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┃       金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン

┃                    第149号 2016年9月1日
┃   NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
┃             ホームページ http://kinyunenkin.jp/
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 このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場
 から退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している
 「NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金
 ネットワーク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関す
 る情報や意見交換のスペースをご提供することを目的にしています。企
 画・編集には(株)格付投資情報センターのご協力を頂いています。
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■■ 目次 ■■
●特集レポート
 企業年金コンサルティングの現場から(132)
●NPOトピックス
 ★今からでも聞いてみよう投資の話(23)
  運用の実際について(5) 〜ベンチマークについて〜
 ★マーケットトピックス
  米利上げは9月にも? 円安・株高に期待
 ★年金トピックス
  選択肢増える確定拠出年金制度
●年金相談の現場から(58)
  年金の受給資格期間の短縮の制度改正について
●NPOアクティビティー
出版のお知らせ
◇最新版・2016年版 平成28年3月25日発売!
「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2016年版
◇最新版・平成28年8月23日発売!
「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第4版)
 ―2016年法改正対応―

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■特集レポート
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 企業年金コンサルティングの現場から(132)

                (株)武南企業年金事務所代表 坂井信夫
 ◇◆◇
 年金積立金管理運用独立行政法人(以下「GPIF」と表記)による本年度第
1四半期の運用状況が報じられている。内容は、第1四半期の期間収益率
−3.88%、約5.2兆円の損失額とのことである。前年度通期の実績が−3.81%、
損失額約5.3兆円となっている。
 ご承知の通り、公的年金の財源は我々現役世代が納める保険料、国の税金、
積立金の運用益によって賄われている。それゆえ、「運用損失の発生」とい
われると心穏やかでななくなるのもわからないわけではない。ただし、年金
運用は長期投資の視点で、という基本を忘れてはいけないと思う。それを念
頭にあらためてGPIFのHPから、「最新の運用状況ハイライト」という資料を
目にしてみてはいかがだろうか。
 GPIFの運用において、短期の結果ばかりに焦点があたりがちであるが、長
期的にはどうなのか。彼らの資料には直近四半期の収益率や収益額以外に、
平成13年度以来の平均年率収益率と累積の収益額が表記されている。6月末
時点におけるその累積収益額は、前年度末と今四半期の損失合計10.5兆円を
引いても約40.2兆円となっている。GPIFの肩をもつわけではないが、誤解や
不安を与えぬためにも、メディアはこの数値もしっかりセットで報道すべき
ではないだろうか。
 ちなみにこの累積収益額、過去最大であったのは平成26年度の第3四半期
末で、およそ50兆円に上っている。しかも第二次安倍政権発足以降の期間で
およそ2倍に積み上がってのことであった。
 6月末時点でのGPIFの時価総額は129兆円である。資産構成では値動きの激
しい内外株式がおよそ21%ずつ、為替相場の影響を受ける外貨建て資産は株
式と債券を合わせて34%となっている。この資産配分は、例えばTOPIXが10
%上昇し、他資産の収益率が0%であった場合でも、約2%の収益率が発生し
うるものである。運用資産129兆円の2%ならば約2.6兆円の収益額につなが
る。もちろん逆に、TOPIXがマイナス10%ならばそれだけの損失が発生する。
現在の運用は、そういった「仕掛け」となっている
 平成13年度から28年度第1四半期まで、合計61四半期それぞれの期間収益
率で−3%以上の落ち込みがあったのは9四半期であるが、そのうちの3回は
直近4四半期で発生したものだ。これは、一昨年に政策アセットミックスを
見直し、内外株式の基本配分比率を各25%とするなど、従来よりも「ハイリ
スク」な運用を志向した効果であることは明らかである。ということは、5
兆円前後の積立金の変動が、今後は以前より容易に発生すると思われる。は
たしてそれを許容するのか否か。
 年金財政への影響も踏まえて運用のあり方には、これからも有識者から様々
な意見が出され、また議論がされるだろうし、対するGPIFもさらに情報開示
に力を注いでくるだろう。運用資産が我々みんなの年金資金である以上、そ
れは当然のことであり望ましい。ただし、足元の実績がマイナスだからとい
う理由が議論のキッカケであって欲しくはない。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■NPOトピックス
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★今からでも聞いてみよう投資の話(23)――――――――――――――――
 運用の実際について(4) 〜ベンチマークについて〜

          NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 前回、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の説明の中でマネージャー・
ベンチマークについて触れましたが、そのベンチマークの考え方を見ていこ
うと思います。ベンチマーク選定の考え方は大きく2つあります。1つは、資
産クラスを代表する市場の指数(インデックス)であること、2つ目は資産
クラスを一定の約束に基づいて合成された指数であること、などです。そし
て、ベンチマークが1つの商品であるかの如く組み合わせることで、運用の
基本原則である資産の分散投資効果を期待するものです。なお、これまで政
策アセットミックスの考え方で示したように、ただ組み合わせると言っても
そう単純かつ容易なものでないことは改めて指摘しておきます。

 もう少し詳細に見ていきましょう。GPIFの2014年度の業況概説書ではベン
チマークが18ありました。これが2015年度には24ベンチマークに増え、その
中身を見ると外国債券が細分化され、多くのベンチマークに分かれたという
ことにつきます。つまり従来の2ベンチマークから8ベンチマークとなり、国
内外の株式、国内債券についての変更はありませんでした。

 ベンチマークを変更するということは、委託運用先である運用機関が特定
のベンチマークを対象とする運用手法が確立されている必要があります。し
たがってアセット・マネージャーを変更するということにもなるのです。
GPIFの運用委員会では数年前から外国債券のインデックスの多様性について
議論がなされており、その結果によるものだとは思われますが、国内株式と
同様にベンチマークの多様性という考え方を採用したようです。ベンチマー
クを採用するにあたっては、そのベンチマークが捉える市場規模、代表的な
先進国の投資適格性とは異なるリスク特性、他の資産との関連性などの検証
がなされてきました。そうした議論を踏まえ、運用機関構成(マネージャー・
ストラクチャー)の議論が行われています。マネージャー・ストラクチャー
とは、運用機関の決定、資金配分、その決定プロセス、などを示すことで、
政策アセットミックスと深くかかわってきます。

 次に外国債券のベンチマークの内容について見ていきましょう。従来はシ
ティ世界国債インデックス、シティ世界BIG債券インデックスの2つでした。
2015年度の途中からシティ世界国債インデックスは残し、新たに7つのベン
チマークが追加されました。GPIFは募集の際に、エマージング、インフレ連
動、ハイイールドといった市場も対象にしたようです。その結果、外国債券
での国債の構成比は2014年度の83%から2015年度は75%に低下し、一方でエ
マージング債や低格付け債券等として分類された「その他」が11%から19%
に増加しました。新たに追加されたハイイールド債やエマージング債のアセ
ット・マネージャーの2016年3月末現在の時価総額は、合計で約2,100億円と
なっています。外国債券の運用額18.9兆円の約1%、アクティブ運用額6.6兆
円の約3%に当たります。2015年度の外国債券の運用成績はベンチマークの
見直しもあって期待に届かなかったとGPIFでは説明していますが、2016年度
には挽回を期待したいものです。
 ◆◇◆

