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┃       金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン

┃                    第153号  2017年1月4日
┃   NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
┃             ホームページ http://kinyunenkin.jp/
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 このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場
 から退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している
 「NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金
 ネットワーク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関す
 る情報や意見交換のスペースをご提供することを目的にしています。企
 画・編集には(株)格付投資情報センターのご協力を頂いています。
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■■ 目次 ■■
●特集レポート
 企業年金コンサルティングの現場から(136)
●NPOトピックス
 ★今からでも聞いてみよう投資の話(27)
  運用の実際について(9) 〜運用成績の計測について(1)〜
 ★マーケットトピックス
 2017年・最大のリスクは米長期金利の上昇と為替の円高転換
 ★年金トピックス
  マイナス金利政策、評価するは2% リスク分担型企業年金は4%の関心
  ―2016年日経企業年金実態調査より
●年金相談の現場から(62)
 平成29年1月実施の社会保険関連の制度改正について
●NPOアクティビティー
 出版のお知らせ
 ◇最新版・2016年版 平成28年3月25日発売!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2016年版
 ◇最新版・平成28年8月23日発売!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第4版)
 ―2016年法改正対応―

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■特集レポート
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 企業年金コンサルティングの現場から(136)

                (株)武南企業年金事務所代表 坂井信夫
 ◇◆◇
 謹んで新年のお慶びを申し上げます。
 企業年金の世界にとって、また新たなる変化がもたらされる1年が始まる
こととなります。

 昨年末、筆者の前職である「格付投資情報センター(R&I)」が主催する
「iDeCo実務者セミナー」に参加した。個人型確定拠出年金の加入資格が本
年1月1日より拡大されることを踏まえてのものである。ほとんど参加者が地
方銀行の方であり、「実務者向け」のセッションでは「公務員マーケット」
をどう取り込むかがメインテーマであった。ここは筆者にはあまり興味のあ
る分野ではなかったが、厚労省と金融庁の担当官の講演を聞き、特に金融庁
がこの個人型確定拠出年金制度を大きく後押ししているのを実感できたこと
は、参加した甲斐があったと感じた。
 金融庁は平成27事務年度(7月〜翌年6月)に「金融行政方針」を公表した
のだが、その中で金融行政の目指すものは「企業・経済の持続的成長と安定
的な資産形成等による国民の厚生の増大」であるとしている。そのために何
を変革していくか。いくつかある中の一つが「国民の安定的な資産形成を実
現する資金の流れへの転換」政策である。またそのスローガンは「貯蓄から
資産形成へ」としている。これなどもろに個人型DCを暗示しているように筆
者には写っていたが、それが今回間違いではなかったと確信することができ
た。もちろんNISAもこの範疇にある。
 セミナー資料で紹介されているのだが、昨年末時点において、家計の金融
資産に占める「預貯金」の割合は日本が50%超であるのに対して、米国は13
%程度、英国でも約25%である。また、株式や投資信託を直接または間接的
に購入している割合は、米国約45%英国約35%に対して、わが国は20%に満
たないという。また家計所得に占める勤労所得と財産所得(金融資産のイン
カムと不動産所得)の比率が、米国ではおよそ3対1なのに対して、わが国は
8対1なのだそうだ。これらの傾向は、わが国の個人金融資産およそ1700兆円
が、その「ストック」が付加価値を産んで家計所得に貢献しているとは思え
ない、という実態を想像させるに十分な数字ではないだろうか。
 そのような構造を変革するための第一歩として、一連のNISAがあり、今回
のiDeCoがあるわけであるが、これらが国民に提供される選択肢として本当
に魅力的であるかどうかを決めるには、そこにどのような運用商品が存在し
ているのかが、とても重要になってくる。顧客としての国民にとって魅力的
な商品とはなんだろうか。そのポイントは実に様々であろうが、いずれにし
ても金融庁は、商品を提供する側(金融機関等)に対してはかなり厳しい「顧
客本位の業務運営」を求めていくことになりそうな雲行きである。金融機関
からすると、iDeCo加入資格の拡大でビジネスチャンスが拡大!という「ア
メ」の陰に、顧客本位という名の「ムチ」が垣間見えているという状況だろ
う。
 しかし「貯蓄から資産形成へ」という世の中を真の意味で実現するために
は、我々顧客も「賢い顧客」となるための最低限度の努力はする必要がある
だろう。良い顧客こそ良い金融機関を育てるという側面があると思うからだ。
その実現にささやかながら一役貢献するということを今年の初夢としたい。
 そしてまた願うのは、すべての方が大なり小なり投資の、特に長期投資の
「成功体験者」となれたなら、ということである。皆様にとって良き1年と
なりますように。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■NPOトピックス
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★今からでも聞いてみよう投資の話(27)――――――――――――――――
 運用の実際について(9) 〜運用成績の計測について(1)〜

          NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 運用成績、具体的には利回り、をどう考えればよいか見ていきます。今回
は個人の資産運用について考え、次回は運用の専門家、資産運用会社もしく
はそれを委託する年金基金など、が利用している手法を見ていきます。
 個人の場合、運用先として様々な商品があります。比較的安全な資産とし
て銀行預金、生命保険の養老保険や個人年金保険、個人国債、などがありま
すが、低金利下で運用成果を期待するのが難しい現状です。変動資産の代表
的なものに投資信託があり、多くの商品が用意されています。最近では、金
や不動産の投資を進める記事も目につきます。金融商品に明るいセミプロの
人達の中には為替取引(FX)を行う人もいます。ただ、将来の生活資金のた
めの資産形成という観点からは長期で安定的に推移する商品が好ましいとい
えるでしょう。
 それでは計測方法ですが、単純な計測としては、1年間の運用利回りとし
て、元本(投資した資金)に対し、どれだけ増加し、それが元本の何パーセ
ントになるかというものです。これが月々いくらかの積立方式だと多少計算
が面倒になりますが、考え方は同様になります。ただ、運用に際しては様々
な費用が発生します。具体的には売買手数料、保管もしくは預入の期間中の
運用に係る維持費用、定期預金や個人国債など預入期間が決まっているもの
は、途中解約するとペナルティが発生します。また利子や配当、売却時の譲
渡益、などには税金もかかります。手取りが予定より減ることも考えておか
なければなりません。ご参考のためにモーニングスターの利回り計算のサイ
トを掲載しておきます。モーニングスターはSBIホールディングス傘下で、
投資信託の様々なデータを掲載している代表的な企業です。

 https://www.morningstar.co.jp/tools/simulation/

 次に名目と実質という言葉について考えます。なぜこの点に注目しなけれ
ばならないかというと、年間の運用利回りが2%達成したと言っても、物価
が年間3%上昇していたのでは、運用成果が物価の上昇に追いついておらず、
実質的な目減りをしていることになるからです。このことを名目では2%の
利回りだったが、実質では‐1%だったということになります。実質金利を
正確に定義すると、「名目金利から予想物価上昇率を引いたもの」となりま
すから、前述の実質‐1%の言い方は適切ではありませんが、身近で実感で
きる分かりやすいものだと思います。預金金利などは物価の上昇に通常後追
いしますが、物価上昇幅が大きく、その速度が早ければ預金だけでは資産を
維持することは困難になります。物価上昇の変動が緩やかであれば、次第に
金利は追いついてくるでしょうから慌てることはないでしょう。
 個人の運用についてはまず名目で議論すればよいのではないかと考えます。
たとえば老後に必要な資産はいくらかという問いに対する答えも名目で議論
されることが多いようです。これは将来の物価上昇率の予想が困難なうえ、
物価の上昇が顕著になれば、資産ポートフォリオの見直しそのものが必要に
なってくるからです。これはそう容易なことではありません。加えて、個人
が運用にあたり、やはり損失を避けたいというのが本音ではないでしょうか。
金融商品の中で変動商品は損失を被ることが避けられません。大変難しい話
ですが、そこをどう回避できるかが個人の資産運用のコツだと思います。
 ◆◇◆

