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┃       金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン

┃                    第178号  2019年2月1日
┃   NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
┃             ホームページ http://kinyunenkin.jp/
┃     フェイスブック https://www.facebook.com/kinyunenkin/
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 このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場
 から退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している
 「NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金
 ネットワーク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関す
 る情報や意見交換のスペースをご提供することを目的にしています。企
 画・編集には(株)格付投資情報センターのご協力を頂いています。
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■■ 目次 ■■
●特集レポート
 企業年金コンサルティングの現場から(161)
●NPOトピックス
 ★今からでも聞いてみよう投資の話(52)
  コーポレートガバナンスについて(8)〜CSVについて〜
 ★マーケットトピックス
  波乱の幕開け 米中通商問題が最大の課題に
 ★年金トピックス
  政策アセットミックスを策定する確定給付企業年金(DB)、初の9割台に
  ―2018年日経企業年金実態調査より
●年金相談の現場から(86)
 年金生活者支援給付金の概要について
●NPOアクティビティー
 出版のお知らせ
 ◇《最新版・2018年版》 平成30年2月28日発売!!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2018年版
 ◇《最新版》平成30年6月29日発売!!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第5版)
 ―2018年法改正対応―

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┃ ■特集レポート
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 企業年金コンサルティングの現場から(161)

                (株)武南企業年金事務所代表 坂井信夫
 ◇◆◇
 企業年金の資産運用状況は、第3四半期で暗転し、やや苦戦で経過してい
るようだ。株式会社格付投資情報センターの発表によれば、同社の企業年金
クライアントの平均運用実績は、4-12月の期間率で-1.9%前後となっている。
年度上半期終了時は2.29%のプラス値であったが、第3四半期に-4.09%と大
きく下落した。内外の株式債券のインデックスでは、特に第3四半期の三か
月間で国内株式が-17.16%、外国株式が-16.19%とそれぞれ大きく下落した
ことがその要因である。米中の貿易摩擦による景気減速懸念や特に英米の政
治状況などが、その要因であると思われる。
 ただし、マイナス実績であるといっても以前に比べてその影響度はおとな
しいものであると、筆者は感じている。同社のクライアントの平均的な資産
配分は、国内株式が10.1%、外国株式が13.9%である。内外合わせても資産
全体の4分の1ほどであるからそれだけ収益のブレも相対的に小さく収まって
いる。筆者の記憶が確かならば、企業年金による株式保有は往時の半分以下
と言って過言ではない。
 2,000年代に厚生年金基金から、大手企業が「代行返上」して「企業年金
基金」に移行する際に、予定利率を2.5%程度に切り下げる事例が多発した。
当時相場であった5.5%の予定利率に対して国債の利回りは大きく低下して
いる中で、株式ウエートを高めることによる収益のブレを嫌気したことが、
退職給付会計の導入とともに企業に代行返上を迫った結果であった。そして
厚生年金基金制度の廃止とともに発足した総合型企業年金基金も、軒並み予
定利率の低い制度として誕生した。安定的なインカム収入の水準から過度に
上振れしたリターンを狙わずに運営していける制度を作ったことで、資産運
用も安定志向となり、結果として内外株式ウエートを以前より下げたポート
フォリオとなっている。また、前年度までの運用で「剰余金」を抱えている
基金も多いと聞く。第4四半期がどうなるかわからないが、財政運営上大き
なマイナスが一気に発生するという懸念はそれほど大きくないのではないだ
ろうか。
 ところで、内外株式のウエートが……となると、気になるのがGPIFの資産
運用状況であろう。この文章を書いている時点ではまだ公表されていないが、
昨年9月末の資産構成では、内外株式の合計比率が50%を超えている。単純
に内外株式インデックスのマイナスを資産配分で加重すると株式部分だけで
第3四半期の期間率は8%超のマイナスである。長期投資の成果の中ではまだ
マイナスの影響は小さいと思われるが、世間はまたひと騒ぎすることになる
だろう。それを横目に筆者としては、今年が公的年金の財政検証という「当
たり年」なのでそちらへの影響に注目したいと思っている。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■NPOトピックス
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★今からでも聞いてみよう投資の話(52)――――――――――――――――
 コーポレートガバナンスについて(8)〜CSVについて〜

          NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 前回のSDGsの記述の中で、CSVという言葉が出てきました。CSVとは企業と
社会による「共通価値の創造」と一言でいわれます。少し具体的に見ていき
ましょう。その前にもう一度SDGsとCSR、CSVの違いをおさらいします。

 企業の社会的責任CSR(Corporate Social Responsibility)は、企業が倫
理的観点から企業活動を通じて「自主的に社会に貢献する責任のこと」で、
2003年頃から広く使われるようになりました。一方で、共通価値の創造CSV
(Creating Shared Value)は、企業が社会の要請や課題に積極的に取り組
み、その結果として「社会的価値を創造、併せて経済的な価値をも創造する
こと」をいいます。寄付や社会貢献を通じて自社のイメージアップを図るよ
うな従来型のCSRは企業ビジネスとの関連性はあまりないと考えられていて、
一方でCSVはビジネスそのものの戦略的な展開が目的だといわれます。SDGs
はCSR及びCSVの活動のための国際的ガイドラインで、SDGsは政府のほか企業
や業界団体をも巻き込み国連が2030年までに達成しようとする目標です。

 CSVは2011年にハーバードビジネススクールの教授だったマイケル・E・ポー
ターとマーク・R・クラマーが発表した論文『Creating Shared Value』(邦
題『経済的価値と社会的価値を同時実現する共通価値の戦略』)で提唱され
た概念です。日本では、「共通価値」「共有価値」などと訳されています。
ポーター教授は、CSVは企業が社会的課題を解決することで、企業の持続的
な成長につなげていくことだと定義しています。すなわち、事業活動を通じ
て社会の問題や課題の解決に貢献することが、社会的価値に加えて企業価値
をも高めていくという経営上の戦略ともいえます。一例として、環境規制に
よって生み出された汚染対策や省エネ技術などは良い例でしょう。

 ポーター教授は、CSVとCSRとは社会性という意味では似ているとしていま
す。しかし、CSRは社会や環境に対し企業の責任として公害や災害を低減さ
せたりすることなどをいいますが、同様の活動はどの会社でもやろうと思え
ばできることかもしれません。しかし、CSVは企業が持つ経営資源や特殊専
門性などの強みを活かし、ビジネス(事業)として社会問題を解決すること
をいい、その事業の「正当な評価」がなされるとともに、「社会的課題解決
のための事業化」へと一歩先へ進めることもできます。このようにCSRとCSV
では異なるものだという考え方です。

 CSVは端的には以下のようにまとめられると思います。
 (1) 企業が社会的課題を解決する事業を開発・実用化し、その普及を進め
ることで、企業価値の向上と社会的課題の克服の両立を目指す。
 (2) 企業は資源調達元などのバリューチェーンの中で地域パートナーへの
支援を通じて、ともに事業を育てていき、そしてそうした地域との共存共栄
を図るための事業基盤を置くことで地域社会の経済活動を支える。
 ◆◇◆

★マーケットトピックス―――――――――――――――――――――――
 波乱の幕開け 米中通商問題が最大の課題に

                 NPO金融年金ネットワーク
                 DCアドバイザー・CFP   宮本一弘
 ◇◆◇
 日経平均株価は、昨年12月25日のクリスマスに1日で1,010円値下がりし
19,155円の年初来安値を付けました。その後、戻して2万円台で越年をしま
したが、年明け早々の1月4日、一時19,241.37円と773.4円値下がりし、財務
省・金融庁・日銀が緊急の会合を持つ等、波乱の幕開けになりました。
 米中貿易戦争、米政府機関の一部閉鎖、米・中両国の製造業景況感指数の
低下などを受けて米国では長期金利の低下、株式の割高感への警戒など心理
的な重しがあったところへ、1月3日、アップルが、「中国での販売不振」を
理由に業績予想の下方修正を発表したことが漠然とした不安心理を現実視さ
せることになりました。為替市場でも日本の市場が休みの1月3日、ドル・円
相場もプログラム売買の影響を受けて一時、104.10円/ドルを付けました。
その後108円前後を付けていますが一段階円高水準へ移行したようにも見え
ます。
 FRBのパウエル議長は、1月4日の講演で「金融政策を柔軟に見直す用意が
ある」と述べ、引き締めの一時停止に含みを持たせました。現在先物市場が
織り込んでいる本年の利上げ見通しは3月がほぼゼロ、6月に様子を見て利上
げして、後はまた様子を見るという1回の見通しが多数になっています。

