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┃       金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン

┃                    第171号  2018年7月2日
┃   NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
┃             ホームページ http://kinyunenkin.jp/
┃     フェイスブック https://www.facebook.com/kinyunenkin/
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 このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場
 から退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している
 「NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金
 ネットワーク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関す
 る情報や意見交換のスペースをご提供することを目的にしています。企
 画・編集には(株)格付投資情報センターのご協力を頂いています。
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■■ 目次 ■■
●特集レポート
 企業年金コンサルティングの現場から(154)
●NPOトピックス
 ★今からでも聞いてみよう投資の話(45)
  コーポレートガバナンスについて(1)
 ★マーケットトピックス
  世界景気はピークに近いか 貿易摩擦が大きなリスクに
 ★年金トピックス
  総合型確定給付企業年金(DB)への外部監査、19年度決算から実施
●年金相談の現場から(79)
 遺族年金の過払い問題の対応について
●NPOアクティビティー
 1. 出版のお知らせ
 ◇最新版・2018年版 平成30年2月28日発売!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2018年版
 ◇最新版 平成30年6月29日発売!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第5版)
 ―2018年法改正対応―
 2. セミナーのお知らせ
 NPO法人DC協会主催「年金・退職金総合アドバイザー取得講座」

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■特集レポート
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 企業年金コンサルティングの現場から(154)

                (株)武南企業年金事務所代表 坂井信夫
 ◇◆◇
 リスクという言葉を聞いて何を思い浮かべられるだろうか。危機とか危険
(度)といった言葉を連想される方が多いだろう。当然そこにはマイナスの
イメージが伴う。これに対して投資の世界のリスクとは、ひと言でいえばボ
ラティリティ=「ブレ幅」のことである。それは狙った通りにならない可能
性のことであり、それには「良くも悪くもない、ニュートラル」なニュアン
スが含まれている。そしてその不確実性が高いものほど高いリターンが期待
できると一般には語られる。また、運用成績について例えば「リスクを1単
位余分に取ることで、どの程度の超過リターンが獲得できたか」といった分
析を行い、効率的な運用ができているかを評価することがある。
 これらのことはDC制度に加入されている方であれば、制度導入時の投資教
育において基本の「き」として学習されたことと思う。
 筆者もiDeCoに加入された方に資産運用を講義するときは同じような理屈
を伝えているのだが、最近は少し違う意味合いのリスクも意識しながら資産
運用を語っている。
 そのきっかけは今一度「リスク」を危機として読み替えてみたことによる。
DB年金基金の運用担当者にとって、資産運用上のリスク(危機)は何かとい
えば、予定利率を上回る運用収益率を達成できないことである。何故ならそ
れは追加の掛金拠出や給付の減額という「痛み」につながりかねないことだ
からである。資産運用の委託者である母体企業や受益者としての加入者・受
給者に迷惑をかけることになる。それは制度への不信感を生み出すことにつ
ながり、年金基金の存在意義が揺らぐことになるのである。だから、このリ
スクの発生確率が明らかに高まることが予想される運用方法は、どのような
ボラティリティであるにもかかわらず選択されることはないのでは、と考え
る。
 では同じようにDC加入者にとっての資産運用上のリスク(危機)は何だろ
うか。例えば「株などの有価証券に投資してマイナスになったら嫌だけど、
預金なら利息が付かなくても確実に元本が増えるから預金にしておきます」。
こんな言葉をかつて企業型DCの加入者から聞いたことがある。この言葉をヒ
ントとすれば、DC加入者にとって最もわかりやすい最大のリスクは元本(掛
金)総額>最終時価総額(掛金総額+運用収益)ということになるだろうか。
自分が拠出した掛金総額を最終時価総額が下回るほどの損失が発生し、そこ
で年金給付となれば、それは手間・ひま・コストをかけて行った資産運用が
無意味だった、ということになる。そんな後悔は誰も感じたくないはずであ
る。もしこのような後悔の可能性が明らかに高まるような運用商品ならば、
そのボラティリティとしてのリスクがどんな水準であれ、DC加入者は誰一人
としてその運用商品を選択などしないのではないだ
 ろうか。制度加入者が運用商品の検討時に意識する「リスク」とは、運用
成果のブレというボラティリティではなく、前記のような「危機」発生確率
でとらえた方が受け入れ易い。
 絶対的な損失というリスク(危機)を確実に回避すること、値動きのブレ
幅がどの程度の商品を選択するのかということ、この2つの「リスク」を踏
まえて「資産運用戦略」を構築されている方は企業型個人型問わず、DC加入
者のうちどの程度を占めるのだろうか。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■NPOトピックス
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★今からでも聞いてみよう投資の話(45)――――――――――――――――
 コーポレートガバナンスについて(1)

          NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 コーポレートガバナンスもしくは同コード(以下、CGコード)については
2016年1月〜4月のメールマガジンで触れましたが、今後はその中でも「エン
ゲージメントを含むスチュワードシップ・コード活動方針」について見てい
きます。その背景には、金融庁が6月1日に「投資家と企業の対話ガイドライ
ン」の確定版を公表したことによります。同ガイドラインではアセットオー
ナーに関する記述は少なく、「自社の企業年金が運用の専門性を高めてアセ
ットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう、母体企業として、運
用に当たる適切な資質を持った人材の計画的な登用・配置などの人事面や運
営面における取組みを行っているか。また、そうした取組みの内容が分かり
やすく開示・説明されているか」というものでした。
 CGコードが導入されて約3年が経過し、まずこれまでの課題について見て
いくことにします。金融庁が指摘した課題のキーワードは対話、資本コスト、
取締役会、政策保有株式、アセットオーナーの5つです。順に、対話とは投
資家と企業との対話がまだ形式的である、資本コストについては企業経営者
の認識が不足している、取締役会の機能発揮が不十分である、政策保有株式
に対する企業と投資家との認識にギャップがある、というものです。最後に
アセットオーナーについてはスチュワードシップ活動への取り組みが不足し
ている、としています。こうした課題を踏まえて作成されたのが「投資家と
企業の対話ガイドライン」といえます。内容がより具体的な記述になったこ
とから、関係者からは評価されているようです。ただ、引き続き大企業を見
据えた内容とも捉えられ、中堅企業のガバナンス改革に実効性があるかどう
かは意見が分かれているようです。ガバナンス改革の検討は引き続き進めら
れるべきということなのでしょう。
 さて、同ガイドライン案が示された際、企業年金基金の母体企業の代表で
ある経団連は以下のような意見を述べていました(以下筆者要約)。フォロー
アップ会議(昨年から開催されている金融庁主催の有識者会議)では、コー
ドに関する客観的・包括的な検証を行うことが重要、かつ実効的なコーポレー
トガバナンス改革を進めるためには、投資家の意見に加え、発行体企業の声
も踏まえてほしい、としています。一方で課題については人員の不足、作業
負担の増加、コスト増のほか、合同運用(各々の企業年金資産を同一のファ
ンドで運用すること)では、個々の企業年金基金の意向が反映されにくいの
ではという懸念、運用コストが低いことが特徴のパッシブ運用にコストをか
ける必要性があるのか、などが挙げられていました。また、スチュワードシ
ップ活動については、企業のコーポレートガバナンスを実効あるものとする
観点から重要との認識の一方で、企業年金にはさまざまな規模があるので、
すべての企業年金がスチュワードシップ・コードを受け入れ、原則に規定さ
れている体制整備を行うことは難しい。今回のコード改訂には盛り込まず、
まずは運用機関によるスチュワードシップ活動をしっかりフォローしていく
ことが重要だとし、母体企業の関与が強まることで、企業年金の運用上の独
立性が損なわれないようにすべきである、としています。確定したガイドラ
インにはこうした経団連の意見が反映されましたが、一歩前進させようとす
る有識者、金融庁の思いが少し勝ったようにも見受けられました。

「投資家と企業の対話ガイドライン」は以下をご参照下さい。
 https://www.fsa.go.jp/news/30/singi/20180601/01.pdf
 ◆◇◆

