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┃       金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン

┃                    第154号  2017年2月1日
┃   NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
┃             ホームページ http://kinyunenkin.jp/
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 このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場
 から退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している
 「NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金
 ネットワーク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関す
 る情報や意見交換のスペースをご提供することを目的にしています。企
 画・編集には(株)格付投資情報センターのご協力を頂いています。
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■■ 目次 ■■
●特集レポート
 企業年金コンサルティングの現場から(137)
●NPOトピックス
 ★今からでも聞いてみよう投資の話(28)
  運用の実際について(10) 〜運用成績の計測について(2)〜
 ★マーケットトピックス
 円安は一旦終了か 通商・外交安全保障政策が課題へ
 ★年金トピックス
  国内株式が半減、国内債も低下、高まる代替投資依存
  ―2016年日経企業年金実態調査より「政策アセットミックス」
●年金相談の現場から(63)
 年金額改定ルールの見直しの改正等について
●NPOアクティビティー
 出版のお知らせ
 ◇最新版・2016年版 平成28年3月25日発売!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2016年版
 ◇最新版・平成28年8月23日発売!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第4版)
 ―2016年法改正対応―

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■特集レポート
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 企業年金コンサルティングの現場から(137)

                (株)武南企業年金事務所代表 坂井信夫
 ◇◆◇
 総合型厚生年金基金の常務理事というポストは、旧社会保険庁系の行政官
OBが就任するのが基本であった。厚生年金基金の給付制度には、基金独自の
年金給付とともに「国の代行」部分がある。基金経営者として実務を遂行す
る上で、厚生年金制度や厚生年金保険法等の専門知識が必要とされたことが、
そのような人事の盛んになった大きな理由である。そこでは各常務理事同士
の交流も、出身母体時代の人間関係を引きずることになる。そしてそれは、
各基金独自の事情を抱えつつも、お互いの基金運営に関する情報交換の機会
につながっていた。「○○さんのところで、こういう表現の規約をつくって
行政に申請したらうまくいった」、というたぐいの世間話をよく聞いたもの
である。
 そんなネットワーク機能を念頭に置いていたのだろうか、東京都内に存在
する総合型厚生年金基金は「東京都総合型厚生年金基金協議会」という団体
を組織してきた。各基金から会費を募り、現役の常務理事の中から、互選で
会長、副会長などの役員を選出し、様々な勉強会を開催し、ときにはこのルー
トから、厚生年金基金の制度運営に関して、行政サイドに要望をあげてきた。
厚生年金基金制度の廃止が審議会で議論されていたとき、基金業界代表とし
て制度廃止反対の旗振り役を担ったのは、この協議会の正副会長であったこ
とは忘れられない。
 総合型厚生年金基金は、制度廃止決定から目下のところ解散ラッシュの時
期を迎えている。そして現存する総合型厚生年金基金の中で、代行返上、ま
たは一度解散して後継制度を発足させるなどして「総合型確定給付企業年金
基金」に移行するところは、およそ3割前後とみられている。
 確定給付企業年金基金は、大手企業によるいわゆる「単連型」の厚生年金
基金が代行返上してできたものが、そもそもといっていい。これから続々誕
生する総合型とはいえ、その基金数や加入者数の面では単連型に対して「少
数派」であることは否めない。そのため先々に顕在化するかもしれない、複
数の事業主で構成されるゆえの運営上の問題などは、少数の小さな問題とし
て捨て置かれてしまうのではないかと気になるところである。
 東京都総合型厚生年金基金協議会は、今春より「総合型企業年金基金協議
会」に名称変更の予定だ。およそ130超の現厚生年金基金会員が仮に3割程度
になれば、しかも規模も縮小しての存続になるのであれば、一基金あたりの
「会費負担」は従来通りとはいかないだろう。新しい名称には、加入基金の
枠を「全国」に広げようという意味が含まれているのは明らかだ。
 後継制度のあり方よりも先に制度の廃止を決定した過程に対して、「意地
でも後継制度を作ろう」という理事の意見のもと、新たに発足する基金もあ
ると聞く。こういった事業主の方のためにも、複数事業主制度ゆえにおこり
うる悩みや問題を行政に投げかけるルートは今後も必要だと思われるが、そ
の一つの維持はなかなか容易ではないようだ。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■NPOトピックス
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★今からでも聞いてみよう投資の話(28)――――――――――――――――
 運用の実際について(10) 〜運用成績の計測について(2)〜

          NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 私たちの身近な存在として年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や企
業年金連合会(PFA)があります。毎年度、運用内容について詳細な報告が
なされています。その中に、運用利回りの結果が示されており、修正総合利
回り、時間加重収益率、というプロの運用機関が使用する代表的な言葉が出
てきます。
 修正総合利回りとは、資産の運用成果を評価する評価基準の一つです。従
来の簿価ベースの平均残高利回りに時価の概念を導入しており、時価基準に
近い収益率です。計算式は、(実現損益+評価損益+未収収益の増減)/(期
中元本平均残高+前期末未収収益+前期末評価損益)×100(%)となって
います。
 時間加重収益率とはファンドのなかでキャッシュフロー(掛金や給付等の
資金の流出入)が発生するたびごとに資産を時価評価し、前回のキャッシュ
フローが起きた時点の時価評価額と、今回のキャッシュフローが起きた時点
の時価評価額の増減率(収益率)をそれぞれの単位期間ごとに算出し、それ
を各単位期間の長さをウェイトとして加重平均した収益率をいいます。簡潔
に言うと時価ベースでの収益率からキャッシュフローの影響を取り除いたも
のをいい、修正総合利回りと比較して、並立もしくは競合している運用者間
の成績比較を適正に評価する指標として幅広く用いられています。グローバ
ル投資パフォーマンス基準(GIPS)では、運用会社の実績を測定する指標と
して義務付けられています。計算式は複雑になるので割愛します。

 ところで昨年8月号アセットマネージャーのお話の繰り返しにはなります
が、アセットマネージャーの選別には上記の運用パフォーマンスが主要な選
定基準であることは間違いありませんが、それ以外の要素も加味されること
があります。アセットマネージャーの評価は難しく、古典的ではありますが、
定量評価に定性評価を加えた総合的な判断というのが一般的です。定性評価
というのは投資哲学、運用プロセス、運用体制などをいい、年金資金委託者
の運用目的に沿ったものかどうかが求められます。
 ちなみに投資哲学とは、運用の一貫性・安定性などを不変の信念として捉
えるというのが一般的で、例として、株式投資の場合、投資対象となり得る
企業の価値を見定めて投資先を決定する、世界経済や投資資金の流れを予想
したうえで投資先をマクロ的に決定するなど様々な投資方針が考えられます。
 余談ですが、米著名投資家ウォーレン・バフェットが経営する運用会社の
株主総会資料では、投資哲学ともいえる言葉を掲載しています。ご参考のた
めその中で一つだけお示ししておくと、「常に株券ではなく、ビジネスを買
うという投資姿勢が必要である」。投資プロセスとは、投資対象の選定経過
やリスク管理などの事務的な手続き、運用体制とは人材、経験、補完体制な
どをいいます。
 ◆◇◆