 米景気の動向は、FRBが1月16日公表した「地区連銀経済報告」によります
と、金融市場のボラティリティ―の高まり、短期金利の上昇、エネルギー価
格の下落、通商・政治情勢を巡る先行き不透明感の高まりにより、全米各地
の企業でここ数ヵ月間、楽観的な見方が後退したことが判明しました。
 経済の見通しは「概ねポジティブ」である、と指摘。企業がすべての技能
レベルで働き手の確保に苦慮し、賃金が全般的に緩やかに上昇。大半の地区
で控え目から緩やかな物価上昇がみられ、多くの地区で関税引き上げにより
物価が押し上げられたとの報告があった、としています。市場関係者の見方
は、景気後退の懸念が深まる中でも、引き続きかなり前向きな見通しが示さ
れたことは興味深い、としつつ、様々なリスクを背景に経済の勢いが弱まり
つつある」、との見方が増えて来ています(ロイター)。
 ユーロ圏は、2019年後半には利上げに進むとされていたECBも1月25日次期
総裁候補の一人とされているクーレ理事(フランス)が、ブルームバーグTV
のインタビューで、「ユーロ圏経済の持続的な弱さにECBは“驚かされた”」
とコメント、2019年中に利上げに踏み切るかどうかは時期尚早、と答えてい
ます(ブルームバーグ)。

 1月21日、IMF(国際通貨基金)は、世界経済見通し(WEO)を変更しまし
た。
 19年の世界経済の成長率は3.5%。昨年10月時点に比べ0.2%の下方修正。
欧州の需要軟化、昨年暮れの相場急落を指摘、20年は3.6%に上向くと予想
したが0.1%の下方修正。10月に次いで2回目の下方修正になりました。前回
は、貿易摩擦のエスカレートや新興国市場のストレスを指摘しましたが、今
回はドイツとイタリアの経済の弱さ、トルコの予想より深刻なリセッション
に言及しました。経済成長のリスクは下振れ方向に傾斜しているとし、貿易
戦争の拡大、英国の合意なきEU離脱、中国の予想より急激な景気減速といっ
た危険性を強調。主要国で最も大きく下方修正したのはドイツで1.3%と10
月の見通しから0.6%引き下げ、自動車の排ガス規制の厳格化を受けた工業
生産の低下と消費の鈍化を、ソブリン債利回りの上昇で銀行の信用不安が懸
念されるイタリア、抗議デモ「黄色いベスト運動」で経済に打撃を与えてい
るフランスの成長率も下方修正しています。米国は2.5%に据え置き、20年
は減税効果が剥落して金利上昇に反応しやすくなるので1.8%に減速すると
しています。日本は1.1%、20年は0.5%と上方修正(但し、消費増税の悪影
響は相当大きい:筆者註)。インドは7.5%、7.7%です。

 年前半の大きな注目点は1月30・31日にワシントンで開かれるUSTRのライ
トハイザー代表と中国の劉鶴副首相との実務責任者会談の行方でしょう。昨
年、トランプ大統領と習金平主席の間で決めた90日以内(3月1日まで)に、
通商問題について話し合いを纏めるとの結論で、米国は、関税を1月以降も
10%に据え置いています。ベースシナリオは「中国側は、米国からの輸入拡
大に同意し、知的財産権の窃取をやめると公約する可能性がある。そして合
意の効力ある実施手段を持たせるため、実行可能なシステムの構築に進む。
当局者が協議を行う計画と示唆する」場合(ブルームバーグ)ですが、決裂
する可能性も考えられます。次の大統領選挙に向けて成果を急ぎたい大統領。
米国の企業業績が一時的に悪化しても中国の技術覇権・軍事覇権にストップ
を掛けたい“ワシントン・コンセンサス”。“剛腕”のライトハイザー代表
に交渉窓口を一本化したトランプ大統領の決断が注目されます。

 日本は、5月の新天皇即位、新元号への切り替え、来年の東京オリンピッ
クと慶祝、華やかなイベントが続くので、20年半ばまでは内需を中心に景気
拡大が続くと予想されています。株式市場も今年は年央まで上昇、後半は米
国の20年以降の景気後退を織り込む形で調整に進むと見ます。
                       (平成31年1月28日 記)
 ◆◇◆

