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┃       金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン

┃                    第176号  2018年12月3日
┃   NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
┃             ホームページ http://kinyunenkin.jp/
┃     フェイスブック https://www.facebook.com/kinyunenkin/
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 このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場
 から退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している
 「NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金
 ネットワーク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関す
 る情報や意見交換のスペースをご提供することを目的にしています。企
 画・編集には(株)格付投資情報センターのご協力を頂いています。
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■■ 目次 ■■
●特集レポート
 企業年金コンサルティングの現場から(159)
●NPOトピックス
 ★今からでも聞いてみよう投資の話(50)
  コーポレートガバナンスについて(6)〜コーポレートガバナンス報告書〜
 ★マーケットトピックス
  米経済は堅調な成長継続へ、懸念は米中貿易摩擦の拡大
 ★年金トピックス
  退職給付制度、77.8%の企業が導入、2.3%増。減少傾向に歯止め
  ―厚生労働省「平成30年度就労条件総合調査」より
●年金相談の現場から(84)
 年金制度における不服申立てについて
●NPOアクティビティー
 出版のお知らせ
 ◇《最新版・2018年版》 平成30年2月28日発売!!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2018年版
 ◇《最新版》平成30年6月29日発売!!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第5版)
 ―2018年法改正対応―

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┃ ■特集レポート
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 企業年金コンサルティングの現場から(159)

                (株)武南企業年金事務所代表 坂井信夫
 ◇◆◇
 先月に続いて今月も公的年金のことについて触れてみようと思う。厚生労
働省の発表によると、平成29年4月〜平成30年2月までの国民年金保険料納付
率は、65.5%ということであった。この国民年金保険料の納付率の低さをも
って、かつて大手メディアはこのまま未納率が高くなれば我が国の年金制度
はもたないのではないか、と報じたものである。果たしてそれは正しいのだ
ろうか。
 まず確認しておきたいことがある。国の年金制度の加入者には自営業やフ
リーランスの方の「第一号」、被用者である「第二号」そして「第二号」の
方の配偶者で専業主婦(夫)の方である「第三号」の三種類がある。前述の
保険料未納者34.5%というのは第一号被保険者の中でのことである。
 平成28年度末現在の各被保険者数は、第一号が1,575万人、第二号(公務
員含む)が4,267万人、第3号が889万人、合計で6,731万人である。第2号保
険者は給与から天引きされ、その保険料率は第3号の分も含めてのものなの
で、保険料未納者は第一号1,575万人の34.5%となり、その数は544万人であ
る。保険料未納者は被保険者全体の8.1%に過ぎない。これがまずは現実で
あるということだ。
 次に保険料未納の意味を考えてみると、第一号被保険者が保険料を納めな
いということは、年金財政に寄与しない、ということである。その一方で、
保険料を納めないということは、将来給付される年金もないということにな
り、年金財政の負担にもならない。つまり、未納者は年金財政にプラスにも
マイナスにもならない、ニュートラルな存在、もっと言えば日本人として存
在していないのと同じなのである。
 先月は老齢年金が無くなったらということを書いたが、現役世代が国の年
金制度に加入するメリットは老後のことばかりではない。国の年金制度は老
齢年金とともに、障害年金や遺族年金という制度が併存していることを忘れ
てはいけない。国の年金制度は(1)我々が高齢者となった時(2)我々が障害を
もって働けなくなった時(3)我々が現役世代のうちに亡くなりになった時、
の三つのリスクに備えた保険制度なのである。
 我々は人生のリスクに備えて民間の保険に加入する。生命保険の加入率は
いまや90%と言われほどの高水準であるが、「まさか」の時にまず国の制度
からどのような支援、保障が受けられて、それを念頭にどのような自助努力
をするか、を考えることが効率的な備え方、なのではないだろうか。
 もし保険料を払うのが経済的に負担になるというのであれば、保険料の支
払免除を申請するという選択がある。加入手続きをして保険料の支払免除申
請が認められる場合と、単に制度に加入せずの未納では、同じように保険料
を納めなかったとしても享受できる効果はまったく違うということだけは、
現役世代として認識しておきたいものである。
 11月30日は年金の日だという。公的年金制度の将来を憂う前に、まずは現
状を正しく認識したいものである。そこに「いい未来」があるのかはともか
く、まんざらでもないのが現在の制度なのではないだろう。
 ◆◇◆

