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┃       金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン

┃                    第160号  2017年8月1日
┃   NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
┃             ホームページ http://kinyunenkin.jp/
┃     フェイスブック https://www.facebook.com/kinyunenkin/
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 このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場
 から退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している
 「NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金
 ネットワーク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関す
 る情報や意見交換のスペースをご提供することを目的にしています。企
 画・編集には(株)格付投資情報センターのご協力を頂いています。
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■■ 目次 ■■
●特集レポート
 企業年金コンサルティングの現場から(143)
●NPOトピックス
 ★今からでも聞いてみよう投資の話(34)
  運用環境の考え方(6) 〜金融と景気〜
 ★マーケットトピックス
  金融正常化に向かう先進国の中銀 出口の見えない日本
 ★年金トピックス
  確定拠出年金(DC)の資産残高10兆円を突破
   ――2017年3月末商品残高――「年金情報」調査より
●年金相談の現場から(68)
 厚生年金基金解散に伴うデメリット事例について
●NPOアクティビティー
 出版のお知らせ
 ◇最新版・2017年版 平成29年2月28日発売!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2017年版
 ◇最新版・平成28年8月23日発売!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第4版)
 ―2016年法改正対応―

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■特集レポート
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 企業年金コンサルティングの現場から(143)

                (株)武南企業年金事務所代表 坂井信夫
 ◇◆◇
 先月書いた公的年金の繰り上げ、繰り下げ受給に絡めて、筆者の思うとこ
ろを述べたいと思う。年金機構のHPなどにも紹介されているが、現在の我が
国の公的年金は、60歳から70歳の間に年金受給の手続きをすることになって
いる。一般に65歳とされているが、60歳から年金給付を希望するとき、他の
社会保険制度からの給付などなく、正当な手続きを経るならば、給付を拒否
される理由はない。国の年金は60〜70歳の間でいつでも受給を開始できる、
というのが現実の姿と言えるのかもしれない。
 注意を要するのは給付開始年齢によって、給付額が変化することである。
ある方が60歳で年金給付を開始する場合、その金額は、その方が65歳になっ
て初めて年金給付を受ける場合の金額の7割である。もし70歳での給付なら
ば、65歳の金額の42%増となる。60歳の年金額を1とすれば、65歳のそれは1
÷0.7=約1.43である。70歳の場合はさらに42%増なので1.43×1.42=約2.0
3で、この金額が終身給付される。まとめると、60歳で受給を受けず、65歳
でも我慢し、70歳で受給を開始すれば、60歳で手を挙げた方の年金のほぼ2
倍の金額が給付されることになる。
 65歳で年金をもらう場合、受給開始時期は遅くても金額は43%多いため、
本人が77歳の1年の間に60歳から受給の総額を逆転する。同じく70歳受給な
ら82歳の1年間でやはり65歳から受給の総額を逆転する。
 こういう話をすると一般的には、「いやいや、人間いつ死ぬのかわからな
いから、できるだけ早くもらって、自分が納めた保険料分を取り返さないと」
と言った声が聞こえてくる。しかし、老後の家計を考えるにあたって最も大
きなリスクのひとつが「いつまで長生きするかわからない」ことではないか
と考える。自分がいつ死ぬかいつまで生きるかわからない。ならば、もしも
例えば100歳まで長生きしたならどうなるか。こういう前提をおいて物事を
考えることが「長生きリスク」に備える第一歩になるのだと思う。
 厚生年金基金の廃止から、徐々に確定給付総合型企業年金基金が誕生して
いるが、見逃せないのはその給付設計のほとんどが「有期年金」と化してい
ること。100歳まで生きる前提に立つと終身給付でなくなったことは、長生
きリスクへのヘッジ役としては退化したといえる。
 65歳2人暮らしの家計で主軸となる世帯収入は公的年金である。しかし筆
者は、有期化する企業年金やiDeCo、保険や貯蓄といった自助の備えの主目
的を、国の年金受給を少しでも遅らせることに充てる、としてはどうかと昨
今考える。体力のある方は許す限り労働収入の稼得もありだろう。あらゆる
可能な自助努力を総動員して65歳からの年金受給を遅くすることができれば、
後期高齢期の景色は少しばかり変わってはこないだろうか。
 ちなみに前半に出てきた42〜43%の増加率を、例えばiDeCoで考えてみる。
20年間拠出を20年の年金とした場合に換算すると、筆者の粗い計算では全期
間通じて平均で1.8%程度運用収益を余分に稼ぎ続けていかなければ42%増
の年金を実現できないこととなった。年金受給を5年我慢することは、これ
と同じ効果を生むのである。
 嘲笑されるのを覚悟であらためて申し上げる。100歳まで生きる前提で、
年金の損得勘定するのもたまにはいいのではないだろうか。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■NPOトピックス
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★今からでも聞いてみよう投資の話(34)――――――――――――――――
 運用環境の考え方(6) 〜金融と景気〜

          NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 経済指標の中でもメディアなどでよく聞かれる経済用語について追加説明
をします。今回は金融と景気の動向を表す統計で、マネーストック統計、マ
ネタリーベース、資金循環統計、景気ウォッチャー調査、を見ていきます。

 1. マネーストック統計、マネタリーベース(いずれも日本銀行)
 マネーストック統計とはお金の動きを広くとらえたものです。マネースト
ック(通貨供給量)とは、国や金融機関以外の民間部門が保有する通貨量残
高(通貨保有量)をいい、市中に流通する通貨量ともいえます。すなわち一
般法人、個人、地方公共団体などの通貨保有主体(金融機関・中央政府を除
いた経済主体)が保有する通貨(現金通貨や預金通貨など)の残高を集計し
たものです。日本銀行が公表するマネーストック指標には、対象となる金融
商品の範囲や預入先となる金融機関等の違いによって、「M1」「M2」「M3」
「広義流動性」の4つがあります。このうち、代表的な指標はM3とされ、M1
(現金通貨+預金通貨)に、準通貨(定期預金)とCD(譲渡性預金)を加え
たものです。ただ、最近ではこうした統計は景気動向と直接的に関連してい
るとの見方は後退しており、有効な情報の1つとは見られていないようです。

 2013年4月4日に黒田東彦日銀総裁は、日本銀行が量的金融緩和を進めるた
め、金融市場調節の操作目標を金利から資金量に変更しました。その際示さ
れたのがマネタリーベースで、「日本銀行が世の中に直接的に供給する通貨
量」のことをいい、日本銀行が方針を決定します。具体的には、市中に出回
っているお金である流通現金(「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」)と
日本銀行当座預金(日銀当座預金)の合計値となります。直近6月末では468
兆円となっており、量的金融緩和前の135兆円からは大きく増えています。

 2. 資金循環統計(日本銀行)
 資金循環統計は、日本銀行が作成する日本の金融機関や一般法人、家計、
政府といった各部門の金融資産・負債の推移などを預金や貸出といった金融
商品毎に集計したものです。「経済主体別のバランスシート」ともいえるも
のです。同統計は金融取引表、金融資産・負債残高表、調整表の3表から構
成され、1954年分から作成されています。統計の公表は、四半期をひとつの
期間とし、当該四半期の約3ヵ月後に速報が、約6ヵ月後に確報が公表されま
す。家計の金融資産が約1,800兆円と報道されていますが、この統計による
ものです。

 3. 景気ウォッチャー調査(内閣府)
 景気ウォッチャー調査は、2000年から実施されている景気の動向を示す指
標の1つです。各地の景気の動きを身近に観察している人たちから情報を得
て、内閣府が毎月発表しています。日本を11地域に分け、百貨店・スーパー
マーケット・コンビニなどの小売業界やレジャー業界、タクシー業界など、
景気に敏感と見られる職業の約2,000人からの調査を集計・分析しています。
現況を示す現状判断DIと2〜3ヵ月先の見通しを示す先行き判断DIを家計、企
業、雇用などの部門別に発表します。DIの数値は50を上回ると「景気が良い」、
下回ると「景気が悪い」と感じる人が多いことになります。ただ、この景気
ウォッチャーの景気判断は主観的なものでもあるため、解釈には注意が必要
です。一方で、景気判断の速報性や背景にある具体的な事象が見いだせる点
は有用との見方もあります。
 ◆◇◆

