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┃       金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン

┃                    第173号  2018年9月3日
┃   NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
┃             ホームページ http://kinyunenkin.jp/
┃     フェイスブック https://www.facebook.com/kinyunenkin/
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 このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場
 から退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している
 「NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金
 ネットワーク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関す
 る情報や意見交換のスペースをご提供することを目的にしています。企
 画・編集には(株)格付投資情報センターのご協力を頂いています。
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■■ 目次 ■■
●特集レポート
 企業年金コンサルティングの現場から(156)
●NPOトピックス
 ★今からでも聞いてみよう投資の話(47)
  コーポレートガバナンスについて(3)〜非財務情報〜
 ★マーケットトピックス
  日米とも足元好調だが、先行き重大なリスクも
 ★年金トピックス
  確定拠出年金の継続教育の実施率7割超え、
  加入者からの情報収集は進まず
●年金相談の現場から(81)
 一元化に伴う共済年金の退職等年金給付について
●NPOアクティビティー
 出版のお知らせ
 ◇《最新版・2018年版》 平成30年2月28日発売!!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2018年版
 ◇《最新版》平成30年6月29日発売!!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第5版)
 ―2018年法改正対応―

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■特集レポート
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 企業年金コンサルティングの現場から(156)

                (株)武南企業年金事務所代表 坂井信夫
 ◇◆◇
 引きこもりという言葉を聞いて何を連想されるだろうか。2015年の国勢調
査によれば、親と同居している40代〜50代の未婚者は、およそ340万人だそ
うである。1995年のこの数値は約113万人だったので、20年間で約3倍になっ
たことになる。
 引きこもりの社会復帰を支援する活動をしているNPO法人の知人によれば、
今深刻なのは中高年の「引きこもり」を抱えている家庭が多くなっているこ
とだという。
 「7040」とか「8050」という言葉をご存じだろうか。10代や20代で引きこ
もったまま、その子が40代、50代になってしまった家庭のことであり、70や
80はその仮定の親御さんの年齢である。前述の340万人の一定数は「引きこ
もり」である可能性はないだろうか。知人によれば「引きこもりは長期化す
ればするほど社会復帰が困難になる」そうだ。実際に長期の引きこもり経験
者と話をする機会もあったが、その顔に表情は乏しく、こちらからの呼びか
けに対する反応も薄い。就労復帰は容易なことではないと感じたものである。
 さて、そんな「7040」の家族の家計はどうなっていくのだろうか、先日シ
ミュレーションし、その結果を講演する機会を得た。
 父親70歳、母親65歳、子40歳の前提。それぞれ簡易生命表の平均余命を全
うするならば、父親は81歳、母親は87歳まで生存する。家計収入の基礎とな
る国民年金(基礎年金)は両親ともに満額をもらい、父親は厚労省の試算に
よる平均的な厚生年金を受給すると仮定した。またサラリ−マンであった父
親に給付される企業年金は今回、20年保証の有期年金とした(厚生年金基金
が無くなり企業年金基金に移行する過程で、企業年金の給付期間は終身から
ほぼすべて「有期年金」と化した)。そして最後に自助努力としての夫婦そ
れぞれの個人年金保険を加える。こういった前提で収入の推移を眺めていく
と、母親が87歳で天寿を全うする頃の家計収入は「母親の老齢基礎年金と遺
族厚生年金」だけとなる。
 前提としての消費支出については、今回は総務省の家計調査の(世帯主70
歳以上2人以上の世帯)平均値を使った。すると父親が70歳の段階では、年
間収支は黒字という試算結果で始まった。だが、公的年金を補完する自助努
力の個人年金や企業年金の給付が終わるごとに、家計の収支はみるみる赤字
化していき、父親の死別により公的年金が減額となって、年間収支の悪化は
さらに拍車がかかる。父親70歳の段階で仮に貯蓄が2,000万円あったすれば、
一時期はそれが2,100万円を超えるまで積み上がるのだが、以降は年間赤字
のために取り崩し続け、母親の晩年にはその貯蓄額が1,200万円足らずにな
る。
 母親と死別して子の一人暮らしが始まるのは63歳であるが、63歳の男性の
平均余命は21年間である。ピッタリ21年間生きて、その間収入が0とするな
ら、1年あたりの貯蓄取り崩し可能額は56万円ほどだ。1ヵ月の生活費として
は4.7万円である。こういう試算結果をどう受け止められるだろうか。
 収支の正確さはさておき、中高年の引きこもりが社会問題として顕在化す
るのは時間の問題であろう。またそれ以上に、長生きした場合の特に80代後
半から先の家計収入が完全に公的年金のみに依存しなければならなくなる可
能性を、皆が認識するべきではないかと思っている。もし自分が90年以上生
きる方にベットするのなら、公的年金の受給を70歳まで繰り下げられるよう
な自助努力をしてはどうだろう。ちなみに給付開始年齢を65歳から5年遅ら
せると年金額は約4割増える。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■NPOトピックス
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★今からでも聞いてみよう投資の話(47)――――――――――――――――
 コーポレートガバナンスについて(3)〜非財務情報〜

          NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 統合報告書等に記載される非財務情報を見ていきます。改めて非財務情報
を示すと財務報告(有価証券報告書などに記載されている財務諸表以外の情
報)、ESG情報(CSR報告書や内部統制報告書に記載された事項)、経営理念
や経営ビジョンなどの中期的な経営方針に関する情報、などがあります。細
かくなりますが有価証券報告書、決算短信、などは主に財務情報、CSR報告
書や知的財産報告書、などは主に非財務情報となります。非財務情報からは
企業の概況、経営方針、事業リスク、研究開発動向、などに加え、環境や社
会への貢献、経営者の企業への統治方針、などを読み解くことができます。
さらに、これらの点について企業経営者と投資家が対話を行うこと、エンゲー
ジメント、の機会も増えつつあって、企業の情報開示は進んできました。
 次に非財務情報の重要性が増してきた背景ですが、1990年代以降企業価値
の評価が当時の会計制度で十分なのかという認識の広まりが発端と見られて
います。つまり、財務諸表から読み取れる情報だけでは、企業の将来性を予
測する上では不十分と認識したということでしょう。特に知的財産が企業価
値創造の源泉と考えられているにもかかわらず、その評価が適正に反映され
ていないのではないかという意見にたったものです。加えて企業がもたらし
た豊かさに対して、企業活動が地球環境にもたらした悪影響、社会の持続可
能性に疑問、なども出てきて、企業活動の評価を考え直す風潮がでてきまし
た。すなわちすべてともいえる企業が社会や自然への負荷などに配慮しつつ
経済活動しなければ、社会から排除されかねない状況にもなりつつあります。
他方で、企業に対し長期にわたって投資する立場に立つ投資家や金融機関に
とっては、財務情報に加えて非財務情報が、投融資決定に不可欠な情報にな
ってきたのです。
 非財務情報の開示をすすめようとする考え方は、1990年代から始まったよ
うです。2000年に入り、欧州では社会主義政党が政権を担うようになり、企
業活動に対する不信感から、企業の社会貢献(CSR)への要求が高まり、CSR
情報の開示を求めるようになったといわれます。一方で投資家も2008年のリー
マンショック以降、こうした非財務情報を企業に開示させ、比較することで
企業選別を行う機運が高まりました。こうした動き以外にも経済協力開発機
構(OECD)、国際会計基準審議会(IASB)、経済産業省、世界知的資本・資
産イニシアティブ(WICI)などが2005年頃から、本質的な企業価値を表現で
きるようなルール作りを試みました。2010年には国際統合報告評議会(IIRC)
が設立され、統合報告書の枠組みをまとめ、その後は現在の統合報告書を公
表する企業が増えてきました。
 ◆◇◆