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┃ ■NPOトピックス
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★今からでも聞いてみよう投資の話(50)――――――――――――――――
 コーポレートガバナンスについて(6)〜コーポレートガバナンス報告書〜

          NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 今回はコーポレートガバナンス(CG)報告書に記載されているコーポレー
トガバンスコード原則2-6についてみていきます。CG報告書は企業のガバナ
ンスのあるべき姿を5つの基本原則で示したもので、統合報告書に示されて
いる内容の一部が読み取れます。金融庁がガイドラインを作成し、東京証券
取引所が会社から提出された報告書を開示しています。金融庁は2018年6月
にCGコードの改訂を行いました(参照:当メルマガ2018年6〜7月号)。その
中で、上場会社が企業年金基金に対してどのような支援体制をとっているの
かが求められることになりました。そこで、優れた統合報告書を作成してい
る会社やスチュワードシップ・コードの受入れを表明した企業年金基金の母
体会社がどのような取り組みを行っているのか見ていきます。なお、CG報告
書は日本取引所グループホームページの上場会社情報→コーポレートガバナ
ンス情報サービスから証券コードもしくは会社名を入力することで閲覧でき
ます。
 原則2-6は「企業年金のアセットオーナーとして機能発揮」という表現に
なっており、すなわち「母体企業は自社の企業年金が運用の専門性を高め、
スチュワードシップ活動が十分行えるように、適切な人材の計画配置などを
支援する。その際、母体企業と企業年金受託者とに利益相反が起こらないよ
うに適切に管理する必要がある。」としています。以下はCG報告書記載通り
ではなく、筆者が要点のみをお示ししています。
 優れた統合報告書と評価された会社では味の素株式会社が、「当社は、人
事面においては年金運用の専門能力・知見を有する者を運用執行理事として
任用し、かつ、外部アドバイザーを起用して専門能力・知見を補完するとと
もに、運営面においては随時、資産運用検討委員会での取り組みを実施して
います。」としています。一方で、企業型確定拠出年金制度を導入している
株式会社丸井グループは、「当社には、企業年金基金制度はありません。*
企業型確定拠出年金制度(ライフプラン制度)を導入しています。」となっ
ています。その他のオムロン、コニカミノルタ、伊藤忠商事、住友商事、大
和ハウス工業、住友金属鉱山、などは記載がありません。
 次にスチュワードシップ・コードを受け入れた企業では、エーザイ株式会
社が、「エーザイ企業年金基金において2018年2月にスチュワー ドシップ・
コードの受入れを表明し、ESG投資を開始しました。将来的には、基金がア
セットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう、必要な経験や資質
を備えた人財を配置するとともに、その育成に努めるなど、十分な資源を配
分していきます。代議員会は人事部門と組合主体で構成されており、財務部
門には決定権がないため、利益相反を適切に管理できる体制にあると考えて
います。」、株式会社三菱UFJフィナンシャルグループ、日本電信電話株式
会社も母体企業の支援体制を記載しています。パナソニック、セコムなどは
記載がありません。
 以上のように、これから取り組みが始まる会社もあるでしょうが、現時点
で代議員会などに労働組合を取り込んでいると表現している会社は、前出の
エーザイとヤマハ株式会社がありました。ちなみにヤマハは、「当社は、資
産運用に関する意思決定は、資産運用委員会の審議を踏まえ、代議員会にお
いて決定しております。資産運用委員会及び代議員会には、当社の財務部門
や人事部門の部門長等適切な資質を持った人材を配置するとともに、受益者
代表として労働組合幹部等を配置しております。」と記載しています。
 ◆◇◆