★年金トピックス――――――――――――――――――――――――――
 政策アセットミックスを策定する確定給付企業年金(DB)、初の9割台に
 ―2018年日経企業年金実態調査より

        NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士
        DCアドバイザー・ファイナンシャルプランナー
                             植村昌機
 ◇◆◇
 1. 厚労省が政策アセットミックス策定を義務化。規約型の小規模DBで大
幅拡大。
 政策アセットミックス(政策的資産構成割合)とは、確定給付型企業年金
が中長期で維持すべき基本的な運用資産配分のことで、基本ポートフォリオ
とも呼ばれる。運用目標を達成するために、企業年金が運用の基本方針を資
産配分という形で具現化したもの。従来は、加入者数が300人未満、運用資
産額3億円未満の規約型DBと受託保証型DB(生保一般勘定で運用)は、運用
の基本方針と政策アセットミックスの策定対象外であった。2018年4月から、
すべてのDBにおいて運用の基本方針と政策アセットミックスの策定が義務化
された。
 その結果、小規模なDBを中心に策定割合が増えている。策定するDBは91.6
%と3年連続で増加した。基金型DBは97.9%が策定している。規約型DBは、
17年調査では6割強だったが、今回は75.9%と高まった。資産規模50億円未満
の小規模DBは、この2年で20%拡大して77.1%に達した。

 2. 現状の資産配分は、「国内債券」は4年連続減少、「短期資産・その他」
が拡大。
 現状の資産配分は、「国内債券」が33.75%で4年連続して減少した。低金
利下での運用難から配分を減らす動きは続いている。「国内株式」は13%と、
17年調査と同水準であった。10年前と比べると配分割合は半減している。「外
国株式」と「外国債券」も前回と同水準であった。10年間のトレンドでみる
と「外国株式」を減らし「外国債券」を増やす傾向にある。現状の2資産の
割合は12%前後でほぼ同水準である。
 「短期資産・その他」は、この10年で3倍近くまで拡大した。別途調査し
た「一般勘定」と「オルタナティブ投資」をみると、「一般勘定」は10%、
「オルタナティブ投資」は5%割合が増えている。直近では、「一般勘定」
は20%前後で頭打ち、「オルタナティブ投資」は漸増が続いていたが、13.3
%と17年より僅かに低下した。
 資産規模別にみると、500億円以上の大規模DBで「外国債券」の割合が
17.72%と高かった。また、「オルタナティブ投資」も資産規模が大きいほど
割合が高い。「一般勘定」は資産規模が小さいほど割合が高かった。

 3. 今後の配分方針は、「国内債券」の圧縮が続く。2割が「オルタナティ
ブ投資」拡大。
 いずれの資産も「現状維持」が8割を超え、17年調査より増加した。積極
的な配分割合の変更を行わないDBが多い。配分の増減をみると「国内債券」
を減らし「オルタナティブ投資」を増やす傾向がある。「国内債券」を減ら
すは17.6%で、17年調査(25.1%)より減ったものの「比率を増やす」は
1.9%であり、今後も「国内債券」を圧縮する動きは続きそうだ。「国内株
式」は「減らす」が7.7%となり、「増やす」4.7%を上回った。「外国株式」
と「外国債券」は「増やす」と「減らす」が同水準で、17年調査と変化はな
かった。
 「オルタナティブ投資」は、「増やす」が21.4%に上った。17年調査
(29.5%)に比べて割合が減ったものの「減らす」(2.2%)を大きく上回っ
た。「国内債券」から「オルタナティブ投資」へ配分を増やす意向のDBは少
なくない。しかし、「オルタナティブ投資」のもう一段の拡大には慎重な姿
勢をとるDBも出始めている。規約型では「増やす」が7.3%で、17年調査の
17.8%を大きく下回っている。規約型DBの現状の「オルタナティブ投資」の
比率は11.3%と基金型(13.84%)より低いものの9割以上が「現状維持」を
志向している。