★マーケットトピックス―――――――――――――――――――――――
 2017年・最大のリスクは米長期金利の上昇と為替の円高転換

                 NPO金融年金ネットワーク
                 DCアドバイザー・CFP   宮本一弘
 ◇◆◇
 昨年2016年は、6月の英国民投票でのEU離脱と11月の米大統領選挙でのト
ランプ候補の勝利という二つの“まさか”が現実になりました。日本も年初
1月に突然、日銀が「マイナス金利の導入」を決定、秋の10月には長期金利
を0%近辺に固定する「長期金利操作」に踏み切りました。
 東京市場はイベントのたびに大きく揺さぶられました。しかし、トランプ・
ショックは、米国では選挙直後から、大幅減税や財政刺激による投資の拡大、
成長に伴う良い金利上昇等公約の“光”の部分が評価をされて、米株式市場
は活況な中でダウ平均指数は史上最高を更新しました。ドル高の中、原油価
格や商品市況も値上がりに向かう等金融緩和の中で“リスク・オン”に向い
ました。米金利の上昇は素直にドル高・円安に反応し、円は110円台後半で、
日経平均も19,000円台に回復するなど活況のなかで越年、2017年を迎えまし
た。
 1月20日、いよいよトランプ大統領が正式に米国の第45代大統領に就任し
ます。就任後“ハネムーン期間”と呼ばれる100日以内に主要政策の立法化
に着手すると述べています。2月末には議会で一般教書演説が予定されてい
て、より具体的に政策を説明する必要に迫られます。ここで、議会共和党主
流派とティーパーティ等保守系の議員と政策面で折り合えるか、公約実現の
可否が試されることになります。
 昨年12月、米FOMC(連邦公開市場委員会)は、一昨年12月以来1年振りに
政策金利の0.25%の引き上げを決定しました。利上げ自体は事前にほぼ100
%の確率で織り込まれていましたが、サプライズになったのは2017年中の利
上げ予想が従来の2回から3回に引き上げられたことです。米経済は個人消費、
住宅市場とも活発で、賃金上昇率も前年同月比での伸びが2.5%を超えてき
ていること、失業率が4.6%とさらに改善していること等、イエレン議長も
会見で「新大統領の経済政策の影響は織り込んでいない」と述べるなど利上
げが経済の実態と整合的であるとの見解を示しています。
 好調な経済環境の下で、新大統領の財政出動によるインフラ投資、公共投
資が計画されており、期待インフレ率は上昇し、長期金利は上昇しています。
既に、2.53%と選挙前から1%程度上昇しています。「トランポノミクス」
は、かつての「レーガノミックス」と重ね合わせ高成長の期待を膨らませま
すが、レーガン政権では発足1年で財政赤字が3倍に拡大し、ドル高による米
企業の競争力低下、輸入の増加から貿易赤字も拡大(所謂、双子の赤字)、
日米貿易摩擦が激しくなり、最終的にはプラザ合意によるドル高の大幅修正
につながり、日本企業が円高、輸出自主規制で苦しんだ当時が思い出されま
す。
 2017年は、基本的に米国が世界経済をけん引する形で、従ってドル高、ド
ル金利上昇の下で、円は円安方向で推移して米国市場で稼ぐ企業の業績改善
にリードされる展開になると見られています。日本市場は、企業業績の改善
に加え、日銀の国債買い入れ、ETFによる株式購入で株高、債券高で推移す
るものと予想されています(市場の価格形成機能は失われ、株式、国債とも
歪んだ高値になっているが)。
 リスク要因としては、(1)米為替政策 (2)米長期金利の動向 (3)EU主要
国の重要な国政選挙の行方、(4)中国経済の動向、などが指摘されます。特
に、現在時点では殆ど起こり得ないとされていて、もし現実に起ったら大き
な影響を与える“ブラック・スワン”(発生確率として3シグマ=99.7%以下
の事象)は、予め想定できないからブラック・スワンなので、それが何かは
予測不可能です。
 為替政策については、昨年初めから上海のG20会合へかけて米当局の円安
けん制発言が続き、円高方向へ振れ、一時は101円を付ける局面がありまし
た。トランプ次期政権関係者からの為替に関する発言はほとんど聞かれませ
んが、長期金利上昇、ドル高は海外展開する米国企業だけでなく、農産物の
輸出競争力など広範囲に影響が及びます。為替が突如円高へ振れる局面も想
定しておく必要があるでしょう。
 米国の株式市場は、2008年のリーマンショック後の2009年3月を底として、
大規模な金融緩和の追い風も受けて殆ど調整らしい調整もなく上昇を続け、
ダウは20,000ドルを目前にしています。景気も回復軌道に入って既に8年以
上を経過しています。株式指標面からも、何時大きな調整が入ってもおかし
くない状態ですが、調整のトリガーになる事象は読めません。株式市場にと
っては長期金利の上昇が最大のリスク要因です。既に過熱気味にある米株市
場で次に起きるのは、長期金利の急激な上昇が原因で起きた1987年のブラッ
ク・マンデー型の調整との見方もあります。その場合、東京市場が無傷では
いられないでしょう。
 2017年は相対的にはリスク・オンの上昇相場と見られますが、急激な市場
変動に備えて、リスクを分散し、下がった局面で対応出来る慎重な運用も必
要でしょう。
                       (平成28年12月27日記)
 ◆◇◆