★マーケットトピックス―――――――――――――――――――――――
 円安は一旦終了か 通商・外交安全保障政策が課題へ

                 NPO金融年金ネットワーク
                 DCアドバイザー・CFP   宮本一弘
 ◇◆◇
 1月20日、トランプ氏が第45代の米大統領に就任した。就任演説の“トー
ン”が注目されていました。
 当選直後の演説では、選挙中とは様変わりの穏やかな表情で、闘いは終わ
ったとして国民の融和、団結を訴え、インフラ投資や減税などを訴えました。
これが多くの国民、市場関係者に安心感を与えトランプ公約の「光」と「影」
の、「光」の側面が評価されて、株式市場は米国でダウやS&P500 などの主
要指標が最高値を更新、つれて東京市場も株高、円安で新年を迎えました。
 しかし、1月10日の当選後初めて開かれた記者会見は、“選挙モード”に
逆戻りしたかのような粗暴で、攻撃的態度に終始。映像でこの状況を見た多
くの人々は、これで10日後には落ち着いた“統治モード”に入れるのか懸念
がありました。
 就任演説は、「今日から新しいビジョンがこの国を支配する。『米国第一
主義』で貿易、税、移民、外交の決定を下す。行動を起こす時が来た」、「中
味のない対話の時代は終わった」、「今回の政権交代はワシントンから皆さ
んへ権力を移すものになる」、「米国の労働者と家族に恩恵をもたらす。米
国製品を買い、米国人を雇うのがルール」と強調。最後に「ともに米国を強
く、豊かにしよう。誇りを持てる、安全な国にしよう。米国を再び偉大な国
にしよう」と締めくくりました。「テロとの戦い」にこそ触れたものの、核
軍縮や深刻化する難民問題、地球温暖化問題、経済格差や貧困問題といった
国際的な本質的かつ長期的課題については触れず、反発する民主党から下院
議員など約60人の議員が欠席し、外からはデモの声が場内へ届くなど異例の
就任式になりました。
 トランプ大統領は、就任早々、オバマケア見直しの大統領令に署名。メキ
シコ、カナダとの「北米自由貿易協定」(NAFTA)の再交渉を決定。環太平
洋連携協定(TPP)から離脱するための大統領令にも署名しました。経済界
に対しては、雇用を米国外へ移転する企業に対しては“極めて大型”の「国
境税」を課すと警告しました。また、私的なツイッターでキャリア、フォー
ド、GM、トヨタ等個別企業の投資行動に介入し、牽制するなど徒に混乱を生
じさせてもいます。NAFTAは1994年に発効、既に23年を経過していて、北米
の企業は3ヵ国間の関税非課税を活用して適地生産体制を構築、サプライチ
ェーンも作って来ています。JETROの統計でも、2015年の米国からの輸出先
第1位はカナダ(19.1%)、第2位がメキシコ(14.3%)、以下中国(7.7%)。
輸入先は中国(19.4%)に次いで第2位カナダ(14.7%)、第3位メキシコ
(12.4%)と北米3ヵ国間の緊密な結びつきが見て取れます。また、TPPは米
国抜きでは発効は難しく、日本にとっては経済成長の大きな機会損失になり
ます。
 ここまでは、強いドル。利上げ方向にあるドルとの金利差で、「円は、円
安方向」が基本シナリオとされてきましたが、トランプ政権が米国での雇用
拡大、米国からの輸出に拘り始めますと為替はドル安が望ましいということ
になります。FRBの利上げも出来るだけ遅らせたいという考えになるでしょ
う。年明け以降既に円高傾向へ振れて来ていますが、17日付けのウォールス
トリートジャーナル紙とのインタビューで、トランプ大統領自身が、「米企
業は中国と競争できないが、その理由はドルが高過ぎることだ。余りに高過
ぎる」と述べています。ムニューチン次期財務長官が議会公聴会で「長期的
には強いドルが重要だ」と原則論でサポートしていますが“衣の下から鎧が
見えた”ともいえるでしょう。
 保護主義を前面に出す通商政策を進めれば、一時的には米国内企業の競争
力を優位にさせます。しかし、世界全体の貿易を停滞させ、長期的には需要
を減らし、最終的には米消費者に不利益をもたらし、米経済の停滞に繋がり
ます。経済チームは実業家、投資銀行家等の市場のプロが集まっている政権
ですから、建前は兎も角、具体的な着地点をどう見つけて行くかハードな交
渉が必要になるでしょう。
 トランプ政権の最大の懸念要因は、外交・安保政策の不透明感でしょう。
ビジネスのような「損得勘定」で外交を動かし、世界を混乱に陥れる危険は
ないかということです。第二次大戦後米国は圧倒的な経済力、軍事力を背景
に、世界の平和と安全を守るとの各国との約束を果たしてきました。トラン
プ氏個人には世界の平和と安全を支える意識すらなさそうで、公約の「軍事
力の強化」は米国を守るためで、世界の平和を守るためではなさそうに見え
ます。欧州でウクライナ問題やバルト3国を巡るロシアとの関係、南シナ海
問題での中国との対応。一見強気に押して行っても、同盟国を守ることが目
的でなく通商、通貨問題で米国の要求を呑めば、安全保障問題には目をつぶ
るということはないか、と懸念されます。外交・安全保障を、一種の「取引」
(ディール)と考えて、損得勘定に走ることがないよう日本も腹を括って対
応する必要に迫られるかも知れません。
                       (平成29年1月25日 記)
 ◆◇◆