★マーケットトピックス―――――――――――――――――――――――
 米経済は堅調な成長継続へ、懸念は米中貿易摩擦の拡大

                 NPO金融年金ネットワーク
                 DCアドバイザー・CFP   宮本一弘
 ◇◆◇
 注目された11月6日の米中間選挙は、大方の事前の予想通り上院は共和党、
下院は民主党という“ねじれ”状態に終わりました。法案の審議などは停滞
すると予想されますが、トランプ大統領が選挙直前に発表した「大幅な減税」
等、財政収支を悪化させる政策は法案の議会通過は難しくなり、国債の発行
増やFRBの利上げ加速に伴う「金利の上昇」の懸念は和らぐとの見方から、
翌7日の米株式市場は好意的に受け止めNYダウは前日比約2%の上昇になりま
した。
 足元の米国経済は依然好調です。18年7〜9月期のGDP成長率は前期比・年
率3.5%増と、前4〜6月期の4.2%からは減速しましたが高い伸び率を維持し
ています。米GDPの7割を占める個人消費が年率換算前期比4.0%とさらに加
速しています。11月の感謝祭の祝日から週明け26日のサイバーマンデーまで
の期間も好調な出足で、特にネット販売の伸びが大きく、家電製品、パソコ
ン、カメラ、玩具、ゲームソフトなどはネット販売が伸び、消費者が手に触
れたり、試着できる衣料品・靴などは実店舗販売で伸びている様です。鉱工
業生産指数は製造部門が5ヵ月連続で増加。自動車生産は落ち込みましたが
全体としては底堅い動きであるといえます。輸出は、中国による大豆等への
報復関税の影響で減少しましたが、輸入は、年内は10%の関税にとどめられ
ている追加の2000億ドル相当の品目が、年明け以降は25%に増加するのでそ
れに備えた“駆け込み”輸入で、在庫投資も膨らんでいます。住宅市場は、
価格の高騰と住宅ローンの金利上昇から減速しています。設備投資も、米中
貿易摩擦激化の懸念から投資意欲を冷え込ませる危険があります。
 米経済は、2009年4月から上昇に転じて来年で10年、7月には景気拡大が戦
後最長の記録に並びます。今のところ、景気後退が起きるにしても、それは
2020年以降という見方が有力です。
 FRBの利上げ継続で最終的な政策金利(FF金利)が、中立金利とされる3.00
%超えて、景気後退を招くことにならないか、市場関係者は注目していま
す。折しも14日、FRBのパウエル議長が講演で、「世界経済は18年に入って
やや減速しており、貿易戦争によって関税の対象が拡大すれば、現在は好調
な米経済にとっても景気減速やインフレの可能性が出てくる」と言及(ロイ
ター)。16日にはクラリダ副議長も「追加利上げは、これまでよりもデータ
次第の様相が強まる」と語り、FRBの考える想定金利が、従来よりも低くな
っている、と窺わせる見方が広がりました(ブルームバーグ)。

 一方、日本経済は、停滞色を強めています。内閣府が14日に発表した7〜9
月期のGDP統計(一次速報)によると実質GDPは前期比マイナス0.3%、年率
換算でマイナス1.2%と大きな落ち込みになりました。元々7〜9月期は、西
日本豪雨や台風21号、北海道地震など自然災害が重なったこともあり、実質
GDPがかなり下振れすることは予想されていました。しかし、今年に入って1
〜3月期も前期比年率マイナス0.9%になっていて、全体として経済活動が停
滞しているのではないかと懸念されることです。