★マーケットトピックス―――――――――――――――――――――――
 日米とも足元好調だが、先行き重大なリスクも

                 NPO金融年金ネットワーク
                 DCアドバイザー・CFP   宮本一弘
 ◇◆◇
 記録的猛暑が続くなか、8月10日、トルコリラが対ドルで20%前後急落し、
リスク回避の傾向が加速して、世界中の株価が下落。為替市場で新興国通貨
が下落する反面、ドルや比較的安全通貨とされる円やスイスフランが上昇す
る動きがありました。
 元々トルコは経常赤字の大きさやインフレ率の高さなどファンダメンタル
ズの面と、エルドアン大統領の強権的、反市場的政治姿勢が嫌気されていま
したが、直接の契機になったのは、8月10日付のフィナンシャルタイムズ紙
の、「ECBは欧州の銀行、特にスペイン、フランス、イタリアの銀行のトル
コ向け債権の大きさを懸念している」として、「スペインのBBVA、伊のウニ
クレディト、仏のBNPパリバ」と個別行の名前を上げて報道をしたことで、
投資家はギリシャ危機の再来を想起して欧州銀行株安から世界的な株安につ
ながったとされています。この結果、トルコ同様高インフレや経常赤字を抱
えるアルゼンチンペソも急落、同国中銀は通貨防衛のため緊急利上げに踏み
切りました。また、政治混乱が続くブラジルも通貨レアルが急落しています。
 トルコリラの急落が、1997年のアジア通貨危機のような新興国通貨の連鎖
的な下落や欧州の銀行の破綻等金融危機の火種となり、金融システムや実体
経済を大きく悪化させるのではとの懸念が台頭しました。しかし、米国市場
がいち早く回復しS&P500やNASDACが史上最高値を付けるなど一旦沈静化して
います。ただ、トルコの問題は、自国通貨下落に対する有力な対策の「利上
げ」を大統領が拒んでいて、政治問題化している米国人牧師の解放も拒否し
ているので解決には時間がかかると見られます。

 米国経済は依然絶好調といえる状況が続いています。4〜6月期の実質GDP
成長率は前期比4.1%の高い伸びになりました。特にGDPの7割を占める個人
消費が好調で前期比4.0%の大きな伸びになり、設備投資が7.3%と1〜3月期
からは若干鈍化したものの依然高い伸びが続いています。在庫投資が減少し
ました。統計上はGDPの引き下げ要因になりますが、企業業績向上に寄与し、
需要が強いことの裏返しでもあります。唯一低調であった住宅市場も新築の
着工件数が7月、戸建て、集合住宅とも増加に転じています。ただ、市場の
大多数を占める中古住宅は、賃金の伸びを上回る物件価格の上昇とローン金
利高が重荷となって4ヵ月連続で落ち込んでいます。コンファレンスボード
消費者信頼感指数は高く、ほぼ完全雇用の状況下で賃金も緩慢ながら上昇傾
向にあり、減税の効果も寄与しています。
 4〜6月期の米企業業績(トムソン・ロイター集計)も当期利益は前年比24.
2%の大幅増益。通期見通しでも23.3%増益が見込まれています。但し、米
供給管理協会(ISM)の先行き見通しは、前月よりも鈍化していて、関係者
は「関税措置とその報復行為の影響が、調査回答者にとって圧倒的な懸念材
料」と述べていて、企業のセンチメントに悪影響を及ぼし始めていると懸念
されます。
 FRBのパウエル議長は、8月24日にワイオミング州の保養地ジャクソンホー
ル(地名)で行った経済シンポジウムの講演で、「段階的な利上げが依然適
切」と述べ、「経済は力強く、インフレは2%の目標近辺にあるほか、大半
の求職者は職を見つけている。所得や雇用の力強い伸びが継続すれば一段の
段階的な利上げが恐らく必要になる」、「『完全雇用』や『中立金利』とい
った『水準』に関する考え方の変化が『段階的』利上げの理由になっている。
FRBが過去に完全雇用を誤って判断したことが70年代のインフレ高騰を招い
た」とし「FRBの見通しが正確であると捉えるべきではない。慎重な対応こ
そがカギになる」と強調しました。但し、段階的利上げ継続にはFOMC内部で
も意見に相違があり、ダラス、アトランタ、ミネアポリス、セントルイス地
区連銀の総裁が利上げを一旦休止する方が望ましいとコメントしています。