★年金トピックス――――――――――――――――――――――――――
 マイナス金利政策、評価するは2% リスク分担型企業年金は4%の関心
 ―2016年日経企業年金実態調査より

        NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士
        DCアドバイザー・AFP            植村昌機
 ◇◆◇
 調査の対象は上場・有力非上場企業4,535社、基金型確定給付企業年金600、
厚生年金基金419。回答数は企業が651社、基金型確定給付企業年金352,厚生
年金基金77で合計1,080。

 1. マイナス金利政策への評価。評価しない52.3%。
 「評価しない」52.3%、「どちらでもない」45.5%、「評価する」2.2%
であった。年金の形態別では、確定給付企業年金57.7%、厚生年金基金65%、
確定拠出年金32.9%と厳しい評価になった。資産規模別では積立金が少ない
企業や基金の方が深刻にとらえている。
 マイナス金利政策を評価しない理由として、「短期運用でマイナス金利に
見合う手数料を徴収される」59.3%、「退職給付債務が割引率の低下で増加
する」54.7%、「債券(ファンド)の金利上昇リスクが不安」53.5%、「債
券(ファンド)の価格が割高で買えない」17.4%。
 マイナス金利政策を評価する理由として、「株価上昇を期待できる」69.2
%、「円安を期待できる」61.5%、「国内債券の運用でキャピタルゲインを
得られる」30.8%であった。

 2. 今後考えられる対応策は、予定利率を引き下げ、低リスク運用を志向。
 運用面では「リスクの低い運用への移行」42.3%、「予定利率の引き下げ」
21.3%と前回調査を上回った。「確定拠出年金の導入・拡大」7.9%と前年
を下回った。確定拠出年金は導入が一段落しているようだ。
 制度面では「リスク分担型企業年金の導入」4%、「リスク対応掛金の導
入」11.3%で、リスク対応掛金に対する関心の方が高かった。資産規模別で
は、「リスク対応掛金の導入」では資産規模が大きいほど高く、200〜500億
円クラスが最も高くなっている。「リスク分担型企業年金の導入」では、資
産規模との関連性は低く50〜100億円クラスが最も高くなっている。

 3. 企業年金で望む改革は、特別法人税の撤廃に関心。
 「特別法人税の課税撤廃」45.4%で、前年より7.2%高かった。2017年3月
で凍結期限となるため関心が高まったようだ。「確定拠出年金の資産引き出
し要件の緩和」36%で前年を下回った。今回の改正法でむしろ要件が一層厳
しくなったことで期待できないと考えられたようだ。

 4. 退職給付制度の採用状況は、企業型確定拠出年金、確定給付企業年金
は総合型基金。
 確定拠出年金54%、確定給付企業年金は総合型が増加。16年3月末時点で
採用している退職給付制度は「企業型確定拠出年金」54.4%、前回を3.6%
上回った。次に「退職一時金」45%で前回を1.6%下回った。「規約型確定
給付企業年金」31%で前年比マイナス0.7%、「基金型確定給付企業年金」
26.6%で前回を2.1%増となった。確定給付企業年金では、規約型が減少傾
向で基金型が増えている。基金型は複数事業所で構成する「総合型」が増え
ており、厚生年金基金からの移行が原因と思われる。
 今後中心となる退職給付制度は、「企業型確定拠出年金」34.9%で前回よ
り3.8%減、「基金型確定給付企業年金」12%で前回より1.1%増、「規約型
確定給付企業年金」25.6%で前回より0.6%増であった。増加傾向だった確
定拠出年金が減少し、減少傾向だった確定給付企業年金が増加傾向である。

 5. 年金資産の修正総合利回りは、マイナス0.64%で5年ぶりのマイナス。
 単純平均でマイナス0.64%、総資産額による加重平均でマイナス0.31%と
5年ぶりのマイナスであった。確定給付企業年金がマイナス0.52%(加重平
均がマイナス0.05%)に対して厚生年金基金は、マイナス1.5%(同マイナ
ス2.7%)であった。確定給付企業年金の中でも規約型は、0.21%(同0.6%)
と、プラス利回りを確保した。株式の組み入れ比率で差が出たようだ。資産
規模が大きいほど利回りが高い傾向がある。