 4. 期待運用収益率は低下傾向、リスクも抑制。
 期待運用収益率とは、期首の年金資産に対して見込むことのできるその年
度の運用収益率をいう。平均値は2.77%と17年調査より0.11%低下した。年々
低下傾向にある。この10年で一番高かったのが2009年の4.09%である。リス
ク(標準偏差)の平均値は、5.11%で17年より0.07%低下している。2010年
の7.20%が一番高かった。期待収益率の低下に伴って、リスクも抑制されて
おり、効率面では大きな変化は見られなかった。
 ◆◇◆

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┃ ■年金相談の現場から(86)
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 年金生活者支援給付金の概要について

   NPO金融年金ネットワーク 1級FP技能士・社会保険労務士 小野隆璽
 ◇◆◇
 「年金生活者支援給付金の支給に関する法律」は、すでに平成24年11月26
日に公布され、施行日は税制抜本改革の施行時期にあわせ、平成27年10月1
日とされていました。しかしながら、消費税導入の延期により平成29年4月1
日に延期され、さらに平成31(2019)年10月1日に再延期されています。
 年金生活者支援給付金については、支給の主体は国で、事務は日本年金機
構に法律で委任されています。そして、老齢年金生活者支援給付金の支給額
は保険料納付済期間に応じて変わる仕組みになっており、支給要件について
は前年の年金額とその人のその他の所得の合計額が老齢基礎年金の満額以下
であるという要件になっているほか、同一世帯の所得などを組み合わせる判
定要件になっています。このため、本人や世帯構成員の所得などの情報を市
町村から取り寄せる情報連携が必要であり、市町村との連携がかかせない制
度であると言えます。
 そして、今年(2019年)10月1日の施行に向けて、すでに準備が進められ
ています。そこで今回は、この年金生活者支援給付金の概要について、以下
に説明させていただきます。

 1. 目的
 年金を受給しながら生活をしている高齢者や障害者などの中には、年金を
含めても所得が低く、経済的な援助を必要としている人が存在する。このよ
うな状況から、年金収入その他の所得の合計額が一定の基準以下の老齢基礎
年金の受給者と、所得が一定の基準以下の障害基礎年金又は遺族基礎年金の
受給者に対して、福祉的な給付として年金生活者支援給付金を支給すること
により、こうした人の生活の支援を図るため、法律が制定されました。

 2. 制度の概要
 この法律は、公的年金等の収入金額と一定の所得との合計額が一定の基準
以下の老齢基礎年金の受給者に国民年金の保険料納付済期間及び保険料免除
期間を基礎とした老齢年金生活者支援給付金又は保険料納付済期間を基礎と
した補足的老齢年金生活者支援給付金を支給するとともに、所得の額が一定
の基準以下の障害基礎年金又は遺族基礎年金の受給者に障害年金生活者支援
給付金又は遺族年金生活者支援給付金を支給することにより、これらの者の
生活の支援を図るものとされています。
 なお、それぞれの給付金の概要は以下のとおりです。

 (1)老齢年金生活者支援給付金
 65歳以上の老齢基礎年金の受給者で、前年の公的年金等の収入金額と所得
との合計額が、老齢基礎年金満額を勘案して政令で定める額以下であること、
かつ、その者及びその者と同一の世帯に属する者の所得の状況を勘案して政
令で定める要件に該当するときに、老齢年金生活者支援給付金が支給されま
す。
 老齢年金生活者支援給付金の月額は、次に掲げる(i)(ii)の額を合算
した額となります。
 (i)給付基準額(月5,000円)×保険料納付済期間の月数/480月
 (ii)老齢基礎年金満額×保険料免除期間の月数の6分の1に相当する
   月数/480月×1/12

 (2)補足的老齢年金生活者支援給付金
 65歳以上の老齢基礎年金の受給者で、前年所得額が所得基準額を超え、所
得基準額を勘案して政令で定める額以下であること、かつ、その者及びその
者と同一の世帯に属する者の所得の状況を勘案して政令で定める要件に該当
するときに、補足的老齢年金生活者支援給付金が支給されます。
 補足的老齢年金生活者支援給付金の月額は、上記(i)の額から前年所得
額の逓増に応じ、逓減するように政令で定める額となります。

