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┃       金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン

┃                    第172号  2018年8月1日
┃   NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
┃             ホームページ http://kinyunenkin.jp/
┃     フェイスブック https://www.facebook.com/kinyunenkin/
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 このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場
 から退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している
 「NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金
 ネットワーク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関す
 る情報や意見交換のスペースをご提供することを目的にしています。企
 画・編集には(株)格付投資情報センターのご協力を頂いています。
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■■ 目次 ■■
●特集レポート
 企業年金コンサルティングの現場から(155)
●NPOトピックス
 ★今からでも聞いてみよう投資の話(46)
  コーポレートガバナンスについて(2)〜統合報告書〜
 ★マーケットトピックス
  足元は絶好調も中期的には警戒感が、自動車関税が最大の懸念に
 ★年金トピックス
  確定拠出年金の運営管理機関に対する評価基準まとまる
●年金相談の現場から(80)
 10年年金における特殊相談事例について
●NPOアクティビティー
 出版のお知らせ
 ◇《最新版・2018年版》 平成30年2月28日発売!!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2018年版
 ◇《最新版》平成30年6月29日発売!!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第5版)
 ―2018年法改正対応―

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■特集レポート
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 企業年金コンサルティングの現場から(155)

                (株)武南企業年金事務所代表 坂井信夫
 ◇◆◇
 年金積立金管理運用独立法人(GPIF)の2017年度の運用結果があきらかに
なった。それによると、昨年度の運用成績は6.90%で、金額に換算すると10
兆810億円の収益額とのこと。これによって運用総額は156兆3822億円になっ
た。国内株式が15.66%、外国株式が10.15%の上昇であったことが大きく寄
与したようである。
 今回の発表で感じたことは、足元の結果よりも長期の運用成果を大きくア
ピールしていることだろう。昨年度がどうであったかよりも、昨年度を含め
た2001年度以降の累積結果がどうなっているかをまず前面に押し出している。
そして過去17年間の年平均収益率が3.12%であり、期間を通じた累積収益額
は63.4兆円に達している。そしてもちろんこれは期間中最大の累積収益額で
ある。
 17年間の推移をみると順風だったとはいえない。2001年度、2002年度はIT
バブルがはじけた余波が残っていたことなどから、年間収益はそれぞれ1.80
%と5.36%のマイナスであった。2001年度を起点とすれば、累積収益額はマ
イナスからのスタートとなったわけである。その後17兆円ほど積み上がるが、
2007・2008年度のサブプライムショックやリーマンショックによる「暴落」
で約15兆円が吹き飛んだ。これを逆に考えると、リーマンショック後に60兆
円が積み上がったということになる。このように単年度の成果に一喜一憂せ
ず、好調な時に悪乗りせず、厳しいときはぐっと堪えて、一定のポートフォ
リオを維持するのが長期投資の神髄と言えるものであろう。もしリーマンシ
ョック時に株式運用から撤退していたら、この60兆円は存在しなかったわけ
である。
 現在の公的年金を支える財源は私たちの納める保険料だけではない。それ
以外に税を原資とする国庫負担と今回の積立金による配当があげられる。ま
た、年金の支給額はこれらの「財源」の動向により調整される、というのが
現在の財政運営の仕組みである。現役世代が納める保険料は、保険料率が固
定されているが、給与が増えれば保険料収入も増額となり年金額にもプラス
に影響する。積立金の運用が想定より好調であればこれも年金額にプラスに
寄与する。
 世の中が好景気に沸き、企業業績が好調であれば給与も伸びることであろ
う。GPIFの資産運用では、その是非はさておき、現在その約半分が内外株式
に投資されている。これらはつまり、この国の経済成長がわが国の公的年金
の将来像に大きな影響を与えるということである。株式運用に縁のないサラ
リーマンでも株式相場の影響を間接的に受けるということでもある。経済成
長の動向が将来の年金額に影響を与えるという「確定拠出年金」的な構造を
抱えているという点は認識して、GPIFの記事は読みたいところである。
 それにつけても、株式相場が大きく下落して一時的に運用収益がマイナス
になった時に大騒ぎするメディアは、今回の結果についてとても静かなこと
である。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■NPOトピックス
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★今からでも聞いてみよう投資の話(46)――――――――――――――――
 コーポレートガバナンスについて(2)〜統合報告書〜

          NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 「投資家と企業の対話ガイドライン」に沿って実際に行動を起こすために、
投資家は何をすればよいのでしょうか。また、企業はどのような対応をとら
なければならないのでしょうか。そこで一つの手段である統合報告書につい
て見ていきます。統合報告書は企業が企業の実態を利害関係者(ステークホ
ルダー)に知ってもらうための情報誌ですが、統合報告書にまで至らなくて
も企業は様々な情報を提供しています。

 企業は金融商品取引法で開示が義務づけられた有価証券報告書、証券取引
所の自主規制開示の決算短信、会社法により義務づけられた株主総会の招集
通知に加え、ここ数年コーポレートガバナンス報告書の開示を進めています。
同報告書は証券取引所の適時開示制度により、開示が義務づけられましたが、
これに対してアニュアルレポート、企業の社会的責任(CSR)レポート、会
社案内などは自主開示となっています。

 これらの報告書を別の角度、すなわち財務情報と非財務情報との観点、か
ら分けるとコーポレートガバナンス報告書やCSRレポート、会社案内は非財
務情報といわれます。それら以外を財務情報と大まかに分けることができま
す。非財務情報とは貸借対照表や損益計算書などの財務情報以外の情報をい
い、経営方針や環境対策、社会貢献、会社を取り巻くリスクなどが挙げられ
ます。つまり投資家は企業への投資を考えるうえで、財務情報は重要な定量
的判断基準を示してくれるが、それだけでは企業の全体像がつかめないため、
非財務情報も収集する努力をしています。なお、最近ESG投資への関心が高
まりつつありますが、同投資への判断基準に非財務情報も活用しようという
ものです。

 統合報告書は投資家と企業とのコミュニケ―ションのための材料としては
コンパクトにまとまっており、議論への話題提供として広く利用されていま
す。現在の統合報告書はアニュアルレポートとCSRレポート、会社案内のす
べてか、もしくはいずれかの組み合わせで作成されることが多いようです。
ただ、これだけでは十分ではないため、企業は投資家を含めた利害関係者(ス
テークホルダー)との対話(エンゲージメント)を深めるべく努力し始めて
います。一方でスチュワードシップ・コードを受け入れた投資家は、中長期
的に企業価値を創造するために、企業との対話が求められています。双方が
対話を通じて理解し合う仕組みが作られたことになります。

 統合報告書を発行している日本企業は2017年末で400社を超えたようです。
世界で約1,600社といわれている中では健闘しているのかもしれません。し
かし、統合報告書の作成は企業としても負担が大きく、任意でもありますが、
中長期の価値創造に有益な情報が示されている統合報告書は投資家のニーズ
に応え得るものでもあり、今後も発行企業が増えること、内容もさらに改善
していくことが期待されています。次回は非財務情報が活用されるようにな
った歴史的背景を見ていきます。
 ◆◇◆