★マーケットトピックス―――――――――――――――――――――――
 金融正常化に向かう先進国の中銀 出口の見えない日本

                 NPO金融年金ネットワーク
                 DCアドバイザー・CFP   宮本一弘
 ◇◆◇
 米FRBのイエレン議長は6月12・13日上下両院の委員会で半年に一度の議会
証言を行いました。
 証言で、「米経済の拡大ペースは緩やかながらも安定的な家計消費や足元
の企業の投資拡大に支えられる形で雇用創出が継続しており、現在では海外
経済の持ち直しという追い風も吹いている」と指摘。「時間と共にフェデラ
ルファンド金利(FF金利=短期金利)の緩やかな利上げとバランスシート(B
S)縮小を吸収できるほど十分健全だ」との認識を示し、BSの縮小は「年内」
に開始すると見込んでいると説明しました。利上げは、低水準のインフレ率
や自然利子率により、FRBが考える自然利子率に到達するまで「今後、それ
程大きく引き上げる必要はないだろう」と利上げの余地は限られる可能性も
あるとしました。また、インフレ見通しを巡るリスクを「相当な不確実性を
伴う」として「当局は考慮している」とする一方、最近の低すぎるインフレ
率の要因として、物価水準全般に広く影響する原油価格が1バレル=40ドル
台の低水準で推移していることに加え、「携帯電話プランの質調整ベースの
価格低下や処方薬の値下げといった『一時的』な影響が価格指標を抑制して
いる」とも指摘しました。
 その上で、「金利水準が引き続き雇用増加や所得の伸びを支え、それによ
り消費が後押しされるのが基本的な見通し」と説明、「世界の成長ペースの
加速が米国の輸出を支え、(シェール等の)掘削活動の回復が企業の設備投
資を後押しする」、「向こう数年間に2%のインフレ率を達成する軌道にな
いという判断を下すのは時期尚早だ」と述べました(引用は、ブルームバー
グ、ロイター等)
 イエレン議長の証言が、利上げを急がない姿勢を示し、予想以上に“ハト
派”的であったことから市場は再び「株高・債券高」。特に、インフレが低
水準に止まるとの観測から、米10年国債利回りは、議長証言後は2.3%台前
半に下落(債券価格は上昇)、為替も円高に振れました。「金融相場」はま
だ続くとの安心感が買いを誘ったと言えます。
 イエレン議長の任期が来年の2月であり、膨張したFRBの総資産圧縮に道筋
をつけるのが自分の役割との思いからか、「利上げは慎重に、資産圧縮は着
実に」進めるべく6月FOMC後に資産圧縮の詳細なプログラムを示しています。
順調に推移すれば、2020年末には3兆ドル程度に減少することになります。
縮小は、具体的には満期償還される国債、MBS債を全額再投資に回さないと
いう方法を採ると考えられるので、長期金利の上昇(債券価格の値下がり)
=ドル高要因になります。

 米FRBに続き、世界の主要な中央銀行が2008年のリーマン危機後続けてき
た金融緩和の解除に動き始めました。6月20日のECB理事会では「金融政策の
現状据え置き」を決めましたが、記者会見でドラギ総裁は「ユーロ圏経済の
拡張は引き続き強くなっている。拡張は、セクター、地域にわたり拡大して
いる。成長見通しに関するリスクは広範囲に均衡している。漸く底固い回復
を実感しつつあり、賃金や物価が我々の目標に向かうのを待つだけだ」(ロ
イター)と述べました。9月量的緩和の縮小を決定して2018年から縮小を開
始するとの見方が大勢になりつつあります。7月に入ってカナダ中銀は7年振
りに利上げを決断。英国では、EU離脱決定以後の大幅なポンド安から消費者
物価指数の上昇が続き(2016年11月に見通しを2.0%から2.7%に改定)影響
を看過出来なくなったBOEのカーニー総裁は、金融引き締めを予告。スウェー
デン中銀も「緩和方向」の政策方針を「中立」に戻しました。

