機関が日銀に保有する日銀当座預金に(−)0.1%のマイ
ナス金利を付ける」というものです。黒田総裁は「マイナス金利付き質的・
量的緩和」と名付け、「必要な場合にはさらに金利を引き下げる」とコメン
トしています。
 準備預金に対するマイナス金利は既にECBやスイス中銀で実施しています。
スイスの場合は、ユーロの値下がりでスイス・フランが割高になり、精密機
械などの輸出産業が打撃を受け始めていたので、スイス・フラン高を抑制す
る必要が理由とされました。
 日銀は、「企業コンフィデンスの改善や人々のデフレマインド転換が遅延
し、物価の基調に悪影響が及ぶリスクが増大」(日銀展望リポート)した、
としていますが、真の理由は、年初来の株式市場の混乱、為替の一段の円高
が企業経営者のマインドを委縮させ、ベースアップによる給与の増加が需要
喚起・個人消費の拡大を通じ物価を押し上げるという“好循環の目論み”が
破綻しかねないと黒田総裁自身が強く懸念したことがあったのではないかと
言われています(株高・円安効果)。発表当初、市場は18,000円に迫る株高、
為替も121円台後半へ下落、など効果は見られたものの数日で失速、2月12日
には、日経平均は14,865円へ値下がり、為替は、マイナス金利を導入したに
も拘わらず110.99円(2月11日)まで上昇しました。債券市場は素直に反応
して、長期金利は急速に低下、実際にマイナス金利の適用が始まった16日以
降は、期間10年物までの国債利回りが、マイナスに沈むことになりました。
 今のところ、政策変更(「量」の緩和と「金利」の操作という、一般には
整合的ではない政策)を、事前に市場に織り込ませるのではなくサプライズ
を意識したためか、市場関係者に「日銀がそこまでしなければダメな程デフ
レ脱却は難しいのか」、「これ以上の国債購入は難しくなった証拠ではない
か」(量的緩和の限界)という疑念を呼ぶことになり、却って混乱を助長し
た結果になっていると言われています。
 デフレ脱却に向けた金融政策として、総合的にはプラスに働くことが期待
されるマイナス金利政策だが、ネガティブな影響を受けるケースがあります。
先ず、準備預金を預けている銀行の収益を圧迫します。日銀は、準備預金を
(1)「基礎残高」(2015年1月〜12月の積み期間の平均残高)、(2)「マクロ
加算残高」(異次元緩で、国債を購入する過程で自然に増加する部分)、(3)
「政策金利残高」((1)+(2)を上回る部分)の3段階に分け、(1)には従来通
り(+)1.0%を付利、(2)は付利を止めて0%、(3)を(−)0.1%とし、マ
イナス金利の適用範囲を抑え(当初は10兆円程度)銀行の収益圧迫に配慮し
たとしています。しかし、金融緩和の継続で(3)の残高比率が増大して行く
とされます。マイナス金利は、銀行が資金を、リスクを取って積極的に融資
に振り向け、また、外債等リスク資産購入に向かわせる所謂、「資産ポート
フォリオのリバランス」を促すとされていますが、企業の手元資金は潤沢で、
借り入れを必要とする企業は殆どないと言われます。国内で設備投資が活発
化しないのは、経営者が先行きの見通しに確信が持てないから、とされてい
ます。海外での事業や大口の融資、市場取引等収益機会を拡大しているメガ
バンクに比べ地銀以下の中小金融機関への打撃は相対的に大きくなるとされ
ています。現に、東証の金融セクターの株価が大きく値下がりをしたことに
端的に表れています。
 準備預金へのマイナス金利の付与と長期金利の低下で、収益機会が減少し
た銀行は、最終的に預金金利のマイナス付利に行き着くのではとの懸念もあ
りますが、個人は、銀行に預けて元本が減少する危
 険があれば預金をせず現金で退蔵(タンス預金)するでしょう。また、預
金の引き出しに殺到して銀行の“取付け騒ぎ”が起きることを恐れ、個人の
預金がマイナス金利になる懸念は先ずないと思われます。
 我々にとって懸念が大きいのは年金基金(特に企業年金)の運用です。1990
年代の厳しい運用環境を経て、現在の企業年金は、目標とする運用利回りを
下げ、運用損失の発生を抑えるべくリスクの小さい国内外の債券を中心に据
えた固い運用のポートフォリオに変わっていますが、10年債までマイナスで、
償還まで20〜30年の超長期債の金利も下がり、分散投資の効果が効かなくな
るのではと懸念されます。かといって運用損失の発生は母体企業のBSの毀損
に繋がりますからリスクを取る運用は躊躇されるでしょう。また金利が下が
れば年金債務は大きくなり、時価で評価する年金資産との差額は拡大し、年
金財政上の積立不足が拡大する方向になります。
 また、同じ理由で生保会社が、一時払いの年金保険の販売停止を決めたり、
証券会社が短期市場の商品で堅実な運用を目指しているMMF(投資信託)も
損失の発生を恐れ、運用を停止し、資金を返還する動きも見られます。マイ
ナスの影響が先に表面化していて、懸念されるところです。
 目下、プラスの効果が顕在化している分野は、個人向けでは「住宅ローン
金利」、それと最大の借金(債務)を抱えている日本政府(財務省)でしょ
うか? 金利低下により、新発・借換債とも利子負担が大きく減少するはず
です。
                       (平成28年2月25日記)
 ◆◇◆

