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┃       金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン

┃                    第161号  2017年9月1日
┃   NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
┃             ホームページ http://kinyunenkin.jp/
┃     フェイスブック https://www.facebook.com/kinyunenkin/
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 このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場
 から退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している
 「NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金
 ネットワーク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関す
 る情報や意見交換のスペースをご提供することを目的にしています。企
 画・編集には(株)格付投資情報センターのご協力を頂いています。
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■■ 目次 ■■
●特集レポート
 企業年金コンサルティングの現場から(144)
●NPOトピックス
 ★今からでも聞いてみよう投資の話(35)
  投資教育について(1) 〜金融リテラシーとは〜
 ★マーケットトピックス
  トランプリスクの裏で堅調な日米経済 しかし秋には大変動の予想も
 ★年金トピックス
  確定拠出年金法の一部を改正する法律の整備省政令の概要
●年金相談の現場から(69)
 年金受給資格期間短縮(10年年金)の手続き面の取組み
●NPOアクティビティー
 出版のお知らせ
 ◇最新版・2017年版 平成29年2月28日発売!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2017年版
 ◇最新版・平成28年8月23日発売!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第4版)
 ―2016年法改正対応―

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┃ ■特集レポート
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 企業年金コンサルティングの現場から(144)

                (株)武南企業年金事務所代表 坂井信夫
 ◇◆◇
 厚生労働省の資料によれば個人型確定拠出年金の加入者が急増しているという。本
年1月より、加入可能な範囲が被用者や専業主婦(夫)にまで拡大され、その影響に
よることは明らかである。
 平成21年度以降の各年度末の加入者数は、平均すると毎年14〜15%増であったもの
が、今年の4月まで対前月末14%前後の増加となっているという。昨今では某女性ア
ナウンサーをキャラクターとしたCMもよく目にするようになってきた。「iDeCo」と
いう言葉自体はゆっくりと、しかし確実に、我々の意識の中に浸透し始めてはいると
思われる。
 ただし、急増している加入者の中身を見るとそれは圧倒的に「第二号」加入者とな
っている。iDeCoの加入者範囲拡大前夜である昨年末、R&Iのセミナーに参加したが、
そこで語られていたのは複数の地銀のiDeCo営業担当者によるその営業戦略であった。
記憶が確かなら、各行とも旧共済加入者をメインに攻めていくと口をそろえていたは
ずだ。そして、旧共済加入者とはすなわち、公務員である。大きな組織に属する人間
を一か所に集めて行う加入促進活動はとても効率的であるし、その結果があらわれる
のもそれほど時間がかからないだろう。あくまで推測であるが、急増するiDeCo加入
者の「コア」は公務員ではないだろうか。
 急増する第二号加入者、その一方で第一号と第三号の加入者については正直いって
「微増」の域を出ないだろう。第一号加入者の伸びが前年度までのそれから大きく変
化した兆候を感じないし、第三号加入者は果たして全加入者の1%を超えているのか、
という程度である。筆者は現在第一号、第三号の方に話をする機会が多いわけだが、
その反応は「そうだったんですね」とか「そこまでは知りませんでした」いう感じの
ものがほとんどである。だからこそ伝えていく意義を感じるわけでもあるが、情報の
浸透度合いには大きな温度差があるようだ。
 語りつくされているが、iDeCoは掛金が全額所得控除されるなどの節税メリットが
強調される。第二号の方が勤め先の合同説明会でこのあたりを強調されると、それだ
けで加入への意欲が促進されるに違いない。第一号の方にはこのあたりを今一度おさ
えていただきたいところである。
 また、第三号の方には節税メリットがないという。たしかに掛金に関してはその通
りである。しかし、例えばご結婚や出産まで勤務されていた企業が企業型DCを採用し
ていた場合、その積立資産をiDeCoの口座に引き取り、資産移行後も積立や運用を継
続し、就労復帰に備えるということが可能なのである。これは、将来の自分への仕送
りが、どのような時期であっても継続できるという、とても大きなメリットではない
かと筆者は考える。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■NPOトピックス
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★今からでも聞いてみよう投資の話(35)――――――――――――――――
 投資教育について(1) 〜金融リテラシーとは〜

          NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 今回は金融リテラシー(金融に対する情報や知識の活用能力)について考えていき
たいと思います。これは投資を考えるうえで必要な学習とその実践とでも言えるでし
ょうか。年初より当NPO法人ではフェイスブックを活用した情報発信を始め、金融や
年金に関する話題を取り上げています。読者の中でもお時間があれば覗いていただけ
ると幸いです。
 https://www.facebook.com/kinyunenkin/

 そこで感じたのが金融リテラシーでした。いわゆる一般生活者が投資を考えなけれ
ばならない場面が増えてきたためです。ここ数年来低金利が続き、預貯金の利息が増
えない、ということが最も身近に感じることだと思います。加えて、年初から個人型
確定拠出年金(通称:イデコ)がスタートし、来年初からは積立NISAが現行のNISAと
の選択にはなりますが、新たに加わります。イデコは厚生労働省、積立NISAは金融庁
が各々所管になります。ただ、こうした制度がスタートするにあたり、当事者である
一般生活者の関心はどうなのでしようか。これまでに様々な資料が示されていますが、
現状認識の確認をしておきたいと思います。

 今年2月に金融庁は「家計の安定的な資産形成に関する有識者会議」を設置しまし
た。その第1回の会合で事務局側が準備した資料に家計の金融資産の現状分析が示さ
れています。日本は預貯金優位であり、資産の伸びは米英に比べて低水準であるとし
ています。そのため金融資産の運用から得られる財産所得と勤労所得の比が米国の1:
3に対し、日本は1:8にとどまっていると指摘しています。つまり家計の金融資産をバ
ランスのとれたポートフォリオに見直し、勤労以外の財産から所得を増やす取り組み
を進めようではないかという問いかけです。金融庁はそのために、(1)金融機関の顧
客本位の業務運営の確立・定着、(2)積立NISAの創設、(3)実践的な投資教育の推進、
などの取り組みを行った、もしくは行なおうとしています。

 家計の金融リテラシーに関しては、同資料では投資未経験者のうち、約8割が「有
価証券への投資は資産形成のために必要ない」とし、その理由として、「そもそも投
資に興味がない」と回答しています。すなわち、金融や投信知識を身に付けたいと思
う人は少ないということになります。また、第2回の資料では投資信託の信託報酬に
関する問がありましたが、6割程度の人が現在の信託報酬がいかに高いかということ
を知っていないようです。以上のように、金融庁は金融リテラシーの向上は必要だと
の思いなのでしょうが、一般生活者がこうした問題提起を、どう考えていけば良いの
かを見ていきたいと思います。
 ◆◇◆