 6. 成熟度は、3年連続上昇、100%超え給付超過に。
 掛金総額と年金・一時金給付総額の平均値を求め、確定給付型企業年金の
金額の成熟度を算出した。成熟度は、3年連続で上昇し、15年度は103.97%
と給付超過となった。14年度までの好調な運用のため、特別掛金が少なくな
り掛金収入が減少したためと思われる。
 15年度は一時金支給額が前回より2.4%増、年金支給額が3.8%減、掛金総
額は9%減であった。

 7. 厚生年金基金の今後の運営方針は、確定給付企業年金への転身が67%。
 14年3月には531あった厚生年金基金は、16年9月には165と3割程度まで減
少した。
 今後の方針は、「基金型確定給付企業年金へ移行」38.7%、「基金を解散
して確定給付企業年金を新設」29%であった。「積立超過で解散(残余財産
を分配)」17.7%、「厚生年金基金を存続」6.5%であった。対応時期は、
「すでに対応済み又は16年度中に対応」50.9%、「17年度中に対応予定」が
30%あり、8割が17年度中に終了すると思われる。
 ◆◇◆

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┃ ■年金相談の現場から(62)
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 平成29年1月実施の社会保険関連の制度改正について

   NPO金融年金ネットワーク 1級FP技能士・社会保険労務士 小野隆璽
 ◇◆◇
 平成29年1月1日から実施される社会保険関連の制度改正について、主な制
度改正内容を以下に説明させていただきます。

 1. 個人型DCの加入可能範囲の拡大
 労働の多様化が進む中、生涯にわたって継続的に老後に向けた自助努力を
可能とするため、平成29年1月より、個人型確定拠出年金(個人型DC)につ
いて、第3号被保険者や企業年金加入者、公務員等共済加入者も加入可能と
なり、現役世代のほとんどの人が加入できることになります。
 なお、企業型DC実施企業においても個人型DCが可能となったことから、企
業型年金や確定給付型企業年金(DB)と同時実施の場合、拠出限度額が調整
されることになります。
 新規加入者の拠出限度額(*1)、あるいは調整される拠出限度額(*2)
は、以下のとおりです。
 〇個人型DCの拠出限度額
 ・第1号被保険者             81.6万円〔現行と同じ〕
 ・民間第2号被保険者(企業年金なし)   27.6万円〔現行と同じ〕
 ・民間第2号被保険者(DB有り)      14.4万円(*1)
 ・民間第2号被保険者(企業型DC、DB有り) 14.4万円(*1)
 ・民間第2号被保険者(企業型DC有り)   24万円 (*1)
 ・公務員等共済第2号被保険者       14.4万円(*1)
 ・第3号被保険者             27.6万円(*1)
 〇企業型DCの拠出限度額
 ・DB無し 個人型DC未加入者        66万円〔現行と同じ〕
 ・DB無し 個人型DC加入者         42万円(*2)
 ・DB有り 個人型未加入者         33万円〔現行と同じ〕
 ・DB有り 個人型加入者          18.6万円(*2)

(*2)企業型DCにおいて加入者が自ら拠出を行う場合、「マッチング拠出」
 または「個人型DCへの加入」のいずれか一方を事業主単位で選択する必要
 があります。

 この制度改正は、すでに周知されており、非常に関心が持たれていると思
います。税制面での優遇メリット、各種手数料がかかるデメリット、また運
用商品の選定なども含めて自己責任の年金であり、加入する場合、しっかり
と検討していく必要があります。

 2. 65歳以上の雇用保険の適用対象
 これまで、採用時点で65歳以上になっていた人は、雇用保険に加入できま
せんでしたが、平成29年1月より、1週間の所定労働時間が週20時間以上であ
り、31日以上の雇用見込みがある場合は、「高年齢被保険者」として雇用保
険に加入することとなります。年齢の上限はなく、保険料については、平成
31年度までは、免除されます。
 既に65歳以前から雇用保険に加入している人は、加入は継続しています。
 なお、65歳以上で加入した場合でも、退職し、条件を満たせば高年齢求職
者給付金(いわゆる失業給付の一時金)が受給できます。また、高年齢求職
者給付金は年金と併給でき、年金がカットされることはありません。