★マーケットトピックス―――――――――――――――――――――――
   米利上げは9月にも? 円安・株高に期待

                 NPO金融年金ネットワーク
                 DCアドバイザー・CFP   宮本一弘
 ◇◆◇
 米国の株価は最高値を更新、世界的にも株価は上昇しています。日本株も
底堅い動きにあり、ドル建の日経平均は高値を更新しています。但し日本は、
日銀によるETF買入れとそれを当て込んだ投機的な買いなので米国の市場と
は別物ではありますが…。
 8月、世界の市場関係者の視線は、8月26日に全米有数のリゾート地・ワイ
オミング州ジャクソンホール(地名)で開催される「年次経済シンポジウム」
でのFRB・イエレン議長の講演に集まっていました。
 カンザスシティ連銀主催のこの会合は、1978年から中銀関係者による“内
輪の集まり”として始まっていましたが、近年では“夏の一大イベント”と
して市場関係者の注目を集めることになりました。この傾向が顕著になった
のは、バーナンキ議長が、近い将来の政策変更を示唆する発言を行う様にな
ってからとされます。因みに、2010年には、この会合で「量的緩和」第2弾
(QE2)を事実上予告しました。
 イエレン議長は、「労働市場の堅調さが続いており、経済活動とインフレ
に対する当局の見通しを考慮すると、FF金利引き上げの論拠は、この数ヵ月
で強まったと考えられる」と述べました。但し、利上げの時期の言及はなか
ったとされます(ブルームバーグ)。このイエレン発言について、フィッシ
ャー副議長は、「9月利上げを議題として残したいと考えていること」、「今
年上半期の低成長は懸念していない」、「経済成長には生産性の向上と設備
投資がカギだ」(ロイター)と述べ、CNBCの、「9月に利上げが実施され、
年内に複数回の利上げがあると予想すべきか?」との質問に、「議長がこの
日の講演で述べたことは、この2つの質問に“イエス”と答えることと整合
性が取れる。但し、こうしたことは経済指標次第となる」と述べたことから、
市場(CMEの先物予想)では殆ど折り込まれていなかった9月FOMCでの利上げ
予想が3割超えまで増加して来ています。9月初めに公表される8月の雇用統
計がにわかに注目されるようになっています。7月FOMCでは「BREXITに伴う
短期的リスクは後退した」との記述もあり、低いエネルギー価格が上昇に向
えばFRBの目指すインフレ目標の2%は到達可能としています。
 さて、日本。7月28日・29日の日銀金融政策決定会合で、追加の金融緩和
が決まりました。ポイントは、(1)株式ETF(上場投信)買入れ枠拡大(現行
の年間約3.3兆円から、約6兆円に拡大)、(2)成長支援資金供給・米ドル特
則の拡大(現行の120億$から、240億$に倍増。米ドル資金供給オペの担保
になる国債貸付制度の新設)、です。「マイナス金利の“深堀”」(拡大)
や「長期国債の買入れ枠拡大」は見送られました。今回の緩和は、数ある量
的緩和策の内のETFの買入れ枠拡大という、謂わば、“株価維持”を直接の
目的とした施策です。日銀が買い入れ対象にしている市場連動型のETFの市
場規模は13〜14兆円規模とされていて、既に日銀は、7/末までに9兆円弱を
買い入れています。年6兆円規模で買入れを続ければETFの殆どを買い占める
ことになります。信託銀行経由の年金勘定、事業会社の自社株買いと並んで、
日銀が日本株市場の最大の買い手に浮上する訳で、「株式市場のボラティリ
ティを高め、市場の価格形成機能や日銀の財務健全性に悪影響を及ぼす」と
の批判は少なくありませんが、これで株式市場が大きく値下がりする危険は
一先ず後退し、米利上げ期待からドル高・円安を通して日経平均のある程度
の上昇が期待出来る様になりました。
 経済実体は、4〜6月期のGDP成長率は0.2%増と1〜3月期の2.0%増から大
幅に低下しました。公共投資の増加や金利低下に助けられた住宅投資の拡大
でプラスを維持しましたが、個人消費や企業の設備投資が低下しました。輸
出も中国の安値輸出の影響を受ける鉄鋼や石油製品が落ち込みました。物価
は、7月の生鮮食品を除くコア物価指数が前年同月比マイナス0.5%になり、
5ヵ月連続のマイナスです。7月は円高と原油安の影響による電気・ガス料金
の低下に加え、家庭用耐久財、節約志向から生活用品も値下がりに転じてい
ます。ただエネルギー価格の値下がりの影響が消える17年には、物価は上昇
に転じるとの見方は多い様です。一方、実質賃金は、6月は前年比2.0%の上
昇になりました。これはボーナスの増加によるもので、基本給は伸び悩んで
います。
 “異次元”の金融緩和にもかかわらず、デフレへの逆戻りが懸念される状
況にあります。
 7月の日銀の政策決定会合では、次回9月20日・21日の会合で13年4月に開
始した「量的・質的金融緩和」、16年1月に開始した「マイナス金利政策」
について「総括的な検証」を行う、と発表しました。
 当初2年程度で2%のインフレを達成するとしていましたが、3年以上が経
過しても達成の目途が立っていません。今では多くの市場関係者が、それは
単なる努力目標で、更なる先送りは不可避と考えている様です。政策手段も、
マイナス金利の深堀を含め、限界に近付いているという見方が少なくありま
せん。見直しはどの様に進むのでしょうか。次回の会合が近付くにつれて、
投機筋の思惑から市場は意外の大荒れになるかもしれません。警戒が必要で
しょう。
                       (平成28年8月27日記)
 ◆◇◆