★マーケットトピックス―――――――――――――――――――――――
 トランプリスクの裏で堅調な日米経済 しかし秋には大変動の予想も

                 NPO金融年金ネットワーク
                 DCアドバイザー・CFP   宮本一弘
 ◇◆◇
 主要国の中央銀行総裁や財務省の幹部、著名なエコノミストなどが参加して経済、
金融政策を討議するジャクソンホール(ワイオミング州の保養地)会合が、今年は8
月24・25日に開催されました。この会合では、過去、2010年、バーナンキFRB議長が
量的金融緩和第2弾の実施を示唆し、2014年にはドラギECB総裁が、ECBが国債買い入
れ政策に踏み切ることを市場関係者に織り込ませる発言をするなど市場関係者の注目
を集めるイベントになっています。
 イエレンFRB議長は、今後の利上げ見通しや9月にも予想される資産買入れ額の縮小
等に就いては一切触れず、金融危機後に導入した一連の規制が金融システムの安定に
寄与したと述べ、一部の規制の簡素化には賛成しつつ積極的な規制の緩和には警戒感
を示しました。これは、政権を牽制したものと受け取られています。また、ドラギ総
裁も世界経済の回復は着実に進んでいるとして景気動向には自信を示しましたが金融
緩和の縮小には触れず、むしろ金融規制や貿易自由化の重要性を強調して国際協調を
軽視しがちなトランプ政権を牽制しました。
 市場ではイエレン議長が次の利上げやFRBの資産縮小について触れなかったため、
引締め的な発言も予想して構築されていたポジションの巻き戻しが生じ、米10年国債
は25日17.00(NY時間)2.17%まで低下しました(ブルームバーグ)。
 トランプ大統領は、シャーロッツビルで発生した白人至上主義団体が開いていた集
会で、リベラル派と騒乱状態になり、死者が出るに及んだ事件に関し、あいまいな態
度に終始し、発言が2転3転するに及んで批判が集中。大統領の諮問機関である「製造
業諮問委員会」「戦略・政策フォーラム」から委員に就任していた各企業のCEO等の
辞任が相次いだことで、切れた? 大統領が両組織を解散し、最側近で白人至上主義、
移民受け入れ制限、壁建設、パリ協定脱退等の“内向き”政策を進めたバノン首席戦
略官を解任するなど立て直しの手を打っていますが、選挙公約のオバマケア代替法案、
大型のインフラ投資、大幅減税、壁の建設など、ことごとく議会承認が進まず、政権
は行き詰まりつつあります。
 こうした中、ムニューシン財務長官が政府の債務支払いのための財源が9月29日の
前に枯渇するとの予想を公表して、議会による連邦債務上限引き上げという問題が浮
上しています。議会で約20兆ドル規模の上限の引き上げが承認されなければ米国がデ
フォルトに陥りかねない危機が訪れます。債務上限を巡る与野党の対立が激化した20
11年には、S&P社が米国債の格付けを、初めて格下げしました。市場の懸念をよそに8
月23日、大統領はアリゾナ州の集会で、壁の建設予算が認められなければ政府機関の
閉鎖も止む無しとの“悪ふざけ”的な発言をして市場に動揺が走りました。
 こうした政治リスクにも拘らず、実体経済は堅調に推移して、第2四半期のGDP成長
率は2.6%と良好で、雇用の改善傾向も進み失業率は4.3%と完全雇用の状態にありま
す。小売り売り上げも7月は前月比0.6%の高い伸びで、住宅市場は8月の市場指数は6
8とバブル期並みの水準に回復。ISMの製造業・非製造業指数も景気判断の分かれ目の
50を大きく上回っています。企業業績も好調で第2、第3、第4四半期とも2桁増益が予
想されています。ただ、物価上昇率が依然低いままでFRBの目標の2%に届かず、賃金
上昇率も高まらないことへの懸念も少なくありません。政治リスクが景気や企業業績
へ及ぶリスクは考えた方が良いとの見方が増加している様です。
 さて、日本ですが、足元の景気は、世界景気拡大の好影響と、建設、サービス産業
の拡大による内需増加に支えられて、4〜6月期の実質GDP成長率は前期比年率4.0%の
高成長になり、6四半期連続で成長していてこの間の平均成長率はほぼ2%に達し、米
国と肩を並べる水準との調査もある。日本経済は過去20年、需要不足経済であったも
のが、人口動態の変化(人手不足)によって、供給力不足に移行しているとされます。
従って、来年にかけて、労働力不足からくる賃金上昇、加えて、日米金利差による円
安=輸入価格上昇からインフレ率が高まるとの見方もあります。日本経済は当面、堅
調に推移すると見られます。株式市場も高値圏で推移していて、日銀のETF買い(年
間6兆円、買う日は1日に730億円程度の買い)で、海外投資家の売りを吸収している
とされていますが、国債市場で日銀の買い=長期金利を0%近辺に抑える政策、が国
債を高値(金利は低下)でコントロールしている様に、日本株も、日銀トレードで割
高の水準にキープされていることになります。黒田総裁任期中は持ちこたえるとの見
方が大勢ですが、予期せぬ海外、特にNY発の調整は無傷では済まないと言われ、行き
過ぎた価格の反動は大きくなります。秋はご用心、ご用心でしょう。
(平成29年8月27日 記)
 ◆◇◆

★年金トピックス――――――――――――――――――――――――――
 確定拠出年金法の一部を改正する法律の整備省政令の概要

        NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士
        DCアドバイザー・AFP            植村昌機
 ◇◆◇
 厚生労働省より、確定拠出年金法改正のうち、平成29年1月施行分(個人型確定拠出
年金(iDeCo)の加入可能範囲の拡大等)、及び平成30年1月施行分(掛金拠出の年単
位化)の政省令の概要が説明された。併せて、公布2年以内施行分(簡易型確定拠出
年金等)について、規定を予定している内容が説明された。