★マーケットトピックス―――――――――――――――――――――――
 世界景気はピークに近いか 貿易摩擦が大きなリスクに

                 NPO金融年金ネットワーク
                 DCアドバイザー・CFP   宮本一弘
 ◇◆◇
 6月12・13日、米FOMC(連邦公開市場委員会)は、FF金利の誘導目標のレ
ンジを0.25%引き上げ、1.75〜2.00%にすることを決定しました。声明文で
は、「労働市場は引き続き力強さを増し、経済活動は着実なペースで拡大し
ている」、「雇用の伸びはここ数ヵ月均してみると力強く、失業率は低下し
てきた」、「家計支出の伸びが加速し、企業の設備投資は力強い伸びが続い
ている」、「前年比ベースでは、全般的なインフレ率及び食品とエネルギー
以外の項目のインフレ率は双方とも2%に近付いた。中長期的なインフレ期
待の指標は均してみると殆ど変っていない」、「経済見通しへのリスクは大
よそ均衡している」としています。
 0.25%の利上げそのものは、市場予想通りでしたが、FOMCメンバーの金利
予想のドット・プロットによると、メンバーのうち8名が今年通年の利上げ
回数を4回と予想し、前回予想よりも増えていることが判明しました。利上
げのペースが若干加速していることに一部の市場関係者を驚かせ、S&P500株
価指数は前日比0.4%安で終了。米10年債利回りも売られ0.01%上昇して2.97
%で終了しました。
 FRBのパウエル議長は記者会見を行い、金融政策の積極的な引き締めによ
って「景気拡大の勢いを削ぐつもりはない。今後も緩やかな政策アプローチ
が正しい様だ」、「何時になるかはっきりしないものの、減税の誘因により
投資が拡大し、生産性向上につながる可能性がある」と投資家の懸念解消に
努めています。今回の四半期予測では、2019年末の政策金利は3.1%、20年
は3.4%になっています。
 4〜6月期のGDPは、年率4%へ乗るとの予想もあり、景気は依然好調のよう
です。但し、実態は必ずしも手放しで喜べる状況ではないと言えます。失業
率は3.8%へ大きく下がりましたが賃金上昇は経済のグローバル化や情報技
術革命(IT・デジタル化)等の構造的要因によって基本的には抑制されたま
まであり、3・4月とPCE価格指数(総合)はFRBの目標である2.0%に到達し
ましたが、昨年春の携帯電話料金の引き下げの影響が統計上消えてマイナス
要因ではなくなったことや原油価格の上昇によるものなので持続性を伴った
物価目標の達成とは言い難いとの見方もあります。
 景気の先行きの指標になる長期金利の上昇が鈍く、米2年債と10年債のイー
ルドスプレッドが縮まっていて(長短金利が逆転する「逆イールド」は景気
後退の前兆とされる)、市場関係者の心理が不安定化して株価の急落や金融
市場に動揺が引き起こされるリスクが大きくなるので注意が必要との見方も
出ています。米住宅市場の大宗を占める中古住宅販売も販売在庫の不足、価
格高騰、住宅ローン金利の上昇等で、4月5月と2ヵ月連続で減少しています。
製造業も受注残の増加や原油・金属材料など投入物価格の上昇から景気上昇
にブレーキがかかりつつあります。
 さらに景気の先行きに現実の懸念材料になってきたのが、トランプ政権が
仕掛ける貿易戦争です。既に、輸入関税を課した鉄鋼やカナダ産の木材価格
が急上昇して住宅の新規許可件数も減少に転じています。独・ダイムラーは、
米国工場で生産して中国へ輸出している完成車への関税の影響を織り込んで
業績見通しの下方修正に踏み切りました。
 6月20日、ECBがポルトガルのシントラで開催した「年次フォーラム」で、
日米欧等の中銀トップによるパネル討論があり、米FRBのパウエル議長は「通
商政策の変更によって、見通しに疑問が生じる可能性がある」、米国内外の
企業と広く意見交換を行う中で「企業側が貿易をめぐる動向について、ます
ます多くの懸念を示している」、「投資や採用を延期する決定や意思決定を
遅らせるとの情報を初めて耳にしている」、「また、こうした景況感の悪化
は見通しには反映されていない」と明らかにしました。ECBのドラギ総裁も
「貿易戦争の金融政策への影響を見極めることは容易ではなく、その時期に
も至っていない。だが、楽観的となる根拠も存在しない」と、貿易戦争は信
頼感の低下や投資の減少、輸出の落ち込み等を通して経済に影響する可能性
があり、報復合戦により悪化しかねないと指摘しました。
 さてデフレ脱却を目指す日本ですが、6月22日発表の5月の全国消費者物価
指数は、生鮮食品を除くコア物価指数は前月と同じ0.7%、物価の基調を示
す生鮮食品とエネルギーを除くコアコア指数は0.3%と2ヵ月連続で鈍化しま
した。上がらぬ物価に対し日銀は説明が必要との声も上がっています。
 ただ、ここへきて、貿易戦争の企業業績への影響、懸念が大きくなってき
ました。18年3月期は多くの企業が過去最高益の決算になりました。19年3月
期も増収増益の見通しです。しかし関税の報復合戦はグローバル化した経済
体制にはマイナスに働きます。事業活動の拠点や仕向け先によって企業ごと
に受ける直接の影響は異なりますが、経済活動全体がシュリンクする危険が
指摘されています。
 米S&P500株価指数は1月26日の最高値2,872.87から6月27日現在約5.6%下
落しています。日本も日経平均が22,000円台で一進一退の状態ですが肝心の
19年3月期の業績見通しが付きにくい現状では慎重に対処する必要があるで
しょう。
                      (平成30年6月27日 記)
 ◆◇◆