★年金トピックス――――――――――――――――――――――――――
 国内株式が半減、国内債も低下、高まる代替投資依存
 ―2016年日経企業年金実態調査より「政策アセットミックス」

        NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士
        DCアドバイザー・AFP            植村昌機
 ◇◆◇
 1. リスク重視政策で、国内株比率は9年でほぼ半減
 過去10年の「政策アセットミックスの平均値」は、国内株式比率の低下が
顕著で、16年では13.95%で07年の28.65%からほぼ半減した。「政策アセッ
トミックスを策定する際のポイント」では、「各資産固有のリスクの大きさ
に基づいて資産配分を決める」がほぼ6割であった。このリスクは、過去の
リターン実績に基づく標準偏差(平均値からのブレ幅)を指す。伝統的な投
資理論に基づく政策アセットミックスの策定では、資産別の期待収益率、リ
スク、相関係数※から導き出す「平均・分散アプローチ」という手法を使う
が、リターンよりもリスクを抑えることを優先した経緯がある。
 ※相関係数とは、二つの変数間の類似性の度合いを示す指数

 「政策アセットミックスの期待収益率、リスク、運用効率」では、リスク
は16年調査の平均が5.47%で、07年の7.46%から約2%低下した。期待収益
率は、07年の4.33%から3.01%に低下した。期待収益率をリスクで割った運
用効率では、07年は0.58であったが、直近3年では0.55に推移している。政
策アセットミックスは、期待収益率の低下と引き替えに低リスク型へ変貌し
たといえる。
 今後の「政策アセットミックスの方向性」では、いずれの資産クラスも現
状維持が多数だが、内外株式は「減らす」が「増やす」を大きく上回ってい
る。

 2. 国内債低下は2年連続、マイナス金利政策響く
 株式を減少すると通常は国内債券の配分比率が増えるが、16年は前年比1.
52%低下の36.1%と2年連続低下した。13年以降の金融緩和政策、16年以降
のマイナス金利政策の影響であろう。今後の「政策アセットミックスの方向
性」で、国内債券は19.6%が減らすとしている。

 3. オルタナティブ投資比率は上昇、今後も増加するが4分の1
 2016年は11.84%で、前年比0.95%増となった。「オルタナティブ投資の
配分比率」は、16.61%で、前年比0.92%増となった。「政策アセットミッ
クスの方向性」では、25.5%がオルタナティブ投資の比率を増やし、前年比
5.6%増となった。

 4. 機動的運用「導入」4割に増加
 政策アセットミックスの論拠となっている「平均・分散アプローチ」に対
し、リスク抑制が機能していないという考え方から、近年「オルタナティブ
投資を含む戦略的、機動的な資産配分を行う分散投資戦略」を一部取り入れ
る動きが拡がっている。
 「機動的な運用手法の導入状況」では、16年は39.4%で前年比9.3%増、1
1年が14.9%であり、導入が加速している。「機動運用の適切な割合」は、6
割強が20%未満としている。
 多くの企業年金では、伝統的な投資理論に基づく政策アセットミックスに
よる運用を中心に、一部「機動運用」を採用しているようだ。

 企業年金の株式比率はこの10年間で半減している一方、公的年金は株式比
率を増やしている。企業が負えないリスクを公的年金が引き受けている感じ
さえ受ける。確定拠出年金の加入者も個々人の運用格差は大きいうえ、定期
預金など元本確保商品への集中配分、運用に無関心で放置する加入者の存在
が問題視されている。
 本来、株式から得られるリターンが年金制度を支えると考えられているが、
リスク抑制の判断から配分比率が減少しており、一方マイナス金利政策で国
内債の配分も低下している。そのため、オルタナティブ投資や機動的運用に
活を求めており、企業も個人も困難なかじ取りを強いられている状況がうか
がえる。政策的配慮からか公的年金がリスクをとっているが、これも懸念さ
れる。
 ◆◇◆