★マーケットトピックス―――――――――――――――――――――――
 足元は絶好調も中期的には警戒感が、自動車関税が最大の懸念に

                 NPO金融年金ネットワーク
                 DCアドバイザー・CFP   宮本一弘
 ◇◆◇
 今年秋の中間選挙に何としても勝利したいトランプ政権は、自身の支持基
盤となっている所謂、“取り残された人々”の支持を繋ぎ止めるために、極
端な移民政策、自由貿易協定の見直し、EUとの対立(米国と価値観を共有出
来る最も大事なG7首脳との軋轢)も辞さない「米国第一主義」の主張、に加
えて、通商政策では、2月に通商法201条によるセーフガード発動、3月には
通商法301条による対中制裁措置の発動を決定しました。
 自由貿易、国際分業のメリットを最も受けている米国なので最初は交渉を
有利に進めるための“ブラフ”で、落ち着くところへ落ち着くと見られてい
ましたが、3月23日、鉄鋼(25%)・アルミ(10%)の関税実施に踏み切り
ました。
 対中制裁措置では7月6日から340億ドル(25%)の輸入関税賦課を実施、7
月末には160億ドルの追加引き上げも予定されています。6日には中国も340
億ドルの報復関税を実施しました。その結果、米国は11日に、2000億ドル
(10%)の追加関税を発表、USTR(米通商代表部)が品目を公表、更に中国
が報復関税の姿勢を変えないならば3000億ドルの追加関税を示唆しています。
合計では5500億ドルの規模になります。2017年の中国の対米輸出金額は5050
億ドルですから、ほぼ全品目・数量に課税されることになります。一方、米
国の対中輸出金額は1304億ドル。相互に関税をかけ合えば中国が先に“手札”
を失うことになり、中国は、各種の「非関税障壁」で対抗すると見られてい
ます。現在のところ、人民元が年初来6%程度元安に振れていて凌いでいる
ようですが、2015年に起きた“チャイナ・ショック”の経験から、人民元安
は国内からの資本流出につながるとして中国は避けてきた政策です。
 トランプ政権の政策の多くは、知識層、エスタブリッシュメント層からは
批判が続いていますが、世論調査では従来の37%程度の支持率が最近は43%
程度に上昇していて支持を得ているとして、少なくとも中間選挙まではこの
状況が継続すると覚悟しておく必要がありそうです。
 足元の米国経済は依然好調を続けています。7月18日、FRBが公表した「地
区連銀経済報告」では、米経済は「引き続き拡大した」との総括判断が示さ
れています。雇用は引き続き「緩やかに拡大」、全地区が「労働市場は逼迫
している」と報告。「人手不足は広範囲の職業に及び、企業は労働時間の増
加、地元教育機関との連携、一時雇用の常傭への切り替えなどで人員確保に
努めている」と報告されています。ただこうした状況にもかかわらず賃金上
昇は「依然緩やか」です。物価は、「全般的に緩やかに上昇した。燃料、建
設資材、輸送、金属は一段と値上がりし、特に関税により金属と木材の価格
が上昇した」と報告。特に、「全地区の製造業者が関税への懸念を表明した」
と貿易問題が各地の懸念材料であることが浮き彫りになりました。
 鉄鋼・アルミの報復関税に踏み切ったEUは、対象をハーレーのオートバイ、
バーボン・ウィスキー、ジーンズ、大豆等の農産物等、米国の特徴のある商
品を対象にしましたが、これ等の生産地は共和党有力議員の選挙地盤とも重
なり、与党共和党内からも批判の声が大きくなっています。米企業の業績見
通しにも影を落とし始め、25日、GMは、4〜6月期の業績が鉄鋼・アルミの値
上がりなどのコスト増で、営業利益が11億4200万ドルと前年同期比で半減、
通期見通しも下方修正しました。GEは4億ドルのコスト増とコメントしてい
ます。
 ロス商務長官は、かねて「焦点は、対中と自動車」と発言しています。日
本は、米国の対外貿易赤字の大きさで国別第3位ですが。その赤字の80%を
自動車と自動車部品が占めていて、どのような形で影響が及ぶか懸念されま
す。
 トランプ政権は、自動車の輸入関税を現在の2.5%から25%に引き上げる
ことを検討しています。これにより日本からの完成車輸入は20万台程減少。
日本のGDPを0.1%程度押し下げ、自動車セクターの経常利益に及ぼす影響は
経常利益で1200億円程度と意外に少ないとの試算もありますが、貿易戦争の
本当のリスクは、企業の投資意欲が減退して、経済が縮小方向へ向かうこと
とされています。
 折から、企業の4〜6月期の決算が順次発表されます。これまでのところ、
為替が企業の想定レート100円から107円(最大値は105円)に対し、111円〜
112円程度と円安に振れていて差益が発生する状況で堅調の見通しですが、
中国景気の変調は、中国への資源輸出依存度の高い新興国への影響も大きく、
中国・新興国への依存度の高い企業へは直接の影響が及ぶとして、先行き見
通しは慎重になるでしょう。
 7月26日、EUのユンケル委員長とトランプ大統領が会談、「貿易協議を進
めている間は、新たな関税を導入しない」と言わば、“一時休戦”を宣言し
ました。今後、米国内の動向がどのように展開し、政策の見直し、修正につ
ながるか注目されます。
                      (平成30年7月26日 記)
 ◆◇◆

