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┃       金 融 年 金 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン

┃                    第180号  2019年4月1日
┃   NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク メールマガジン
┃             ホームページ http://kinyunenkin.jp/
┃     フェイスブック https://www.facebook.com/kinyunenkin/
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 このメールマガジンは、「連合」と提携して、労働組合・勤労者の立場
 から退職給付制度に関するコンサルティングや投資教育を展開している
 「NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク(略称:NPO金融年金
 ネットワーク)」が企画・編集・発行するものです。金融・年金に関す
 る情報や意見交換のスペースをご提供することを目的にしています。企
 画・編集には(株)格付投資情報センターのご協力を頂いています。
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■■ 目次 ■■
●特集レポート
 企業年金コンサルティングの現場から(163)
●NPOトピックス
 ★今からでも聞いてみよう投資の話(54)
  スチュワードシップ・コードの最近の動向 〜プレミアム市場とは〜
 ★マーケットトピックス
  米FRB 金融政策を大転換 景気後退下の株高、債券高も?
 ★年金トピックス
  企業・個人年金の改革論議がスタート
  ―厚生労働省社会保障審議会「企業年金・個人年金部会」より―
●年金相談の現場から(88)
 2019年4月からの年金額の改定について
●NPOアクティビティー
 出版のお知らせ
 ◇《最新版・2019年版》 平成31年2月28日発売!!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2019年版
 ◇《最新版》平成30年6月29日発売!!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第5版)
 ―2018年法改正対応―

▼▲▼ 今号より毎号配信 ▼▲▼
 「労働組合のための企業年金資産運用講座」(全20講)
 第I部:(基礎編)企業年金の資産運用に関する基礎知識(全10講)
 第II部:(実務・応用編)年金資産運用の進化と実務への応用(全10講)

 第I部 第1講:年金資産運用の目的と原則
 下記のURLをクリックしてください。
 https://bit.ly/2Of7SMZ

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■特集レポート
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 企業年金コンサルティングの現場から(163)

                (株)武南企業年金事務所代表 坂井信夫
 ◇◆◇
 2019年度が始まった。母校の資産運用に携わる機会をいただいて、2年半
が経過しようとしている。およそ卒業から30年が経過した時のことであり、
とても不思議なめぐりあわせでの業務受託であったと未だに感じる。
 学校法人の余資運用というのもなかなか難しい。資金の源泉の多くは生徒
のご父兄によって収められた授業料であり、国からの補助金であったりする。
特定の個人の資産ではないが、ある組織に属する資金という点では、企業年
金の資産に近いように思う。
 かつて厚生年金基金の運用が「貸付」中心から有価証券運用に変化してい
ったように、今は学校法人の資金運用も、国債保有中心の時代から徐々に変
化を始めている、というより変化を模索していかなければならない時代とな
っている。基本的に「簿価主義」の学校法人会計において、国債のバイアン
ドホールドはとても心地の良い運用資産であり運用手法である。しかし0%
台の利息を甘受しないとすれば、資金運用において今まで取ってこなかった
例えば価格変動リスクのようなリスクを、多少なりとも取ることが求められ
る、そんな状況なのである。
 先日のこと、他校と比べて相対的に一歩先の資金運用を行っている某学校
法人を訪ねていろいろ話を聞く機会があった。具体的には投資信託などを通
じて、それまでは全額預貯金の「自家運用」であったものを、一部とはいえ
「委託運用」に移行したのだが、その体制見直しの動機が「低金利」ではな
く「ペイオフ解禁」であったというのがなぜか新鮮に感じた。
 ペイオフとは簡単にいえば、金融機関が破たんした場合に一定額の預貯金
とその利息しか保証されないということ。それはつまり、学校法人の膨大な
資金の運用において「預貯金」は、決して元本保証の安全資産ではなくなっ
た。これがペイオフ解禁の意味するところである。
 現在の低金利下では、預貯金は付加価値を生まないという点で老後の資産
とは言えない、という旨を先月書いたが、残高によっては「全額が元本保証
の資産」とは言えない資産であるというのも忘れてはならない現実であろう。
 ただし、従来の発想を変えて新しい運用体制を作るとすれば、資産運用に
対する哲学、運用目標や許容するリスク水準、意思決定のルールや責任の明
確化など、決めなければならないことがたくさんある。資金運用に疎い学校
法人の理事会ではおそらく、総論賛成各論反対の小田原評定になるだろう。
訪問先の学校法人もその傾向にあるようで、それに対して、議論の場は作る
があくまで最終的な意思決定は資金運用委員長や財務担当理事が、最終意思
決定者として「決め」ている。そう言い切った担当理事のスタンスには、頼
もしさを感じた。公正な意思決定は必要であるが、迅速さが求められる局面
では、時にはトップダウンも必要だ、そんなことを教訓として感じたひとと
きであった。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■NPOトピックス
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★今からでも聞いてみよう投資の話(54)――――――――――――――――
 スチュワードシップ・コードの最近の動向 〜プレミアム市場とは〜