 1. 平成29年1月1日施行分の整備政省令の概要(iDeCoの適用拡大に伴う措置)
 ●iDeCoの適用拡大に伴う拠出限度額を設定(公務員、専業主婦、企業年金に加入
している会社員について設定)
 ●企業型確定拠出年金とiDeCoの同時加入が可能になることに伴う規定の整備
 加入者期間の取扱については、企業型確定拠出年金とiDeCoの同時加入により別々
の資産管理機関で企業型と個人型の期間を保有する場合、両期間を合算した通算加入
者等期間を用いて裁定することとされているので、請求を受けた資産管理機関が他の
資産管理機関に請求者の必要な記録の提供を求めることを規定。
 ●脱退一時金規定の見直し
 ・脱退一時金の請求要件のひとつである年金資産額を25万円以下に設定。
 ・改正法において、iDeCoの加入可能範囲が拡大したことにより、脱退一時金を請
求できる者は実質的に国民年金の保険料免除者に限定された。
 ●iDeCoの加入可能範囲が拡大したことに伴い、厚生労働省企業年金国民年金基金
課の名称を企業年金・個人年金課に変更。
 ●その他の所用の措置
 ・個人別管理資産の通知について、加入者等が同意した場合に限り、電磁的方法で
代替可能である旨を規定。
 ・企業型確定拠出年金の事業主に対し義務が課されていた規約の備置きについは、
電磁的方法で代替可能である旨を規定。

 2. 平成30年1月1日施行分の整備政省令の概要(拠出の年単位化に伴う措置)
 ●拠出方法
 ・改正後確定拠出年金法では、年1回以上、定期的に掛金を拠出することとされて
いるが、具体的には、加入者期間の計算の基礎となる期間について、12月から翌年11
月までを単位(拠出単位期間)として拠出するものとする。ただし、当該1年間を区
分して、区分した期間(拠出区分期間)ごと、1年間に複数回拠出することができる
ものとする。
 ・企業型確定拠出年金加入者資格を喪失したときに、未拠出の期間がある場合は、
事業主掛金については当該期間について拠出するものとし、加入者掛金については当
該期間について拠出できるものとする。
 ●納付時期
 ・1月から12月
 ・原則、拠出単位期間(拠出区分期間)の最終月の翌月末日(加入者が資格喪失し
た場合は、資格喪失日の属する月の翌月末日)までに納付する。
 ●拠出限度額
 ・拠出限度額は、拠出単位期間内の各月における拠出限度額を積み上げた額とする。
但し、拠出区分期間を設定した場合、拠出区分期間の最終月までの各月の限度額を合
計した額から既拠出額を控除した額とする。
 ・転職等により、別の企業型確定拠出年金に加入した場合は、前の企業型年金にお
ける拠出限度額は引き継がない。
 ●iDeCo加入者掛金に係る国民年金保険料未納の場合
 ・国民年金保険料未納期間における各月の限度額は0円として算出し、拠出単位期
間(拠出区分期間)における限度額を超えた場合に還付を行う。
 ・拠出単位期間(又は拠出区分期間)中に国民年金保険料の未納月が含まれる場合、
拠出区分期間が未納月のみの場合は掛金拠出ができない。

 3. 公布2年以内施行分の整備政省令における主な規定予定
 改正法公布の日(平成28年6月3日)から2年以内で政令により定める日から施行さ
れる。
 ●簡易型確定拠出年金(従業員100人以下の企業が対象)の創設
 ・簡易型確定拠出年金に係る事業主掛金の額の算定方法は定額とする。(勤続年数
等の資格に応じて階層化可能)
 ・簡易型確定拠出年金実施事業所に使用される全ての第1号等厚生年金被保険者は
一律に加入者資格を有するものとする。
 ●中小事業主掛金納付制度(従業員100人以下の企業に限りiDeCoに加入する従業員
の拠出に追加して事業主が拠出する)の創設
 ・iDeCoの掛金を拠出区分期間ごとに拠出する場合は、中小事業主掛金も当該期間
ごとにのみ拠出可能とする。
 ・中小事業主掛金の額の算定方法は定額(勤続年数等の資格に応じて階層化可能)。