★年金トピックス――――――――――――――――――――――――――
 確定拠出年金の運営管理機関に対する評価基準まとまる

        NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士
        DCアドバイザー・ファイナンシャルプランナー
                             植村昌機
 ◇◆◇
 2016年に成立した確定拠出年金法改正の第7条第4項において、運営管理機
関同士の競争を促し加入者等の利益を確保するため、運営管理業務を委託す
る事業主は、委託する運営管理機関を5年ごとに評価し、必要がある場合に
はこれを変更することが努力義務とされた。業務内容の点検を通じて運営管
理機関との対話を深め、制度を改善していくのが法改正の趣旨である。運営
管理機関が自らの所属する金融グループの利益を優先して商品を選定するこ
とのないよう監視するためでもある。5月1日より施行されている。
 法改正を受けて、法令解釈通知も改正されている。具体的には、事業主の
行為準則、運営管理機関の行為準則が大幅に加筆されたうえに、事業主によ
る運営管理機関の定期的な評価の考え方と具体的な評価項目が新たに追加さ
れた。

 1. 事業主の行為準則
 事業主は、加入者等の利益の観点から運営管理機関を選定する忠実義務を
負うが、特に運用関連業務が加入者等の利益の観点から適切に行われている
かを確認するよう努める必要がある。具体的には、以下の事項について運営
管理機関から合理的な説明を受けているかが問われる。

 (1)提示された商品のすべて又は多くが一の金融グループに属する商品提
供機関や運用会社のものであった場合、それが加入者等の利益を考慮したも
のであるか。
 (2)同種の運用商品より運用成績や手数料が劣っている場合、それが加入
者等の利益を考慮したものであるか。
 (3)事業主からの商品の追加や除外の依頼を拒否する場合、それが加入者
等の利益を考慮したものであるか。

 2. 事業主による運営管理機関の定期的な評価
 事業主は、少なくとも5年毎に運営管理機関の業務について検討を加え、
必要があるときは運営管理機関の変更その他の必要な措置を講ずるように努
力しなければならない。評価項目や手法は、企業によって異なると考えられ
るが下記の事項について報告を受け、業務の遂行状況について評価を行い、
その結果を加入者等に対して開示する。

 (1)運用商品が加入者利益の観点から適切かどうか
 (2)運営管理機関による運用商品のモニタリングの内容(商品や運用会社
   の評価基準も含む)、またその報告があったか
 (3)加入者等への分かりやすい情報提供(コールセンター、WEBの充実度、
   手数料水準、投資教育、運用商品の豊富さ等)

 また、運営管理機関の運営体制、人材、財産状況なども評価項目とするこ
とが考えられるとしている。将来にわたり確定拠出年金をメインビジネスと
してコミットしていく姿勢を持っているかを問うている。

 3. どんな事業主が運営管理機関の評価をしなければならないのか
 従業員100人未満の事業主では、引き受けてくれる運営管理機関を探すこ
と自体が困難であり現実的ではない。また、総合型確定拠出年金では、代表
事業主のみが運営管理機関と接するので、他の事業主は評価の主体となり得
ない。
 運営管理機関の評価は努力義務であるから、各事業主が置かれた状況下で
最善を尽くすべきであろう。

 4. エージェンシー問題と企業年金における情報格差
 年金運用において、運営管理機関は自らが属する金融グループの利益を優
先して商品を選定してしまうという典型的なエージェンシー(代理人)問題
が存在する。この問題を防ぐためには、運営管理機関の行動を監視する制度
や組織が必要である。今回の改正で果たして解決されるのか。一定の効果は
期待できるが、企業年金運営者と運営管理機関の情報格差は厳然としてあり、
都合の良い情報のみ開示されるリスクがある。運営管理機関の評価に際して
は、客観的な第三者の意見を聴取することが確実な方法である。
 企業年金運営者が運営管理機関を監視するには相当のコストがかかる。こ
れらのコストを削減しつつ効果的な監視を行うことが、企業年金運営者の重
要な責務の一つである。