          NPO金融年金ネットワーク 証券アナリスト 塩見雅史
 ◇◆◇
 スチュワードシップ・コードの見直しに続いて、コーポレートガバナンス・
コードについても現在議論が進んでいます。2018年後半には機関投資家と企
業とのエンゲージメント(対話)、非財務情報の利用、などについて触れま
したが、今回はこれまでの区切りとも考えられる方向性や意見が示されてい
ます。まだ議論中ということで今後どのような結論になるかはわかりません
が、これまでの指摘を見ていきたいと思います。
 引用するのは金融庁が開催しています「スチュワードシップ・コード及び
コーポレートガバナンス・コードのフォロー・アップ会議」です。株式もし
くは債券でも社債といった企業が発行する金融商品に対して市場のあり方、
経営者の考え方、それを活用する機関投資家・個人投資家の資産としての拡
大期待、などをどうより具体化していくのかが焦点だと感じます。その結論
もしくは方向性は、こうした金融商品が幅広い市民全般の退職後の生活を経
済的に支えているということを念頭に置こうというもので、企業経営者は自
社の株式もしくは社債に対する価値の増大に対して責任もしくは自覚を持た
なければならない、また市場はそのための基盤整備を行うべきであろうとい
う方向性のように思われます。
 最近、東京証券取引所が上場基準の見直しを含め市場形態のあり方を検討
しているという報道がなされました。これは経済産業省が2月20日に「市場
構造の在り方等の検討について」と題した長期的な上場企業の成長を促すた
めの市場構造の在り方についての視座が土台になっているようです。そして
3月中旬の報道から内容を集約すると、市場を現在の4市場から3市場とし、
東証1部市場の上場基準のうち時価総額を引き上げる、最上位の市場を「プ
レミアム」市場として大企業主体とする、などの検討がなされているようで
す。市場構造としては、現在の1部、2部、ジャスダック、マザーズから、プ
レミアム、スタンダード、エントリー、といった名称への変更も検討と報道
されています。ちなみに海外の市場でこうした階層を持つ市場は、米NASDAQ、
ロンドン、ドイツ、EURONEXT、などがあり、階層がないのはNYSE、香港、シ
ンガポール、などとしています(日本取引所グループ資料より)。
 こうした制度面の変更に加えて、前出の金融庁の会議では、株式や債券を
発行する企業は企業価値の向上を通じて、株価や債券価格の上昇が期待され
るが、このことが国民の老後の生活を支える資産形成に有効であるとの経験
則があるとされています。したがって、企業は「社会の公器」として存在す
べきものだとして、このことを自覚できない上場企業もしくはその経営者は
原則として市場から退出すべき、そして「プレミアム市場」という考えに賛
同との意見がありました。このように金融商品全般に関わる担い手は、様々
な社会貢献に対し、その一部でも責任を認識し、果たすべきであるという考
え方がさらに広まることになりそうです。
 ◆◇◆

★マーケットトピックス―――――――――――――――――――――――
 米FRB 金融政策を大転換 景気後退下の株高、債券高も?

