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┃       金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン

┃                    第148号 2016年8月1日
┃   NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
┃             ホームページ http://kinyunenkin.jp/
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 このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場
 から退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している
 「NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金
 ネットワーク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関す
 る情報や意見交換のスペースをご提供することを目的にしています。企
 画・編集には(株)格付投資情報センターのご協力を頂いています。
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■■ 目次 ■■
●特集レポート
 企業年金コンサルティングの現場から(131)
●NPOトピックス
 ★今からでも聞いてみよう投資の話(22)
  運用の実際について(4) 〜アセット・マネジャーについて〜
 ★マーケットトピックス
  NYダウは史上最高値更新。デフレ脱却に苦しむ日本は
  遂に「ヘリ・マネ」議論へ
 ★年金トピックス
  マイナス金利で退職給付債務の増加が続出
●年金相談の現場から(57)
  厚生年金基金改革に伴う老齢厚生年金への影響について
●NPOアクティビティー
出版のお知らせ
◇最新版・2016年版 平成28年3月25日発売!
「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2016年版
◇最新版・平成28年8月23日発売!
「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第4版)
 ―2016年法改正対応―

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■特集レポート
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 企業年金コンサルティングの現場から(131)

                (株)武南企業年金事務所代表 坂井信夫
 ◇◆◇
 今年の春先にも書いたことだが、1月より地元で始めた「年金勉強会」も7
月の開催をもって第9回目を終えることができた。この間、自分もあらため
て発見すること、気づいたことが多々ある日々であった。
 現在は5月のDC法改正をうけて、「節税しながら積み立てる自分年金」と
か「現役の自分から老後の自分への仕送り」などと表現して、個人型DC制度
の紹介に努めている。これさえやっておけば老後は安心、などとは決して申
し上げないが、「老後のために何かしておきたい」と思うなら、真っ先に選
択してもよいのではないかと申し上げている。何もしないよりはるかにまし
である、という意味合いも含んでいるが。
 個人型DCについては、次の三点に関する税制面での優遇を特徴として強調
している。

 (1)加入者本人が拠出した掛金は全額所得控除(小規模企業共済等掛金控
  除)
 (2)資産運用収益非課税
 (3)年金で受給すれば公的年金等控除の対象なこと。

 (1)であれば預貯金との違い、(3)であれば生保の個人年金保険との違い(生
保個人年金の年金受給は公的年金等控除の適用外)などを付け加えている。
 さらにもう一つ重要な機能を説明している。実施時期は2年程度先と見込
まれるが、ポータビリティが大きく向上することである。
 例えば企業型DCを導入している会社を結婚退職して、第3号被保険者にな
ったとしても、その段階で個人型DCに加入すれば、企業型で積み立てた資金
を引き受け、それ以降も本人拠出で積立を継続することができる。そして将
来社会復帰した場合にその資金をどうするか、当該企業の制度次第では別の
制度に移行することも可能かもしれない。
 例えば退職一時金しかない企業ばかりを10年程度ずつ勤められた方。一般
に退職時には退職一時金や基金から脱退一時金が支給されて、その企業や基
金とは縁が切れるわけだが、個人型DCに加入しておけば、その一時金をそこ
に積立てておくことができる。
 まとまったお金をその時々に消費してしまったために、老後の資金に回ら
なかった、などという悲劇は回避することが可能となるのだ。
 勉強会ではもちろん、国の年金制度についても語る。なんだかんだ言って
も、老後の家計収入の基礎となるのは国の年金だからである。マクロ経済ス
ライドのしくみやその背景としての現在の年金財政のしくみを紹介し、年金
制度自体は破たんしないこと、従来ほどではないものの実質価値を維持でき
る年金であること、給付が終身であること、老齢年金以外に、障害年金や遺
族年金がセットであること、などを強調する。また、国の年金をテーマとす
ると、かなりの確率でこんな質問が出る。「国民年金の保険料未納はどの程
度悪影響があるのか?」。筆者はこう答えている。「保険料を払わないのだ
から、将来その人に年金は給付されない。その人と年金財政の間には何のお
金のやり取りも生じない。つまり保険料未納者は年金財政に対して何の影響
も与えない。もっとはっきり言えば、年金財政にとって保険料未納者は、日
本人として存在してないのと同じ」と。
 当たり前のことだが、実は若い人が自分の老後のためにまずやるべきこと
は、公的年金保険料をきっちり納めることなのだと自らも実感しつつ、地道
な活動を今後も続けていく。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■NPOトピックス
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★今からでも聞いてみよう投資の話(22)――――――――――――――――
 運用の実際について(4) 〜アセット・マネジャーについて〜

          NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 今回は年金基金等から資金運用の委託を受けたアセット・マネージャーに
ついて見ていきます。アセットとは資金もしくは資産、マネージャーとは管
理する者となり、資金運用する者をいいます。年金基金等は多額の資金を年
金積立金として保有していますが、一般的にその基金等が自前で資金運用(自
家運用)することは多くありません。つまりそうした人材を確保育成する能
力が乏しいことに加え、資産の分散という点からも資産運用を生業とする者
に複数委託することが一般的になっています。当然、資産運用にかかる委託
手数料の支払いは発生しますが、自家運用では人材確保だけにとどまらず、
資産管理システム、事務処理、など多くの付帯作業をこなさなければなりま
せん。費用対効果でどちらを選択するのかは、基金等の事情によって異なり
ます。

 それではアセット・マネージャーとはどういう者であるかを見ていきまし
ょう。今回も年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を例にとってみます。
同法人では年度終了後に「業務概況書」を公表しています。2016年度は当メー
ルマガジンが発行される直前の7月29日に予定されています。2015年度版で
は64頁に「運用受託機関等別運用資産額一覧表」が掲載されており、合計の
欄を見ると37社83ファンドとあります。この表を見るポイントは4つばかり
あると思います。1つは運用手法、株式か債券か、パッシブかアクティブか、
2つ目は運用受託機関、日系か外資系か、日系の中では信託銀行か投資顧問
会社もしくはアセット・マネジメント会社か、3つ目はマネージャー・ベン
チマーク、65頁にあるように18のベンチマークが採用され、各々の説明が記
載されています。これは数の問題ではなく、同じ資産クラスにおいてもベン
チマークが異なることがあるということが重要な点です。専門的になるので
ベンチマークの詳細までは触れませんが、分散投資に基づいたポートフォリ
オ構築を行っていると考えることができます。4つ目は時価総額(運用額)、
この運用額を決定する際には、前々回お示しした政策アセットミックスに基
づき資産配分をするというのが基本ですが、例えば委託手数料の差、運用受
託機関の運用能力・事務能力などに対するGPIFの裁量、などによっても異な
ってきます。

 運用受託機関の選定は、GPIFにとって受託者責任を果たす重要な業務の一
つです。そのために選定にあたっては慎重な手続きが行われています。「業
務概況書」の55頁に運用機関の選定プロセスが開示されており、その中に示
された評価基準が重要になってきます。同法人では投資方針、運用プロセス、
組織・人材、コンプライアンス、日本版スチュワードシップ・コードに係る
取組、株主議決権行使の取組、事務処理体制、運用手数料、などとしていま
す。また、これだけにとどまらず選定された運用機関が、その後運用並びに
事務の作業が、運用ガイドラインや資産管理ガイドラインに沿って適切にな
されているかどうかを、管理・評価というプロセスの中で確認していくこと
になります。そして、これらの一連の内容について運用機関と定期的なミー
ティングが開催され、これまでの確認と今後の方針について意見交換がなさ
れるというのが一般的な流れとなります。
 ◆◇◆