★年金トピックス――――――――――――――――――――――――――
 選択肢増える確定拠出年金制度

        NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士
        DCアドバイザー・AFP            植村昌機
 ◇◆◇
 改正確定拠出年金法(DC)の施行で、2017年1月より個人型DCの加入対象
が、他に企業年金がある会社員、公務員、専業主婦に拡大し、個人による自
助努力型の資産形成が促進されようとしている。この結果、原則20歳から60
歳の全国民がDCに加入できる体制が整った。企業型DCにおいても、全従業員
に一律適用する制度設計のほかに、加入者がマッチング(上乗せ)拠出する
ことが認められている。現在、実施または実施準備中の企業はDC実施企業の
50.4%(企業年金連合会調べ)と導入が進んでおり、今後も増えそうだ。
 また、マッチング拠出のほかにも選択肢が増えている。給与や賞与の一部
を新たな「手当」に切り替えて、その手当を掛金の拠出に充てる仕組みであ
る。加入者は「手当」分を現金で受け取るかDC掛金に充てるか選択するいわ
ゆる「選択型DC」である。この制度を導入している規約は、数百程度あると
いわれている。この「選択型DC」が増加する理由として、マッチング拠出は
「掛金限度額を超えない範囲でかつ、企業が拠出する金額を上限とする」と
いう制約がある。そのため、企業の拠出金が少額の場合は、限度額の使い残
しが発生するケースが多く、加入者に拠出余力があってもこの制約のために
自助努力に限界がある。
 この「使い残し」を回避する手段として「選択型DC」が導入されている。
実際は従業員の給与・賞与であるが「手当」とすることによって、表向き企
業が掛金を拠出する格好になる。これは、企業側にとって給与・賞与をDC掛
金にすれば社会保険料負担を軽減できるというメリットがある。従業員にと
っては所得税負担が減るが、将来の年金受取額が減少する可能性がある。メ
リット・デメリットを慎重に判断する必要がある。運営管理機関も積極的に
勧めてはいないようで消極的なスタンスと聞く。
 今回の改正で、企業年金を実施している企業でも規約で定めれば従業員は、
個人型DCに加入できることになった。しかし、マッチング拠出を実施してい
る企業は個人型DC加入と制度として選択しなければならない。従って、現実
に利用できるかどうかはわからない。
 また、企業型DCの掛金にそのまま個人型DC掛金を上乗せできるわけではな
く、法令上の拠出限度額は変わらないので、個人型DCの掛金は制限を受ける。
さらに、加入者DC口座が企業型と個人型と二つになり、制度管理が複雑にな
るというデメリットがある。
 今回の改正では、法令上の拠出限度額について、現在の「月単位」から「年
単位」に改めることを決めている。これにより、拠出限度額の使い残しが少
なくなると思われる。2018年1月より企業の拠出する掛金について、賞与な
どを合わせた「年単位」での管理が可能となる。改正法では、掛金拠出は「定
期的に年1回以上」となっており、DC運用のメリットである定時定額積立に
よるドルコスト平均法の効果が薄くなるのではないかという懸念もある。
 さらに、改正法では、企業年金の実施が困難な中小企業(従業員100人以
下)に限り、個人型DCに加入する従業員の掛金拠出に追加して事業主拠出を
可能にする「個人型DCへの小規模事業主掛金納付制度」の創設が盛り込まれ
ている。現在、個人型DCに加入者掛金を給与天引きして国民年金基金連合会
に納付する仕組みを採用していれば、従来制度で導入可能である。この場合
の拠出限度額は、事業主と加入者掛金の合計23,000円(月額)である。
 老後に向けた資産形成で、個人による自助努力を後押しすべく、政府は各
種の税制優遇措置を講じている。確定拠出年金の制度の選択肢が増えている
ので、個々の制度の内容を理解した上で、個人のライフプランにマッチした
制度を選択する必要がある。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■年金相談の現場から(58)
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 年金の受給資格期間の短縮の制度改正について