 3. 育児介護休業法の改正事項
 (1)介護休業の分割取得
 介護を必要とする家族(対象家族)1人につき通算93日まで、3回を上限と
して、介護休業を分割して取得可能となります。
〔従来〕通算93日まで、原則1回に限り取得可能でした。
 (2)介護休業の取得単位の柔軟化
 介護休業について、半日(所定労働時間の2分の1)単位での取得が可能と
なります。〔従来〕1日単位での取得でした。
 (3)介護のための所定外労働の制限
 介護のための所定外労働の制限(残業の免除)について、対象家族1人に
つき、介護終了まで利用できる所定外労働の制限が新設されます。
 (4)子の看護休暇の取得単位の柔軟化
 子の看護休暇について、半日(所定労働時間の2分の1)単位での取得が可
能となります。〔従来〕1日単位での取得でした。
 (5)いわゆるマタハラ・パタハラなどの防止措置義務の新設
 これまでの事業主による妊娠・出産、育児休業・介護休業等を理由とする
不利益取扱いの禁止に加え、上司・同僚からの妊娠・出産、育児休業・介護
休業等を理由とする嫌がらせ等(いわゆるマタハラ・パタハラなど)を防止
する措置を講じることを事業主へ新たに義務付けされます。
 また、派遣労働者の派遣先にも同様に適用されます。
 ◆◇◆

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┃ ■NPOアクティビティー
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
出版のお知らせ―――――――――――――――――――――――――――
 ◇◆◇
 《最新版・2016年版》平成28年3月25日発売!!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2016年版
 日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 共編
 A4判・144頁・頒価1部1,000円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 確定拠出年金法と確定給付企業年金法の公布から14年が経過し、この間、
退職給付会計の導入、運用難による年金資産の積立不足、厚生年金基金の代
行返上、税制適格退職年金の廃止等を契機に、退職給付制度の再編が進行し
てきました。
 厚生年金基金や税制適格退職年金から確定給付企業年金に移行後に、国際
会計基準(IFRS)や財政運営基準の厳格化の動向をにらみ、キャッシュバラ
ンス・プランや確定拠出年金に切り換える動きも出てきています。確定拠出
年金も個人資産の目標金額未達成、投資教育の内容・頻度、運用商品開発の
不足等、課題が発生し、改正法案が審議されています。さらに、厚生年金基
金改革法が2014年4月に施行され、解散や移行先制度の検討等、企業年金の
再編は第二のステップに入りつつあります。
 本書は、2004年11月に2005年版を創刊以来、本年版で12冊目になります。
本年版は、旧版のデータ等を最新のものに改訂すると共に、確定給付企業年
金に関する記述を拡大・加筆。掛金拠出の弾力化、リスク分担型DBの概要を
解説。確定拠出年金改正法の概要、厚生年金基金改革と労働組合の対応、年
金ガバナンス体制の見直し・強化等、大幅に加筆しました。
 会社から制度再編提案がなされた時点で、労組員の皆様が、公的年金から
会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。そのため
には、年金制度の基本知識と制度再編に際して従業員サイドからの留意点を
組織内で共通認識することが第一歩です。そこで、本書をテキストや副読本
として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。また、加盟単組からの
ご相談があった際に、本書を参考にして対応されている産別も見受けられる
ようになりました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 《最新版》平成28年8月30日発売!!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第4版)
  ―2016年法改正対応― 日本労働組合総連合会
 NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク:共編
 A4判・122頁・頒価1部1,500円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 本ハンドブックは、施行15年目を迎える確定拠出年金制度が法律制定の趣
旨にそって、「公的年金と相まってサラリーマンの老後生活保障の柱」の一
翼を担える制度に仕上がっていくように、との期待をこめて、主として加入
者、労働組合の立場から課題と対応の「考え方」を示したものです。私たち
の活動の中から、これまでに経験した事例や課題・問題点を踏まえて整理を
行いました。
 第I部部は、確定拠出年金制度の概要と基礎知識を法律に沿って解説、第I
I部部は、制度のポイントである「運用」と「教育」についての考え方と提
言について述べています。
 本書は、旧版のデータを最新のものに改めにとともに、2016年の法改正に
対応し大幅に書き直し、第4版として発行するものです。
 すでに、退職給付制度の一部または全部を確定拠出年金に移行した労組の
皆様には、制度の運営改善に、これから移行が想定される皆様には、制度設
計・運営のご参考になれば幸いです。
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●次号(第154号)は2月1日に送信の予定です。
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