                 NPO金融年金ネットワーク
                 DCアドバイザー・CFP   宮本一弘
 ◇◆◇
 米FRBは、3月20日のFOMC(連邦公開市場委員会)で「2019年中の利上げを
見送り、FRBの資産縮小も9月末で停止する」ことを正式に決定しました。今
後3年の予測も示し、今後の利上げは20年の1回。FF金利の誘導目標は2.6〜2.
75%程度で打止めにするシナリオを示しました。また、19〜20年の成長率見
通しも引き下げました。
 昨年12月のFOMCでは、FF金利の0.25%引き上げを決め、19年中の利上げ回
数も中央値で2回、委員の数では3回が最多でした。また資産縮小も19年末に
終了との見通しを示していたことからは大きな政策転換になりました。
 パウエル議長は、FOMC後の記者会見で、ファンダメンタルズは「非常に強
く」、経済は「良好な状態」にあり、先行きは「明るい」と強調しましたが、
「海外経済の減速が米国景気の逆風になってきた」ことを指摘しました。中
国の18年の実質GDPが28年ぶりの低さになったこと、EUも牽引役のドイツが
主に中国経済の減速のあおりで10〜12月期は実質ゼロ成長に落ち込んだこと
などが念頭にあるのでしょう。
 肝心の米国の内需も、17年末に成立した大型減税の効果が徐々に薄れてき
て「個人消費や設備投資のペースが緩やかになった」(同議長)とし、19年
1〜3月期のGDP成長率は、政府機関の37日にも及ぶ一部閉鎖も重なって0%台
に低下するとの見方も浮上していました。
 市場は、最初は「米国債買い」(債券価格値上がり、長期金利低下)、金
融機関の利ザヤ縮小を嫌気した金融株売りが影響した「株式売り」で反応し
ました。22日には長期金利が大きく低下。10年物米国債と財務省証券(Tビ
ル:3ヵ月)の金利が逆転する“逆イールド”現象が11年半ぶりに発生しま
した。前回、逆イールドが発生したのは、2007年8月、BNPパリバ傘下のファ
ンド3本が突然支払い停止を発表し、サブプライムローン危機が表面化し、
金融危機につながった時です
 市場では、逆イールドは“不況の前兆”とされる動きとされ、過去の例で
は、1年から1.5年程度を経過して景気後退へ向かうといわれています。「FR
Bの経済モデルによると向こう1年の景気後退確率は、35%程度にとどまって
いるが、向こう2年での確率はかなり高まっている」(ロイター)とされま
す。
 FRBは08年の金融危機以降、「量的緩和」に踏み切り、米国債や住宅ロー
ン担保証券(MBS)を大量に買い入れてきました。15年12月に利上げ開始を
決定。17年9月からは、4.5兆ドルにまで拡大した保有資産の縮小に着手して
きました。FF金利の水準は、FOMCメンバーの予想ドットチャートでは、3.5
%程度とされていましたが2.5%程度で終了し、FRBの資産縮小も3.5兆ドル
程度で終了することになります。依然として、米企業(除く金融)の債務残
高はGDP比46%と金融危機以前より高く、十分に緩和的な水準といえるでし
ょう。
 米金融政策の次の一手は、「利下げ」という予想が急速に高まっていて、
シカゴ先物市場(CME)では、FRBが利下げに踏み切る確率を20年1月までに5
割強と織り込んでいるとされています。ただ、基軸通貨ドルの利上げと資産
縮小の停止は、アジアや中国など新興国の通貨安や資本流出に歯止めをかけ
る効果が予想され、世界経済を安定させる効果が期待できます。
 ECBも3月理事会で、予想外のユーロ圏の経済減速を受けて、本年末に想定
していた利上げ時期を来年に先伸ばし、銀行向けの新たな低利流動性供給措
置(「貸出条件付き長期資金供給オペ3」)を導入することを決めていました
が、ドラギ総裁は27日、「必要なら利上げを更に遅らせる用意がある」、「マ
イナス金利の副作用を和らげる措置を検討する」と述べました(ロイター)
 最大の懸念であった米中通商摩擦は、トランプ大統領の楽観的発言を根拠
に、一時、妥結ムードが漂い、米株価の戻りを後押ししてきましたが、ここ
へ来て、先端技術に対する中国の窃取防止、技術移転の強要禁止という戦略
的課題で、検証の枠組みと検証方法の取り決めを目指す米国と、回避したい
中国の間で膠着状態にあり、4月末の首脳会談で妥協ができるかは見通しが
難しくなっています。
 さて日本ですが、財務省が18日に発表した2月の貿易統計(速報・通関ベー
ス)によると、輸出額は前年同月比1.2%減少しました。マイナスは3ヵ月連
続です。中国向け輸出は5.5%増と3ヵ月振りにプラスに転じましたが1月の
減少分を取り戻すには至っていません。日本からの輸出の鈍化が鮮明になっ
てきました。既に、「景気動向指数」は、1月に景気後退局面入りの可能性
を示唆する「下方への局面変化」となっています。日銀が4月1日に発表する
3月の「短観」の民間予測では、注目度の高い大企業・製造業の「業況判断
指数」(DI)も2年ぶりの大きな悪化が見込まれています。中国向けを中心
に輸出の大幅な減少で景況感が大きく悪化していて、19年度設備投資計画も
マイナス(減少)が予想されます。
 折から、10月の消費増税実施を前提にした19年度予算案が衆議院を通過し
ましたが、消費増税を予定通り実施できる状況にあるか否か、立ち止まって
検討すべきではないでしょうか。
                       (平成31年3月28日 記)
 ◆◇◆