 一方、日銀は6月19・20日の金融政策決定会合で、短期金利をマイナス0.1
%、長期金利をゼロ%程度に誘導する現行の金融政策の維持を賛成多数で決
定しました。同時に発表した「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)で
は、消費者物価(除く、生鮮食品=コアCPI)見通しを下方修正し、目標と
する物価2%の到達時期を「2019年ごろ」に先送りしました。達成時期の先
送りは黒田総裁の就任から6回目、前回レポートからは1年後倒ししたことに
なります。2020年の東京五輪までは現在の金融緩和を継続するというのに等
しく、日本だけが、黒田総裁の任期が切れる来年3月以降も緩和路線を突き
進むことになります。年間80兆円の国債購入と6兆円の株式ETFの購入で日銀
の総資産は500兆を超え、GDP比93%(2017年5月末)。因みにFRBは25%、EC
Bは38%。日銀の国債保有高は427兆円、国債残高の40%を保有しています。
株式ETFは2018年末には、23兆円に達するとされ国債、株式とも日銀が市場
で最大の買い手になっています。日銀が買入れを減らせば市場の混乱は避け
がたく、「出口」=縮小は至難の業といえるでしょう。
                       (平成29年7月24日 記)
 ◆◇◆

★年金トピックス――――――――――――――――――――――――――
 確定拠出年金(DC)の資産残高10兆円を突破
  ――2017年3月末商品残高――「年金情報」調査より

        NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士
        DCアドバイザー・AFP            植村昌機
 ◇◆◇
 確定拠出年金向けの運用商品を提供する大手金融機関グループの販売会社
の残高は、10兆3240億円と10兆円を突破した。前年同月からの伸び率は、株
高等の影響で11%であった。内訳は、元本確保型商品が5兆5713億円(前年
比8.7%増)、投資信託などが4兆7527億円(前年比13.7%増)であった。
 販社別では、三菱UFJフィナンシャルグループが2兆2752億円、みずほフィ
ナンシャルグループが1兆3590億円、三井住友信託銀行が1兆2686億円、日本
生命保険が1兆743億円。12金融機関グループのうち7グループが2けたの伸び
率だった。

 1. 投資信託
 運用商品を「投資信託など」と「元本確保商品(預金、保険など)に分け
てみると、投資信託などが13.7%増の4兆7527億円、そのうちMMFは41.1%減
の543億円であった。
 MMFは、野村証券を除く全ての金融機関グループで繰り上げ償還を終えて
いる。
 販社別にみると、三井住友信託銀行が23.0%増と伸び率トップ、大手企業
の契約が多いうえ、株式投信の運用が好調だったようだ。MMFの償還が影響
したとみられ、東京海上日動と大和証券以外は2けたの伸び率であった。
 残高では、三菱UFJが9318億円、三井住友信託銀行8843億円、野村証券
7728億円、みずほ7258億円の順であった。
 12金融機関グループに、残高の多い商品を15本回答してもらい、グループ
別にランキングした。投資信託では残高が200億円以上だったのは43本であ
った。
 残高の多い投資信託は、三菱UFJ 「三菱UFJプライムバランス(安定成長
型)(確定拠出年金)が1515億円(16.3%増)、次に野村証券の「野村外国
株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI(確定拠出年金向け)1298億円
(17.9%増)、三菱UFJ「三菱UFJDC国内債券インデックスファンド」933億円
(4.8%増)で続いた。
 全般にバランス型投信や株式投信の残高が伸び、国内債券の投信残高は伸
び悩んだ。

 2. 元本確保型商品
 元本確保型商品の残高は、8.7%増の5兆5713億円だった。販社別では、三
菱UFJの1兆3433億円がトップ。これに日本生命7394億円、みずほ6331億円、
労働金庫連合会6151億円が続いた。残高の多い運用商品は、労働金庫連合会
の「ろうきん確定拠出年金定期預金(スーパー型)」6151億円(9.8%増)、
「みずほDC定期預金(1年)」4729億円(11.8%増)、東京海上日動「ねん
きん博士10年」4641億円(4.1%増)、三菱UFJ「三菱東京UFJ確定拠出年金
専用1年定期預金」4418億円(17.2%増)の順であった。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■年金相談の現場から(68)
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 厚生年金基金解散に伴うデメリット事例について