★年金トピックス――――――――――――――――――――――――――
 総合型確定給付企業年金(DB)への外部監査、19年度決算から実施

        NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士
        DCアドバイザー・ファイナンシャルプランナー
                             植村昌機
 ◇◆◇
 人的・資本関係のない企業が集まる「総合型」確定給付企業年金(DB)に
適用する外部監査の概要が明らかになった。社会保障審議会企業年金部会で
は、企業年金のガバナンスをテーマに検討すべき事項として(1)組織・行為
準則(2)執行状況の監査等(3)資産運用ルール(4)加入者への情報開示の4点が
提示された。検討の結果、(3)は、2018年4月、(4)は、2017年1月から施行さ
れている(詳しくは当NPO発行の「労働組合のための退職金・企業年金ハン
ドブック2018年版・118頁を参照ください)。
 監査については、単独事業主およびグループ企業で設立されている単独型・
連合型DBでは義務付ける必要性はないとされた一方、総合型DBでは各事業主
がDB基金全体の会計の正確性を把握することが困難なため、外部の専門家に
よる会計監査の実施は効果があるとされる。導入に際しては、効果がコスト
に見合っているかを考慮しつつ検討することとされていたが、このたびその
概要が明らかになった。
 厚生労働省は、総合型DBに対する外部監査は「合意された手続き業務(AU
P:Agreed Upon Procedures)として実施する。公認会計士に最低限チェック
してもらうポイントとして、業務経理、掛金、資産運用、給付、残高確認の
5分野、14項目にわたり提示した。2019年度決算から実施する。

 1. AUP(合意された手続き業務)の概要
 (1)AUPとは
 実施者(公認会計士または監査法人)と依頼者の間で確認事項や調査手続
き等について事前に合意するとともに、当該合意に基づいた手続き結果を公
認会計士等が依頼者に報告する業務をいう。AUPでは、通常の会計監査とは
異なり、監査人が財務情報の適正性について「適正」あるいは「妥当」とい
った主観的な意見を表明するものではなく、事前に合意した確認内容につい
て客観的に判断できる事項を「確認」するものである。

 (2)AUPの対象となるDB基金
 貸借対照表(年金経理)の資産総額が20億円超の総合型DB基金を対象とし
ている。(20億円をこえた決算の翌々年度決算から実施)なお、単独型・連
合型のDB基金、資産総額20億円以下の総合型DBでは、AUPの実施は任意とさ
れているが、専門家の支援をうけることが望ましいとしている。

 (3)AUPの実施者
 公認会計士か監査法人での実施を想定している。ただ、「公認会計士等と
同等水準以上で業務を遂行できる」場合は、公認会計士以外でも実施できる。
同等水準の条件を「金融商品取引法に基づく財務諸表の監査などの実務経験
があること」としている。ただし、AUPの対象となる総合型DBの基金の理事・
職員は対象外とされている。

 (4)AUPの対象範囲
 実施に係る具体的手続きは、AUP実施者と依頼者が個々の契約で定めるこ
とになるが、最低限実施すべきチェックポイントが改正通知で規定される。
 厚生労働省は、公認会計士協会と検討して、合計で36に上る「最低限チェ
ックすべきポイント」をまとめた。対象を「事務運営に関わる業務経理関係」、
「掛金関係」、「運用資産関係」、「給付関係」のほか、4分野すべてに共
通の「残高確認」に分類している。
 36のチェックポイントは、「毎期手続き」と「重点領域」とに分類されて
いる。「毎期手続き」は、毎事業年度で必ずチェックを受けるポイントで15
ある。「重点領域」は、21あり各事業年度でチェックする項目を変える。