★マーケットトピックス―――――――――――――――――――――――
 NYダウは史上最高値更新。デフレ脱却に苦しむ日本は
 遂に「ヘリ・マネ」議論へ

                 NPO金融年金ネットワーク
                 DCアドバイザー・CFP   宮本一弘
 ◇◆◇
 7月は、26・27日に米FOMC(公開市場委員会)、28・29日に日銀の金融政
策決定会合と金融政策に関して重要なイベントが予定されていました。
 6月のFOMCでは、5月の雇用統計の不振だけでなく、「中国の成長鈍化」と
「英Brexit」をグローバル・リスクとして指摘し、利上げを見送りました。
しかし、米国の景気は依然好調に推移しています。
 7月8日発表の6月雇用統計では、非農業部門の雇用者数の増加が28万7千人
増となり、市場予想を大きく上回りました。7月13日発表の「地区連銀報告」
では、「経済活動は、大半の地区で緩やかに拡大した」との総括判断を据え
置き、労働市場も「安定を保っている」と評価しています。雇用は緩やかな
拡大が続き、賃金にも「上昇圧力がある」とされ、米GDPの7割を占める個人
消費は、「先行きも楽観的な見方が大勢」としています。住宅市場も堅調で
す。6月の米製造業景気指数は53.2と前月から上昇に転じています。米製造
業が年初の低迷から切り返しつつある兆候が見てとれます。
 米株式市場では、7月11日、S&P500指数が最高値を更新。ダウ平均も続伸
して、翌7月12日には18347.67ドルで取引を終え、史上最高値を更新しまし
た。しかし、イエレン議長は利上げに慎重で、CME(シカゴ・マーカンタイ
ル取引所)が算出する先物価格からの年内利上げ予想は7月25日現在、52%
と見られています。
 BrexitによるEU諸国の経済混乱の影響は、投機筋等の欧州銀行株に対する
空売りを招き、金融危機からの立ち直りが遅れていた銀行部門の信用問題に
発展するリスクが表面化してきました。特に、ルネッサンス以来の伝統を持
つモンテ・パスキ他イタリアの銀行5〜6行とドイツ銀行が狙われていて、IMF
もイタリア政府に対し不良債権処理の促進と金融改革の実行を迫っています。
 中国経済は、人民元が利上げに向かう米ドル高に引きずられる形で高止ま
りをしていて輸出競争力が低下していました。人民元は切り下げが続くと見
て、断続的な人民元売り・資本流出が続いていました。資本流出の防止には
人民元高政策(金融引き締め)が有効ですが、これは景気対策に逆行します。
米国としては、ドル高を防ぎながら人民元の切り下げを回避したいのが本音
で、米中の利害が一致して採られたのが年初からの円高誘導政策です。円高・
人民元安により輸出競争力を回復し、鉄鋼業等の余剰設備をフル生産、世界
へデフレを輸出することになりました。皮肉なことに中国の4〜6月期のGDP
は1〜3月期と同じ6.7%と、市場予想を上回るなど小康状態にあります。日
銀は、円安による輸入物価の値上がりを利用する物価上昇の経路は使えなく
なり、デフレ脱却に苦しむことになりました。
 日銀は、株価上昇、円安、物価の上昇を目的に、1月に意表を突いて、マ
イナス金利政策に踏み切りましたが現状は政策意図とは逆の方向、即ち、デ
フレ色が強まる状況にあります。日銀が消費者物価指数(CPI)としてみて
いるのは“コア・コア”と呼ばれる、生鮮食料品とエネルギー価格を除く総
合指数ですが、2015年9月に前年同月比0.9%上昇になったのをピークに、
2016年2月は0.8%、3・4月は0.7%、5月0.6%と低下し、生鮮食品を除く“コ
ア”指数は、2月以降3ヵ月連続でマイナス圏に沈んでいます。個人消費も、
全世帯消費支出が昨年の8月以来、閏年効果を除けば、前年比マイナスが継
続していて、デフレからの脱却に手詰りの状況にあるとされています。
 ここで、俄かに市場で取沙汰され始めたのが“ヘリコプター・マネー”で
す。4月に本田前内閣参与が、NYで、“ヘリコプター・ベン”と異名を取る
(2004年に、当時FRB理事にあった氏が来日し「デフレ克服のためにはヘリ
コプターから紙幣をまけばよい」といったことからこの名がついた)ベン・
バーナンキ前議長と「永久債」について議論していた(ブルームバーグ)こ
とが明らかになり、7月に入り、前議長本人が来日、7月11日、黒田総裁と、
翌12日、安倍首相と相次いで会談したことから、近々発表される予定の大型
経済対策への期待と結びついて市場関係者の思惑の範囲を超えて株価の戻り、
円安方向への転換になっているとされています。
 ヘリコプター・マネーは、実務的には、政府が返済の必要がない建設国債
等(無利子・永久債)を発行し、日銀がそれを直接引き受け、紙幣を増刷、
財政支出を賄うもので、これまでの量的緩和と異なり、「実質的に資産の裏
付けのない円」が出回ることになり、通貨・円の信認がなくなるので、財政
法上は勿論、金融・財政理論上でも広く“禁じ手”とされてきた手法です。
デフレからの脱却が金融政策だけでは限界があることが誰の目にもはっきり
し、政府の財政出動の出番との期待と結びついて市場は盛り上がりましたが、
実現には高いハードルがあります。
 この原稿を書いているのは7月27日ですが、市場参加者の多くは、米・FOMC
は利上げを見送り、日本は追加緩和に踏み切ると予想しているようですが、
一方で、日銀の金融緩和の限界を意識させることになり、却ってマイナスの
効果を生むとも懸念されています。
                       (平成28年7月27日記)
 ◆◇◆