   NPO金融年金ネットワーク 1級FP技能士・社会保険労務士 小野隆璽
 ◇◆◇
 厚生年金基金の見直し等を柱とした「公的年金制度の健全性及び信頼性の
確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」が平成26年4月1日に
施行されたことに伴い、解散や代行返上する基金が増えています。「労働組
合のための退職金・企業年金ハンドブック」2017年度版によると、基金数は
1997年に1,883がピークであったとのことですが、平成29年7月1日現在878が
解散、937が過去返上しています。このような状況もあり、最近は基金解散
に伴ういろいろな相談が寄せられています。
 そこで、基金解散に伴い大きくデメリットとなる相談事例を以下に紹介さ
せていただきます。

 (1) 障害基礎年金と老齢厚生年金の2つの受給権がある65歳未満のケース
 障害基礎年金を受給している人が、老齢厚生年金を受給できる支給開始年
齢になると、65歳に達するまでは1つの年金しか受給できないため、どちら
の年金を受給するか選択しなければなりません。このようなケースにおいて
基金加入期間があるケースです。例えば、障害基礎年金78万円、老齢厚生年
金30万円、基金(代行部分)90万円とすると、基金の規約によりますが障害
基礎年金を選択しても基金(代行部分)90万円は支給停止されない場合、障
害基礎年金を選択し基金からも代行部分の90万円が支給されているケースが
あります。そのような基金が解散すると、代行部分が国に返上され老齢厚生
年金が120万円となります。このようなケースにおいて、もし選択替えしな
ければ、老齢厚生年金120万円が支給されません。当然障害基礎年金78万円
より多いため選択替えを行うことになりますが、基金解散の結果として、こ
れまで受給していた年金額より48万円(78万円+90万円−120万円)少なく
なってしまいます。この48万円が基金加入のメリットでしたがそれがなくな
ってしまうわけです。

 (2) 在職老齢年金受給中のケース
 基金からも支給される年金がある在職老齢年金の支給停止額については、
まず国から支給される年金(報酬比例部分)から支給停止され、それでも引
き切れなかった場合、基金から引くことができることになっています。なお、
基金の規約によっては、国は支給停止したとしても基金は支給停止しないと
いう規約を設けている基金もあります。
 このような補填している基金が解散すると、代行部分が国に返上され、国
から支給されていた老齢厚生年金(報酬比例部分)に基金の代行部分も加算
された年金額が在職老齢年金の支給停止額となってしまいます。
 基金からも支給される年金がある在職老齢年金については、以上のような
制度・しくみとなっているのですが、特に報酬が高い人の場合で、これまで
は国から支給されていた年金(報酬比例部分)は全額支給停止されていたが、
基金からは全額支給されていたようなケースがあります。
 このようなケースにおいては、基金解散により、基金からの支給はなくな
り、かつ、国からの年金も在職老齢年金のしくみにより全額支給停止される
ようになります。

 (3) 老齢厚生年金と雇用保険との調整があるケース
 雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金を受給していると、65歳未満の在職
老齢年金と年金とが併給される場合、年金がさらに標準報酬月額の最高6%
支給停止されます。このような調整がかかる年金についても、これまで基金
から支給されていた年金は、調整しないという基金もあります。このような
基金が解散することにより、返上された代行部分の年金も調整の対象となっ
てしまいます。