★年金トピックス――――――――――――――――――――――――――
 企業・個人年金の改革論議がスタート
 ―厚生労働省社会保障審議会「企業年金・個人年金部会」より―

        NPO金融年金ネットワーク 社会保険労務士
        DCアドバイザー・ファイナンシャルプランナー
                             植村昌機
 ◇◆◇
 厚生労働省で企業年金(確定給付企業年金=DBと企業型確定拠出年金=DC)
と個人年金(個人型確定拠出年金=iDeCoと国民年金基金)の改革論議がは
じまった。2月22日に社会保障審議会の企業年金・個人年金部会の第1回会合
が開かれた。長期化する高齢期の生活を支えるためにも、就労と公的年金、
企業年金、個人年金を組み合わせて老後のライフプランを設計する必要があ
るとして、5つの課題を議論の対象とすることになった。

 課題1. 公的・私的年金の組み合わせを可能にする環境の整備
 この課題に対しては、企業年金の掛金拠出や給付のあり方がテーマになる。
具体的に厚労省は、拠出限度額、加入可能年齢、受給可能年齢といった内容
を挙げている。DBとDCではそれぞれ規定があり、加入者にとっては複雑で利
用がしにくい。
 部会では(1)個人や企業のニーズに合わせ掛金を自由に設定できるか(2)
加入可能年齢、受給可能年齢はどうするか(3)中途退職時の支給を認めるか
等がテーマになりそうだ。
 拠出や給付の仕組みについては、以前、企業年金部会では「イコールフッ
ティング(条件の同一化)」が議論されていた。当時、厚労省はDBと企業型
DCの掛金を一体的に捉えたうえで、両制度を合わせて拠出限度額を設定する。
給付面では、支給開始年齢を65歳とするとともに現役時の中途退職を認めな
い。受給も一時金ではなく複数年を促す措置を講ずるといったことを提案し
ていた。
 厚労省が提案した条件の同一化は、企業年金の退職金としての性格よりも、
高齢期の生活を支えるための資産形成との意味合いを求めてくる可能性が高
い。

 課題2. 従業員の老後資産の形成に向けた事業主の取組を支援する環境の
整備
 厚労省の調査によると、企業年金制度を持つ企業は中小企業で減少が顕著
であり、「簡易型DC」制度を2018年5月に開始したが、使い勝手の悪さから
いまだ実施企業はない。また、中小企業向けの「受託保証型DB」も低金利の
ため新規受託が困難な状況になっている。このため中小企業向けにDBについ
て新たな規制緩和や選択肢が求められる可能性がある。

 課題3. 働き方や勤務先に左右されない自助努力を支援する課題の整備
 iDeCoの普及・改善、ポータビリティーの拡充が見直し項目とされている。
改正法で20歳から60歳まで国民すべてがDCに加入できることとなった。また、
DCからDBへも可能となった。しかし、転職先でDC資産の受換の規定がないと
資産の移換はできない。また、企業年金連合会にはDC資産の受け入れはでき
ないなど見直しの余地がある。また、働き方改革から非正規労働者への普及
策も課題だ。

 課題4. 老後資産の形成・取り崩しに関する選択を支える環境の整備
 DCにおいて、今後受給者が増加する中で、資産を運用しながら取り崩して
いく方法など
 「使い方」の教育や情報提供がテーマになる。DCは受給者の9割が一時金
受給をしており、年金としての機能を果たしていない。