★年金トピックス――――――――――――――――――――――――――
 マイナス金利で退職給付債務の増加が続出

        NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士
        DCアドバイザー・AFP            植村昌機
 ◇◆◇
 上場企業の2015年度(2016年3月期)の退職給付会計は、金利低下に伴う
割引率の引き下げで退職給付債務が増加する事例が目立つ。上場3,600社の
割引率の平均は0.863%となり、過去最低となった。そのため退職給付債務
は、前年比5.1%増の91兆2151億円と過去最大に膨らんだ。年金の資産運用
は、65兆2380億円と減少した。その結果、債務と資産の差額25兆9770億円の
積立不足が4年ぶりに増加した。(日本経済新聞2016年7月26日付朝刊)
 退職給付債務は、将来の退職見込み額を現在価値に割り戻して計算する。
その際に使用する割引率は「安全性の高い長期の債券の利回りを基礎に決定
する」ことになっており、長期国債の金利を使用する例が多い。退職給付債
務は、割引率が低くなると債務が増加し、上昇すると減少する。この増減が
債務側に発生する「数理計算上の差異」(数理差損益)である。
 マイナス金利付きの金融緩和政策により、国債の金利が低下したため割引
率をゼロ%やマイナス値に設定する企業が散見される。そのため債務が増加
し、また年金資産の運用の面でも株価が下落しているので、多くの企業で債
務増と資産減の二重苦に見舞われている。
 「割引率」を0.4〜0.6%引き下げ、数理差損が1000億円以上発生している
企業、また、差損発生により、退職給付債務が10%を超える債務増となって
いる企業もある。
 企業は従業員の平均残存勤務期間や退職給付債務の金利感応度(デュレー
ション)に相当する年限の国債利回りを割引率とすることが多く、大半でこ
の期間は10〜20年程度だ。財務省の金利データから見ると、2015年度の場合、
割引率は0.5%前後の低下とみられる。
 日本の会計基準では、退職給付債務の変動が10%以内ならば割引率を据え
置ける「重要性基準」があるので、このルールに基づき割引率を据え置いた
企業もある。半面、過年度における据置が15年度の引き下げ幅をかえって大
きくし数理債務の差損を大きくした事例もある。
 10年債の利回りがマイナスに沈んだことを受け、債務のデュレーションの
短い企業では割引率にマイナス値を適用し「割り増し」計算した事例もある。
 日本の企業会計ルールをつくる企業会計基準委員会(ASBJ)は16年3月期
決算の緊急措置として、割引率のマイナスを避け、ゼロ%を下限とすること
も認めている。
 年金資産の運用では、実際の収益があらかじめ見積もった期待運用収益に
届かず、数理差損が発生した企業が大半であった。数理差損と期待運用収益
を合わせた運用収益を年度始めの年金資産残高で割ってみると、大半で5%
程度のマイナスとなった。
 一方、数理差益を確保したうえ、運用利回りは18%に及ぶ企業もある。LDI
を実施し、支払い年限別に必要な債券を保有し、持ち切るという運用に取り
組んでいる。債権比率が87%と高く、金利が大きく低下したため債券価格が
高騰し、巨額のキャピタルゲインを獲得した。同社は割引率の低下に伴う数
理差損を資産側で差益を得たことで債務側の損失をほぼ帳消しにした。結果
的に債務の金利リスク相殺(デュレーションマッチング)という点でLDIが
うまく機能した。