 (4) 年金受給資格期間を満たしていないケース
 以前のメールマガジンでもご紹介しましたが、やはり年金受給資格期間を
満たしていない人の相談が散見されます。
 これまで基金からは年金が支給されていたが、受給資格期間を満たしてい
ないため、老齢厚生年金の支給を受けていない人の場合です。
 基金の解散に伴い、代行部分が国に返上されますが、国の老齢厚生年金は
受給資格期間を満たしていないため、年金は支給されません。
 すなわち、基金の年金は、受給資格期間を満たしていなくても支給される
というメリットがありましたが、国に代行返上することに伴い、このメリッ
トがなくなり、年金は全く支給されなくなってしまいます。
 なお、このような相談者についても、平成29年8月から受給資格期間が25
年から10年に短縮されますので、一度は支給されなくなった基金代行返上分
の年金についても、10年を満たしていれば支給されることになりますので、
ほっと一安心される方がおられます。
 以上のように、基金の解散に伴い、その影響(デメリット)が出てくるケー
スがありますので、解散後の影響について、確認しておかれることをお勧め
します。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■NPOアクティビティー
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
出版のお知らせ―――――――――――――――――――――――――――
 ◇◆◇
 《最新版・2017年版》平成29年2月28日発売!!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2017年版
 日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 共編
 A4判・146頁・頒価1部1,000円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 確定拠出年金法と確定給付企業年金法の公布から15年が経過し、この間、
退職給付会計の導入、運用難による年金資産の積立不足、厚生年金基金の代
行返上、税制適格退職年金の廃止等を契機に、退職給付制度の再編が進行し
てきました。
 厚生年金基金や税制適格退職年金から確定給付企業年金に移行後に、国際
会計基準(IFRS)や財政運営基準の厳格化の動向をにらみ、キャッシュバラ
ンス・プランや確定拠出年金に切り換える動きも出てきています。確定拠出
年金も、2016年6月より普及の拡大に向け改正法が施行されています。さら
に、厚生年金基金改革法が2014年4月に施行され、解散や移行先制度の検討
等、企業年金の再編は第二のステップに入りつつあります。
 本書は、2004年11月に2005年版を創刊以来、本年版で13冊目になります。
本年版は、旧版のデータ等を最新のものに改訂すると共に、確定給付企業年
金に関する記述を拡大・加筆。掛金拠出の弾力化、リスク分担型DBの概要を
解説。確定拠出年金改正法の概要、厚生年金基金改革と労働組合の対応、年
金ガバナンス体制の見直し・強化、マイナス金利政策下の企業年金の運営等、
大幅に加筆しました。
 会社から制度再編提案がなされた時点で、労組員の皆様が、公的年金から
会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。そのため
には、年金制度の基本知識と制度再編に際して従業員サイドからの留意点を
組織内で共通認識することが第一歩です。そこで、本書をテキストや副読本
として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。また、加盟単組からの
ご相談があった際に、本書を参考にして対応されている産別も見受けられる
ようになりました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 《最新版》平成28年8月30日発売!!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第4版)
  ―2016年法改正対応― 日本労働組合総連合会
 NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク:共編
 A4判・122頁・頒価1部1,500円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 本ハンドブックは、施行15年目を迎える確定拠出年金制度が法律制定の趣
旨にそって、「公的年金と相まってサラリーマンの老後生活保障の柱」の一
翼を担える制度に仕上がっていくように、との期待をこめて、主として加入
者、労働組合の立場から課題と対応の「考え方」を示したものです。私たち
の活動の中から、これまでに経験した事例や課題・問題点を踏まえて整理を
行いました。
 第I部部は、確定拠出年金制度の概要と基礎知識を法律に沿って解説、第I
I部部は、制度のポイントである「運用」と「教育」についての考え方と提
言について述べています。
 本書は、旧版のデータを最新のものに改めにとともに、2016年の法改正に
対応し大幅に書き直し、第4版として発行するものです。
 すでに、退職給付制度の一部または全部を確定拠出年金に移行した労組の
皆様には、制度の運営改善に、これから移行が想定される皆様には、制度設
計・運営のご参考になれば幸いです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 書籍のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら、下記までご連絡をお願い申し上げます。
 内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 →http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm
 お問い合わせ、お申し込みは
 NPO金融年金ネットワーク事務局(
 または電話(03-5444-0539)、FAX(03-5444-0303)まで。

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●次号(第161号)は9月1日に送信の予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止/バックナンバー閲覧】
 → http://kinyunenkin.jp/08mailmaga.htm
【内容に関するご意見・ご感想】
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ません。ご意見・ご感想等は、下記アドレスまでお願い致します。
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