★年金トピックス――――――――――――――――――――――――――
 政策アセットミックス、外貨建て資産の配分高まる、DBは国内株式比率を
 引き下げ」
  ――2015年日経企業年金実態調査より

        NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士
        DCアドバイザー・AFP            植村昌機
 ◇◆◇
 政策アセットミックスは、企業年金の資産の運用目標を達成するための資
産配分で基本ポートフォリオともいわれる。この調査では、政策アセットミ
ックスについて、「国内債券」、「国内株式」、「外国債券」、「外国株式」、
「短期資産・その他」の5資産の配分比率を尋ねている。その上で「オルタ
ナティブ投資」、「一般勘定」の比率についても回答を求めている。
 国内外を区別せず「債券合計」、「株式合計」、「短期資産・その他」の
3資産についても聞いている。

 1. 政策アセットミックスの現状
 企業年金全体の5資産の政策アセットミックスを14年調査と比較すると、
外貨建て資産が増えて、国内資産の配分が減っていた。短期資産も増え、そ
れに対して国内株式と国内債券の比率が下がった。確定給付企業年金(DB)
は、全体と同じ動きだが、厚生年金基金は国内債券を除き、すべての資産割
合を増やしていた。厚生年金基金は、厚生年金の代行部分の債務を計算する
際に、厚生年金本体の運用実績を用いるためGPIFの運用に追随する必要があ
り、株式比率を高める必要があったようだ。採用から短期間で解約がしにく
いオルタナティブについても、厚生年金基金は配分を減らし、一方DBは増や
している。
 一般勘定についても厚生年金基金は増やし、DBは減らしている。
 3資産の政策アセットミックスでも、厚生年金基金が「株式合計」を増や
し「債券合計」を下げているのに対して、DBは「株式合計」も「債券合計」
も下がっている。

 2. 今後の政策アセットミックス
 政策アセットミックスを今後見直すかどうかを尋ねたところ「ない」とす
る回答が半数であった。政策アセットミックスのどの資産の比率を変えたい
かについて、DBはオルタナティブ投資を増やしたいとする回答が多かったが、
一方、厚生年金基金では減らしたいと回答している。一番減らしたい資産は、
国内債券であった。

 3. 政策アセットミックス策定上、最も重視する項目
 「各資産の固有のリスクの大きさに基づいた資産配分の策定」が一番多く、
次に「いったん策定したら5年程度は原則変えない」が続いた。「機動的な
運用方法の採用状況」について聞いたところ、採用は半数にニーズのぼりは
高まりつつある。組み入れ比率については、「10%未満」が最も多かった

 4. オルタナティブ投資の状況
 資産全体に占める割合は、15.69%と過去最高であった。最も投資比率が
高いのは基金型DB、規約型が続いて多い。厚生年金基金は減少している。資
産全体に占めるオルタナティブ投資の割合は、全資産の「10〜19%」とする
回答が4割程度を占めた。
 ◆◇◆