 (3)障害年金生活者支援給付金
 障害基礎年金の受給者で、前年の所得が所得税法に規定する扶養親族の有
無及び数に応じて政令で定める額以下であるときに、障害年金生活者支援給
付金が支給されます。
 障害年金生活者支援給付金の月額は、以下のとおりです。
 ・障害等級1級の者:給付基準額×1.25=6,250円
 ・障害等級2級の者:給付基準額=5,000円

 (4)遺族年金生活者支援給付金
 遺族基礎年金の受給者で、前年の所得が所得税法に規定する扶養親族等の
有無及び数に応じて政令で定める額以下であるときに、遺族年金生活者支援
給付金が支給されます。
 遺族年金生活者支援給付金の月額は、給付基準額の5,000円です。
 なお、遺族基礎年金の受給権を有する子が2人以上いる場合は、給付基準
額をその子の数で除して得た額となります。

 以上のように、年金生活者支援給付金には4種類があり、特に(補足的)
老齢年金生活者支援給付金については、保険料納付済期間の月数等や所得に
より計算されるため、一人ひとり支給額が異なってくるという難しい制度と
なっています。
 ◆◇◆

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┃ ■NPOアクティビティー
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
出版のお知らせ―――――――――――――――――――――――――――
 ◇◆◇
 《最新版・2018年版》 平成30年2月28日発売!!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2018年版
 日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 共編
 A4判・140頁・頒価1部1,000円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 確定拠出年金法と確定給付企業年金法の公布から16年が経過し、この間、
退職給付会計の導入、運用難による年金資産の積立不足、厚生年金基金の代
行返上、税制適格退職年金の廃止等を契機に、退職給付制度の再編が進行し
てきました。
 厚生年金基金や税制適格退職年金から確定給付企業年金に移行後に、国際
会計基準(IFRS)や財政運営基準の厳格化の動向をにらみ、キャッシュバラ
ンス・プランや確定拠出年金に切り換える動きも出てきています。確定拠出
年金も、2016年6月より普及の拡大に向け改正法が施行されています。さら
に、厚生年金基金改革法が2014年4月に施行され、解散や移行先制度の検討
等、企業年金の再編は第二のステップに入りつつあります。
 本書は、2004年11月に2005年版を創刊以来、本年版で14冊目になります。
本年版は、旧版のデータ等を最新のものに改訂すると共に、確定給付企業年
金に関する記述を拡大・加筆。掛金拠出の弾力化、リスク分担型企業年金の
概要を解説。確定拠出年金改正法の概要、年金ガバナンス体制の見直し・強
化等、大幅に加筆しました。
 会社から制度再編提案がなされた時点で、労組員の皆様が、公的年金から
会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。そのため
には、年金制度の基本知識と制度再編に際して従業員サイドからの留意点を
組織内で共通認識することが第一歩です。そこで、本書をテキストや副読本
として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。また、加盟単組からの
ご相談があった際に、本書を参考にして対応されている産別も見受けられる
ようになりました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 《最新版》平成30年6月29日発売!!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第5版)
 ―2018年法改正対応― 日本労働組合総連合会
 NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク:共編
 A4判・112頁・頒価1部1,500円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 本ハンドブックは、施行16年目を経過した確定拠出年金制度が法律制定の
趣旨にそって、「公的年金と相まってサラリーマンの老後生活保障の柱」の
一翼を担える制度に仕上がっていくように、との期待をこめて、主として加
入者、労働組合の立場から課題と対応の「考え方」を示したものです。私た
ちの活動の中から、これまでに経験した事例や課題・問題点を踏まえて整理
を行いました。
 第I部部は、確定拠出年金制度の概要と基礎知識を法律に沿って解説、第
II部部は、制度のポイントである「運用」と「教育」についての考え方と提
言について述べています。
 本書は、旧版のデータを最新のものに改めにとともに、2018年の法改正に
対応し大幅に書き直し、第5版として発行するものです。
 すでに、退職給付制度の一部または全部を確定拠出年金に移行した労組の
皆様には、制度の運営改善に、これから移行が想定される皆様には、制度設
計・運営のご参考になれば幸いです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 書籍のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら、下記までご連絡をお願い申し上げます。
 内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 →http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm
 お問い合わせ、お申し込みは
 NPO金融年金ネットワーク事務局(
 または電話(03-5444-0539)、FAX(03-5444-0303)まで。

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●次号(第179号)は3月1日に送信の予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
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