 米中間の貿易摩擦が、米中両国への輸出依存度(38%:ロイター)の高い
日本経済への影響は避け難く、既にその兆候が9月の鉱工業生産、出荷、在
庫統計に表れつつあるとの見方も出ています。
 現実に輸出入が減少し、生産、出荷に打撃が及ぶ前に、企業業績の先行き
見通しの不透明感から株式市場が下落に向かい、企業や個人の心理を下押し
して、景気を冷やすリスクも少なくないといわれています。
 11月末に予定されているG20首脳会議と、その後のトランプ:習近平会談
の行方が大変注目されています。米国は、ここまでペンス副大統領が、10月
4日のハドソン研究所での「対中政策」演説に始まり、東アジアサミット、A
PEC首脳会議等の場で、強い対中批判を展開してきました。単に目先の貿易
赤字、安全保障にとどまらず、「中国製造2025」に代表される産業政策、南
シナ海の人工島でのミサイル基地建設、中国の国民監視体制、宗教弾圧、借
金漬け経済援助等中国を強く非難しました。これらは「戦略対話」を何年も
続けたにも拘わらず結局中国の問題行動を変えられなかったという苦い思い
が根底にあるといわれています。一方で、「ディール」を得意と自認するト
ランプ大統領は、習近平主席と何等かの妥協を引き出し一旦、休戦に持ち込
み、景気低迷の引き金を回避したいとの思惑があるとの見方も強くあるよう
です。
 今月は、先行き不透明で、慎重な投資方針への転換をお奨めして本稿を終
える予定でしたが、28日、FRBのパウエル議長がNYの講演で、「米経済成長
を加速も減速もしない、経済にとって中立となる水準の幅広い推定レンジを
僅かに下回っている」と発言した(ブルームバーグ)と伝わってきました。
年内12月の利上げは予定通り行われると見た上で、注目されていた来年の利
上げは1回という見方が急速に広がったようです。NYダウは600ドル以上上げ、
米国債も上昇、2年債利回りは2.84%から2.79%に低下しました。“パウエ
ル・プット”があることが判明して、もうしばらく米景気拡大は、継続しそ
うです。
                      (平成30年11月29日 記)
 ◆◇◆

★年金トピックス――――――――――――――――――――――――――
 退職給付制度、77.8%の企業が導入、2.3%増。減少傾向に歯止め
 ―厚生労働省「平成30年度就労条件総合調査」より

        NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士
        DCアドバイザー・ファイナンシャルプランナー
                             植村昌機
 ◇◆◇
 厚生労働省は10月23日に「平成30年度就労条件総合調査」を発表。調査は
産業、企業別に層化して無作為に抽出した6,370社を対象に、賃金や労働時
間などの状況を聞いている。今回は、5年毎に実施する退職給付制度の調査
年に当たる(前回は平成25年)。有効回答数は3,697件(回答率58.0%)。

 1. 退職給付制度導入企業は増加。企業年金が減少し、退職一時金が増加。
 退職給付制度(一時金や年金のある企業)のある企業の割合は、77.8%(前
回は75.5%)と2.3%増加した。退職給付制度のある企業の制度の形態は、
退職一時金のみが70.9%(前回65.8%)と5.1%増、企業年金のみ9.8%(前
回11.6%)1.8%減、両制度併用19.3%(前回22.6%)3.3%減となった。企
業年金導入企業が減少し、退職一時金導入企業が増加した。企業規模でみる
と、企業規模が大きくなるほど企業年金の割合が多く、小さいほど退職一時
金導入企業が多くなる。産業別では、医療・福祉、各種サービス業、鉱業、
運輸業、建設業、不動産業に退職一時金が多く導入されている。

 2. 企業年金制度では、確定拠出年金導入企業が半数を占め、中心的な制
度になった
 企業年金のうち、確定拠出年金導入企業は50.6%(前回35.9%)で14.7%
増、確定給付企業年金は45.0%(前回35.6%)で9.4%増、厚生年金基金は
17.1%(前回44.8%)で27.7%減となった。

 3. 退職一時金制度では、社内準備が減少し、中退共や特退共加入が増加。
 退職一時金制度を社内準備するのは60.5%(前回64.5%)で4.0%減、中
退共が49.7%(前回46.5%)で3.2%増、特退共が9.5%(前回7.5%)で2.0
%増となった。

 4. 企業年金制度の見直し内容は、新制度の導入・併設が倍増し、制度移
行は減少。
 見直し内容は、新たな制度の導入または併設が51.7%(前回25.7%)で26
%増、他の企業年金に移行が12.1%(前回10.4%)で1.7%増。算定基礎額
の算出方法の変更が10.6%(前回5.0%)で5.6%増。支給率の増加が10.7%
(前回5.3%)で5.4%増となっている。
 過去3年間に見直した内容は、企業年金制度の移行が最も多かったが、今
後3年間に見直す予定としては、制度の新設や併設が最も多くなっている。
企業年金制度を既に導入している企業の制度移行はほぼ完了し、今後は、新
規の新規導入および既存の制度のほかに設置するケースが多くなりそうだ。