 さて日本ですが、日本企業の業績の先行き見通しに直接の懸念材料になる
のは、米中通商問題の行方でしょう。8月23日160億ドルの追加関税を実施、
更に2000億ドルを対象に25%課税の品目選定をUSTRに指示しています。
 2018年4〜6月期の東証1部上場の決算発表は終了しました。売上高は前年
比4.5%増ですが、経常利益は12.9%増、当期利益も10.9%増と2桁の増益で
した。牽引役になったのはAI/ロボット関連の電機で次いで機械。自動車も
健闘しました。原油高は石油と商社の決算に好影響でした。アジア市場に対
する重要性が高まっていますが、中国市場も消費財企業にとっては重要な市
場になっています。
 トランプ政権の通商政策は、グローバル化した世界経済へのリスクととら
えていますが、韓国、台湾、日本が中国へ原材料・部品を輸出して、中国が
製品化して米国へ輸出するサプライチェーンを米国中心に組み替えることが
究極の目的との見方も台頭していて、その場合には2期目を目指して益々過
激な要求が繰り出され、日本も自動車・同部品の25%課税をいつ言い出され
るかの懸念もあり、政府の腰を据えた対応が望まれます。メキシコとのNAFT
A見直しがほぼ合意に至ったとの報道もあり日本企業もサプライチェーンの
見直しが必要になりそうです。
                      (平成30年8月28日 記)
 ◆◇◆

★年金トピックス――――――――――――――――――――――――――
 確定拠出年金の継続教育の実施率7割超え、
 加入者からの情報収集は進まず

        NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士
        DCアドバイザー・ファイナンシャルプランナー
                             植村昌機
 ◇◆◇
 企業年金連合会の2016年度決算「確定拠出年金実態調査」によると、継続
投資教育の実施率が7割を超えたが、加入者のニーズの把握が不十分という
結果になった。この調査は2.000規約を対象にして、710件の回答を得ている。
回答企業の従業員数は、1.000人以上(33.2%)、300〜999人(26.5%)、1
00〜299人(26.5%)、99人以下(13.7%)。

 1. 継続投資教育の実施率が7割を超えた
 企業型確定拠出年金制度は、事業主が拠出した掛金を加入者が運用商品を
選択して運用し、その運用実績に基づいた給付を受け取る仕組みである。そ
のため、加入者が適切に運用商品を選択できるように投資教育を実施するこ
とが重要で、2018年5月1日から、継続的な実施が努力義務化された。また、
同日以降に終了する事業年度については、投資教育の実施状況を業務報告書
により、厚生労働省に報告することとされた。継続投資教育の実施率は、70.
6%となり、調査実施以来、初めて7割を超えた。

 2. 継続教育の内容
 「制度の基本的な仕組みの理解」(85.6%)、「基本的な資産運用の理解」
(82.9%)、「基本的な金融商品の理解」(58.8%)、「残高通知書やWeb
サイトの見方」(50.1%)の順になっている。制度導入後の継続教育のなか
で、いずれも基本的な事項について実施されているのは、制度導入時教育だ
けでは十分な理解を得られない実態を踏まえたものと考えられる。

 3. 加入者からの情報収集は進まず
 加入者から制度に対する理解度や継続教育に対するニーズ等を把握するこ
とは、継続教育の企画や制度運営上の課題の発見に役立つ。加入者を対象に
制度の理解度や資産運用状況などの調査を「実施したことがある」(16.1%)
にとどまっており、加入者からの情報収集は進んでいない。また、調査内容
は「制度の理解状況について」(84.7%)、「投資の理解や継続教育への要
望」(67.3%)となっている。

 4. 運営管理機関に対する評価
 法改正により2018年5月1日より、少なくとも5年に一度は運営管理機関の
評価等を行うよう努力義務となった。「現在、評価等を行っている」(7.1
%)にとどまっている。「検討中」(1.3%)、「検討予定」(18.0%)と
している。手法やコスト負担から実施は困難な状況と思われる。

 継続教育のポイントは制度運営の現状把握からスタートする。加入者にヒ
アリングする場合は、継続教育で取り上げてほしいテーマや難易度、時間設
定、スケジュールなど加入者のニーズを反映させることが必要である。簡単
なテストにより理解度を把握することも有効である。労働組合との意見交換
も一つの方法である。運営管理機関のデータを用いた制度運営の現状把握方
法もある。そのポイントを以下にまとめた。