 LDI(Liability Driven Investment)とは
 負債側の市場リスクを年金資産側の運用リスクで相殺することで、制度全
体のリスク(サープラスリスク)を抑制する投資戦略の総称。
 負債のデュレーション(割引率1%当たりの負債の変化率)と資産のデュ
レーション(金利1%当たりの資産の変化率)を合わせれば、年金資産と負
債の差額は変化しない。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■年金相談の現場から(57)
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 厚生年金基金改革に伴う老齢厚生年金への影響について

   NPO金融年金ネットワーク 1級FP技能士・社会保険労務士 小野隆璽
 ◇◆◇
 厚生年金基金の見直し等を柱とした「公的年金制度の健全性及び信頼性の
確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」が平成26年4月1日に
施行されたことより、厚生年金基金において、解散する基金、代行返上し他
の企業年金に移換する基金、存続する基金など、大きな動きが出ています。
 そして、特に解散する(した)基金から年金を受給していた人から、「基
金解散後の年金はどうなるのか?」という相談や質問が寄せられています。
 基本的には、基金の解散認可に伴い、これまで支給されていた代行部分の
年金の支払いは、解散認可の月分までは基金から支給され、翌月分以降の年
金は、これまで国(日本年金機構)から支給されていた老齢厚生年金に含ま
れて支給されることになります。
 なお、代行部分以外の基金独自の上乗せ部分の年金については、解散する
(した)基金ごとに異なります。特に財政的に厳しい基金については、解散
以降の支払いがなくなる基金もあります。
 以上のように、基金が解散したことによって、代行部分が国(日本年金機
構)から支給されるのですが、これによる影響も出ています。そこで基金の
解散によって、その影響が出ている事例を3つ以下に紹介します。

 (1)年金の受給資格期間を満たしていない人のケース
 これまで基金からは年金が支給されていたが、受給資格期間を満たしてい
ないため、老齢厚生年金の支給を受けていない人の場合、基金の解散に伴い、
代行部分が国に返上されますが、国の老齢厚生年金は受給資格期間を満たし
ていないため、年金は支給されません。
 すなわち、基金の年金は、受給資格期間を満たしていなくても支給される
というメリットがありましたが、国に代行返上することに伴い、このメリッ
トがなくなり、年金は全く支給されなくなります。
 ここで言えることは、やはり公的年金は受給資格期間を満たしておかなけ
ればならないということです。

 (2)在職老齢年金の受給権者のケース
 基金からも支給される年金がある在職老齢年金については、国から支給さ
れる年金(報酬比例部分)と基金の代行部分を加算した年金額を基準として
在職老齢年金の支給停止額が計算されます。そして、支給停止額がある場合
には、まず国から支給される年金(報酬比例部分)から支給停止され、それ
でも引き切れなかった場合、基金から引くことができることになっており、
その扱いについては規約で定められています。
 ところで、基金の規約上、国は支給停止したとしても基金は支給停止しな
いという規約を定めている基金があります。このような規約を定めている基
金が解散すると、国に代行返上した年金も含めて在職老齢年金の支給停止の
適用がなされます。
 このため、報酬が高い人の場合、これまでは国から支給されていた年金(報
酬比例部分)は全額支給停止されていたが、基金からは全額支給されていた
ようなケースがあります。
 このようなケースにおいては、基金解散により、基金からの支給はなくな
り、かつ、国からの年金も在職老齢年金のしくみにより全額支給停止される
ようなケースが散見されます。
 やはりこのようなケースも基金解散により、これまでのメリットがなくな
ってしまうわけです。