 5. 定年退職者の1人平均退職給付額は、大卒・高卒(管理・事務・技術職)
共に減少。高卒(現業職)は増加。
 大卒(管理・事務・技術職)35年以上勤務で1997万円(前回2156万円)で
7%減、高卒(管理・事務・技術職)35年以上勤務で1724万円(前回1965万
円)で12%減となっている。しかし、高卒(現業職)は1624万円(前回1484
万円)で9%増となっている。
 ◆◇◆

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┃ ■年金相談の現場から(84)
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 年金制度における不服申立てについて

   NPO金融年金ネットワーク 1級FP技能士・社会保険労務士 小野隆璽
 ◇◆◇
 一般的に行政処分に不服があるときは行政不服審査法の法律がありますが、
社会保険の場合は制度が複雑かつ専門的であるため、別個の審査請求制度に
よって審査が行われています。
 そして、被保険者等は、行政庁等の処分に対して不服がある場合には、地
方厚生(支)局に置かれた社会保険審査官に対して審査請求することができま
す。また、審査官の決定に対して不服がある場合には、社会保険審査会に対
して再審査請求をすることができます。
 年金請求関連においては、やはり障害年金にかかわる不服申立て件数が一
番多く、障害年金請求から審査請求・再審査請求まで至るケースが見受けら
れます。
 そこで、以下に年金制度における不服申立て(審査請求・再審査請求)の
概要を記戴します。

 1. 社会保険審査制度の概要
 行政庁等の処分に対する不服申立てについて迅速な手続きにより国民の権
利利益の救済を図るため、審査請求を担当する社会保険審査官及び再審査請
求を担当する社会保険審査会による2審制の不服審査制度が設けられていま
す。
 そして、社会保険審査官は、厚生局に置かれる独任制の不服審査機関であ
り、厚生労働省の職員のうちから厚生労働大臣が任命するが、個々の事件の
処理については、大臣、地方厚生局長等からの独立性を有し、その指示拘束
を受けません。
 社会保険審査会は、法律又は社会保険に関する学識経験者から両議院の同
意を得て厚生労働大臣が委員を任命(定員6名)し、審理は原則として委員3
名による合議制を採用しています。
 なお、社会保険の審理においては、障害給付に係る処分に対する再審査請
求など、医学的知見を踏まえた判断が必要となる事件が多いため、合議体の
うち1名は医師の委員を充てています。

 2. 審査請求等の請求先
 厚生労働大臣がした処分や日本年金機構がした処分に対する審査請求につ
いては、原処分に関する事務を処理した又は審査請求人の居住地を管轄する
年金事務所及び事務センター、又は当該処分につき経由した地方厚生局又は
年金事務所等の所在地を管轄する地方厚生局に置かれた審査官に対して行い
ます。一般的には、不服を申し立てる人が住んでいる都道府県を管轄する地
方厚生局の社会保険審査官に対して申立てを行うか、あるいは、最後に退職
したか又は現に勤務している事業所を受け持つ都道府県を管轄する地方厚生
局の社会保険審査官に請求することになります。
 再審査請求については、厚生労働大臣の所管の下に置かれた審査会(厚生
労働省内)に対して行います。

 3. 審査請求等の期間
 審査請求は、処分のあったことを知った日の翌日から起算して3ヵ月以内
にしなければなりません。
 なお、被保険者の資格、標準報酬に関する処分に対する審査請求は、現処
分があった日の翌日から起算して2年を経過したときは、することができま
せん。
 再審査請求は、審査官の決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して
2ヵ月以内にしなければなりません。
 なお、正当な理由によりこの期間内に審査請求・再審査請求をすることが
できなかったことを疎明したときはこの限りではありません。