 (投資実態)
●投資信託と元本確保型商品の割合 ●運用商品ごとの保有割合 ●元本確
保型商品のみで運用している加入者数 ●保有している運用商品数の分布 
●運用利回り(一定期間および制度導入以来の通算利回り) ●想定利回り
に達していない加入者数 ●マッチング拠出の利用率
 (コールセンターやWebの利用実態)
●コールセンターの利用状況 ●Webのアクセス状況 ●Webからのリバラン
スやスイッチングの件数
 (その他)
●自動移換の割合 ●年金選択率
 ◆◇◆

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┃ ■年金相談の現場から(81)
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 一元化に伴う共済年金の退職等年金給付について

   NPO金融年金ネットワーク 1級FP技能士・社会保険労務士 小野隆璽
 ◇◆◇
 平成27年10月に施行された被用者年金制度の一元化に伴い、共済年金の「職
域加算(3階部分)」は廃止され、それに変わる「退職等年金給付」が設け
られました。そのため、一元化前の組合員期間に基づく3階部分は「職域加
算」が支給され、一元化後の組合員期間に基づく3階部分は「退職等年金給
付」が支給されるようになっています。また、一元化から約3年経過してき
たなかで、この「退職等年金給付」の相談・質問も増えてきています。
 そこで今回は、新しく設けられた「退職等年金給付」の概要について、以
下に説明させていただきます。

1. 退職等年金給付の種類
 退職等年金給付には、退職年金・公務障害年金・公務遺族年金の3種類が
あります。ただし、これまでの共済年金の職域加算とは異なり、いわゆる通
勤災害による障害・死亡に対する給付は行われません。
 退職年金は、受給期間を終身とする終身退職年金と、受給期間を20年とす
る有期退職年金に区分され、年金の2分の1を終身退職年金、残りの2分の1を
有期退職年金で支給され、支給開始年齢は、原則65歳とされています。
 また、有期退職年金は、受給期間は20年とされていますが、10年とするこ
ともでき、年金に代えて一時金での受給も可能とされています。

2. 退職等年金給付の制度
(1)退職等年金給付の加入上限年齢
 厚生年金保険に関しては、70歳到達をもって被保険者から脱退する取扱い
となっていますが、退職等年金給付に関しては加入の上限年齢はなく、在職
中、加入し続けることになります。

(2)掛金及び負担金
 退職等年金給付は完全積立方式で運営されます。掛金は法律上0.75%
が上限とされており、それと同額を事業主が負担金として拠出します。
なお、標準報酬月額の等級区分及び標準賞与額は厚生年金保険と同じものが
用いられます。

(3)退職等年金給付の支給期月
 厚生年金保険給付と同様、退職等年金給付は、偶数月にその前月までの2
ヵ月分が支給されます。

(4)在職中の支給停止
 厚生年金保険給付と異なり、退職等年金給付は、組合員である間(70歳を
超える場合も含む)は全額支給停止とされ、在職老齢年金制度は設けられて
いません。
 なお、有期退職年金については、支給停止されていた間の支給残月数の増
減はなく、退職時には、有期期間の支給残月数分の支給が開始されます。

(5)退職年金の繰上げ受給
 当分の間、1年以上の組合員期間を有し、かつ、退職している場合、60歳
以上65歳に達する日の前日までの希望するときから、退職年金を減額して繰
上げ受給することができます。
 なお、繰上げの申出は、終身退職年金と有期退職年金を同時に行う必要が
あります。

(6)退職年金の繰下げ受給
 退職年金の受給権者は、70歳に達する日の前日までの希望するときから、
退職年金を増額して繰下げ受給することができます。
 なお、繰下げの申出は、終身退職年金と有期退職年金を同時に行う必要が
あります。

(7)離婚分割の取扱い
 終身退職年金及び有期退職年金は、離婚分割(合意分割、3号分割)の対
象とはされていません。

(8)公務上障害及び死亡
 退職年金のほか公務上で障害となったり死亡した場合、公務障害年金及び
公務遺族年金が支給されますが、公務外や通勤災害により障害及び死亡した
場合、障害年金給付及び遺族年金給付が支給される制度とはなっていません。