 ●運用
 ・運用の方法の数の上限を35本とする。
 ・運用の指図を行う対象ごとに商品提供数を数える。ただし、ターゲットイヤーだ
けがことなる商品はまとめて1本と数える。
 ・指定運用方法の選定基準として、リスク・リターンの関係が合理的であることを
説明できること等定める。
 ・指定運用方法の運用の結果につき、その責任は加入者本人に帰属する旨等を定め
る。
 ●ポータビリティー
 ・企業年金制度(DC・DB)と中小企業退職金共済の間の資産移換の対象となる合併
等は、事業再編により1つの中小企業に2つの異なる退職給付制度が併存することとな
る場合とする。
 ・DBから中小企業退職金共済に移管する者の移換額は、最低積立基準額(DB終了の
場合は残余財産分配金)とする。
 ・DC・中小企業退職金共済からDBに移換する場合の期間通算は、現行のDB間ポータ
ビリティーの取扱と同様とする。
 ◆◇◆

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┃ ■年金相談の現場から(69)
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 年金受給資格期間短縮(10年年金)の手続き面の取組み

   NPO金融年金ネットワーク 1級FP技能士・社会保険労務士 小野隆璽
 ◇◆◇
 平成29年8月1日から老齢年金等の受給資格期間がこれまでの原則25年から10年に短
縮されました。そして、受給権発生日(平成29年8月1日)が、既に過ぎましたが、ま
だ年金請求をされていない方々が多数おられます。
 そこで、現状までの10年年金にかかわる手続き面での取り組みについて、以下に紹
介させていただきます。

 1. 施行日(平成29年8月1日)前の事前請求対応
 年金の受給資格期間が10年以上の人のうち日本年金機構に住民票コードが収録され
ている人に対して、2月末から7月まで、5回に分けて順次10年年金請求書が事前送付
されました。
 通常の年金請求ですと、受給権発生日以降にしか請求手続きすることができません
が、10年年金請求については、平成29年8月1日の受給権発生日前から事前受付が可能
とされたため、10年年金請求書が届きだした3月以降、年金事務所は大変な混雑状況
となりました。
 また、7月末から住民票コードが未収録の人に対しても10年年金請求の勧奨状が送
付され、8月1日以降も混雑が続いています。

 2. 受給資格期間10年未満の人に対する対応
 年金の受給資格期間が10年未満の人のうち、一定のケースがある人に対して、平成
29年中に「10年年金のお知らせ」通知が送付される予定です。
 お知らせの内容は、一定のケースがあり、10年以上になれば年金を受給できる可能
性があることの勧奨です。
 なお、一定のケースとは、以下のようなケースをいいます。
 (1)年金加入記録に漏れの可能性があるケース
 (2)70歳まで任意加入することができ、その期間を加えると10年を満た
  すケース
 (3)後納制度を使い未納期間を解消できるケース
  *5年前までの未納期間の保険料を遡って納付することができる「5年後
   納制度」が、平成30年9月までの時限措置として実施されています。
 (4)合算対象期間(カラ期間)があるケース
  *主なカラ期間は以下のとおりです。
   ・昭和61年3月以前にサラリーマンの配偶者であった期間
   ・平成3年3月以前に、学生だった期間
   ・海外に住んでいた期間
   ・脱退手当金の支給対象となった期間、など
 (5)旧令共済組合期間があるケース
 また、「10年年金のお知らせ」通知の対象者は、約43万人です。自分の老齢年金は
受給しておらず障害・遺族で年金を受給している人にも通知される予定であり、その
人を加えると約49.3万人に通知がなされるとのことです。

 3. 請求手続き面のサポート関連
 10年年金対象者の特徴として、生活保護者や老人施設入所者などがおられる関係上、
厚生労働省から市区町村や民生委員、老人福祉施設への協力依頼がなされています。
 また、年金事務所に請求手続きに行きたくても行けない状態の方々に対して、今後、
社会保険労務士と年金事務所職員のペアで対象者の自宅まで、訪問し請求手続きのサ
ポートをするということも検討されています。
 訪問にあたっては、身分証明書の提示と名刺をお渡し、訪問の目的を口頭で説明す
るなどし、理解を得られたのちに、10年年金請求書の作成のお手伝いを行っていくと
いうサポートで、場合によっては、代筆してあげることもあると思われます