 4. 審査請求等の方法
 審査請求等は、文書又は口頭ですることができます。また、審査請求・再
審査請求は、代理人(委任状が必要)によってもすることができる。

 5. 社会保険審査会の公開審理
 社会保険審査会では、再審査請求事案の審査にあたり、当事者等が意見を
述べることができる場として、公開審理が開催されます。
 公開審理には、審査担当する委員(審査長及び審査員2名)、保険者(不
服の対象となる原処分を行った機関)の代理人及び社会保険審査会参与(厚
生労働大臣から指名された、被保険者及び受給権者又は事業主の利益を代表
する者)が出席するとともに、再審査請求人・利害関係人及びその代理人(請
求人・利害関係人から委任を受け、審査会に委任状を提出した者)が出席す
ることができます。
 また、公開審理は、公開で行うとともに、傍聴も可能とされているため、
傍聴者がいる場合があります。
 以上が不服申立て(審査請求・再審査請求)の概要ですが、年金請求が却
下されたケースなど不服がある場合、このような申立てを行うことができる
ということを理解しておくことが必要ではないかと思います。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■NPOアクティビティー
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
出版のお知らせ―――――――――――――――――――――――――――
 ◇◆◇
 《最新版・2018年版》 平成30年2月28日発売!!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2018年版
 日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 共編
 A4判・140頁・頒価1部1,000円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 確定拠出年金法と確定給付企業年金法の公布から16年が経過し、この間、
退職給付会計の導入、運用難による年金資産の積立不足、厚生年金基金の代
行返上、税制適格退職年金の廃止等を契機に、退職給付制度の再編が進行し
てきました。
 厚生年金基金や税制適格退職年金から確定給付企業年金に移行後に、国際
会計基準(IFRS)や財政運営基準の厳格化の動向をにらみ、キャッシュバラ
ンス・プランや確定拠出年金に切り換える動きも出てきています。確定拠出
年金も、2016年6月より普及の拡大に向け改正法が施行されています。さら
に、厚生年金基金改革法が2014年4月に施行され、解散や移行先制度の検討
等、企業年金の再編は第二のステップに入りつつあります。
 本書は、2004年11月に2005年版を創刊以来、本年版で14冊目になります。
本年版は、旧版のデータ等を最新のものに改訂すると共に、確定給付企業年
金に関する記述を拡大・加筆。掛金拠出の弾力化、リスク分担型企業年金の
概要を解説。確定拠出年金改正法の概要、年金ガバナンス体制の見直し・強
化等、大幅に加筆しました。
 会社から制度再編提案がなされた時点で、労組員の皆様が、公的年金から
会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。そのため
には、年金制度の基本知識と制度再編に際して従業員サイドからの留意点を
組織内で共通認識することが第一歩です。そこで、本書をテキストや副読本
として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。また、加盟単組からの
ご相談があった際に、本書を参考にして対応されている産別も見受けられる
ようになりました。

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 《最新版》平成30年6月29日発売!!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第5版)
 ―2018年法改正対応― 日本労働組合総連合会
 NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク:共編
 A4判・112頁・頒価1部1,500円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 本ハンドブックは、施行16年目を経過した確定拠出年金制度が法律制定の
趣旨にそって、「公的年金と相まってサラリーマンの老後生活保障の柱」の
一翼を担える制度に仕上がっていくように、との期待をこめて、主として加
入者、労働組合の立場から課題と対応の「考え方」を示したものです。私た
ちの活動の中から、これまでに経験した事例や課題・問題点を踏まえて整理
を行いました。
 第I部部は、確定拠出年金制度の概要と基礎知識を法律に沿って解説、第
II部部は、制度のポイントである「運用」と「教育」についての考え方と提
言について述べています。
 本書は、旧版のデータを最新のものに改めにとともに、2018年の法改正に
対応し大幅に書き直し、第5版として発行するものです。
 すでに、退職給付制度の一部または全部を確定拠出年金に移行した労組の
皆様には、制度の運営改善に、これから移行が想定される皆様には、制度設
計・運営のご参考になれば幸いです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 書籍のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら、下記までご連絡をお願い申し上げます。
 内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 →http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm
 お問い合わせ、お申し込みは
 NPO金融年金ネットワーク事務局(
 または電話(03-5444-0539)、FAX(03-5444-0303)まで。

――――――――――――――――――――――――――――――――――
●次号(第177号)は2018年1月4日に送信の予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止/バックナンバー閲覧】
 → http://kinyunenkin.jp/08mailmaga.htm
【内容に関するご意見・ご感想】
本メールの送信アドレスは送信専用ですので、直接ご返信になることはでき
ません。ご意見・ご感想等は、下記アドレスまでお願い致します。
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