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┃ ■年金相談の現場から(52)
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 平成28年4月からの年金額は据え置かれました

   NPO金融年金ネットワーク 1級FP技能士・社会保険労務士 小野隆璽
 ◇◆◇
 平成28年度の年金額は、物価、賃金によるスライドは行われず、平成27年
度から据え置きとなります。
 そこで、今回は年金額改定のルールによる平成28年4月からの年金額据え
置きの解説をさせていただきます。

 1. 年金額改定のルール
 年金額は現役世代の賃金水準に連動する仕組みとなっています。年金額の
改定ルールは、法律上規定されており、年金を受給し始める際の年金額(新
規裁定年金)は名目手取り賃金変動率によって改定し、受給中の年金額(既
裁定年金)は購買力を維持する観点から物価変動率によって改定することに
なっています。また、給付と負担の長期的な均衡を保つなどの観点から、賃
金水準の変動がマイナスで物価水準の変動がプラスとなる場合には、現役世
代の保険料負担能力が低くなっていることに着目し、既裁定年金・名目手取
り賃金変動率ともに、「スライドなし」とされます。

 2. 年金額改定のルールによる平成28年度の年金額について
 前述の年金額改定のルールにより、平成28年度の年金額は、名目手取り賃
金変動率(▲0.2%)がマイナスで、物価変動率(0.8%)がプラスとなるこ
とから、新規裁定年金・既裁定年金ともに「スライドなし」とされます。
 また、マクロ経済スライドの調整は、以下のケースにおいては完全には適
用されないことになっており、平成28年度の年金額改定においては、マクロ
経済スライドによるスライド調整(▲0.7%)は行われません。

 (1)名目手取り賃金変動率や物価変動率が小さく、スライド調整率を適用
した
 場合、年金額がマイナスとなってしまう場合には、スライド調整は「年金
 額のスライドなし」を下限とされます。
 (2)名目手取り賃金変動率がマイナスとなる場合や物価変動率がマイナス
となる場合には、年金額の改定率はマイナスとなりますが、それにさらにス
ライド調整が適用されることはありません。

 実は、以上の(1)(2)マクロ経済スライドのルール(デフレ下では導入され
ない)に対して、現役世代の年金負担軽減のためにも、このルールを変更し、
どのような場合でもマクロ経済スライドを適用すべきだという意見等が出さ
れています。今後、このルールに対する見直し論議が活発になされるものと
思われます。
 なお、平成26年財政検証では、平成28年度のスライド調整率は▲1.1%〜
▲1.2%と見込まれていましたが、60歳以上の高齢者雇用が見込みよりも進
んだことなどにより厚生年金被保険者が増加したことで、実際のスライド調
整率は見込みよりも低くなっています。

 ■平成28年度のスライド調整率(▲0.7%)
   =公的年金被保険者数の変動率(▲0.4%)
    ×平均余命の伸び率(▲0.3%)

 以上のように、平成28年4月分からの年金は据え置きとなりましたが、被
用者年金一元化法により端数処理が変更になったため、平成28年4月分の年
金から1円単位となり、月額で数円の増減が生じます。
 また、4月・5月分の支払いは6月15日振込みとなりますので、年金額が増
減されたことが確認できるのは2ヵ月後となります。

 3. 平成28年4月からの主な年金額
 (1)老齢基礎年金(満額の場合) : 780,100円(月額:65,008円)

 (2)遺族基礎年金 : 780,100円(月額:65,008円)
 ○子が1人いる妻に支給される場合:
 780,100円+224,500円(子の加算)=1,004,600円(月額:83,717円)
 ○子供に支給される場合 :
 年金額の合計金額を子供の数で割り、その割った金額がそれぞれの子供
 に支給されます。
 子1人の場合:780,100円(月額:65,008円)
 子2人の場合:780,100円+224,500円=1,004,600円÷2=502,300円
 (月額:41,858円)がそれぞれに支給されます。