 以上が、8月1日に施行された年金の受給資格期間短縮(10年年金)にかかわる手続
き面での取り組みですが、10年年金の特徴からして、さらに新たな取り組みを行わな
いと未請求のままになる人が残されることも考えられます。これからの動向にも注目
していきたいと思います。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■NPOアクティビティー
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
出版のお知らせ―――――――――――――――――――――――――――
 ◇◆◇
 《最新版・2017年版》平成29年2月28日発売!!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2017年版
 日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 共編
 A4判・146頁・頒価1部1,000円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 確定拠出年金法と確定給付企業年金法の公布から15年が経過し、この間、
退職給付会計の導入、運用難による年金資産の積立不足、厚生年金基金の代
行返上、税制適格退職年金の廃止等を契機に、退職給付制度の再編が進行し
てきました。
 厚生年金基金や税制適格退職年金から確定給付企業年金に移行後に、国際
会計基準(IFRS)や財政運営基準の厳格化の動向をにらみ、キャッシュバラ
ンス・プランや確定拠出年金に切り換える動きも出てきています。確定拠出
年金も、2016年6月より普及の拡大に向け改正法が施行されています。さら
に、厚生年金基金改革法が2014年4月に施行され、解散や移行先制度の検討
等、企業年金の再編は第二のステップに入りつつあります。
 本書は、2004年11月に2005年版を創刊以来、本年版で13冊目になります。
本年版は、旧版のデータ等を最新のものに改訂すると共に、確定給付企業年
金に関する記述を拡大・加筆。掛金拠出の弾力化、リスク分担型DBの概要を
解説。確定拠出年金改正法の概要、厚生年金基金改革と労働組合の対応、年
金ガバナンス体制の見直し・強化、マイナス金利政策下の企業年金の運営等、
大幅に加筆しました。
 会社から制度再編提案がなされた時点で、労組員の皆様が、公的年金から
会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。そのため
には、年金制度の基本知識と制度再編に際して従業員サイドからの留意点を
組織内で共通認識することが第一歩です。そこで、本書をテキストや副読本
として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。また、加盟単組からの
ご相談があった際に、本書を参考にして対応されている産別も見受けられる
ようになりました。

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 《最新版》平成28年8月30日発売!!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第4版)
  ―2016年法改正対応― 日本労働組合総連合会
 NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク:共編
 A4判・122頁・頒価1部1,500円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 本ハンドブックは、施行15年目を迎える確定拠出年金制度が法律制定の趣
旨にそって、「公的年金と相まってサラリーマンの老後生活保障の柱」の一
翼を担える制度に仕上がっていくように、との期待をこめて、主として加入
者、労働組合の立場から課題と対応の「考え方」を示したものです。私たち
の活動の中から、これまでに経験した事例や課題・問題点を踏まえて整理を
行いました。
 第I部部は、確定拠出年金制度の概要と基礎知識を法律に沿って解説、第I
I部部は、制度のポイントである「運用」と「教育」についての考え方と提
言について述べています。
 本書は、旧版のデータを最新のものに改めにとともに、2016年の法改正に
対応し大幅に書き直し、第4版として発行するものです。
 すでに、退職給付制度の一部または全部を確定拠出年金に移行した労組の
皆様には、制度の運営改善に、これから移行が想定される皆様には、制度設
計・運営のご参考になれば幸いです。
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 書籍のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら、下記までご連絡をお願い申し上げます。
 内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 →http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm
 お問い合わせ、お申し込みは
 NPO金融年金ネットワーク事務局(
 または電話(03-5444-0539)、FAX(03-5444-0303)まで。

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●次号(第162号)は10月2日に送信の予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止/バックナンバー閲覧】
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【内容に関するご意見・ご感想】
本メールの送信アドレスは送信専用ですので、直接ご返信になることはでき
ません。ご意見・ご感想等は、下記アドレスまでお願い致します。
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