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┃ ■年金相談の現場から(63)
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 年金額改定ルールの見直しの改正等について

   NPO金融年金ネットワーク 1級FP技能士・社会保険労務士 小野隆璽
 ◇◆◇
 年金額の改定ルールの見直しや短時間労働者への被用者保険の適用拡大の
促進などを内容とする「年金改革法」(公的年金制度の持続可能性の向上を
図るための国民年金法等の一部を改正する法律)が平成28年12月14日に成立
しました。特に年金額の改定ルールの見直しについては、国会での質疑応答
が活発に行われましたが、このため他の改正内容の影が薄くなっていたので
はないかと思います。そこで、以下に他の主な制度改正も含めてその概要を
説明させていただきます。

 1. 短時間労働者への被用者保険の適用拡大の促進(平成29年4月施行)
 平成28年10月より、特定適用事業所(従業員数が常時501人以上の事業所)
において、短時間労働者に対する厚生年金保険・健康保険の適用拡大がなさ
れましたが、今回の改正は、この適用拡大をさらに促進しようというもので、
平成28年10月実施の要件と同様、以下(1)〜(4)の基準の下、さらに500人以
下の民間企業も、労使の合意に基づき、企業単位で短時間労働者への適用拡
大が可能とされます。また、地方公共団体は、規模にかかわらず適用されま
す。
 その適用拡大の要件については、(1)週の所定労働時間が20時間以上ある
こと、(2)賃金の月額が8.8万円以上であること、(3)雇用期間が1年以上見込
まれること、(4)学生でないこと、のすべての基準を満たす必要があります。
 すなわち、この改正により、上記要件に該当する短時間労働者においては、
地方公共団体に勤務している人は被用者保険の適用拡大の対象となります。
 また、民間企業に勤務している人にとっては、労使の合意に向けての取組
みがなされるかどうかがキーとなります。

 2. 年金額改定のルールの見直し
 公的年金制度の持続可能性を高め、将来世代の給付水準を確保するために
年金額の改定ルールを次のように見直しされます。
 (1)マクロ経済スライドの見直し(平成30年4月施行)
 マクロ経済スライドについて、現在の高齢世代に配慮しつつ、できる限り
早期に調整する観点から、年金の名目額が前年度を下回らない措置を維持し
つつ、賃金・物価上昇の範囲内で前年度までの未調整分を含めて調整されま
す。
 すなわち、現行では賃金・物価の伸びよりスライド調整率が上回る場合、
スライド調整は賃金・物価の伸びまで(年金額の改定は0)にされていまし
たが、改正後はその未調整分を翌年度以降にキャリーオーバーさせ、未調整
分の調整を行うという見直しです。
 (2)賃金・物価スライドの見直し(平成33年4月施行)
 賃金・物価スライドについて、支え手である現役世代の負担能力に応じた
給付とする観点から、賃金変動が物価変動を下回る場合には、賃金変動に合
わせて年金額を改定する考え方を徹底するという見直しです。
 すなわち、賃金・物価変動ともにマイナスで、賃金のマイナス幅が大きい
場合、現行では物価変動に合わせて改定されますが、改正後は賃金変動に合
わせて年金額が改定されます。また、物価変動がプラスで賃金変動がマイナ
スの場合、現行ではスライドなし(年金額の改定は行われない)とされてい
ましたが、改正後は賃金変動に合わせて年金額が改定されます。

 3. 国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料免除(平成31年4月施
行)
 次世代育成支援のため、国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料
が免除されるとともに、免除期間の基礎年金が保障(納付済という扱い)さ
れます。また、この財源として国民年金保険料を月額100円程度引上げ、国
民年金の被保険者全体で負担する、という改正です。
 なお、月額100円程度引上げとは、平成29年度から毎年の保険料が16,900
円×保険料改定率で算定されるのですが、この基礎となる16,900円を100円
引上げ、17,000円×保険料改定率で算定されることになるためです。
 また、保険料免除の対象期間は、出産予定日の属する月の前月から出産予
定月の翌々月までの期間(4ヵ月間)となります。
 この改正は、平成26年4月に実施された産前産後休業期間中の厚生年金保
険料免除制度を受けて、これまで社会保障の対象外であった国民年金の第1
号被保険者向けにも配慮がなされるわけです。
 ◆◇◆