   NPO金融年金ネットワーク 1級FP技能士・社会保険労務士 小野隆璽
 ◇◆◇
 「年金機能強化法」が、平成24年8月22日に交付されましたが、その中の
一つに「受給資格期間の短縮」の制度改正があります。そして、施行日は、
税制抜本改革の施行時期にあわせ、施行されることになっています。その税
制抜本改革については、当初平成27年10月1日とされていましたが、平成29
年4月1日に延期され、現在再延期がなされることになりました。そのため、
当改正も再々延期される予定でしたが、秋の臨時国会に提出する補正予算案
の経済対策の中に盛り込まれています。そこで、今回はこの「受給資格期間
の短縮」の制度の概要について、以下に紹介させていただきます。

 1. 法律の背景・趣旨
 現行の年金制度では、20歳から60歳に達するまでの間、被保険者として40
年間の保険料納付義務が課されており、保険料納付済期間と保険料免除期間
等を合わせて25年以上あることが年金の受給要件となっている。一方で、保
険料を納めた期間が短く、納めた保険料が少ない場合には、年金を受けるこ
とができないか、年金を受けることができても一定の年金額を受けることが
できないという場合が生じてきている。そのようななか保険料を納めた期間
が短く、納めた保険料が少ない場合であっても、それに応じた年金給付を受
けられるようにすべきとの考え方が広まってきた。
 そこで、納付した保険料に応じた給付を行い、将来の無年金者の発生を抑
えていくという観点から、老齢基礎年金等の受給資格期間を25年から10年に
短縮することになった。

 2. 法律の概要
(1)老齢基礎年金等の支給要件の変更
●受給資格期間の短縮
 老齢基礎年金等の受給資格期間を25年から10年に短縮(*)する。
  * 保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間を合算して10年
   を満たす場合に支給する。
●受給資格期間の短縮措置の廃止
 受給資格期間の短縮に伴い、生年月日に応じて受給資格期間25年を21年か
ら24年に短縮する措置を廃止する。
●遺族給付の支給要件
 遺族給付の支給要件のうち、「老齢年金の受給資格期間を満たしている者
が死亡したときについては、「受給資格期間が25年以上である者が死亡した
とき」に改正する。
  * 遺族給付の受給資格期間は短縮しない。

(2)受給資格期間を短縮する給付
●老齢基礎年金
●寡婦年金
●老齢厚生年金
●退職共済年金
●上記に準じる老齢給付(旧国民年金法、旧厚生年金保険法、旧船員保険法、
旧共済組合各法によるもの)

(3)振替加算対象者の老齢基礎年金の特例
 受給資格期間の短縮に伴い、合算対象期間及び保険料免除期間(学生納付
特例期間及び納付猶予期間に限る。)だけで25年以上ある場合の振替加算の
特例要件についても「10年」に短縮する。

(4)経過措置
 施行日の前日において、改正後の老齢基礎年金等の支給要件に該当する者
については、施行日において老齢基礎年金等の支給要件に該当するものとみ
なして、施行日から老齢基礎年金等を支給する。

(5)その他
●65歳以降の国民年金特例高齢任意加入及び70歳以上の厚生年金高齢
 任意加入については、施行日時点で改正後の受給資格期間(10年)を満た
している場合、施行日をもって資格喪失することになる。なお、施行日まで
に納めた保険料は還付されない。
●脱退手当金及び外国人の脱退一時金の取り消しはできない。