 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■年金相談の現場から(80)
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 10年年金における特殊相談事例について

   NPO金融年金ネットワーク 1級FP技能士・社会保険労務士 小野隆璽
 ◇◆◇
 年金受給資格期間25年から10年への短縮が平成29年8月1日に施行され、す
でに10年以上の受給資格期間を満たしている方々の年金請求手続きは落ち着
きました。
 現在は、施行日(平成29年8月1日)に支給開始年齢に達している方々に対
して、未統合記録や合算対象期間を確認することで施行日に受給要件を満た
すことができる可能性があることを記載された「年金加入期間の確認のお知
らせ(案内)」が、平成29年12月から平成30年6月にかけて順次送付され、
このお知らせを持参して相談に来られる方があります。
 そして、このお知らせを持参し相談される方の中には、法施行日前の受給
資格期間25年(生年月日に応じた受給要件の期間短縮の特例に該当する場合
は、当該特例の期間)を満たすことが確認でき法施行日前に受給権発生が遡
及するケース、合算対象期間(以下「カラ期間」と言う。)等により10年を
満たすケース、受給要件を満たさないことを確認したケースなど、これまで
とは異なるいろいろな相談事例が発生しています。
 特に、年金記録漏れやカラ期間等の確認を行い、年金受給権発生が判明し
た場合は、それぞれに応じた必要書類の添付が必要とされるなど、手続き上
はそれらを揃えるために時間もかかることがあります。
 また、受給資格期間が10年に満たないことが明確になった場合には、必要
に応じて今後の年金加入勧奨(厚生年金保険の加入や国民年金の任意加入)
や後納制度の説明等も行います。
 そこで、以下に特殊相談事例を紹介します。

 ●相談事例1【 25年年金の受給権発生事例 】
 10年年金は、旧法の老齢給付も対象となります。このため、以下のような
相談事例も発生しています。
 大正11年5月生まれの女性が、息子さんとご一緒に来られました。
 「現在、夫の遺族厚生年金(新法)を受給しているが、自分の年金は貰っ
ていない。受給資格期間が10年で年金を貰えるようになることを聞いたので、
自分の年金はもらえるのかどうか」という相談でした。
 年金加入記録を確認してみると国民年金に28ヵ月納付した記録しかありま
せんでした。当然10年年金請求書も送付されてはいません。そこで亡夫のカ
ラ期間を確認すると、190ヵ月あり、合計すると218ヵ月となりました。
 実は、旧法の老齢給付においては、25年年金の期間短縮措置という制度が
あり、この女性の場合、25年年金の期間短縮措置の17年(204ヵ月)を満た
していることが確認できました。そして、結果的には、10年年金ではなく、
25年年金の通算老齢年金(国民年金)の受給権が発生しました。
 これにより、亡夫の遺族厚生年金(新法)と自分の通算老齢年金(国民年
金)が併給されることになります。また、このケースでは、本来この女性は
60歳から支給されるはずの年金でしたので、5年の時効により5年間遡及して
支給されることになりました。