 課題5. 企業年金・個人年金制度を安定的に運営するための体制の整備
 企業年金のガバナンスの確保と企業年金連合会と国民年金基金の基盤強化
が課題として挙がっている。DBのガバナンスは先行して見直されている一方、
DCのガバナンスは進んでいない。掛金を拠出すれば事業主責任は果たされて
いるということではない。企業型DCのガバナンスを検討する考えを示してい
る。
 企業型DCは企業年金連合会とiDeCoは国民年金基金で所管が分かれており、
連携を基盤強化の一つに挙げている。

 今後は、3月に関係団体のヒアリングをして課題を洗い出し、 4月以降に
議論を進める。夏の税制改正要望に向けた要望事項の整理の他、公的年金の
改革に合わせた議論も課題になるとしている。
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■年金相談の現場から(88)
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 2019年4月からの年金額の改定について

   NPO金融年金ネットワーク 1級FP技能士・社会保険労務士 小野隆璽
 ◇◆◇
 2019年度の年金額は、法律の規定により、平成30年度から0.1%プラスで
改定されます。
 そこで、今回は年金額改定のルールと、それによる2019年4月からの年金
額を説明させていただきます。

 1. 年金額改定のルールによる2019年度の年金額
 年金額の改定は、物価変動率、名目手取り賃金変動率がともにプラスで、
物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合には、年金を受給し始める
際の年金額(新規裁定年金)、受給中の年金額(既裁定年金)ともに名目手
取り賃金変動率を用いることが法律により定められています。
 2019年度の年金額の改定は、年金額改定に用いる物価変動率(1.0%)が
名目手取り賃金変動率(0.6%)よりも高いため、新規裁定年金・既裁定年
金ともに名目手取り賃金変動率(0.6%)を用います。
 さらに2019年度の年金額は、名目手取り賃金変動率(0.6%)にマクロ経
済スライドによる2019年度のスライド調整率(▲0.2%)と平成30年度に繰
り越されたマクロ経済スライドの未調整分(▲0.3%)が乗じられることに
なり、改定率は0.1%となります。

 2. マクロ経済スライドの調整
 平成28年に成立した年金改革法により、マクロ経済スライドの調整方法の
変更がなされ、平成30年4月から実施されました。
 これは、マクロ経済スライドによって前年度よりも年金の名目額を下げな
いという措置は維持した上で、未調整分を翌年度以降に繰り越す仕組みが導
入されたわけです。
 これにより、平成30年度のマクロ経済スライドによるスライド調整が行わ
れなかった▲0.3%分が平成31年度の年金額改定にキャリーオーバーされ、2
019年度のスライド調整率(▲0.2%)とともに2019年度の年金額において調
整されることになりました。
 なお、平成26年財政検証では、スライド調整率は▲1.1%〜▲1.2%と見込
まれていましたが、60歳以上の高齢者雇用が見込みよりも進んだことなどに
より厚生年金保険被保険者が増加したことで、実際のスライド調整率は見込
みよりも低くなっています。
 ■2019年度のスライド調整率(▲0.2%)
   =公的年金被保険者数の変動率(0.1%)
    ×平均余命の伸び率(▲0.3%)

 3. 2019年度の年金支払い
 以上のように、2019年4月分からの年金額は0.1%プラスで改定されますの
で、4月・5月分の支払いの6月14日振込み額から少し増額されます。

 4. 2019年4月からの主な年金額
 (1)老齢基礎年金(満額の場合) : 780,100円(月額:65,008円)

 (2)遺族基礎年金 : 780,100円(月額:65,008円)
 ○子が1人いる妻に支給される場合:
 780,100円+224,500円(子の加算)=1,004,600円(月額:83,716円)
 ○子供に支給される場合 :
 年金額の合計金額を子供の数で割り、その割った金額がそれぞれの子供
 に支給されます。
 子1人の場合:780,100円(月額:65,008円)
 子2人の場合:780,100円+224,500円=1,004,600円÷2=502,300円
 (月額:41,858円)がそれぞれに支給されます。

 (3)障害基礎年金(1級) : 975,125円(月額:81,260円)
 *障害基礎年金(1級)は、障害基礎年金(2級)の1.25倍であり、
  1円単位となっています。
 ○子が1人いる場合 :
 975,125円+224,500円(子の加算)=1,199,625円(月額:99,968円)

 (4)障害基礎年金(2級) : 780,100円(月額:65,008円)
 ○子が1人いる場合 :
 780,100円+224,500円(子の加算)=1,004,600円(月額:83,716円)
 ◆◇◆