 以上が「受給資格期間の短縮」の概要ですが、旧法の年金や寡婦年金にも
適用されること、遺族給付の受給資格期間は短縮されないことなど、制度的
には単純な改正ではありません。
 また、現在無年金者の方がおられましたら、この制度改正に伴い、年金が
受給できるようになるのかどうか、年金事務所で相談されることをお勧めく
ださい。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■NPOアクティビティー
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
出版のお知らせ―――――――――――――――――――――――――――
 ◇◆◇
 《最新版・2016年版》平成28年3月25日発売!!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2016年版
 日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 共編
 A4判・144頁・頒価1部1,000円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 確定拠出年金法と確定給付企業年金法の公布から14年が経過し、この間、
退職給付会計の導入、運用難による年金資産の積立不足、厚生年金基金の代
行返上、税制適格退職年金の廃止等を契機に、退職給付制度の再編が進行し
てきました。
 厚生年金基金や税制適格退職年金から確定給付企業年金に移行後に、国際
会計基準(IFRS)や財政運営基準の厳格化の動向をにらみ、キャッシュバラ
ンス・プランや確定拠出年金に切り換える動きも出てきています。確定拠出
年金も個人資産の目標金額未達成、投資教育の内容・頻度、運用商品開発の
不足等、課題が発生し、改正法案が審議されています。さらに、厚生年金基
金改革法が2014年4月に施行され、解散や移行先制度の検討等、企業年金の
再編は第二のステップに入りつつあります。
 本書は、2004年11月に2005年版を創刊以来、本年版で12冊目になります。
本年版は、旧版のデータ等を最新のものに改訂すると共に、確定給付企業年
金に関する記述を拡大・加筆。掛金拠出の弾力化、リスク分担型DBの概要を
解説。確定拠出年金改正法の概要、厚生年金基金改革と労働組合の対応、年
金ガバナンス体制の見直し・強化等、大幅に加筆しました。
 会社から制度再編提案がなされた時点で、労組員の皆様が、公的年金から
会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。そのため
には、年金制度の基本知識と制度再編に際して従業員サイドからの留意点を
組織内で共通認識することが第一歩です。そこで、本書をテキストや副読本
として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。また、加盟単組からの
ご相談があった際に、本書を参考にして対応されている産別も見受けられる
ようになりました。

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 《最新版》平成28年8月30日発売!!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第4版)
  ―2016年法改正対応― 日本労働組合総連合会
 NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク:共編
 A4判・122頁・頒価1部1,500円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 本ハンドブックは、施行15年目を迎える確定拠出年金制度が法律制定の趣
旨にそって、「公的年金と相まってサラリーマンの老後生活保障の柱」の一
翼を担える制度に仕上がっていくように、との期待をこめて、主として加入
者、労働組合の立場から課題と対応の「考え方」を示したものです。私たち
の活動の中から、これまでに経験した事例や課題・問題点を踏まえて整理を
行いました。
 第I部部は、確定拠出年金制度の概要と基礎知識を法律に沿って解説、第I
I部部は、制度のポイントである「運用」と「教育」についての考え方と提
言について述べています。
 本書は、旧版のデータを最新のものに改めにとともに、2016年の法改正に
対応し大幅に書き直し、第4版として発行するものです。
 すでに、退職給付制度の一部または全部を確定拠出年金に移行した労組の
皆様には、制度の運営改善に、これから移行が想定される皆様には、制度設
計・運営のご参考になれば幸いです。
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 書籍のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら、下記までご連絡をお願い申し上げます。
 内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 →http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm
 お問い合わせ、お申し込みは
 NPO金融年金ネットワーク事務局(
 または電話(03-5444-0539)、FAX(03-5444-0303)まで。

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●次号(第150号)は10月3日に送信の予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止/バックナンバー閲覧】
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【内容に関するご意見・ご感想】
本メールの送信アドレスは送信専用ですので、直接ご返信になることはでき
ません。ご意見・ご感想等は、下記アドレスまでお願い致します。
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