 (3)年金の支払いについて
 国からの年金の支払いは、2月・4月・6月・8月・10月・12月の偶数月の15
日に毎年6回に分けて、前月までの2ヵ月分ずつが支払われます。
 また、基金が解散した場合、代行返上した年金については、解散した日(代
行返上認可日)の翌月分の年金から、国から支給される年金に含めて支給さ
れることになります。
 ところで、基金が解散した日によっては、支払い予定日に支払われないと
いうケースがでてきます。
 たとえば、2月末ごろに基金が解散したようなケースでは、基金の代行返
上の年金も含めて支給されるのは3月分からとなります。4月15日の支払いは、
基金解散前の2月分と解散後の3月分の支払いとなりますが、支払処理のスケ
ジュール上、4月15日支払いに間に合わないというケースです。
 なお、支払われなかった3月分の未払い分(差額)は、次の6月15日に4月
分・5月分の2ヵ月分に合わせて支払われることになりますので、結果的には
精算処理されるため問題はないのですが、やはり基金解散後の年金が予定ど
おり支払われないと心配される方が多数おられます。
 以上のほか、雇用保険との併給調整がある場合や遺族年金・障害年金との
選択受給している場合なども、基金の解散に伴い、その影響(デメリット)
が出てくるケースがありますので、もし基金に加入されており、その基金が
解散の予定をしているような場合は、解散後の影響について、確認しておか
れることをお勧めします。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■NPOアクティビティー
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
出版のお知らせ―――――――――――――――――――――――――――
 ◇◆◇
 《最新版・2016年版》平成28年3月25日発売!!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2016年版
 日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク共編
 A4判・144頁・頒価1部1,000円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 確定拠出年金法と確定給付企業年金法の公布から14年が経過し、この間、
退職給付会計の導入、運用難による年金資産の積立不足、厚生年金基金の代
行返上、税制適格退職年金の廃止等を契機に、退職給付制度の再編が進行し
てきました。
 厚生年金基金や税制適格退職年金から確定給付企業年金に移行後に、国際
会計基準(IFRS)や財政運営基準の厳格化の動向をにらみ、キャッシュバラ
ンス・プランや確定拠出年金に切り換える動きも出てきています。確定拠出
年金も個人資産の目標金額未達成、投資教育の内容・頻度、運用商品開発の
不足等、課題が発生し、改正法案が審議されています。さらに、厚生年金基
金改革法が2014年4月に施行され、解散や移行先制度の検討等、企業年金の
再編は第二のステップに入りつつあります。
 本書は、2004年11月に2005年版を創刊以来、本年版で12冊目になります。
本年版は、旧版のデータ等を最新のものに改訂すると共に、確定給付企業年
金に関する記述を拡大・加筆。掛金拠出の弾力化、リスク分担型DBの概要を
解説。確定拠出年金改正法の概要、厚生年金基金改革と労働組合の対応、年
金ガバナンス体制の見直し・強化等、大幅に加筆しました。
 会社から制度再編提案がなされた時点で、労組員の皆様が、公的年金から
会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。そのため
には、年金制度の基本知識と制度再編に際して従業員サイドからの留意点を
組織内で共通認識することが第一歩です。そこで、本書をテキストや副読本
として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。また、加盟単組からの
ご相談があった際に、本書を参考にして対応されている産別も見受けられる
ようになりました。

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 《最新版》平成28年8月30日発売!!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第4版)
  ―2016年法改正対応― 日本労働組合総連合会
 NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク:共編
 A4判・122頁・頒価1部1,500円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 本ハンドブックは、施行15年目を迎える確定拠出年金制度が法律制定の趣
旨にそって、「公的年金と相まってサラリーマンの老後生活保障の柱」の一
翼を担える制度に仕上がっていくように、との期待をこめて、主として加入
者、労働組合の立場から課題と対応の「考え方」を示したものです。私たち
の活動の中から、これまでに経験した事例や課題・問題点を踏まえて整理を
行いました。
 第I部部は、確定拠出年金制度の概要と基礎知識を法律に沿って解説、第I
I部部は、制度のポイントである「運用」と「教育」についての考え方と提
言について述べています。
 本書は、旧版のデータを最新のものに改めにとともに、2016年の法改正に
対応し大幅に書き直し、第4版として発行するものです。
 すでに、退職給付制度の一部または全部を確定拠出年金に移行した労組の
皆様には、制度の運営改善に、これから移行が想定される皆様には、制度設
計・運営のご参考になれば幸いです。
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 書籍のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら、下記までご連絡をお願い申し上げます。
 内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 →http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm
 お問い合わせ、お申し込みは
 NPO金融年金ネットワーク事務局(
 または電話(03-5444-0539)、FAX(03-5444-0303)まで。

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●次号(第149号)は9月1日に送信の予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止/バックナンバー閲覧】
 → http://kinyunenkin.jp/08mailmaga.htm
【内容に関するご意見・ご感想】
本メールの送信アドレスは送信専用ですので、直接ご返信になることはでき
ません。ご意見・ご感想等は、下記アドレスまでお願い致します。
 → 
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