 (5) AUPにかかる費用
 64万円から87万円程度と公認会計士協会が試算をしている。業務経理から
支出するものとして、年金経理に剰余がある場合に限って、業務経理への繰
り入れを認める。

 2. AUPの導入スケジュールと今後の方向性
 19年度決算では「毎期手続き」のみ実施し、「重点領域」は2種類に分類
し、20年度決算では「掛金関係」の11、21年度決算では「業務経理関係」と
「給付関係」のそれぞれ5つをチェックする。「重点領域」は、この2グルー
プを2年ごとにローテーションする。将来的にはすべての項目を毎事業年度
チェックする予定である。
 厚生労働省は、AUPを「監事監査を補完するもの」と位置づけている。ガ
バナンスのチェックは内部の監事による監査が基本としている。また、「AU
Pが最終目的ではない。実施状況を見据え、将来的には会計監査を検討した
い」としている。
 ◆◇◆

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┃ ■年金相談の現場から(79)
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 遺族年金の過払い問題の対応について

   NPO金融年金ネットワーク 1級FP技能士・社会保険労務士 小野隆璽
 ◇◆◇
 年金関連においては、この1年間において、扶養親族等申告書や源泉徴収
票の問題、振替加算の加算モレ問題など、いろいろと問題が発生しました。
そして、その中の1つとして「遺族年金の過払い」という問題もありました。
 これは、会計検査院の平成29年度会計実地検査により指摘された問題であ
り、以下の指摘がなされ、約18億円の過払いがあったとのことでした。

・遺族年金の失権事由に該当しているにもかかわらず、遺族年金失権届を提
出せず遺族年金の過払いがあったもの
・遺族年金失権届の提出遅延により、遺族年金の過払いがあったもの
・遺族年金失権届に記入された失権年月日が、失権事由の事実発生日と相違
しており、遺族年金の過払いがあったもの

 そこで、遺族年金の失権時の取扱いと主な対応策について、以下に説明さ
せていただきます。

 1. 遺族年金の失権(消滅)の事由と届出
 遺族年金及び寡婦年金の失権(消滅)事由に該当する場合のうち、年齢事
由や死亡そのもの以外については、次のとおりとされています。そして、そ
の事由に該当したときは、「遺族年金失権届」を提出しなければなりません。

 【失権(消滅)事由】
 ●婚姻したとき(届出をしていないが、事実上の婚姻関係と同様の事情に
  ある場合を含む)
 ●養子となったとき(届出をしていないが、事実上の養子縁組関係と同様
  の事情にある場合を含む、ただし直系血族または直系姻族の養子となっ
  た場合は除く)
 ●離縁によって死亡者との親族関係がなくなったとき
   *なお、復籍(夫の死亡後、旧姓に氏名を戻す)の場合は失権(消滅)
    しません。

 【遺族年金失権届の提出期限】
  ●遺族基礎年金:14日以内
  ●寡婦年金  :速やかに
  ●遺族厚生年金:10日以内

 2. 主な対応策
 (1)住民基本台帳による氏名情報の突合・確認
 住民基本台帳による氏名情報から、定期的に遺族年金受給者に係る氏名情
報を突合し確認される。

 (2)遺族年金失権届又は氏名変更理由届の提出の勧奨
 氏名変更理由届を新たに設け、氏名情報の突合の結果、不一致となった遺
族年金受給者については、遺族年金失権届又は氏名変更理由届の提出の勧奨
がなされる。
 また、氏名変更理由届には、氏名の変更の理由を明らかにする書類として、
戸籍謄本等の添付が求められる。

 (3)適切な債権回収の徹底
 過去に遺族年金受給権者から遺族年金失権届の提出があっても、新たに返
納金債権が発生する場合も同様の取扱いとされる。

 (4)遺族年金の制度及び届出・手続きの更なる周知
 年金証書送付の際に同封の「届出・手続きの手引き」において、遺族年金
失権届の提出期限の明記がなされる。また、年金額改定通知書の送付の際に
も、パンフレットが同封される。

 (5)遺族年金失権届に記入された失権年月日の確認
 遺族年金受給者から遺族年金失権届の提出があった場合、適正な失権年月
日の届出が行われているか確認される。

 以上が遺族年金失権の事由と届出や主な対応策についてです。特に、婚姻
届を出さず、事実上の婚姻関係と同様の事情にある場合が難しく、どこまで
その要件に該当するかとなるとケースバイケースと言わざるを得ません。
 ◆◇◆