 ●相談事例2【 10年年金の受給権発生事例 】
 昭和28年6月生まれの女性が相談に来られました。年金加入記録を確認す
ると、昭和58年から厚生年金保険に38ヵ月加入の記録のみでした。
 この女性の場合、昭和48年6月が20歳、平成25年6月に60歳、平成30年6月
に65歳になられます。夫は自営業で、年金は未加入の状態です。
 そこで、もう少しいろいろなことを確認していくと、外国籍だが日本で生
まれたとのことでした。そこで、特別永住者証明書を持参されているかどう
か確認すると持参されていました。
 実は、永住許可を受けた外国籍の人は、外国籍であるために国民年金の適
用が除外されていた在日期間(昭和36年4月〜昭和56年12月の間で、20歳以
上60歳未満の期間)はカラ期間とされます。
 その結果、141ヵ月(昭和48年6月〜昭和56年12月までのカラ期間:103ヵ
月+厚生年金加入期間:38ヵ月)あることが確認でき、平成29年8月1日に受
給権が発生することになりました。
 なお、年金額としては厚生年金保険期間38ヵ月に応じた金額のため、多く
はありませんが、小遣い程度は貰えるということで、喜んで帰られました。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■NPOアクティビティー
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
出版のお知らせ―――――――――――――――――――――――――――
 ◇◆◇
 《最新版・2018年版》 平成30年2月28日発売!!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2018年版
 日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 共編
 A4判・140頁・頒価1部1,000円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 確定拠出年金法と確定給付企業年金法の公布から16年が経過し、この間、
退職給付会計の導入、運用難による年金資産の積立不足、厚生年金基金の代
行返上、税制適格退職年金の廃止等を契機に、退職給付制度の再編が進行し
てきました。
 厚生年金基金や税制適格退職年金から確定給付企業年金に移行後に、国際
会計基準(IFRS)や財政運営基準の厳格化の動向をにらみ、キャッシュバラ
ンス・プランや確定拠出年金に切り換える動きも出てきています。確定拠出
年金も、2016年6月より普及の拡大に向け改正法が施行されています。さら
に、厚生年金基金改革法が2014年4月に施行され、解散や移行先制度の検討
等、企業年金の再編は第二のステップに入りつつあります。
 本書は、2004年11月に2005年版を創刊以来、本年版で14冊目になります。
本年版は、旧版のデータ等を最新のものに改訂すると共に、確定給付企業年
金に関する記述を拡大・加筆。掛金拠出の弾力化、リスク分担型企業年金の
概要を解説。確定拠出年金改正法の概要、年金ガバナンス体制の見直し・強
化等、大幅に加筆しました。
 会社から制度再編提案がなされた時点で、労組員の皆様が、公的年金から
会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。そのため
には、年金制度の基本知識と制度再編に際して従業員サイドからの留意点を
組織内で共通認識することが第一歩です。そこで、本書をテキストや副読本
として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。また、加盟単組からの
ご相談があった際に、本書を参考にして対応されている産別も見受けられる
ようになりました。

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 《最新版》平成30年6月29日発売!!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第5版)
 ―2018年法改正対応― 日本労働組合総連合会
 NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク:共編
 A4判・112頁・頒価1部1,500円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 本ハンドブックは、施行16年目を経過した確定拠出年金制度が法律制定の
趣旨にそって、「公的年金と相まってサラリーマンの老後生活保障の柱」の
一翼を担える制度に仕上がっていくように、との期待をこめて、主として加
入者、労働組合の立場から課題と対応の「考え方」を示したものです。私た
ちの活動の中から、これまでに経験した事例や課題・問題点を踏まえて整理
を行いました。
 第I部部は、確定拠出年金制度の概要と基礎知識を法律に沿って解説、第
II部部は、制度のポイントである「運用」と「教育」についての考え方と提
言について述べています。
 本書は、旧版のデータを最新のものに改めにとともに、2018年の法改正に
対応し大幅に書き直し、第5版として発行するものです。
 すでに、退職給付制度の一部または全部を確定拠出年金に移行した労組の
皆様には、制度の運営改善に、これから移行が想定される皆様には、制度設
計・運営のご参考になれば幸いです。
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 書籍のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら、下記までご連絡をお願い申し上げます。
 内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 →http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm
 お問い合わせ、お申し込みは
 NPO金融年金ネットワーク事務局(
 または電話(03-5444-0539)、FAX(03-5444-0303)まで。

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●次号(第173号)は9月3日に送信の予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止/バックナンバー閲覧】
 → http://kinyunenkin.jp/08mailmaga.htm
【内容に関するご意見・ご感想】
本メールの送信アドレスは送信専用ですので、直接ご返信になることはでき
ません。ご意見・ご感想等は、下記アドレスまでお願い致します。
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