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ■NPOアクティビティー
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
出版のお知らせ―――――――――――――――――――――――――――
 ◇◆◇
 《最新版・2019年版》 平成31年2月28日発売!!
 「労働組合のための退職金・企業年金ハンドブック」2019年版
 日本労働組合総連合会/NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 共編
 A4判・140頁・頒価1部1,000円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 確定拠出年金法と確定給付企業年金法の公布から17年が経過し、この間、
退職給付会計の導入、運用難による年金資産の積立不足、厚生年金基金の代
行返上、税制適格退職年金の廃止等を契機に、退職給付制度の再編が進行し
てきました。
 厚生年金基金や税制適格退職年金から確定給付企業年金に移行後に、国際
会計基準(IFRS)や財政運営基準の厳格化の動向をにらみ、リスク分担型企
業年金や確定拠出年金に切り換える動きも出てきています。確定拠出年金も、
2016年6月より普及の拡大に向け改正法が施行されています。さらに、厚生
年金基金改革法が2014年4月に施行され、解散や移行先制度の検討等、企業
年金の再編は第二のステップに入りつつあります。
 本書は、2004年11月に2005年版を創刊以来、本年版で15冊目になります。
本年版は、旧版のデータ等を最新のものに改訂すると共に、確定給付企業年
金に関する記述を拡大・加筆。掛金拠出の弾力化、リスク分担型企業年金の
概要を解説。確定拠出年金改正法の概要、年金ガバナンス体制の見直し・強
化、働き方改革と企業年金等、大幅に加筆しました。
 会社から制度再編提案がなされた時点で、労組員の皆様が、公的年金から
会社提案まで内容を熟知していることが労使交渉のポイントです。そのため
には、年金制度の基本知識と制度再編に際して従業員サイドからの留意点を
組織内で共通認識することが第一歩です。そこで、本書をテキストや副読本
として、年金研修会、勉強会の実施をお勧めします。また、加盟単組からの
ご相談があった際に、本書を参考にして対応されている産別も見受けられる
ようになりました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 《最新版》平成30年6月29日発売!!
 「働く人のための確定拠出年金ハンドブック」(第5版)
 ―2018年法改正対応― 日本労働組合総連合会
 NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク:共編
 A4判・112頁・頒価1部1,500円(荷造り・送料実費を頂きます)
 ◇◆◇
 本ハンドブックは、施行16年目を経過した確定拠出年金制度が法律制定の
趣旨にそって、「公的年金と相まってサラリーマンの老後生活保障の柱」の
一翼を担える制度に仕上がっていくように、との期待をこめて、主として加
入者、労働組合の立場から課題と対応の「考え方」を示したものです。私た
ちの活動の中から、これまでに経験した事例や課題・問題点を踏まえて整理
を行いました。
 第I部部は、確定拠出年金制度の概要と基礎知識を法律に沿って解説、第
II部部は、制度のポイントである「運用」と「教育」についての考え方と提
言について述べています。
 本書は、旧版のデータを最新のものに改めにとともに、2018年の法改正に
対応し大幅に書き直し、第5版として発行するものです。
 すでに、退職給付制度の一部または全部を確定拠出年金に移行した労組の
皆様には、制度の運営改善に、これから移行が想定される皆様には、制度設
計・運営のご参考になれば幸いです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 書籍のお申し込み、お問い合わせ、ご質問、ご相談、研修会講師派遣のご
要望等ございましたら、下記までご連絡をお願い申し上げます。
 内容詳細は下記のURLをご覧ください。
 →http://kinyunenkin.jp/09syuppan.htm
 お問い合わせ、お申し込みは
 NPO金融年金ネットワーク事務局(
 または電話(03-5444-0539)、FAX(03-5444-0303)まで。

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●次号(第181号)は5月7日に送信の予定です。
【NPO金融年金ネットワーク・メールマガジン】
 企画・編集・発行:NPO法人 金融・年金問題教育普及ネットワーク
 協力:(株)格付投資情報センター
【メールアドレスの変更および配信中止/バックナンバー閲覧】
 → http://kinyunenkin.jp/08mailmaga.htm
【内容に関するご意見・ご感想】
本メールの送信アドレスは送信専用ですので、直接ご返信になることはでき
ません。ご意見・ご感想等は、下記アドレスまでお願い致します。
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