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┃ ■NPOアクティビティー
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1. 出版のお知らせ ―――――――――――――――――――――――――
 ◇◆◇
 《最新版・2018年版》 平成30年2月28日発売!!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2018年版
 日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 共編
 A4判・140頁・頒価1部1,000円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 確定拠出年金法と確定給付企業年金法の公布から16年が経過し、この間、
退職給付会計の導入、運用難による年金資産の積立不足、厚生年金基金の代
行返上、税制適格退職年金の廃止等を契機に、退職給付制度の再編が進行し
てきました。
 厚生年金基金や税制適格退職年金から確定給付企業年金に移行後に、国際
会計基準(IFRS)や財政運営基準の厳格化の動向をにらみ、キャッシュバラ
ンス・プランや確定拠出年金に切り換える動きも出てきています。確定拠出
年金も、2016年6月より普及の拡大に向け改正法が施行されています。さら
に、厚生年金基金改革法が2014年4月に施行され、解散や移行先制度の検討
等、企業年金の再編は第二のステップに入りつつあります。
 本書は、2004年11月に2005年版を創刊以来、本年版で14冊目になります。
本年版は、旧版のデータ等を最新のものに改訂すると共に、確定給付企業年
金に関する記述を拡大・加筆。掛金拠出の弾力化、リスク分担型企業年金の
概要を解説。確定拠出年金改正法の概要、年金ガバナンス体制の見直し・強
化等、大幅に加筆しました。
 会社から制度再編提案がなされた時点で、労組員の皆様が、公的年金から
会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。そのため
には、年金制度の基本知識と制度再編に際して従業員サイドからの留意点を
組織内で共通認識することが第一歩です。そこで、本書をテキストや副読本
として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。また、加盟単組からの
ご相談があった際に、本書を参考にして対応されている産別も見受けられる
ようになりました。

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 《最新版》平成30年6月29日発売!!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第5版)
 ―2018年法改正対応― 日本労働組合総連合会
 NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク:共編
 A4判・112頁・頒価1部1,500円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 本ハンドブックは、施行16年目を経過した確定拠出年金制度が法律制定の
趣旨にそって、「公的年金と相まってサラリーマンの老後生活保障の柱」の
一翼を担える制度に仕上がっていくように、との期待をこめて、主として加
入者、労働組合の立場から課題と対応の「考え方」を示したものです。私た
ちの活動の中から、これまでに経験した事例や課題・問題点を踏まえて整理
を行いました。
 第I部部は、確定拠出年金制度の概要と基礎知識を法律に沿って解説、第
II部部は、制度のポイントである「運用」と「教育」についての考え方と提
言について述べています。
 本書は、旧版のデータを最新のものに改めにとともに、2018年の法改正に
対応し大幅に書き直し、第5版として発行するものです。
 すでに、退職給付制度の一部または全部を確定拠出年金に移行した労組の
皆様には、制度の運営改善に、これから移行が想定される皆様には、制度設
計・運営のご参考になれば幸いです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 書籍のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら、下記までご連絡をお願い申し上げます。
 内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 →http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm
 お問い合わせ、お申し込みは
 NPO金融年金ネットワーク事務局(
 または電話(03-5444-0539)、FAX(03-5444-0303)まで。
2. セミナーのお知らせ ―――――――――――――――――――――――
 NPO法人DC協会主催「年金・退職金総合アドバイザー取得講座」

 年金制度全般にわたる基本的な知識が身に付きます。労働組合、企業、年
金基金などで年金業務に係る方々の受講をお勧めします。当NPOが講師を務
めます。

 ●「確定拠出年金の制度設計と運用、教育に係る法制度」7月4日
 ●「確定拠出年金における運用と教育の考え方」7月11日

 いずれも18時30分から2時間。会場は御茶ノ水「中央大学駿河台記念館」
 お申込み、お問い合わせはDC協会、
   電話 03-3222-6113
   メール master@nenkinnet.org

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●次号(第172号)は8月1日に送信の予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止/バックナンバー閲覧】
 → http://kinyunenkin.jp/08mailmaga.htm
【内容に関するご意見・ご感想】
本メールの送信アドレスは送信専用ですので、直接ご返信になることはでき
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