 (3)障害基礎年金(1級) : 975,125円(月額:81,260円)
 *障害基礎年金(1級)は、障害基礎年金(2級)の1.25倍のため、
  1円単位となっています。
 ○子が1人いる場合 :
 975,125円+224,500円(子の加算)=1,199,625円(月額:99,969円)

 (4)障害基礎年金(2級) : 780,100円(月額:65,008円)
 ○子が1人いる場合 :
 780,100円+224,500円(子の加算)=1,004,600円(月額:83,717円)
 ◆◇◆

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┃ ■NPOアクティビティー
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
出版のお知らせ―――――――――――――――――――――――――――
 ◇◆◇
 《最新版・2015年版》 平成27年1月30日発売!! 好評 4月7日増刷出来!!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2015年版
 日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
  共編
 A4判・138頁・頒価1部1,000円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 確定拠出年金法と確定給付企業年金法の公布から10年以上が経過し、この
間、退職給付会計の導入、運用難による年金資産の積立不足、厚生年金基金
の代行返上、税制適格退職年金の廃止等を契機に、退職給付制度の再編が進
行してきました。
 厚生年金基金や税制適格退職年金から確定給付企業年金に移行後に、国際
会計基準(IFRS)や財政運営基準の厳格化の動向をにらみ、キャッシュバラ
ンス・プランや確定拠出年金に切り換える動きも出てきています。確定拠出
年金も個人資産の目標金額未達成、投資教育の内容・頻度、運用商品開発の
不足等、課題が発生しています。さらに、厚生年金基金改革法が2014年4月
に施行され、解散や移行先制度の検討等、企業年金の再編は第二のステップ
に入りつつあります。
 本書は、2004年11月に2005年版を創刊以来、本年版で11冊目になります。
本年版は、旧版のデータ等を最新のものに改訂すると共に、確定給付企業年
金に関する記述を拡大・加筆、IFRSの概要、厚生年金基金改革と労働組合の
対応、年金ガバナンス体制の見直し・強化等、大幅に加筆しました。
 会社から制度再編提案がなされた時点で、労組員の皆様が、公的年金から
会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。そのため
には、年金制度の基本知識と制度再編に際して従業員サイドからの留意点を
組織内で共通認識することが第一歩です。そこで、本書をテキストや副読本
として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。また、加盟単組からの
ご相談があった際に、本書を参考にして対応されている産別も見受けられる
ようになりました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 《最新版発売中!!》平成26年5月30日発売!!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第3版)
 日本労働組合総連合会
 NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク:共編
 平成24年5月31日発行
 A4判・122頁・頒価1部1,500円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 本ハンドブックは、施行13年目を迎えた確定拠出年金制度が法律制定の趣
旨にそって、「公的年金と相まってサラリーマンの老後生活保障の柱」の一
翼を担える制度に仕上がっていくように、との期待をこめて、主として加入
者、労働組合の立場から課題と対応の「考え方」を示したものです。私たち
の活動の中から、これまでに経験した事例や課題・問題点を踏まえて整理を
行いました。
 第I部は、確定拠出年金制度の概要と基礎知識を法律に沿って解説、第II
部は、制度のポイントである「運用」と「教育」についての考え方と提言、
第III部は制度の課題と展望について述べています。
 本書は、旧版のデータを最新のものに改めにとともに、マッチング拠出等
が認められた法改正に対応し第3版として発行するものです。
 すでに、退職給付制度の一部または全部を確定拠出年金に移行した労組の
皆様には、制度の運営改善に、これから移行が想定される皆様には、制度設
計・運営のご参考になれば幸いです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 書籍のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら、下記までご連絡をお願い申し上げます。
 内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 →http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm
 お問い合わせ、お申し込みは
 NPO金融年金ネットワーク事務局(
 または電話(03-5444-0539)、FAX(03-5444-0303)まで。

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●次号(第144号)は4月1日に送信の予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止/バックナンバー閲覧】
 → http://kinyunenkin.jp/08mailmaga.htm
【内容に関するご意見・ご感想】
本メールの送信アドレスは送信専用ですので、直接ご返信になることはでき
ません。ご意見・ご感想等は、下記アドレスまでお願い致します。
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