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┃ ■NPOアクティビティー
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
出版のお知らせ―――――――――――――――――――――――――――
 ◇◆◇
 《最新版・2016年版》平成28年3月25日発売!!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2016年版
 日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 共編
 A4判・144頁・頒価1部1,000円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 確定拠出年金法と確定給付企業年金法の公布から14年が経過し、この間、
退職給付会計の導入、運用難による年金資産の積立不足、厚生年金基金の代
行返上、税制適格退職年金の廃止等を契機に、退職給付制度の再編が進行し
てきました。
 厚生年金基金や税制適格退職年金から確定給付企業年金に移行後に、国際
会計基準(IFRS)や財政運営基準の厳格化の動向をにらみ、キャッシュバラ
ンス・プランや確定拠出年金に切り換える動きも出てきています。確定拠出
年金も個人資産の目標金額未達成、投資教育の内容・頻度、運用商品開発の
不足等、課題が発生し、改正法案が審議されています。さらに、厚生年金基
金改革法が2014年4月に施行され、解散や移行先制度の検討等、企業年金の
再編は第二のステップに入りつつあります。
 本書は、2004年11月に2005年版を創刊以来、本年版で12冊目になります。
本年版は、旧版のデータ等を最新のものに改訂すると共に、確定給付企業年
金に関する記述を拡大・加筆。掛金拠出の弾力化、リスク分担型DBの概要を
解説。確定拠出年金改正法の概要、厚生年金基金改革と労働組合の対応、年
金ガバナンス体制の見直し・強化等、大幅に加筆しました。
 会社から制度再編提案がなされた時点で、労組員の皆様が、公的年金から
会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。そのため
には、年金制度の基本知識と制度再編に際して従業員サイドからの留意点を
組織内で共通認識することが第一歩です。そこで、本書をテキストや副読本
として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。また、加盟単組からの
ご相談があった際に、本書を参考にして対応されている産別も見受けられる
ようになりました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 《最新版》平成28年8月30日発売!!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第4版)
  ―2016年法改正対応― 日本労働組合総連合会
 NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク:共編
 A4判・122頁・頒価1部1,500円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 本ハンドブックは、施行15年目を迎える確定拠出年金制度が法律制定の趣
旨にそって、「公的年金と相まってサラリーマンの老後生活保障の柱」の一
翼を担える制度に仕上がっていくように、との期待をこめて、主として加入
者、労働組合の立場から課題と対応の「考え方」を示したものです。私たち
の活動の中から、これまでに経験した事例や課題・問題点を踏まえて整理を
行いました。
 第I部部は、確定拠出年金制度の概要と基礎知識を法律に沿って解説、第I
I部部は、制度のポイントである「運用」と「教育」についての考え方と提
言について述べています。
 本書は、旧版のデータを最新のものに改めにとともに、2016年の法改正に
対応し大幅に書き直し、第4版として発行するものです。
 すでに、退職給付制度の一部または全部を確定拠出年金に移行した労組の
皆様には、制度の運営改善に、これから移行が想定される皆様には、制度設
計・運営のご参考になれば幸いです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 書籍のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら、下記までご連絡をお願い申し上げます。
 内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 →http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm
 お問い合わせ、お申し込みは
 NPO金融年金ネットワーク事務局(
 または電話(03-5444-0539)、FAX(03-5444-0303)まで。

――――――――――――――――――――――――――――――――――
●次号(第155号)は3月1日に送信の予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止/バックナンバー閲覧】
 → http://kinyunenkin.jp/08mailmaga.htm
【内容に関するご意見・ご感想】
本メールの送信アドレスは送信専用ですので、直接ご返信になることはでき
ません。ご意見・ご感想等は、下記アドレスまでお願い致します。
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