 以上が「退職等年金給付」の概要ですが、基本的なところでは、これまで
の「職域加算」は社会保障制度の一環としての給付であるのに対し、「退職
等年金給付」は公務員制度の一環としての給付(いわゆる退職金も含めた退
職給付)であり、財政方式も、これまでの賦課方式から積立方式になったこ
となど、大きく異なる給付となりました。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■NPOアクティビティー
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
出版のお知らせ―――――――――――――――――――――――――――
 ◇◆◇
 《最新版・2018年版》 平成30年2月28日発売!!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2018年版
 日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 共編
 A4判・140頁・頒価1部1,000円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 確定拠出年金法と確定給付企業年金法の公布から16年が経過し、この間、
退職給付会計の導入、運用難による年金資産の積立不足、厚生年金基金の代
行返上、税制適格退職年金の廃止等を契機に、退職給付制度の再編が進行し
てきました。
 厚生年金基金や税制適格退職年金から確定給付企業年金に移行後に、国際
会計基準(IFRS)や財政運営基準の厳格化の動向をにらみ、キャッシュバラ
ンス・プランや確定拠出年金に切り換える動きも出てきています。確定拠出
年金も、2016年6月より普及の拡大に向け改正法が施行されています。さら
に、厚生年金基金改革法が2014年4月に施行され、解散や移行先制度の検討
等、企業年金の再編は第二のステップに入りつつあります。
 本書は、2004年11月に2005年版を創刊以来、本年版で14冊目になります。
本年版は、旧版のデータ等を最新のものに改訂すると共に、確定給付企業年
金に関する記述を拡大・加筆。掛金拠出の弾力化、リスク分担型企業年金の
概要を解説。確定拠出年金改正法の概要、年金ガバナンス体制の見直し・強
化等、大幅に加筆しました。
 会社から制度再編提案がなされた時点で、労組員の皆様が、公的年金から
会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。そのため
には、年金制度の基本知識と制度再編に際して従業員サイドからの留意点を
組織内で共通認識することが第一歩です。そこで、本書をテキストや副読本
として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。また、加盟単組からの
ご相談があった際に、本書を参考にして対応されている産別も見受けられる
ようになりました。

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 《最新版》平成30年6月29日発売!!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第5版)
 ―2018年法改正対応― 日本労働組合総連合会
 NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク:共編
 A4判・112頁・頒価1部1,500円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 本ハンドブックは、施行16年目を経過した確定拠出年金制度が法律制定の
趣旨にそって、「公的年金と相まってサラリーマンの老後生活保障の柱」の
一翼を担える制度に仕上がっていくように、との期待をこめて、主として加
入者、労働組合の立場から課題と対応の「考え方」を示したものです。私た
ちの活動の中から、これまでに経験した事例や課題・問題点を踏まえて整理
を行いました。
 第I部部は、確定拠出年金制度の概要と基礎知識を法律に沿って解説、第
II部部は、制度のポイントである「運用」と「教育」についての考え方と提
言について述べています。
 本書は、旧版のデータを最新のものに改めにとともに、2018年の法改正に
対応し大幅に書き直し、第5版として発行するものです。
 すでに、退職給付制度の一部または全部を確定拠出年金に移行した労組の
皆様には、制度の運営改善に、これから移行が想定される皆様には、制度設
計・運営のご参考になれば幸いです。
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 書籍のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら、下記までご連絡をお願い申し上げます。
 内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 →http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm
 お問い合わせ、お申し込みは
 NPO金融年金ネットワーク事務局(
 または電話(03-5444-0539)、FAX(03-5444-0303)まで。

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●次号(第174号)は10月1日に送信の予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止/バックナンバー閲覧】
 → http://kinyunenkin.jp/08mailmaga.htm
【内容に関するご意見・ご感想】
本メールの送信アドレスは送信専用ですので、直接ご返信になることはでき
ません。ご意見・ご感想等は、下記アドレスまでお願い致します。
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